Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Battalion Combat Series】「Arracourt」Saga of The Panzer Brigades Solo-Play AAR Part.1

先日購入したBCS(Battalion Combat Series)の新作「Arracourt」を初ソロプレイ。まずは、キャンペーン序盤の5ターン(5日間)だけを扱うシナリオ「Saga of  The Panzer Brigades」を試してみることにした。

戦闘状況としては、進撃中のアメリカ第4機甲師団に対し、ドイツ軍が新編の2個装甲旅団と、第21装甲師団(と言ってもかなり頼りない)を用いて反撃を行うもの。キャンペーンゲームでは、2個装甲旅団をどこで投入するかは自由だが、ここは史実通り、第1ターン=1944年9月18日の段階で、第111装甲旅団をリュネーヴィルへ、第113装甲旅団をアラクールへ向かわせることにした。※史実のアラクール戦については「ラスト・オブ・カンプフグルッペV」をご参考にどうぞ。

第1(9月18日)ターンの天候は霧。視界は1ヘクスのみに限定されるため、長射程の戦車ユニットでも隣接して射撃戦を行わねばならない。先手ドイツ軍は、第111装甲旅団から活性化。早速、リュネーヴィルへ向けて南下したが、その途中にはアメリカ第2騎兵グループの機甲騎兵ユニットがスクリーンを張っており、各ヘクス+1移動力が課されている。それでも移動モードのパンター戦車大隊が、第2騎兵グループ司令部に突入し、これを後退させた。第2活性化には至らず、ここでストップ。

手番変わって、アメリカ第2騎兵グループは、司令部が後退したため、前線部隊が指揮範囲外になってしまい、そそくさと撤収。それ以外のユニットは、リュネーヴィルに入り、ドイツ軍の攻撃を(そして援軍の到着を)待った。

一方、ドイツ第113装甲旅団は、霧の中、パンター戦車装備の第2113装甲大隊を先鋒として、アメリカ第4機甲師団A戦闘団(CCA)の第37機甲大隊に接敵。火力+練度は互角だったものの、見事これを撃退し、3ヘクス後退させ、移動モードに強制転換させた。これに続いてIV号戦車装備のI/130装甲大隊が移動モードで攻め寄せ、第2活性化での連続射撃によって、3ステップあった第37機甲大隊を全滅させた。

さらに西からドイツ第21装甲師団もリュネーヴィルへ接近。しかしリュネーヴィルを攻めると言うよりも、あくまでも次ターンに地図盤南端から登場する、アメリカ軍の増援に対する備え。疲労度2スタートだし(前週のドンペールの戦いでお疲れ気味)。

第2(9月19日)ターン。天候は雨、視界は2ヘクス。連合軍に航空支援無し。先手を取ったドイツ軍は、第111装甲旅団から活性化。第2活性化にも成功し、2個装甲大隊を用いて邪魔なアメリカ軍機甲騎兵ユニットを射撃戦で潰し、リュネーヴィルに立て籠もっていた軽戦車中隊も除去。一気にリュネーヴイルの中心部に突入した。そのまま街の南部に陣取るアメリカ軍機甲歩兵中隊も潰したいところだが、支援砲兵のいない残念な編成なので、複数の歩兵大隊で攻めかかる準備。

しかし返す刀で第4機甲師団R戦闘団が活性化。リュネーヴィルに入ったパンター戦車大隊に砲撃を行ったところ、滅多に当たらない(ダイス目6のみ命中)はずなのに2ヒットし、さらに第35機甲大隊が相討ち上等で射撃戦を挑み、見事パンター大隊を全滅させた。さらに第2活性化で、第21装甲師団装甲大隊との停止射撃戦にも勝利し、リュネーヴィル中心部に突入し、第111装甲旅団の1ステップしかない支援のIII号突撃砲を除去と大暴れ。街の外にいた歩兵大隊には砲撃を浴びせてこれを半壊。第111装甲旅団は、早くもその装甲戦力を半減させられてしまった。

一方、第113装甲旅団は、アラクールの手前に陣取るアメリカ第53機甲歩兵大隊を攻撃。本来なら事前に砲撃を浴びせたいところだが、こちらも支援砲兵がいない残念編成なので、あらかじめパンター大隊に直接射撃(Attack by Fire)してもらって、2個歩兵大隊で攻撃したものの、結果は最悪の攻撃側2ステップロス。第2活性化にもしくじり、このターンはここまで。この第113装甲旅団の攻撃失敗を見て、対するアメリカ第4機甲師団A戦闘団、B戦闘団は、余裕の回復アクション(何も行動せず、疲労度を1回復)。

また、このターン増援のアメリカ第6機甲師団B戦闘団、第106騎兵グループ、第79歩兵師団も登場。第79歩兵師団は疲労度2だった割に、二度の活性化に成功し、早くも対岸のドイツ第21装甲師団の歩兵大隊を攻めている……というあたりで第2ターンまで終了。今日はここまで。

【Grand Tactical Series】「Race for Bastogne」

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数年前からプレオーダーしていた、WWII作戦戦術級シリーズGTS(Grand Tactical Series)の新作「Race for Bastogne」が到着。2017年に発売された「Operation Mercury」以来、5年ぶり6作目である。メインデザイナーだったAdam Starkwether氏がMMPと別れて以来、シリーズの開発ペースは落ちたが、こうして無事に発売されて一安心。ここ数年は、Starkwether氏がCompass Gamesから発売している、GTSの改変版とも言える、CSS(Company Scale System)に触れてきたが、あまりピンと来ず、もうパチモンのCSSはいいから、本物のGTSをくれ!という感じだった。

そんな今回の新作は、タイトル通り、1944年12月のバルジの戦いの焦点のひとつ、クレルボーからバストーニュへというドイツ軍の進撃と、アメリカ軍による防御、後退、籠城戦を扱っている。期間としては、ドイツ軍が攻勢を開始した12月16日から、12月25日までで、パットン第3軍によるバストーニュ解囲までは扱っていない。

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ゲームスケールは、今までのGTS作品と同じく、1ヘクス=500m、1ターン=2時間。ただしヨーロッパの冬ということで、日中ターンが5ターンしかない(15時ターンの次は夜間ターン)。同じく9月のマーケット・ガーデン作戦を扱った「The Devil's Cauldron/Where Eagles Dare」は、1日の日中ターンが7ターンもあった(19時ターンまで日中)ので、1日のうちにやれることがだいぶ違いそうだ。

地図盤は、フルマップ2枚を縦に連結してクレルボー~バストーニュを描き、南のウィルツだけ小さな追加地図盤になっている。サブタイトルが「Seven Roads to Hell(地獄への7本の道)」なので、道路網を見てみると、クレルボーからバストーニュ手前のロングヴィリーまでは、一級道路が1本しかなく、ドイツ軍としてはこれを打通しないと面倒なことになりそうだ。

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クレルボーと言えば「TCS:Bloody 110」の舞台。もちろん作戦序盤の、クレルボーを守るアメリカ第28歩兵師団の戦闘もシナリオ化されている。

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カウンターシートは8枚、カウンター総数1408個。とは言ってもGTSの場合、マーカー類が多いし、実際、半分以上はマーカーである。

戦闘ユニットは、旧来のGTS作品同様、1ユニット=中隊。こちらはバストーニュを死守したアメリカ第101空挺師団だが、マーケット・ガーデン作戦時よりも部隊練度(Troop Quality)は落ちている。かつて最高の部隊練度を誇った「バンド・オブ・ブラザーズ」こと第506空挺連隊第2大隊E中隊も、練度7に落ちている(それでも優秀)(すでにウィンターズ中隊長はいない)(と思ったら、史実イベント「Nuts!」が発動すると部隊練度が上がることが判明(^_^;)

またグライダー中隊をよく見ると「GTS:The Greatest Day」から導入された、軽迫撃砲火力(師団活性化の第1アクションでも射撃可能)になっている。

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左は、史実ではボコボコにやられたアメリカ第9機甲師団の皆さん。右は、それをボコボコにやっつけたドイツ第2装甲師団の皆さん。

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そして第2装甲師団と共にバストーニュへ向かった、ドイツ教導装甲師団の面々。ずらずらと並ぶパンター戦車ユニットを見れば、なんでこれでバストーニュを奪えなかったのよ、と言いたくなるくらい頼もしい。そして作戦時のパンター戦車には夜間暗視能力があったとする選択ルールもある。

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さらにドイツ第26国民擲弾兵師団、第5降下猟兵師団の皆さん。ヘッツアー駆逐戦車はGTSでは初か。

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こちらは、各師団ディスプレイ。指揮値(Command Rating)と派遣値(Dispatch Rating)は可変式らしく、複数の数値が記されている。

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こちらは盤外移動ディスプレイ。特別ルールは、地雷、後衛(Rearguards)、跨乗(Piggyback)モード、イベント等があるが、今までのGTS作品で既出のルールばかりなので、特に目新しいものは少ない。

シナリオは7本。ミニ地図盤のみを使用する練習シナリオから、地図盤1枚のみのシナリオ、フルキャンペーンと、いろいろ揃っている。とりあえず近いうちに特別ルールを訳して、実プレイまでこぎ着けたい。

Avalon Hill 「ナポレオンの黄昏 The Struggle of Nations」

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昨日は「アジアン・フリート」を古書店サイトで購入したと書いたが、実はその古書店、昨年SPI/HJ「第二次欧州大戦」を購入したお店だった。そのお店に昨年初めて行った際、店頭にアバロンヒルの「ナポレオンの黄昏 The Struggle of Nations」(日本語訳付き・未切り離し)もあって、ああ、昔持ってたけど処分しちゃったんだよなあ、またちょっと触れてみたいけど、今さらなあ……などと思いつつその時はスルーしてしまった。しかし今回「アジアン・フリート」を注文するついでに在庫をチェックしてみたら、まだ売れ残っていたので、だったら……とばかりに注文してしまった。ナポレオン戦争モノは、戦術級のバタイユ・シリーズだけにしておけばいいものを、これでまた戦役級、作戦級シリーズも揃えたくなってしまったじゃないか(自業自得)

実はこの「ナポレオンの黄昏」、高校生の頃、自分が初めて購入したナポレオン戦争のウォーゲームだった。いや正確には、これより前にタクテクス誌の付録としてSPI「Napoleon at Waterloo」にも触れてはいたけれど、自覚的に初めて買ったゲームという意味。当時はもちろん第二次大戦や、1980年代の現代戦ゲームに夢中で、ナポレオン戦争ゲームは大人向けのマニアックなモノ、という雰囲気を感じていた。それでもウォーゲーム経験も4~5年経て、ナマイキな高校生になっていたので『俺もそろそろナポレオンだな(ニヤリ)』とばかりに買ってみたものの、あまりの難解さと、プレイのしにくさ(後述)に呆然とした思い出がある。結局、ほとんどプレイしないまま処分してしまったが、いまだに惹かれるものがあったので、また手を出してみたと。

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本作は、OSG社からいまだにナポレオン戦争ゲームを出版し続けている、Kevin Zucker氏による戦役級作品。そのテーマは、1813年4月~6月(春季戦役)、8月~10月(秋季戦役)にわたって現在のドイツ東部で展開された、いわゆる解放戦争。前年、ロシアで敗退したフランス軍を、春季戦役でロシア=プロイセン連合軍が追撃するも、リュッツェン、バウツェン会戦でフランス軍を打ち破れず、いったん休戦している間に反仏連合軍にオーストリアスウェーデンも加わり、秋季戦役ではドレスデン会戦を経て、最終決戦ライプツィヒ会戦で、遂にフランス軍が敗走するという流れ。

その戦場全体が、ハードボード製の地図盤1.5枚に収められているが、まずこの地図盤が本作最大のクセモノにして難点。

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とにかくヘクス径が小さい! 同梱されたダイスと見比べてみるとこんな感じ。もちろん広大な1813年戦役全体をカバーしようと思ったら、通常サイズのヘクス地図盤だと、フルマップ3枚以上にはなってしまうので、苦肉の策なのだろうが、それにしたってヒドいじゃないか。いや拡大さえすれば、特に嫌みの無いシンプルな地図盤なんだけど。

ちなみに自分は高校生の時、初めてこれを買った日に地図盤を取り出し、広げようと思ったら、こんな折り方の地図盤は初めてだったため、バリッ!とつなぎ目を破ってしまった。買ったその日にパーツをぶっ壊すなんて、後にも先にもその一回だけ。その衝撃も、本作から遠ざかった一因だったように思う……

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本作は「Napoleon at bay」等の、いわゆるCampaign of Napoleonシリーズに連なる作品なので、戦闘部隊ユニットは管理トラック上に置かれ、それを率いる指揮官ユニットだけが地図盤上を動き回るシステムになっている。で、こちらがその指揮官ユニットなのだが、ヘクス径が小さい以上、当然こちらのユニットも小さくなっている。高校生当時の自分から見ても指揮官名が判別しづらく、もはや老眼も入ってきた50代には厳しすぎる。一応、本作の指揮官ユニットは、表面が横隊(戦闘隊形)、裏面が縦隊(移動隊形)になっていて、それはそれで機能的なのだが、もっと大きいユニットでやってほしかったし、2ヘクスにまたがるユニットになっているため、その分、移動・戦闘ルールもややこしくなっている。

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こちらは戦闘ユニット。ごく普通サイズなのがありがたい。

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と、ここまで散々文句をつけてきたが、指揮官たちの肖像画が描かれた編成表は、雰囲気たっぷり。特に、暗い背景に溶け込んでいるナポレオンI世の姿は、いかにもロシアから敗走し、まさにその黄昏期を迎えているかに見えた。

ちなみに能力値的には、いまだにナポレオン(4★104)は衰えていないが、ネイ(363)もミュラ(463)も戦闘ボーナス無いのね。総合的に頼りになりそうなのは、マクドナルド(4★63)、レイニエ(4★62)、モルティエとベルトラン(3★62)あたりか。

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こちらは反仏連合軍の編成表。ブリュッヒャーは春季戦役では(4★83)だが、秋季戦役では(4★104)とナポレオンと互角。ウィトゲンシュタイン(253)は頼りなく、やはり秋季戦役からの、シュワルツェンベルグ(2★64)、バルクライ・ド・トーリー(3★62)の登場を待ちたい。

f:id:crystal0207:20220423160733j:imageルール的には、Campaign of Napoleonの流れをくむため、補給源から策源へ、さらに戦闘部隊へという連絡線=伝令線を維持しつつ、軍管理ポイントによって各指揮官に命令を下して移動させ、移動距離によって戦力が損耗していくというシステム。まあ、たしかにナポレオン戦争を忠実にシミュレートはしているが、2020年代の今では、もっとスマートな形で、そういった現象を再現できるシステムはあるかなと。

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移動距離によって損耗率が変わるため、どこからどこまで移動するかは重要なのだが、あいにく地図盤が小さいため、その距離を数えるのも面倒ではある。一応、シナリオ・フォルダーの巻末には、主要な都市・街の間の距離が算出されている。まあ、このあたりももっと簡便に表現できるのだろうが、あえて図上演習的に、ちまちまと計算して、ああでもない、こうでもないと頭をヒネるのが楽しい人もいるはず。

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シナリオは、春季戦役シナリオ、ドレスデン会戦シナリオ(8月開始)、ライプツィヒ会戦シナリオ(9月末開始)の3本があり、春季から始めるキャンペーン、8月から始めるキャンペーンもあり。一応、入門用として春季シナリオが推薦されているが、自分も高校生の時、挑戦しようとして挫折してしまった。1980年代当時のタクテクス誌やシミュレイター誌を見ても、本作のリプレイは見当たらなかったので、やはり実プレイのハードルが高すぎるゲームだったのだろう。作品としては不成功だったのだろうが、とは言え、システムとグラフィックが妙に魅力的なので、やはり手元に置いておくかと。

一応、最近OSGからも「The Campaign of Napoleon 5x」として、スケールを変えた形で、より規模のデカいロシア戦役を模した「Highway to the Kremlin」の第2版が発売されたし、「Napoleon at Bay」のアップデート・キットも発売されているし、一応このシリーズもまだ継続して発表していくようだ。だったら本作も「3x」とか「2x」的にスケールを変えてリメイクしてほしいのだが、さて……

「Salerno'43」Avalanche Solo-Play AAR

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先日購入した「Salerno'43」を早速ソロプレイ。まずは序盤の展開を味わってみようと、第1~第8ターンで終了する「Avalanche」作戦シナリオを選んだ。勝利条件としては、8ターン終了時に連合軍が都市や街などを支配し、8勝利ポイント(VP)を獲得できるかどうか。また連合軍の橋頭堡(BH)マーカーが除去されると、勝利ポイントを失うことになる。トーナメントルールでは、すでに連合軍が上陸した段階から始めることもできるが、今回は上陸時から、ルールブックのプレイ例を見ながら進めてみた。

まず第1ターン(1943年9月9日)、連合軍侵攻フェイズに、サレルノ海岸への上陸作戦「アヴァランチ」が発動される。各上陸スタックは、1~2ヘクス前進できるかどうかを判定し、唯一抵抗が激しかったイギリス軍上陸海岸「Uncle」ではステップロスする危険性もあったが、いずれも無傷で上陸している。

これに対して守備側ドイツ軍は、海岸付近に待機していた第16装甲師団に対して即時反撃を命令。早速、砲兵支援の下、アメリカ第36歩兵師団に対して攻撃を行い、見事にこれを撃退。アメリカ軍スタックは、断固とした防御判定にも失敗し、レッドビーチの橋頭堡まで後退した。第16装甲師団スタックは戦闘後前進しつつ、さらに突破戦闘も仕掛けたが、これにはしくじり、アメリカ軍橋頭堡を潰す機会を逸した。

アメリカ第36歩兵師団は、返す刀でドイツ第16装甲師団に反撃。後退を強いられた第16装甲師団は、やはり断固たる防御判定に失敗し、敵ZOCへの後退によって早くも1スタックを喪失した。結局、戦闘の収支はマイナスとなったようだ。一方、イギリス第56歩兵師団は、勝利条件都市Battipaglia(3012)を攻めたが、ドイツ軍は断固たる防御に成功し、市街戦にもつれ込んだ。またイギリス軍コマンド部隊は、Salerno(2707)を支配したが、ルール的な嫌がらせ(Salernoの2ヘクス以内にドイツ軍がいなければ追加補給ポイントがもらえる可能性がある)として、ドイツ軍がべったりと張り付いている。

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第2ターン(9月10日)は天候が雨となり、両軍とも補給が届かず、戦闘比も不利に1シフトされるということで、戦線の整理のみに。

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第3ターン(9月11日)、天候は曇天となり、ドイツ軍は各地で反撃に出た。米英軍の境界線に突っ込んだドイツ第16装甲師団、第29装甲擲弾兵師団は、イギリス軍を後退させ、後方の砲兵陣地に接したものの、突破戦闘はならず。北部では、増援のヘルマン・ゲーリング装甲師団が、峠に立て籠もるアメリカ軍レンジャー部隊を攻めたが、こちらも混乱のみと、もうひと押しが足りない。

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第4ターン(9月12日)、イギリス軍橋頭堡に迫ったドイツ軍は、援護にやってきたアメリカ軍スタックに撃退された。しかしアメリカ軍は、Altavilla Silentina(3116)を2ターンに渡って攻めたが、いずれも撃退されている。

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第5ターン(9月13日)、アメリカ軍はようやくAltavilla Silentinaを支配。ここで支配マーカーを置いてみると、勝利条件に達する8VPを獲得していた。このままあと3ターン、橋頭堡を失わずに現状を維持すれば、連合軍の勝利となる。またアメリカ軍には空挺増援として、第82師団ユニットが降下。数少ないエリートユニットなので、切り込み役として活躍して欲しいところ。

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第6ターン(9月14日)、ドイツ軍としては何とかVP地点を奪い返したいと、各地で反撃に出た。しかし北部でのヘルマン・ゲーリング装甲師団の攻撃は、いたずらに戦力を消耗しただけで終わり、米英軍境界線への攻撃は、混乱のみで終わった。

連合軍としても損耗が多く(特に戦車)、思い切った攻勢が出来る状態ではないが、何の気なしに行ったイギリス軍の攻撃が一気に峠を突破することになり、Nocera Inferiore(2005)まで占領することになった。しまった、気がつかなかったけど、そこはドイツ軍の秘孔だったのか。

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第7ターン(9月15日)、ドイツ軍は、米英軍境界線の平野部に戦力を集中。ありったけの砲兵支援を注ぎ込んでイギリス軍スタックを攻め、Battipagliaの奪還を目指したが、相手を後退させた程度。連合軍も増援を得て、徐々に戦線に厚みが増し、1スタックが後退した程度では戦線が破綻しなくなっている。

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返す刀でアメリカ軍も、中央の平野部に戦力を投入。ドイツ第29装甲擲弾兵師団スタックを除去し、がっしりと戦線を維持した。

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最終第8ターン(9月16日)、すでにドイツ軍は反撃の目が無いとみて、これにて投了。キャンペーンゲームでは、この先、22ターンまで続くので、ここから先どういう展開になるかは分からない。ただ今回、ドイツ軍は積極的に打って出る策に出たが、最初の攻撃は景気が良くても、突破戦闘まで成功した例は少なかった。逆に、突出して包囲され撃滅されるパターンが続いたので、22ターンまで続く長丁場だとすれば、もっとユニットを温存するような戦い方が良いのかもしれない。とは言え、ただ黙って守りに徹していると、連合軍はどんどん戦力を増してくるし、やはりある程度は反撃に出て、相手を消耗させた方が……いや、消耗戦ではドイツ軍が不利だよな、とか、いろいろ考えさせられた。

まあ、さすが御大シモニッチ。いつも通り、隙の無い堅実な作りの作戦級ゲームだなと。ある意味、良くも悪くも優等生的なので、それ以上の驚きは無いけれど、鉄板的に楽しめる、スタンダードな作戦級ゲームも手元にないとね。

【Advanced Squad Leader】「Winter Offensive Bonus Pack #13」「ASL Pocket Charts」

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ASL(Advanced Squad Leader)の新製品「Winter Offensive Bonus Pack #13」が到着。今回は、デラックスASL用の地図盤3枚と、同じくデラックスASL用のシナリオ4本(サイパン硫黄島朝鮮戦争)入り。地図盤は、2枚つなげて高地になるが、これもデラックス版だから大きく見えるだけで、スタンダード版なら、ちょっとした小山という感じか。

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さらに「ASL Pocket Charts」も購入。ASLの基本的なチャートがリング式にまとめられている。

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みんな大好き「IIFT」(1火力刻みの射撃解決表)。

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詳細なターン・シークエンスも。他にも、北アフリカ戦線、太平洋戦線、朝鮮戦争用のチャートも用意されているので便利。日本語だったらもっと便利(^_^;)

【La Bataille Series】「La Bataille de Dresde 1813」

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ナポレオン戦争の戦術級シリーズ「La Bataille de Dresde」(2015年発売)を購入。本作は、1813 年8月のドレスデン会戦を扱い、サブタイトルに「The Battle of Five Crowns」とあるが、これはナポレオンI世(フランス)、アウグストI世(ザクセン)、アレクサンドルI世(ロシア)、ウィルヘルムIII世(プロシア)、フランツI世(オーストリア)という5人の皇帝・国王が関与していたため。史実としては、対仏連合軍が兵力で圧倒していたものの、その攻撃は撃退され、暴風雨の中、ミュラ率いるフランス軍騎兵部隊がオーストリア軍に反撃し、大打撃を与えた……という流れ。

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地図盤はフルマップ4枚。

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ドレスデン中央には星形要塞が位置し、その中にはツヴィンガー宮殿も描かれている。外縁部には大庭園(グローサー・ガルテン)も広がり、美しいジオラマ的な地図になっている。New England Simulationsから発売されていた「The Battle for Dresden 1813」の地図盤も美麗だったが、詳細さという意味では、さすがCoAバタイユだなと。f:id:crystal0207:20220418180156j:image

もちろん近年のCoA バタイユ作品として、軍服を模したユニット・カウンターも圧巻。

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フルカラーの編成表は3枚。それぞれ5人の皇帝陛下、国王陛下のご尊顔が描かれている。

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さて懸案のルールブックだが、せっかく共用の30周年版ルール(Regulation of the Year XXX)があるのに、本作ではわざわざ、1990年代に発表されたバタイユ第3版ルールに、マリー・ルイーズの指揮ルール(チットを引かれた側が一斉に活性化する)を合体させた、ドレスデン専用基本ルール(後に第5版と呼ばれる)が添付されている。どうやらドレスデン会戦のような大規模戦闘では、軍団・師団毎に活性化させる30周年版ルールではプレイヤーの待ち時間が長くなると懸念され、全軍一斉に活性化させるルールにしたかったらしい。先日購入した「La Bataille de Ligny」にも、この第5版ルールが添付されている。

http://labataille.us/titles/dresde.shtml

一応、バタイユ公式サイトでは、本作用の30周年版/マリー・ルイーズ版ルールも公開されているので、そちらのルールでもプレイはできる。自分もプレイするなら30周年版だと思っているが、なにせ大会戦なので、着手できるんだかどうだか。一応、マップ1~2枚だけを使用するシナリオも用意されているので、それならなんとかなるかも。ミュラの騎兵突撃シナリオも、地図盤2枚シナリオとして用意されているので、できればいつか触れてみたい。

【La Bataille Series】Clash of Arms「La Bataille de Ligny (2nd Edition)」

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「La Bataille des Quatre Bras」と一緒に「La Bataille de Ligny」第2版も購入。こちらも「Quatre Bras」と同日に行われた、ワーテルロー会戦の前哨戦である、リニー会戦を扱ったバタイユ・シリーズの一作。初版は1991年に発売され、2016年に第2版が発売。現在企画中の「La Bataille de Mont saint Jean」第2版発売に向けて、ゆっくりと、しかし確実にシリーズの地固めが進んでいるようにも感じる。

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地図盤は4枚。「Quatre Bras」の地図盤と繋がるようになっているが、どちらかの「枠」をカットしないとヘクスは重ねられない。しかしMarshal Enterprises版のバタイユの地図盤は簡素なグラフィックだが、CoA版はシンプルな戦場を一応、見栄え良く表現しようとしていて、こちらの方が好み。

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カウンターシートは4.5枚。もちろんCoA版バタイユ・シリーズとして、フランス軍プロシア軍の軍服を模した美麗なユニットになっている。特にフランス皇帝親衛隊のダークブルー+金色のユニットは頼もしく感じる。また「La Bataille de Dresde」の訂正カウンターもあり。

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「Quatre Bras」に比べると、参加兵力も多いため、編成表もずらずらと長いものに。

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そして添付されているルールは、第5版の共通ルールと「Ligny」の専用ルールである。この第5版というルールは、1990年代に発表された第3版ルールに、マリー・ルイーズ版の指揮ルールを合体させたという、妙な構造になっている。

マリー・ルイーズ版の指揮ルールは、両軍のチット(MU:Maneuver Unit)をカップに入れて、引かれたチットの側が一斉に行動するというもの。多人数プレイの場合、フランス軍なり、プロシア軍なり、その軍を担当しているプレイヤーたちが一斉にユニットを動かせるので待ち時間は少ない。これが30周年版の指揮ルールだと、引かれたチット(MU)に属する軍団なり師団なりだけが行動するため、他のプレイヤーはその手番を待つ必要がある。また基本ルールとしても、第3版は、30周年版ルールほど詳細ではないので、ルール量としては扱いやすいかもしれない。この第5版ルールは、2015年発売の「La Bataille de Dresde」から添付されたそうなので、大規模なバタイユ・ゲームをプレイする用のルールなのかもしれない。

とは言っても、すでにCoA版の共通ルールとして30周年版ルールがあるのだから、それでプレイしたい人もいるはず。そんな人向けに、やはりバタイユ公式サイトで、30周年版/マリー・ルイーズ版特別ルールが公開されている。

http://labataille.us/titles/ligny.shtml

良く言えば、プレイ状況と好みに合わせてルールを選べるとも言えるが、まあ、このように複数のルールが並立しているあたり、バタイユ・シリーズのとっつきにくさに繋がっていると思う。自分も最初は、どのルールを選べばいいのか全然わからなかったし、どういう違いがあるのかもわからなかった。自分はもう、いちいち作品によってルールを切り替えるよりかは、30周年ルールでいいかなと。30周年版は30周年版で、詳細かつ面倒なのだが、似たような複数のルールを管理するのもしんどいので……