Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

「Salerno'43」Avalanche Solo-Play AAR

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先日購入した「Salerno'43」を早速ソロプレイ。まずは序盤の展開を味わってみようと、第1~第8ターンで終了する「Avalanche」作戦シナリオを選んだ。勝利条件としては、8ターン終了時に連合軍が都市や街などを支配し、8勝利ポイント(VP)を獲得できるかどうか。また連合軍の橋頭堡(BH)マーカーが除去されると、勝利ポイントを失うことになる。トーナメントルールでは、すでに連合軍が上陸した段階から始めることもできるが、今回は上陸時から、ルールブックのプレイ例を見ながら進めてみた。

まず第1ターン(1943年9月9日)、連合軍侵攻フェイズに、サレルノ海岸への上陸作戦「アヴァランチ」が発動される。各上陸スタックは、1~2ヘクス前進できるかどうかを判定し、唯一抵抗が激しかったイギリス軍上陸海岸「Uncle」ではステップロスする危険性もあったが、いずれも無傷で上陸している。

これに対して守備側ドイツ軍は、海岸付近に待機していた第16装甲師団に対して即時反撃を命令。早速、砲兵支援の下、アメリカ第36歩兵師団に対して攻撃を行い、見事にこれを撃退。アメリカ軍スタックは、断固とした防御判定にも失敗し、レッドビーチの橋頭堡まで後退した。第16装甲師団スタックは戦闘後前進しつつ、さらに突破戦闘も仕掛けたが、これにはしくじり、アメリカ軍橋頭堡を潰す機会を逸した。

アメリカ第36歩兵師団は、返す刀でドイツ第16装甲師団に反撃。後退を強いられた第16装甲師団は、やはり断固たる防御判定に失敗し、敵ZOCへの後退によって早くも1スタックを喪失した。結局、戦闘の収支はマイナスとなったようだ。一方、イギリス第56歩兵師団は、勝利条件都市Battipaglia(3012)を攻めたが、ドイツ軍は断固たる防御に成功し、市街戦にもつれ込んだ。またイギリス軍コマンド部隊は、Salerno(2707)を支配したが、ルール的な嫌がらせ(Salernoの2ヘクス以内にドイツ軍がいなければ追加補給ポイントがもらえる可能性がある)として、ドイツ軍がべったりと張り付いている。

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第2ターン(9月10日)は天候が雨となり、両軍とも補給が届かず、戦闘比も不利に1シフトされるということで、戦線の整理のみに。

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第3ターン(9月11日)、天候は曇天となり、ドイツ軍は各地で反撃に出た。米英軍の境界線に突っ込んだドイツ第16装甲師団、第29装甲擲弾兵師団は、イギリス軍を後退させ、後方の砲兵陣地に接したものの、突破戦闘はならず。北部では、増援のヘルマン・ゲーリング装甲師団が、峠に立て籠もるアメリカ軍レンジャー部隊を攻めたが、こちらも混乱のみと、もうひと押しが足りない。

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第4ターン(9月12日)、イギリス軍橋頭堡に迫ったドイツ軍は、援護にやってきたアメリカ軍スタックに撃退された。しかしアメリカ軍は、Altavilla Silentina(3116)を2ターンに渡って攻めたが、いずれも撃退されている。

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第5ターン(9月13日)、アメリカ軍はようやくAltavilla Silentinaを支配。ここで支配マーカーを置いてみると、勝利条件に達する8VPを獲得していた。このままあと3ターン、橋頭堡を失わずに現状を維持すれば、連合軍の勝利となる。またアメリカ軍には空挺増援として、第82師団ユニットが降下。数少ないエリートユニットなので、切り込み役として活躍して欲しいところ。

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第6ターン(9月14日)、ドイツ軍としては何とかVP地点を奪い返したいと、各地で反撃に出た。しかし北部でのヘルマン・ゲーリング装甲師団の攻撃は、いたずらに戦力を消耗しただけで終わり、米英軍境界線への攻撃は、混乱のみで終わった。

連合軍としても損耗が多く(特に戦車)、思い切った攻勢が出来る状態ではないが、何の気なしに行ったイギリス軍の攻撃が一気に峠を突破することになり、Nocera Inferiore(2005)まで占領することになった。しまった、気がつかなかったけど、そこはドイツ軍の秘孔だったのか。

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第7ターン(9月15日)、ドイツ軍は、米英軍境界線の平野部に戦力を集中。ありったけの砲兵支援を注ぎ込んでイギリス軍スタックを攻め、Battipagliaの奪還を目指したが、相手を後退させた程度。連合軍も増援を得て、徐々に戦線に厚みが増し、1スタックが後退した程度では戦線が破綻しなくなっている。

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返す刀でアメリカ軍も、中央の平野部に戦力を投入。ドイツ第29装甲擲弾兵師団スタックを除去し、がっしりと戦線を維持した。

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最終第8ターン(9月16日)、すでにドイツ軍は反撃の目が無いとみて、これにて投了。キャンペーンゲームでは、この先、22ターンまで続くので、ここから先どういう展開になるかは分からない。ただ今回、ドイツ軍は積極的に打って出る策に出たが、最初の攻撃は景気が良くても、突破戦闘まで成功した例は少なかった。逆に、突出して包囲され撃滅されるパターンが続いたので、22ターンまで続く長丁場だとすれば、もっとユニットを温存するような戦い方が良いのかもしれない。とは言え、ただ黙って守りに徹していると、連合軍はどんどん戦力を増してくるし、やはりある程度は反撃に出て、相手を消耗させた方が……いや、消耗戦ではドイツ軍が不利だよな、とか、いろいろ考えさせられた。

まあ、さすが御大シモニッチ。いつも通り、隙の無い堅実な作りの作戦級ゲームだなと。ある意味、良くも悪くも優等生的なので、それ以上の驚きは無いけれど、鉄板的に楽しめる、スタンダードな作戦級ゲームも手元にないとね。