Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

GJ別冊「幸村外伝」Solo-Play AAR

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大坂夏の陣シリーズ、若江・八尾合戦、道明寺合戦に続いて、いよいよ最終決戦「幸村外伝」天王寺合戦をソロプレイしてみた。仮想シナリオもいくつか収録されているが、まずは素のシナリオを試してみることに。ちなみに地図盤には等高線が描かれているが、ルール上の影響は無く、単なる雰囲気作り。

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こちらは茶臼山に陣取る真田幸村隊(赤ユニット)と、毛利勝永を含む豊臣方(オレンジ)。どうせ死ぬなら派手に死ぬぜとばかりに士気盛んなユニットばかり。

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一方、こちらは徳川方。左翼には松平忠直隊(紫)の大部隊があり、最後方には徳川家康本隊(青)が控え、その前に三段に及ぶ前衛部隊が展開している。各ユニットの能力値は豊臣方より低く、あまり積極的に攻めたくない陣容ではある。

しかしルールとして、徳川方はある程度前進しなければならないし、勝利条件としても、茶臼山を占拠したり(真田隊以外の豊臣方ユニットの士気が1落ちる)、そのまま大坂城に向かって盤外突破することが求められる。徳川家康ユニットが除去されると豊臣方に200勝利ポイントが入る、というか、そうなったらもうゲーム終了でいいんじゃないかと。また徳川方は、東西から増援部隊が到着する可能性があるが、すべては登場判定に成功するかどうかに懸かっている。

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さて慶長二十年五月七日、第1イニング。豊臣・徳川両軍が前進を開始し、早くも先端が切られた。しかし徳川方第一梯団の秋田実季、浅野長重、本多忠朝真田信吉(真田信幸の子、幸村にとっては甥)は、いずれも頼りなく、真田幸村隊は徳川方の前線を突き崩し、突破転進を果たしている。また真田隊は、地図盤西端から来援するであろう、徳川方の大部隊(伊達政宗松平忠輝)を警戒して、やや東寄りに前進している。真田隊の側面には、後方から豊臣方の諸将が配置に就く予定。

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第2イニング。豊臣方の怒濤の突進によって、早くも徳川方第一梯団は壊滅状態に。すでに毛利・真田の先鋒部隊は、徳川方第二梯団に斬り込んでいる。一方、徳川方の左翼、松平忠直の大部隊は、真田隊を側面から押さえ込もうとし、それに対して豊臣方部隊も対応しつつある。

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第3イニング。すでに徳川方第二梯団(小笠原秀政、榊原康勝、保科正光、諏訪忠澄)も豊臣方に圧倒され、戦線は分断されている。松平忠直隊も、豊臣方部隊に邪魔され、なかなか真田隊の側面に近づけず、その突進を阻止できない。そしてこの時点でも、徳川方の増援部隊はまったく来ていない(判定に失敗)。

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第4イニング。ようやく地図盤東端に徳川方の増援、井伊直孝隊が到着。しかし実際の戦場まで到達するには、まだだいぶ時間がかかりそうだ。そして徳川方第二梯団も、すでに半壊状態。豊臣方の左翼部隊は、すでに徳川方の第三梯団にまで斬り込んでいる。

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第5イニング。ようやく地図盤東端に、細川忠興藤堂高虎隊が来援。井伊隊と併せて、これでようやく豊臣方左翼を押さえ込めそうだ。また西端にも、村上義明、松平忠明隊が到着しているが、所詮は小部隊。肝心の伊達政宗松平忠輝隊はいっこうに姿を見せる気配がない。

そうこうするうち、豊臣方は徳川方第三梯団に斬り込んだ。この第三梯団(酒井家次、仙石忠政、松平康長、松平忠良、内藤忠興)がまた頼りなく、後退する第二梯団に踏まれて連鎖後退の結果、除去されるなど、瞬く間に消耗していった。

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徳川家康本隊に向かって突進する、毛利・真田の両隊。あと第三梯団を踏み潰せば、いよいよ家康の首に片手がかかった状態となる。

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第6イニング。地図盤西端にようやく松平忠輝隊が来援。東端から来援した井伊直孝隊も交戦に入った。しかし家康の正面を守る第三梯団は、毛利・真田の両隊に歯が立たず、家康本隊のユニットを踏んづけて後退。豊臣方左翼は、すでに家康本隊側面へ回り込もうとする勢いである。

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第7イニング。ようやく伊達政宗隊が到着……と思ったら、先着した松平忠輝隊と同じ増援ゾーンに登場したたため大渋滞に。いや遅い、遅すぎますぞ伊達殿。

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それでも井伊直孝隊は、豊臣方左翼の動きを封じることに成功。藤堂高虎隊の騎馬ユニットも、毛利・真田隊の背後に回り、挟み撃ちにする作戦に。

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対する真田・毛利隊は『包囲される前に家康の首を獲ればいいのだろう』とばかりに突進。後方に迫った藤堂高虎隊に対しては、渡辺糺率いる騎馬隊がUターンし、真田・毛利隊の背後を守ることになった。

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第8イニング。先手・徳川方手番に、豊臣方の防御射撃が炸裂。徳川家康本隊の鉄砲衆がことごとく後退し、なんと徳川家康本隊の前に誰もいなくなってしまった。後に『大御所様の御座所を裸足で逃げ惑った者もいたほど』と記録される潰走である。

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第8イニング後手、豊臣方は一気に徳川家康本陣に迫り、家康隊の防御射撃にも耐え、家康本陣に最初の射撃を浴びせた。しかしまだ家康隊を討ち取れるほどの戦力は集中できていない。

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第9イニング。ようやく松平忠輝隊が家康本隊と合流する位置に。忠輝隊は、側面から真田隊に襲いかかったが、ダイス目が振るわず、呆気なく後退していく。井伊直孝隊もすでにユニットの半数を失い、戦線を支えるしかできない。一方、真田幸村隊は、猛烈な防御射撃によって徳川隊を後退させ、後手の手番で自由に動けるスペースを確保した。

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そして第9イニングの後手、豊臣方の手番で、福島正守と真田隊の鉄砲衆が家康本陣を攻撃。これがDE(防御側除去)となり、ソロプレイもここまでとした。

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こちらが最終的な盤面。とにかく徳川方の増援が来るのが遅すぎた。本来なら、ここまでの突破を許さぬよう、東西両側面から挟み撃ちにしたかったが、真田・毛利の前進に追いつけなかった。徳川方としては、手薄になった茶臼山を占領して豊臣方の士気を下げる手も使いたかったが、そちらも到底手が届かなかった。まあ今回、家康はあえて後退させなかったけど、ペナルティを被るつもりなら、さっさと逃げれば何とかなるかも。

しかし、久しぶりにシンプルな会戦級に触れてみたが、面倒な戦略やら作戦術なんぞ考えることもなく、ただ前進して殴り合うだけのウォーゲームもたまには良いなと。