クロノノーツゲームさんからGMTの新作「North Africa'41」を購入。デザイナーは毎度おなじみ、Mark Simonitch氏。すでに「France'40」「Stalingrad'42」「Ukraine'43」「Salerno'43」「Normandy'44」「Holland'44」「Ardennes'44」と、第二次欧州大戦の著名な戦場をほぼ似たようなシステムで発表している氏だが、今回の舞台は北アフリカ戦線。
Simonitch氏で北アフリカ戦と言えば、すでに「The Legend Begins(以下TLB)」(1994年/日本語版は2005年発売)というタイトルがあるが、ある意味、本作は30年ぶりのセルフリメイク作なのかもしれない。とは言え「TLB」は1940年9月～1942年12月までのリビア＝エジプト戦線での戦いを網羅していたが、今回の「North Africa'41」は、その名の通り1941年3月～12月までしか扱っていない。まあ、でも、アレでしょ。どうせ、その前後をカバーするエキスパンションキットも発売するんでしょ？(期待)
地図盤は、フルマップ２枚を縦につなげるスタイル。我が家の150cm×90cmのちゃぶ台からちょっとはみ出す形。まあ、「TLB」に比べてヘクス径が大きくなったから仕方ない。ちなみに１ヘクス＝８マイル＝約12.8km。「TLB」のヘクススケールはよくわからないが(ルールブックに書いてない)、本作の方がやや大ざっぱになっている。
こちらはドイツ軍ユニット。近年のSimonitch作と同様、攻撃力・防御力・移動力、スタック価、装甲値、防御力が赤ければエリート部隊、白ければ頼りない、というレーティングになっている。スケールは大隊～連隊。装甲大隊は３ステップあり。
こちらはイタリア軍。まあ、総じて頼りないのはいつものこと。しかし枢軸軍ユニットはこれだけで、非常にカウンター数が少ない。これでだだっ広いフルマップ２枚を戦うのか。まあ、戦場は縦長だし、正面戦線は短いから、これでも何とかなるわけだ(いや、ならない)
対するこちらイギリス連邦軍。時期が1941年限定ということで、登場する戦車もクルセイダー巡航戦車の初期型、マチルダ歩兵戦車(足が遅い)、M3ハニー軽戦車といった面々。写真では見切れているけどLRDG(長距離砂漠挺身隊)マーカーがあったり。
これは初めて見たけど、マーカーを置いておくトレイか。マップのどこかに印刷してしまうより、長大な戦場を行き来するのに合わせて自在に手元に置いておいた方が良い、という判断なのだろう。
ざっとルールを見たところ、戦闘後前進した後に戦闘可能とか、断固たる防御(リスクを負って現在地ヘクスを死守する試み)など、基本的には近年のSimonitch作品で見慣れたルールが並んでいる。もちろん北アフリカ戦らしく、地中海の海上輸送状況も反映され、わざわざ地図盤に、イタリア本土からマルタ島の傍を通ってベンガジやトリポリに部隊や補給物資を送り込むルート(とそれを妨害するあれこれ)が記されている。他にもロンメルルール(１ターンに１回だけ攻撃or断固たる防御のダイス振り直し可、あるいは移動力＋２)や、イベントルール(補給や空軍ポイントが増えたり減ったり)等も追加されている。
Simonitch氏のデザイナーズノートを読むと『もし誰かが私に「プレイ時間の80%は何も起きず、その地図盤には道路が１本しか無いウォーゲームをデザインしてくれ」と言われたら、私はそいつをおかしな奴だと思うだろう』と書いてあるが、それが端的に北アフリカ戦の様相を表している。包囲されたスターリングラード戦やアルンヘム戦、上陸堡で相争うノルマンディ戦に比べると、北アフリカは時間的にはのんびりしているし、緊張感も薄いのかもしれない。まあ、詳細なゲームだった「TLB」に比べればだいぶプレイしやすそうなので、個人的にものんびり取り組みたい。
