Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

TSR/SPI 「Wellington's Victory : Battle of Waterloo June 18th 1815」

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TSRから1983年に発売された、ナポレオン戦争ワーテルロー会戦のビッグゲーム「Wellington's Victory」をE-bayで購入。手数料、送料込みで13000円ほど。発売当時のゲームショップの広告(タクテクス誌26号:1986年1月号)を確認すると、国内でも12000円で売られていたそうだから、まあ、その値段なら良いかなと。もちろん本作は元々、SPIから1976年に発売されていたものの、ボックス版はレアなため入手困難、フラットトレイ版ならE-bayにも複数出品されていたが、あまり状態は良くなかったり、カウンター切り離し済みだったので、だったらTSR版の未切り離しでいいかと。ちなみに2015年にはDecision Games版も発売されているが、そちらは見た目からしてあまり欲しくなかった……(^_^;)

で、なんでまた急に本作を買ったかと言えば、実は今年、New England Simulationsから、本作と同スケール、ほぼ同システムで1807年アイラウ戦を再現する「Winters Victory」なるゲームが発売されると。これがまたNESらしい美麗なコンポーネントだったので、ついついプレオーダーしてしまった。そのついでに、だったら本家「Wellington's Victory」もこの機会に手元に置いておくかと。こういう買い物をしていると本当に貯金ができないっていう……(^_^;)

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地図盤はフルマップ4枚。ゲームスケールとしては、1ヘクス=100ヤード(91.44メートル)なので、同じくナポレオン戦争の戦術級バタイユ・シリーズの1ヘクス=100メートルより若干細かくなっている。本作は1ターン=15分でもあるので、それもバタイユの1ターン=20分より若干細かい。まあ、当時はバタイユ・シリーズも発売されたばかりだったので、それに対抗する意味もあったのだろう。

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カウンターシートは5枚、カウンター総数2000個。こちらはフランス軍。各指揮官には指揮範囲と移動力が、歩兵と騎兵ユニットには戦闘力・戦闘効率・移動力が記され、砲兵ユニットは表裏で表記が異なり、操作員兵力、操作員の戦闘効率、砲兵力、砲兵中隊クラス等が記されている。TSR版は光沢のあるカウンターだが、やはりSPI版の渋いマットな印刷の方が好み(でも高額)。

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こちらはイギリス軍カウンター。戦闘ユニットは、歩兵が1ユニット=大隊、騎兵が1ユニット=連隊、砲兵が1ユニット=中隊(バッテリー)となっている。バタイユと同じく、戦力を喪失する度にマーカーを置いて表現するスタイル。

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こちらがオランダ軍(緑色)、国王直属ドイツ人部隊(エンジ色)、ブランズウィック公(灰色)、ハノーヴァー(朱色)のカウンター。SPI版ではもう少しハノーヴァー部隊の色味が抑えられているので見分けがつくが、TSR版はイギリス軍部隊とほとんど見分けがつかない。やはりSPI版カウンターが欲しくなる……(^_^;)

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こちらはプロシア軍カウンター。おっと、印刷がちょっとズレているので、数値が見切れているユニットもあるなあ。まあ結局、自宅では広げきれないビッグゲームなので、わざわざカウンターを切らずにVASSALでプレイすればいいし、何ならSPIのフラットレイ版、カウンター切り離し済みも買って、それをプレイ用にするという手もある。本当はSPI版を保存用にして、TSR版をプレイ用にしたいけど。

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こちらがショック戦闘=白兵戦解決表。兵力の戦闘比をパーセンテージで表し、双方の戦闘効率値による差を出してダイスを振る仕組み。一番上の300%が戦闘比3:1、一番下の50%が戦闘比1:2か。

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こちらは射撃結果表。射撃目標の隊形(縦隊やら散兵やら)によって目標クラスが異なり、それに対して射撃クラスか砲兵の射程と、射撃する兵力によって異なる列を用いてダイス判定する。

また本作でよく引き合いに出されるのが、両軍が異なる、非対称的な手順を踏んでターンを進めていく点。簡単に言うと、連合軍は移動フェイズの後に、フランス軍の白兵戦、両軍の砲兵射撃、両軍の射撃フェイズと続く。そのため連合軍は、フランス軍に対して距離を取って接近し、白兵戦にならない距離で射撃が行える。

一方フランス軍は移動フェイズの後、連合軍の白兵戦、プレイヤーターンが変わってフランス軍の指揮=騎兵突撃と続く。つまり連合軍に対して距離を取って接近し、白兵戦にならない距離で、騎兵突撃ゾーンに目標を捉えた上で突撃が行える。

まあ、これ実際にプレイしてみないとわからないが、ここまであからさまに両軍に差をつけているシステムも珍しく、慣れれば面白いと思う。

しっかし、同じフルマップ4枚のワーテルロー戦「La Bataille de Mont Saint Jean」を昨年買ったばかりで、それにまったく手を着けないまま「Wellington's Victory」を買ってしまったことは、ちと反省。まあ、本作のシステムも、せっかく「Winters Victory」という形で21世紀に蘇るようなので、あらためて双方のシステムを遊び比べてみたいと思う。