Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Next War Series】「Next War : Indo-Pakistan」Border War Solo-Play AAR Part.1

先日、久しぶりにGDW/Compass「The Third World War」に触れたので、次はその直系子孫とも言えるGMT「Next War」シリーズに着手。とは言え「Next War:Korea」は地図盤2枚と図体がデカくて登場するユニットも多く、「Next War:Taiwan」は海域戦や上陸戦闘もあって複雑そうだし、「Next War:Poland」はもうすぐ2版の更新ユニットが出るし……ということで、消去法的に「Naxt War:Indo-Pakistan」を選択。ご覧のように地図盤1枚に戦場が収まり、登場ユニット数も少ないので練習には良いかなと。

今回はパキスタン軍が先制する上級ルール・シナリオ「Border War」を配置してみた。これまでの印パ戦争を振り返っても、インドの方が国力も軍事力も大きいのに、パキスタンの方が攻撃的になっている。インドの場合、軍隊は多いけれど、それが広い国土に散らばっているため、いざパキスタンに攻め込もうとして国境に戦力を集めるだけでも時間がかかるし、それが事前に露見してしまうと。対するパキスタンは、インド軍の増援が到着する前に、ある程度の戦果を得たり、インド側の士気を挫いてしまえばいい、という判断から行動するらしい。

シナリオの勝利得点は、相手側から都市や街を奪うと得られるが、上写真の赤い点線より北側(上)にある都市や街……つまり印パ両国の係争地であるカシミール地方では、通常の2倍の勝利点が得られる。当然、このシナリオでも、パキスタン軍の主攻勢軸はカシミール方面となる。

まず第1ターン。天候は晴天。主導権プレイヤーであるパキスタン軍は空軍力が劣勢なので、インド空軍戦力をどうにかしたい。パキスタン軍は、第1特殊作戦フェイズにおいて、インド軍の空軍基地と弾道ミサイルに打撃を与えるべく、特殊部隊マーカーを2個ずつ送り込んだ。あいにく空軍基地への攻撃は失敗したが、弾道ミサイルは2ポイント減少させ、送り込んだ特殊部隊も4枚とも無事生還した。

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続いて航空優勢フェイズ。パキスタン軍としては、できれば特殊部隊に頑張ってもらって、インド空軍の稼働機を減らしたかったが、ノーダメージでは致し方ない。パキスタン空軍は、全作戦機9ユニットを上げて制空戦闘に挑んだ。これに対してインド空軍も、対地支援用のジャギュア攻撃機×2以外の全戦力11ユニットを投入し、AWACS機の支援も受けて、優先的に航空戦闘を組み合わせた。印パ上空にて、アメリカ製F16、ロシア製Su-30、フランス製ミラージュ、中国製J10が乱れ飛ぶ、お前はどこのアスラン内戦(エリア88)かと言いたくなるような戦況が現出した。

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結果、インド空軍が生存7ユニット、パキスタン空軍が生存3ユニット、ユニット比2:1で、インド空軍が航空優勢を得た。両軍ともまるまる1ユニットを撃墜されるような損害は受けなかったが、パキスタン空軍はJF-17、F-7、ミラージュ戦闘機各1がステップロス、インド空軍もMig-21戦闘機×2がステップロスしている。また航空優勢を得たインド空軍は、自軍航空基地から15ヘクス以内に対して航空偵察が行えるようになった。

続く第2特殊作戦フェイズ、今度はインド軍が特殊部隊マーカー4枚をパキスタン軍の弾道ミサイル破壊に投入したが、これが4枚とも失敗し、うち1枚は生還できず。対するパキスタン軍も、再びインド空軍基地に特殊部隊2枚を送り込み、1打撃を与えたが、2枚とも生還はできなかった。

さらに打撃フェイズ。パキスタン軍は、弾道ミサイル(非核兵器)15ポイントのうち2ポイントを使って、インド軍の空軍基地2カ所を破壊。さらに3ポイントを使って、インド側の弾道ミサイルポイントを破壊せんとしたが、これはいずれも失敗した。インド軍は弾道ミサイルポイントが3しかなかったが、そのうち2ポイントを、逆にパキスタン軍の弾道ミサイル狩りに用い、そのポイントを1減少させた……と、ここまでが通常の移動/戦闘フェイズの前段階。いやいや、現代戦はお膳立てがいろいろ要るものだ……

ここでようやくパキスタン軍の主導権側移動/戦闘フェイズ。予定通りパキスタン軍はカシミール周辺で印パ国境を越えたものの、険しい地形に阻まれてインド軍が守る街まで到達できていない。唯一、パキスタン第30軍団がジャンムー(Jammu)手前の歩哨所を攻撃。インド軍もAH64攻撃ヘリ部隊を防御支援に向かわせたが、歩哨所はあえなく撃破され、パキスタン軍はジャンムーに迫った。

続いてインド軍のエリート反応移動フェイズ。戦闘効率(いわゆる練度、精鋭度)6以上のユニットだけが移動できるため、一部の戦車旅団が前線に向かったが、選択ルール16.4「避難民」を採択したため、両国の道路網は一時的に通行性が低下し、インド軍もなかなか前線にたどり着けずにいる。

さらにパキスタン軍の突破/戦闘フェイズでは、敵ZOCにいないパキスタン軍ユニットが前進しインド軍に接敵したが、それに続く突破戦闘は戦闘比が2不利になるため、攻撃はせず。

対するインド軍の反応移動/戦闘フェイズでも、インド第9軍団がジャンムー救出に駆けつけたが、まだ戦力が整わず攻撃を見送りと、じりじりとした戦況が続く。

しかしパキスタン軍も、このターン中に勝利点を獲得しないと主導権が維持できないため、続く基本移動/戦闘フェイズでインド軍戦線4カ所を攻撃した。これに対してインド軍は、温存しておいたジャギュア攻撃機×2を対地支援に投入。うち1ユニットは、パキスタン軍の探知網を突破し、残る1ユニットはSAMの迎撃を受けたもののこれを回避した。結果、西側国境の歩哨所は突破されたものの、それ以外の3カ所では、インド軍がステップロスで耐え、パキスタン軍は前進できなかった。

手番変わってインド軍の移動/戦闘フェイズ。インド軍3個戦車旅団が、ジャンムーに迫ったパキスタン第15歩兵師団を攻撃し、これを除去。1個旅団はステップロスしたものの、ジャンムー攻囲の一角を崩した形となった……

……というところで第1ターン終了。さすがご先祖様システムである「The Third World War」同様、1ターンが長い長い。まあ、それだけ丁寧にプロセスを見せてくれるわけだし、それを見たいわけだから良いのだけれど。

ちなみに本作の背景については「新しい戦争とは何か」の第15章「インド・パキスタンの戦争方法」で、簡便にまとめられているので是非是非。