Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【La Bataille Series】Clash of Arms「La Bataille des Quatre Bras (2nd Edition)」

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2004年に発売された、ナポレオン戦争の戦術級シリーズ「La Bataille des Quatre Bras」第2版を購入した。今から10年ほど前、バタイユ・シリーズに触れていた時も発売されていたが、当時はお金が無かったり、タイミングが悪かったりで、なぜか手を出さなかった一作。本作のテーマは、1815年、ナポレオン最後の決戦、ワーテルロー会戦の前哨戦である、カトルブラ会戦である。すでにClash of Armsでは、ワーテルロー会戦を扱った「La Bataille de Mont saint Jean」の第2版を発売するとアナウンスしているので、それが出版される前に、まさにその前哨戦にも触れておこうと。

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地図盤は1枚のみ。大作の多いバタイユ・シリーズの中では、プレイしやすい規模だし、普通に入手できるという意味でも、入門者向けの一作かと。

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カウンターシートは3枚。近年のCoAバタイユ・シリーズと同じく、ボード・シミュレーション・ウォーゲームとしては最高峰とも呼べる美麗なユニットが並んでいる。本作では、フランス軍とイギリス軍の戦闘を扱うが、両軍ユニットはシート1.5枚(420個)に収まる程度。ちなみに「La Bataille de Lutzen」と「La Bataille de Orthez」の訂正カウンターも含まれている。

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両軍の編成表もフルカラー仕様。

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添付されているルールは、1997年に発表された第4版=22周年版(Reg XXII)にカトルブラの専用ルールをそのままくっつけた形になっている。しかしその後、2010年に30周年版ルール(Reg XXX)が発表され、その簡略版のマリー・ルイーズ版ルールも公開されたため、その両方でもプレイできるよう、バタイユ公式サイトから専用ルールがダウンロードできるようになっている。

http://labataille.us/titles/quatreBrasI.shtml

自分としても、できれば30周年版ルールを覚えたいので、機会があれば専用ルールを訳しておきたい。専用ルールと言っても、英文二段組み、6ページほどなので、なんとかなるかなと。

また本作は、同じ日に行われたリニー会戦を扱う「La Bataille de Ligny」第2版の地図盤とも連結できるようになっているが、どちらの地図盤も「枠」が描かれているため、実際に連結するなら、その部分を切り落とす必要がある。まあ、両方を連結すると地図盤5枚(カトルブラ1枚+リニー4枚)にもなってしまうので、実際に連結してプレイする機会は無いと思うが、VASSALモジュールなら連結シナリオもあるのかも(未確認)。

【Battalion Combat Series】「Arracourt」

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プレオーダーしていた、戦術作戦級シリーズBCS(Battalion Combat Series)の第5弾「Arracourt」が到着した。本作のテーマは1944年9月18日~30日にかけての、フランスのロレーヌ地方、アラクール周辺で行われた機甲戦闘を軸にしている。アラクール戦と言えば、ドイツ軍の装甲旅団による攻撃とその失敗がよく採り上げられるが、デザイナーズノートを読むと、その前後でも活発な戦闘活動が行われていたと。

また本作は、BCS入門者向けにデザインされており、そういう意味でも興味深い新作になっている。

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地図盤はフルマップ1枚……なのだが、既存のBCSゲームよりも、ヘクス径が大きく(広く)なっている。特に険しい地形は無く、森、平野、小川、小さな街で構成されている。

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カウンターも、入門者向けのためか、既存のBCSゲームより大きくなっている(そして老眼にも優しい)。両軍のユニットはカウンターシート1枚に収録され、扱うユニットも少なくて済んでいる。こちらはアメリカ軍。時期的には、ノルマンディ上陸から3ヶ月以上が経過し、各ユニットはすでに戦闘経験を積んでいるため、アクションレーティング(練度)的にも平均以上になっている。特に主役のアメリカ第4機甲師団、フランス第2機甲師団は頼もしい。またM18ヘルキャット駆逐戦車装備の第602、第704駆逐戦車大隊は、実際に歩兵支援以外の戦闘も行ったため、実体射撃(Real AV)ユニットとして表されている。M18駆逐戦車は、展開モードでも移動力6、しかも第602駆逐戦車大隊は防勢射撃(Limited AV)ながらも射程3と、なかなか使い勝手が良さそうな数値設定になっている。これほどM18ヘルキャットの評価が高いゲームも珍しいかもしれない(^_^)

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こちらはドイツ軍。新編成の装甲旅団は、この戦いがデビュー戦となったが、アクションレーティングは平均的で、しかも装甲旅団フォーメーションに固有の支援砲兵が無い。第11、第21装甲師団にしても、連合軍のノルマンディ上陸以来、後退戦が続いて消耗したため、戦車ステップ数も少ない。この戦力を用いて、元気いっぱいのアメリカ軍に反撃しろというのは、無茶な命令。一応、パンター戦車装備の大隊は射程が3なので、M4シャーマン戦車大隊に対してはアウトレンジ攻撃が行えるが……

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当然、マーカー類も大きめになっている。

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シナリオは6本収録。そのうち4本は、5ターン以下で終了するため、時間的にもプレイしやすい。

特別ルールは少なく、地図盤が狭いため、補給段列(Combat Train)を地図盤外まで退却させる必要はないとか、回復作業を一部、自動化してゲームをテンポアップさせる等々。酷いのはドイツ空軍のルールで『何も無い。これは間違いではない』で終わり(^_^;)  またアメリカ軍の観測パイロット、チャールズ・カーペンター中佐が、観測機の翼下にバズーカ砲を6基積んで対戦車攻撃を行ったという逸話から、この「バズーカ・チャーリー」(観測無しに敵のAVユニットを爆撃できる)のルールも登場。

さすがBCS入門向けに作られただけあって、このような特別ルールは最低限に抑えられ、あくまで共通基本ルールで遊べるようになっている。自分もすでにルールやデザイナーズノートは翻訳してしまったので、近いうちにプレイしてみたい。

しかしロレーヌ戦と言えば、2年前に購入した「GOSS:Lucky Forward」がまだまったくの手つかずなんだよなあ……シリーズ前作の「GOSS:Atlantic Wall」ともども、そちらもなんとかプレイできるようにしないと……

【参考文献】「戦国日本の軍事革命」「戦国武将の現場感覚」

先月の新刊「戦国日本の軍事革命」を読了。単純に鉄砲の戦術的使用だけでなく、鉄砲玉に用いる鉛を輸入するための海外貿易や、寄り合い所帯的な編成だった戦国初期の軍勢から、織豊期になるにつれて統一軍的になっていく変遷にも触れ、当時の軍隊の構造的変化を追っている。本書でも、旧来的な伊達政宗の軍勢と、近世的な蒲生氏郷の軍勢の比較が載っているが、ウォーゲームでもそのあたりの差異を表現している作品があれば触れてみたい。

こちらも先月の新刊。河出文庫の新刊だと思って探したみたが全然見当たらず、よく見たらKAWADE夢文庫の新刊だった。著者の西股氏は軍事史学的な見地からの著書、記事が多いが、こちらはもう少し軽めに読める戦国コラム集のような1冊。当時の武将たちの感覚として、敵はもちろん、人を殺すことにあまり道徳的罪悪感など感じていなかったであろうというあたり、ホント、そういう時代に生まれなくて良かったなあと(^_^;)

VUCA Simulations「Operation Theseus : Gazala 1942」Campaign Solo-Play AAR

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今日は散歩に出ようと思ったが、一日中雨とのことなので外出は断念。そこで、昨日プレイした「Crossing the Line」のルールが頭にあるうちに、同じシリーズの「Operation Theseus」をソロってみることにした。同じシリーズとは言え、変更点はいろいろある。北アフリカ戦を再現するためか、司令部が移動可能になり、補給線は徒歩・自動車化と細分化され、諸兵科連合効果も登場、応急攻撃の場合は戦闘前退却あり、さらに地雷原突破ルールも……と微妙に調整が成されている。

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また枢軸軍には「攻勢重心(Schwerpunkt)」マーカーなるものがあり、これが配置されたフォーメーションは追加1アクションポイント獲得、地雷原判定、戦闘修整でボーナスが得られる。今回は、要衝ビルハケイム(自由フランス軍が立て籠もる)を攻めるイタリア軍アリエテ戦車師団にこのマーカーを配置してみた。まあ、ドイツ装甲師団はこういう上乗せが無くてもなんとかやってくれそうだし、アリエテ戦車師団には頑張ってもらいたいと思う。

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さて第1ターン。まずは史実通り動かしてみようと、枢軸軍の主力打撃部隊、ドイツ第15・第21装甲師団にビルハケイムの南を迂回させ、ガザラ防衛線の背後に進出。さらにドイツ第90軽師団も、その側面を守るように展開させた。

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要衝ビルハケイムに対しても、予定通り、イタリア軍アリエテ戦車師団が接近。しかし地雷原を啓開するのに時間を取られ、このターンは接敵するだけで終わった。それでも「攻勢重心」マーカーを置いていたから成功したようなもので、やはりこれは序盤、ビルハケイム攻略部隊に用いた方が良さそうな。

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当面のドイツ装甲師団の目標は、連合軍の交通の要衝ナイツブリッジ。もちろんこれを防衛するために、イギリス第1、第7機甲師団も動き始めるが、両軍のスタック制限には差があり、連合軍は戦車1+歩兵1+司令部1までしかスタックできない(つまり1スタックの戦力をあまり上げられない)。さらに言えば、イギリス機甲師団はその編成上、戦車大隊ばかりがあって、小規模な歩兵部隊しかいない。戦力の大きな歩兵ユニットと、戦車ポイントの高い戦車大隊を組み合わせて、歩兵にも戦車にも対抗できる都合のいいコンバインド・アームズ的なスタックを作ろうとしてもなかなか難しいのだ。

それに対してドイツ軍は、装甲2+歩兵1+高射砲1+司令部1というキラースタックを構成でき、これが早くもイギリス軍戦車スタックを撃退し始めた。

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北部でも、イタリア軍歩兵師団たちがガザラ防衛線に足を踏み入れ、地雷原の啓開を始めている。

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第1ターン終了時。戦線はまだまだ穏やか。

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さて第2ターン序盤は、ドイツ装甲師団とイギリス機甲師団の殴り合いから始まった。さすがドイツ装甲師団のキラースタックは強力で、イギリス軍スタックを次々に撃退していく。しかしドイツ軍は、たとえノーダメージで戦闘に勝利しても、効果値判定を強いられ、混乱状態に陥るユニットが出てくると、その回復に時間とアクションポイントを取られたり、その隙に連合軍にも動かれてしまった。

イギリス第7機甲師団も、ナイツブリッジを守備していた唯一まともな歩兵ユニットに戦車を組み合わせて効果的なスタックを作り、ドイツ軍が自ら混乱したあたりで反撃に出て、これを撃退した。

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またイギリス軍は、単独で行動していたドイツ軍装甲車ユニットに標的を絞り、これを除去してドイツ軍キラースタックを孤立させた。さらにこのターン増援の第5インド師団を前線に送り込み、ドイツ軍の側面を脅かし始めた。

こうなるとドイツ軍も、単独のキラースタックを運用して包囲されるよりかは、そこそこの戦力の2スタックで周囲の敵に対処した方が良いようにも思えるが、2スタックを動かすにはそれだけのアクションポイントが必要になるし、どうしたものかと。キラースタックとしても、戦車2+歩兵1+高射砲1という陣容は強力だが、いったん効果値判定をくらうと4ユニットを判定することになり、そりゃあいくら精鋭のドイツ軍でも失敗するユニットは出てくるし、混乱したユニットを置き去りにするのか、アクションポイントを使って回復させるのかは悩ましい。

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そしてイタリア軍アリエテ戦車師団は、引き続き「重点攻勢マーカー」をもって、いよいよビルハケイムを攻撃開始。しかし二度にわたる周密攻撃を仕掛け、自由フランス軍に合計4ステップロスを与えたものの、引き下がる気配は無く、逆に二度とも効果値判定にしくじり、後退する始末。まあ、これを何度か繰り返していけば、いずれ陥落するだろうが、先は長そうだ……

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北部でも、イタリア軍歩兵師団がガザラ防衛線に攻め寄せたが、いずれも撃退されている。これはもうイタリア軍歩兵師団の編成上の弱さであって、2個歩兵連隊ユニットと師団司令部の支援だけでは期待薄だ(たぶん軍団砲兵等も加味されているのだろうが)。BCS(Battalion Combat Series)もそうだが、このように師団単位で活動しなければならないウォーゲームだと、各国師団の頼もしさと、頼りなさが具体的に理解できるのが興味深い。2個連隊編成という小規模さでは『じゃあ、その師団だけで何かやってください』と言われた時に、やれることが限られてしまう。ゲーム的には『チットで戦力3倍になれば何とかなるんじゃないか』とも思うが、ガザラ防衛線内の連合軍は自動的に築城状態とされ、防御側も戦力3倍になる可能性が高いのでやはり期待薄……

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とまあ、2ターンまで進めて今回はお開き。と言うのも、シリーズ3作の中では戦闘ユニットが少ない割に、フォーメーションが多いため、1ターンを処理するのにだいぶ時間がかかってしまった。まあ、北部戦線のイタリア歩兵師団はあきらめてパスしてしまえば短縮できるのだろうが、一応今回は試しにやってみた。

ドイツ軍、イギリス軍主力部隊の動かし方にしても、このシリーズの中では一番悩まされたし、考える余地があると思う。いろいろ工夫できそうだという意味では、シリーズ3作の中では一番面白いかも。

VUCA Simulations「Crossing the Line : Archen 1944」Campaign Solo-Play AAR

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先日購入した「Crossing the Line : Archen 1944」を早速ソロプレイしてみた。シナリオは3本収録されているが、それほど難解なゲームでもないので、いきなりキャンペーンゲームに挑戦。全8ターンでアーヘン攻防戦を扱うことになる。

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序盤は、アメリカ第3機甲師団、第1歩兵師団による攻撃から。アーヘン正面にはドイツ第526歩兵師団が守りに就き、その南の平野部にはドイツ第116装甲師団が展開しているが、すでにこの時点で消耗しており、パンター戦車1ステップ、IV号戦車1ステップ、III号突撃砲2ステップしかない。これにM4シャーマン戦車大隊5ステップ×2と機甲歩兵大隊14ステップが1スタック(Combat Commandという奴だ)として殴りかかってくるのだから酷い話だ。一応、ドイツ軍の後方には、もう少し戦力的にマシな第9装甲師団(パンター戦車大隊4ステップ×2、ナースホルン自走対戦車砲2ステップ)も控えている。

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さて第1ターン。先手アメリカ軍は、早速第3機甲師団を続けて活性化させたが、アクションポイント獲得のダイス目が2回とも1(最低)という、やる気の無いスタート。西方防壁(ウェストウォール)ヘクスサイドを越えるには全移動力が必要なため、いったんヘクスサイドの手前まで集結して2スタックを前進させるだけで精一杯。その間にドイツ軍は、第116、第9装甲師団を前進させ、アメリカ軍を阻止せんとした。アメリカ第3機甲師団も、2スタックがかりで第116装甲師団スタックを攻め、M4シャーマンパンターとの性能差(ダイス目-4)に苦しみながらも、どうにか勝利。第116装甲師団唯一のパンター戦車1ステップを除去した。ちなみにドイツ軍の戦車ユニットは、いったん除去されると再建は不可能である……

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さらにドイツ第116装甲師団は、IV号戦車も失い、III号突撃砲も混乱という有様。代わってドイツ第9装甲師団パンター大隊スタックが前に出て、アメリカ軍戦闘団スタックに反撃を試みたが、あえなく撃退。戦車の性能(ダイス修整)は勝っているのだが、やはりアメリカ軍機甲歩兵大隊の戦力数が尋常ではなく、戦力比で負けている。

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第2ターン。まず補充によって、前ターンに被ったアメリカ軍の損害はすべて回復。ドイツ軍は、第3ターンに撤退してしまう第353歩兵師団のユニットを生け贄に捧げて、他のユニットを回復させた。

アメリカ第3機甲師団は、M10駆逐戦車大隊+工兵大隊によって即席の戦闘団スタックも組み、じわじわと戦線を押し上げている。第9装甲師団パンター大隊スタックも反撃はしているが、M4シャーマン2ステップを撃破するのと引き換えにパンター1ステップを失っている。これでは割に合わない。アメリカ軍戦車は毎ターン3ステップずつ回復するのに、ドイツ軍戦車は二度と返ってこないのだから。

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そうこうするうち、アメリカ第1歩兵師団「ビッグ・レッド・ワン」は、ドイツ第526歩兵師団の前線を正面突破。一気にアーヘン市へ接近している。

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第3ターン。ようやくドイツ第9装甲師団は、アメリカ第3機甲師団の戦車大隊×2スタックを押し返した。第3機甲師団の戦闘団スタックも、ナースホルン自走対戦車砲を除去したものの、有効性判定(EC)にしくじり、混乱状態に。作戦フェイズ中に回復させるにはアクションポイントを消費して、有効性以下をダイス目で出す必要があるが、アメリカ軍の効果値は3なので成功率30%。どうせ次ターンの回復セグメントには自動回復するのだから、わざわざ試みるほどでもないかなと。そこでドイツ軍側も、まだ健在な(混乱していない)アメリカ軍スタックを攻撃し、さっさと混乱状態に追い込みたい……と思ったが、逆に有効性判定に失敗し、こちらも混乱状態に。一進一退の戦車戦である。

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一方、アメリカ第1歩兵師団は、アーヘン市へ突入。

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そして第4ターン。遂にドイツ第9装甲師団最後のパンター隊も失われ、名ばかりの装甲師団になってしまった……と思ったらルール間違い。本来はこの第4ターン開始時に、第9、第116装甲師団はすべて撤収するんだった。

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それはともかくアメリカ第1歩兵師団はアーヘン市中心部を制圧。

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北からは、アメリカ第2機甲師団と第30歩兵師団も南下しつつある。

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ルールは間違えたけれど、一応アーヘン市はほぼ占領したし、ドイツ軍側に機動兵力も無くなったので、今回はここでお開きにした。

まあ、「作戦をやらされる」系の(戦術)作戦級ゲームなので、自分で作戦を考える余地はあまり無いが、その都度その都度、場当たり的にやれることをやっていく系のゲームとしては面白い。上手くいかなくても『いや今回はアクションポイントのダイス目が悪かったから』『戦力チットの引きが……』とかイイワケできるしね。

ドイツ軍は、戦車の性能差を活かして反撃もできるけれど、それで戦車ステップを失うリスクの方が大きいと思う。と言って、黙って守っていても、結局はアメリカ軍機甲師団のスチームローラーに削られていくという……。いや、どうせドイツ装甲師団は撤収して後半戦も戦うのだから、前半戦ではあまり消耗させない方がいいのか。アメリカ軍が自ら混乱状態に陥ったら、そこを叩いてまた逃げるとか(やれればの話だけど)

ちなみに英文ルールブックが2版になっているが、初版から少し記述が足されているのかもしれない。日本語ルールブックは、初版の英文ルールを訳したと思われるが、2版の英文ルールに載っている記述が欠落している箇所を見つけたので(7.5.3「戦闘の勝利」の最後の段落)。初版の英文ルールを持っていないので比較はできないが、両方お持ちの方はご確認ください。

GMT「Normandy'44 3rd Printing」

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「Salerno'43」を注文したついでに「Normandy'44 3rd Printing」も購入。初版は2010年に買ってあり、2015年の「2nd Printing」はたいした違いは無いだろうとスルー。しかしこの「3rd Printing」でまた少し変更が加わったようなので、だったら買い直すかと。しかしこのゲーム、自分の中ではまだまだ新しい時代のゲームだと思っていたが、初版を買ったのが12年前、最後にプレイしたのも10年前なので、徐々にクラシックの位置に近づいてきたなと。実際、2010年以降、我が家のコレクションでは何度もウォーゲーム断捨離の波がやってきたが、それをくぐり抜けて生き残ってきたので『ノルマンディ戦の連隊級はこれだけあれば十分』という立ち位置になってきたなあと(ちなみにノルマンディ戦の大隊級ゲームは「GOSS:Atlantic Wall」さえあれば十分)

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ちなみにルールは、Ver2.2になっている。自軍ユニットがいても敵ZOC内にはユニットを復活させられないとか、米英軍の航空支援マーカーはそれぞれの国籍地上ユニットにしか使えないとか、マルベリーの再建が可能になったり、森の防御効果が上がったり。

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「2nd Printing」の時点で、ユニットの数値なども微妙に修整されている。

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まあ、どれも微妙な修整なのだが、それも結構重なると、全体的な動勢も変わってくるのだろう。なにしろ10年間プレイしていないので、ver2.2の感触を確かめたいとは思う。

GMT「Salerno'43」

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GMTの新作「Salerno'43」を購入。お題はその名の通り、1943年9月のイタリア半島サレルノへの上陸作戦である。デザイナーは、安心安定のMark Simonitch氏。氏が近年発表している第二次大戦の作戦級「Holland'44」等と同様に、ZOCボンド、戦闘結果による二次移動、突破戦闘という「Simonitch Standard System」的なルールを基本としている。

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地図盤は、フルサイズの3/4とやや小さめ。1ヘクス=3.8km、1ターン=1日という「Normandy'44」と同じスケール。

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カウンターは、このシート1枚にすべて収まっている。ユニット表記も「Holland'44」と同じなので、そのあたりの作品に触れている場合は、容易に取り組めそう。

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シナリオは、8ターンで終わるアヴァランチ上陸作戦シナリオと、22ターンまで行うキャンペーンゲームの二本立て。ただし14ターン以降は、ドイツ軍が後方へ戦力を撤収していくことになる。

そしてSimonitch氏へのインタビューを読むと、この後、サレルノの北のグスタフ線(モンテカッシーノ)や、ローマへの進軍までつなげる三部作になるようだ。まあ、それがいつ揃うかは分からないが、まずはこのサレルノから味見をしていきたい。

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