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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

GJ別冊「激闘関ヶ原」Solo-Play AAR

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先日購入したゲームジャーナル別冊「激闘関ヶ原」をソロプレイすることに。元々のツクダ版をプレイしたのは10年以上前なので、だいぶ久しぶり。こういった軽いゲームは、さっさとプレイして、一回やっつけたことにしておこうと。

今回は、シナリオには無いけれど、開戦当初から小早川秀秋朽木元綱赤座直保などの諸隊が東軍として、第2イニングから自動的に参戦する形でプレイしてみた。近年そういった説も出てきているので、じゃあそれを「激闘関ヶ原」でプレイしたらどうなるのかと。史実的に戦闘が無かった桃配山以東は省略。徳川家康本隊も、なるべく動かしたくない。家康としては、すでに小早川も自軍についたのだから、諸大名たちだけで何とかすれば良かろう(悪い顔)という感じだろうか。

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ということで、第1イニング(辰の刻 07:00)開始。先手・東軍は、井伊直政松平忠吉隊だけが行動を許可されるものの、よく言われるように、福島隊の可児才蔵の前を横切って……などというムーヴはこの1イニングだけでは移動力的に無理なので、単純にまっすぐ前進。後手・西軍は、宇喜多秀家隊だけが行動を許可され、早くも福島正則隊と接敵。しかし宇喜多の鉄砲隊は、すでに南側にもその戦列を敷いていた。

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そして第2イニング(辰の刻 07:30)。先手・東軍として、小早川秀秋赤座直保小川祐忠朽木元綱脇坂安治も東軍へ参戦。小早川隊は、唯一『ここで裏切りとは卑怯也!』と叫ぶ松野主馬を置き去りにして、松尾山を下っていく。東軍正面の、黒田長政細川忠興加藤嘉明田中吉政福島正則も前進を開始し、各所で射撃戦が発生した。また後詰めの京極高知藤堂高虎も、福島隊の南に出て、宇喜多隊の側面を襲わんとしている。

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第2イニング裏、西軍・戸田重政隊が、白兵戦で赤座直保の鉄砲隊を除去し、直保の本陣へ接近した。対する東軍側も、防御射撃によってすでに宇喜多の鉄砲隊を2ユニット除去している。しかしまだまだこれは序の口。本格的な戦闘には至っていない。

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第3イニング(辰の刻 08:00)、東軍正面の黒田、細川、加藤隊が、石田三成隊前衛の島左近、蒲生郷舎の防御柵に取り付き、ようやく両軍ががっぷり四つに組み合った。防御柵は後退結果を無視できるので、ここは槍隊による力押しで潰したい(鉄砲隊の場合、除去するのが難しい/かなりの火力が必要)。

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南から攻める小早川隊も、スチームローラーのような兵力をもって木下頼継隊を守備位置から押し出した。すでにその側面にも兵が回り込み、これを補うべく、宇喜多隊からも兵力が抽出されている。

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宇喜多隊の一部は、突出した東軍・筒井定次隊の側面を衝き、小西行長の鉄砲隊は井伊直政隊を追い返している。また防御柵に籠もった島・蒲生両隊の鉄砲衆も、黒田、細川の槍隊を撃退し、すでに豊臣家七手組の一部も前線に参加している。

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第4イニング(辰の刻 08:30)、南部では、小早川隊の猛攻によってすでに木下頼継隊が2ユニットを喪失しつつも、精強な大谷義継隊、戸田重政隊が戦線を支えている。宇喜多隊も各地に兵力を出して戦線の継ぎ目を埋めているが、この第4イニングだけで宇喜多隊は6ユニットを除去され、総計9ユニットを失い、徐々にその戦力を削られている。

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北部でも、宇喜多隊は筒井定次の側面を突き崩せず、鉄砲衆1ユニットを除去したのみ。また黒田長政は、槍隊を1ユニット失いながらも島左近の防御陣地に突入。加藤嘉明も、蒲生郷舎隊を初期位置から追い出している。しかし細川忠興は、島・蒲生隊からの防御射撃によって全隊が後退するというていたらく。この時点での両軍の除去ユニット数は、西軍13、東軍7となっている。

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第5イニング(巳の刻 09:00)は、まさに一進一退。東軍・小早川秀秋隊は、槍隊4ユニットがかりで木下頼継隊1ユニットに撃退されるという拙攻。東軍は火力で優越しつつあるものの、おしなべてこれといった戦果は見られなかった。史実で言うなら、徳川家康がイライラして爪を噛んでるところだ。一方の西軍も、前衛の鉄砲衆をだいぶ失ったため、東軍をなかなか追い返せず、防戦一方になっている。

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第6イニング(巳の刻 09:30)は、北部での戦闘が激化。加藤嘉明隊の前線指揮官塙団右衛門が直率した攻撃によって、豊臣家七手組の川尻直次が討ち死に。今合戦最初の名のある武将の戦死となった(ただし西軍の戦意には影響無し)。七手組はその後、伊藤盛政も失っている。一方、黒田長政は、島左近隊の防御柵を2つとも突き崩し、一時は島左近本人を孤立させ、狙撃するところまで攻め立てたが、島左近も自ら槍隊と共に反撃し、黒田隊の鉄砲衆ユニットを除去した。蒲生郷舎も、自陣に入り込んだ細川隊の槍衆を除去し、戦線を維持している。しかし中央部では、再び宇喜多隊の損害が増し、両軍の除去ユニット数は、西軍24、東軍13となった。

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第7イニング(巳の刻 10:00)。いつか出ると思った東軍の射撃ダイス12(6ゾロ)で、木下頼継が討ち死に。東軍・黒田長政隊は、遂に石田三成本陣に迫るも、石田隊の大筒に撃たれて後退。それでも黒田の鉄砲隊は、これまた射撃ダイス12で石田隊の鉄砲隊を一発除去して、激しい銃火の応酬が続く。中央では、いよいよ前衛の鉄砲隊を使い切った各隊が槍隊の白兵戦に移行し、今まで損失を被っていなかった小西行長井伊直政松平忠直隊からも除去されるユニットが出てきた。宇喜多隊の損失もさらに増し、両軍の除去ユニット数は、西軍35、東軍20となった。

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第8イニング(巳の刻 10:30)。両軍ともいよいよ前線兵力が足りなくなり、西軍・宇喜多隊は、秀家本陣と明石全登以外がすべて出払ってほぼ全周陣を築く有様。東軍も、後方に控えていた織田有楽、古田重然を戦線の穴埋めに使っている。そんな中、再び石田隊の大筒が火を噴き、これを喰らった黒田隊の竹中重門が討ち死に。怒りに燃えた黒田隊は、大筒に白兵戦を挑んで見事にこれを除去。石田三成本陣にも迫ったが、これは舞兵庫が撃退した。島左近、蒲生郷舎も、すでに配下を失いながらも、迫り来る黒田・細川の槍隊を次々に除去する獅子奮迅の防戦。このイニングだけなら東軍の損失の方が多かったが、それでも両軍の除去ユニット数は、西軍43、東軍30。すでに西軍はほとんどの位置で鉄砲隊を失い、防御射撃ができず、火力で圧倒されつつある。西軍の破断点も近い……

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第9イニング(午の刻 11:00)。黒田隊は、遂に侍大将・後藤又兵衛を投入して、島左近を包囲攻撃。これがもし原哲夫先生のマンガなら、筋骨マシマシの又兵衛と左近が『ぬぅぅぅうううん!!』とか呻いて槍を交えるシーンだ。しかし多勢に無勢、ここまで奮戦してきた島左近も遂に討ち死にと相成った。

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一方、宇喜多隊も疲れが見えてきたのか、正面での白兵戦ダイス目がことごとく悪く、次々ユニットが後退していく。それでも側面を支え続ける、大谷、戸田、平塚の精強さよ。小早川隊が全然突破できていない……両軍の除去ユニット数は、西軍49、東軍33。

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第10イニング(午の刻 11:30)。東軍は、宇喜多隊の正面突破を狙って、田中吉政隊、松平忠吉隊を一気に前進させた。これを防ぐべく、宇喜多隊の明石全登が前線に躍り込み、田中隊、松平隊の先鋒ユニットを除去した。

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このイニングだけなら、東軍の損失の方が多かったが、南部では、開戦当初から踏ん張っていた平塚為広隊の防御柵が崩され、西軍はファレーズ包囲網のような状況に陥っている。両軍の除去ユニット数は、西軍53、東軍40。

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第11イニング(午の刻 12:00)。ここまで西軍側面を支えてきた、大谷頼勝、平塚為広が、東軍鉄砲隊の集中射撃を受けて討ち死に。さらに狭まる包囲網を閉ざしてなるかと、大谷義継本隊も、前線に突入したがすでに孤立無援。すでに宇喜多秀家本陣は、包囲網から脱する位置にあるが、その周囲を守る兵は誰もいない。井伊直政も、自ら討って出て、小西行長の正面を突破した。黒田長政隊の一部は、石田三成本陣に接敵したが、三成本人と舞兵庫によって撃退、除去された。両軍の除去ユニット数は、西軍63、東軍43。

第12イニング(午の刻 12:30)。このイニングで、石田隊の家老・蒲生郷舎も包囲されて討ち死に。しかしそれ以外は、西軍がなおも頑強に抵抗し、東軍は攻めあぐね、戦線が動かなかった。このイニングも東軍の損失が多く、両軍の除去ユニット数は、西軍67、東軍48。

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第13イニング(未の刻 13:00)。遂に包囲網が閉じられた。南から攻め上ってきた小早川隊先鋒と、正面突破した井伊直政隊先鋒が、手を組む形で宇喜多秀家本陣を挟撃。あいにくこの攻撃は功を奏さなかったが、宇喜多、大谷、戸田隊は袋の鼠となった。

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しかしこの宇喜多秀家の窮地を救うべく、フリーになっていた小西行長本隊が急行。逆に井伊隊の先鋒を挟み撃ちにして、これを除去した。しかし包囲網の中では、大谷義継が鉄砲隊の集中射撃を浴びて討ち死に。両軍の除去ユニット数は、西軍76、東軍50。

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第14イニング(未の刻 13:30)。なぜかここまでほとんど損失を被っていなかった福島正則隊が一気に前進。戸田、大谷隊の背後を遮断し、井伊、筒井隊と共に明石全登を攻撃してこれを討ち取った。しかし小早川隊は、槍隊4ユニットがかりでも宇喜多秀家本陣を突き崩せず。そしてなぜか不自然に空いている北国街道……

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宇喜多秀家小西行長本隊は、この期に及んでまだ白兵戦を仕掛け、小早川隊を蹴散らして包囲網から脱しようとしている。それと呼応するように、今まで動かなかった島津義弘隊が北国街道沿いに、前のめりな突破を開始。いや、島津が何ターンから動くか決めていなかったけれど、ここまで進めて、タイミングも良さそうだったので。

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第15イニング(未の刻 14:00)。遂に小西行長も討ち死に。しかし宇喜多秀家本隊も、戸田、大谷隊も、完全に包囲されつつ、いまなお死んでいないという。そして敵中突破を図る島津隊は、金森、古田隊の迎撃を受け、槍隊ユニットを失った。

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第16イニング(未の刻 14:30)。完全に包囲された宇喜多秀家本隊は、白兵戦を仕掛けられても後退せずという勇猛ぶり。しかしイニング裏の東軍防御射撃で、ダイス12が出てしまい、ここで遂に討ち死にした。石田隊の舞兵庫も、黒田・細川の攻撃で除去。一方、島津隊の突破を阻止すべく、古田、生駒隊が北国街道に立ち塞がり、すでに戦闘が終わった東軍諸隊も続々と集まってきた。特に加藤嘉明は、塙団右衛門と共に島津豊久に3ユニットがかりで白兵戦を挑んだが、どちらも一歩も引かず。島津義弘本隊は、そのまま古田・生駒隊に突入し、島津の鉄砲衆は一発で(ダイス12)で金森隊の槍隊を除去した。

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第17イニング(申の刻 15:00)。すでに勝敗は決したが、包囲された石田三成本隊は、いまだ頑強に抵抗している。島津豊久は、殿軍を務めるかのように、加藤隊を拘束している。

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第18イニング(申の刻 15:30)。細川忠興の鉄砲隊4ユニットによる集中射撃によって、遂に石田三成自身が除去。残る西軍ユニットは、島津義弘と豊久のみだが、加藤嘉明塙団右衛門、織田有楽含めて6ユニットがかりで豊久に包囲攻撃を仕掛けたが、これを除去できず。さすが化け物。島津義弘はさらに前進しているが、東軍はまだ十分に兵力があるので、包囲しているうちに、いずれ島津隊2ユニットも除去できるだろう。

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ということで、今回のソロプレイはここまでとしたが、いや実際、史実ってこんなもんだったんじゃないの?という感想。もちろん、小早川秀秋の裏切りや、それに対する家康の「問鉄砲」とか、物語としてはドラマチックで面白いんだけど、こうして開戦当初から小早川隊が参戦すればきっちり東軍が勝てるし(そして家康本隊はまったく戦わずに済んでいるし)、シミュレーションとしては納得できる。

ただ近年の会戦級ウォーゲームでは、フォーメーションの一定数が除去されると士気が落ちたり、フォーメーションごと潰走するような仕組みになっているが、30年以上昔に発売された本作では、そのような処理はされていない。そのため、どの部隊も、たとえ大名本人が除去されても、最後の一兵まで士気が落ちることなく戦い続けるので、それはそれでいかがなものかと。今回も最終盤で、すでに半壊した東軍の諸大名が『まだまだやるぜ』とばかりに島津隊の退路を塞ぎにかかったが、恐らく史実では、島津が突破した時点で各部隊すでに疲弊しており、阻止や追撃できるほどの意志力が残っていなかったのでは?とも思う。まあ、そのあたりも、自分個人でそのような自作ルールをあてがって「アドバンスド激闘関ヶ原」的なシステムを作るのも面白いし、それが可能なくらい、基本的には単純なシステムなので、改造のし甲斐もあるのではと思う。その改造ルールを、同じシステムの「幸村外伝」などに当てるのもまた一興と。