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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Next War Series】「Next War : Indo-Pakistan」Border War Solo-Play AAR Part.2

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引き続き「Next War : Indo-Pakistan」の第2ターン……の前に、前回の記事では触れなかったが、上級ルールでは大国の政治動向と、国連による調停も加味される。事前にダイスを振って決定したところ、中国は、政府も軍部も民意も穏健的となり、この印パ戦争に対しては「消極的」となった。一方、アメリカ政府は穏健的だが、軍部には強硬論(インドを支援すべし!)が渦巻き、民意は中道、結果として「中道的」となっている。またロシアでは政府も軍部も穏健的で、民意は中道となり、結果「消極的」となった。

さらに今回の紛争はパキスタンにより「拡大発生」的に始まったため、国連が敵対行為を勧告するかどうかという議決ダイスロール(10面体ダイス1個)に対し、中国とロシアは+1(停戦しろ)、アメリカは±0修正となり、10以上が出れば停戦決議が可決されたのだが、あいにくダイス目は最悪の0で、三大国の+1+1+0を足しても決議には至らなかった。ちなみに停戦決議が採択されたのに、プレイヤーがそれを拒否した場合、相手側に勝利点10が献上される。

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そんな国際情勢はともかく、第2ターンも天候は晴天。前ターンでパキスタン軍が主導権を維持できなかったため、このターンは競合(双方互角)ターンとなる。両軍とも増援の航空機を受け取ったが、整備が追いつかず、あまり制空戦闘にユニットを送り込めなかった。そのため制空戦闘に生き残った戦闘機は、パキスタン3:インド4と、インド空軍も航空優勢を得られるレベルではなかった。

それに続く特殊作戦フェイズでは、パキスタン軍特殊部隊がアムリッツア(Amritsar)にあるインド空軍基地を破壊し、カシミール地方を守るインド第16軍団司令部を襲いこれをステップロスさせた。対するインド軍も、引き続きパキスタン軍の弾道ミサイル狩りを行ったが、成果は得られず、特殊部隊マーカーもひとつ失うハメに。

ジャンムー攻略に失敗したパキスタン軍だったが、この第2ターンの移動/戦闘フェイズに、チェナブ(Chenab)川西岸の3つの街を攻撃。特にインド軍の飛行場と攻撃ヘリ部隊が駐屯するラジャウリ(Rajauri)に対しては、手元にひとつしかないF-16戦闘機を対地支援に投入。護衛にもなけなしのJF-17戦闘機(空戦値4*)を投入したが、インド空軍も負けじとSu-30(空戦値5*)で迎撃した。しかしこのSu-30が、2ラウンドとも迎撃に失敗。後手のJF-17に追い返される始末で、対地支援のF-16もインド軍の防空網を回避。結局、前ターンにステップロスで耐えた3個インド歩兵師団はいずれも除去され、チェナブ川西岸は瞬く間にパキスタン軍の支配下となった。

手番変わってインド軍の移動/戦闘フェイズ。インド第9軍団は印パ国境線を越え、ジャンムーに迫るパキスタン第30軍団スタックを攻撃。こちらも対地支援のミラージュ戦闘機に、護衛のSu-30を付け、迎撃に上がってきたF-7戦闘機を追い返し、無事に戦力比2シフトを与え、このスタックを除去した。パキスタン軍はチェナブ川西岸を奪ったものの、逆にインド軍に領内に攻め込まれ、都市であり空軍基地もあるシアールコート(Sialkot)に迫られてしまった……

……というところで第2ターン終了。競合ターンになると、いきなりターン手順が少なくなり、お互い一回ずつ移動/戦闘を行うだけという、あまり進捗のない展開に移行する仕組みになっている。これまさに今のウクライナ戦争的だなあ。いったん主導権を失ったら、膠着状態に陥って、派手な戦果は挙げにくくなるという……

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ちなみに地図盤南部でも両軍が前線で睨み合っているが、こちらは運河がくねくね走っていたり、「避難民」ルールのため道路が機能していなかったりで、戦力も集めにくいし、攻撃もしにくい感じ……

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さて第3ターンも天候は晴天。前ターンに3つの街を占拠したパキスタン軍が勝利点を獲得し、このターンに主導権を取り戻した。そこへ国連にて停戦決議が可決。先手パキスタンとしては「ああ良いですよ、今、停戦しても」と決議を受諾したが、後手のインドは「ふざけんな、こっちはこれから援軍を送り込むんだ。カシミールを奪われたままで停戦なんかできるか」とばかりに決議を拒否。パキスタン側にさらに勝利点を献上しつつ、戦争継続と相成った。

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怒りに燃えたインド空軍は、パキスタン特殊部隊にダメージを受けた空軍基地の修理を急ぎ、再び作戦機を大量投入。パキスタン空軍機を次々追い返して、戦力比3:1の航空優勢を得た。

しかし地上では、パキスタン軍の主導権移動/戦闘フェイズから。パキスタン軍としては、再びジャイムーを攻めたいところだが、シアールコートを奪われてはならんと、第6戦車師団を急行させ、インド軍戦車旅団を攻撃させた。これに対してインド軍もジャギュア攻撃機を対地支援に向かわせ、護衛のSu-30戦闘機が、迎撃に上がってきたJF-17を半殺しに。しかしジャギュアから対地支援を受けたものの、インド軍は1個旅団がステップロスして後退。一方のパキスタン第6戦車師団もステップロスと痛み分け。

インド軍のエリート反応移動、パキスタン軍の突破移動/戦闘(不利な2シフト)と続くが、ここでは戦闘無し。さらにインド軍の反応移動/戦闘フェイズ。インド軍は先ほどステップロスしたパキスタン軍第6戦車師団を3方向から攻撃し、見事これを除去。シアールコートに突入した(ただし市内の掃討にはまだ時間がかかる)。

続くパキスタン軍の基本移動/戦闘フェイズ。パキスタン軍も3方向からジャイムーに攻めかかり、対地支援にミラージュ戦闘機(戦力比シフト1)を送り込んだ。インド空軍もジャギュア攻撃機(戦力比シフト2)を対地支援に向かわせ、激しい空戦の末、両軍とも対地支援に成功。結果、ややインド軍にやや有利に作用し、双方1ステップロスという痛み分けに終わった。この後、インド軍の反応移動/戦闘フェイズが続いたが、戦線の整理に終始し、大きな動きはなかった……

……というあたりで今回のソロプレイは終了。インド軍としてはカシミール地方を奪い返したいところだが、あいにく地上部隊の本格的な増援が到着するのは第4ターン終了時以降(つまり第5ターン)なので、それまでは現地戦力で踏ん張らなくてはいけない。パキスタン軍としては、インド軍の増援が到着するまでにさらなる地歩を固め、国連の停戦決議に応じて、早めに戦争を終わらせたいという酷い戦略。

しかしたしかに、この国連停戦決議ルールが、簡略化されているものの、外野の国際政治を反映していて良い味を出している。まあ、ウクライナ戦争を見ても、軍事力にモノを言わせて領土を分捕り、戦争を続けるようなら非難するという、国際平和を逆手に取りながらの、ずうずうしい戦争方法がいまだにまかり通っているのがなんとも……