Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

Victory Games「Pacific War」

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1985年にVictory Gamesから発売され、1987年にはホビージャパンから日本語版も発売された「Pacific War」を、昨年末にネットオークションで購入した。その名の通り、アジア太平洋戦争を、作戦戦略級レベルで再現したゲーム。すでに昨年、GMTのP500にも再版タイトルとして登場し、発売のGOサインとなる閾値の500を大幅に突破して、今日現在2143個のプレオーダーが入っている人気ぶりだ。どうやらストレートな形での再版となるようで、自分もこの機会に新GMT版を買おうかと思っているが、再版される前に、まず旧版に触れておきたいなと。

実は自分も、日本語版が発売された当時、このゲームを買おうかと思ったが、入手にしくじったのだ。たしか大学3年生か4年生の頃(1990~1991年)、本当にその日は『よし、今日はVGのPacific Warを買うぞ』と意気込んで、神保町の、今は亡き書泉ブックマートに向かった。ところが、その少し前まで店頭にあったはずの、日本語版の「Pacific War」がもう売り切れていたのだ。あわてて、他のポストホビー等のお店にも行ったが、すでに日本語版発売から3~4年経過していたので、どこにも在庫が見当たらなかった。もちろんインターネットも無い時代。どこかにある在庫を探せるはずもなく『ああ、もうPacific Warは買えないんだなあ……』と途方に暮れたのを覚えている。さらにそのショックからか、その後、中学生時代から集めていたウォーゲームをいったん処分・整理したりして、そういうトリガーになったという意味も含めて、自分にとって因縁のゲームなのだ。21世紀を迎えてからは、ネットオークションで何度もこのゲームを見かけてはスルーしてきたが、ようやくこのタイミングでの入手と相成った。 

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さて、まず本作で目を惹くのが、正積図法を用いられた地図盤(フルマップ2枚)である。たしか最初にVGから英語版が発売され、雑誌「タクテクス」に紹介記事が出た時も、この地図盤が掲載されていて、とても印象的だった。すでに当時、ホビージャパンの「太平洋艦隊」でも、同じ範囲の地図盤を目にしていたが、それとは明らかに異質な感じがしたのだ。ヘクス列の向きからしても、オーストラリアや東南アジアが上、日本が右、ハワイが左下というのも『えっ?』と思ったり。

恐らくこの図法が用いられた理由のひとつは「任意の地点から特定の2方向の長さが等しく表される」ところだろう。本作のゲーム手順は、まず先手の作戦実施プレイヤーが艦隊などを移動させ、その後、後手の反撃側プレイヤーが艦隊などを移動させる。しかし反撃側が移動できる距離は、その警戒態勢によって異なる。奇襲を受けた場合はまったく移動できないが、警戒態勢なら作戦実施側が移動した距離と同じだけ移動できる。さらに要撃態勢なら、作戦実施側が移動した距離の2倍を移動できる。

たとえば、もの凄くおおざっぱに言えば、作戦実施側の日本軍艦隊が、トラック島からガダルカナル島(距離13ヘクス)へ移動したとする。もし連合軍が警戒態勢にあったなら、同じくガダルカナル島から13ヘクス離れた、オーストラリアのケアンズから艦隊を対応移動させられる、という感じだ。

これ当然、地図盤上の距離が現実とは等しくなかった場合『いや、そんな遠くからは対応できないはずだ』とか『現実の距離的には近いはずなのにヘクス数的に対応できないのはおかしい』となるので、距離的な正確さを求めるシステムあってのことなのだろう。 

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マップ2枚を重ねて、南太平洋だけの地図盤にすることも可能。 

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さらにこのゲームは、作戦実施側・反撃側の接触フェイズ……つまり戦略移動、作戦移動とそれに伴う索敵が終わると、続いて戦闘サイクルと呼ばれる1日単位の移動・戦闘をくり返す手順に入る。言うなれば、作戦海域に向かうまでの接触フェイズはゆったりとした時間の流れで進む(数日が過ぎる)が、作戦現場海域に入ると、細かい戦闘を再現するため、小刻みな時間の流れ(1日単位)になっていく。

このシステムを当時、雑誌「シミュレイター」のリプレイ記事で読んだ時は『なんだそりゃ?』 と思ったが、こうして現物を入手した今も『なんだそりゃ?』と感じている。

本作をデザインしたMark Herman氏は、SPI時代から名が知られ、今現在も「Churchill」やら「Versailles 1919」等、独特なシステムのゲームを世に送り出しているが、この「Pacific War」でも彼の天才ぶりというか、奇人変人ぶり(褒め言葉)が遺憾なく発揮されていると思う。

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こちらは、日本軍・連合軍用のプレイヤースクリーン。商船損耗表、各種戦闘結果表、索敵表が並んでいる。これも陸戦は、士気レベル差と、両軍部隊のステップ数の総和からダイスを振って決めるというシロモノ。海空戦も、すべて同じチャートに落とし込まれ(戦闘機の空戦だろうが、海上砲戦だろうが、対潜戦闘だろうが)、索敵表は、索敵機のエンジン数と距離、昼夜間、対象によって決定される。よりマニア向けの海戦ゲームほど細かくはないが、「War at Sea」のような陣取り合戦では満足できない自分には、これぐらいがちょうど良いかも。 

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こちらは、日本軍・連合軍用のディスプレイシート。上級ゲームとも言える、長期戦シナリオや戦略シナリオで用いる、より詳細なゲーム手順や、指揮/補給ポイントの管理、戦略爆撃などがまとめられている。しばらく出番は無さそうだ…… 

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こちらは、両軍の部隊展開表。2人で対戦プレイする場合は、両軍の部隊がどこにあるか隠すため、地図盤上には部隊マーカーだけを置いて動かし、中身のユニットは、こちらの展開表に置くことになる。まあ、ソロプレイなら隠す必要もないが、艦隊に関しては、主力艦隊と護衛艦隊を分けておかなければならないので、やはり必要と。 

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カウンターシートは9枚、カウンター総数2340個。艦艇は、軽巡洋艦以上は1ユニット1隻。駆逐艦以下は、1ユニット6隻。まあ、妥当なとこよね(駆逐艦まで1ユニット1隻のTSWWを眺めつつ)。やはり軽巡洋艦以上は、艦名ありが良いし。 

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艦艇ユニットの裏面には、長距離~中距離~近距離ごとの砲撃力や、艦砲射撃力、雷撃力、対潜力などが記載されている。 

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航空ユニットは、1ユニット=最大6ステップ、1ステップ=15機となっている。性能や練度を表す戦力レベルは3段階(優秀~普通~劣悪)。空戦力(A)、対艦力(N)、対地力(G)のはずだけど、たぶん日本語ルールブックのカウンター説明例、間違ってるよね? 

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地上部隊ユニットは、士気・対空力・ステップ数という、珍しい並び。一応、日本軍にしろ連合軍にしろ、師団毎に、微妙に士気差が反映されているので、陸上部隊にも個性は表現されている。 

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こちらは連合軍。青枠に白抜きはイギリス軍。赤いユニットは中国軍。 

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こちらが両軍の部隊マーカー。 

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航空基地は大小2パターン。そして艦艇や航空機、地上部隊や施設へのダメージを表す打撃マーカーがまるまるシート1枚分、用意されている。

シナリオは、小規模な戦闘シナリオが5本(真珠湾攻撃インパール作戦等)、中規模の短期戦シナリオが8本(珊瑚海、ミッドウェー、南太平洋海戦、マリアナ沖、レイテ等)、統合的な長期戦シナリオが6本(マレー侵攻、ガダルカナル作戦等)、フルキャンペーンと、1943年2月までを扱うハーフ・キャンペーンと揃っている。一応、陸海空の統合的なゲームだが、やはり主軸は海空戦。

自分の場合、ここ1年ぐらい、TSWWの海空戦(真珠湾ウェーク島、ミッドウェー)をプレイしてきて、作戦級と戦略級の中間レベルの海空戦でも結構面白いなあと感じてきた。とは言え、所詮TSWWは陸戦が主軸。だったら海空戦が主軸の作戦戦略級として、この「Pacific War」の短期戦シナリオあたり、自分には合っているかもなあと思っている。詳細な戦闘再現を求める海空戦マニアではないけれど、おおざっぱ過ぎるのも嫌という好みなので、ちょうど良いかなと。とりあえずGMT版が出るまでには、ソロプレイしておきたい。 

【Battalion Combat Series】「Brazen Chariots」Operation Crusader Solo-Play AAR Part.2

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「BCS:Brazen Chariots」クルセイダー作戦、第4(1941年11月22日)ターン。このターンは両軍とも、補充のダイス目が最良だったため、損耗したステップを順当に回復。しかし戦闘4日目ともなると、疲労したフォーメーションもあり。たとえ戦力が整っていても、疲労していては動けないのがBCSなのだ。

さて英連邦軍、第22機甲旅団と支援集団は、敗走するイタリア・アリエテ戦車師団を追ってトブルク方面へ前進。この2つのフォーメーションは、補給路を共有できる僚友(Buddy)部隊なので、ひとつの進撃路を進んでも問題ないが、後から登場した第1南アフリカ師団はそうではないため、混線を避けるために東へ転進。こういった進撃路の配分くらい、プレイ前にやっておけよという話。

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一方、地図盤中央のGabr Sledi付近では、ドイツ第15装甲師団が、イギリス第4機甲旅団のM3ハニー軽戦車を次々に撃破し(射撃戦でステップロスさせ)、3個戦車大隊を殲滅してしまった。しかしこの激戦で、第15装甲師団疲労レベルも2に上昇(最高で4)。

そこへ西から戻ってきたイギリス第7機甲旅団が、側面を突こうとしたが、2個偵察大隊から成るドイツ軍Wechmar戦闘団がこれを堅持。

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リビアン・オマール周辺では、ドイツ第15装甲師団と、ニュージーランド軍が一進一退の攻防。ニュージーランド軍は、対戦車砲の支援が付いた歩兵大隊でドイツ軍戦車を包囲し、あわよくば停止射撃戦(Stop Engargement)で、III号戦車をステップロスさせられるかと思ったが、そんな都合良くはいかなかった。一応、砲撃も浴びせてみたが、密閉型車両(Hard)ユニットにはヒットは与えづらく、ノーダメージ。  

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続いて第5(11月23日)ターン。この日は、史実で言うと「死者慰霊日」「死者の日曜日」(Totensonntag)と呼ばれる激戦が展開された日だが、なんと枢軸軍の補充がまったく来ないというアクシデント。すでに戦闘5日目にして、消耗しきった枢軸軍に嫌な予感が広がる……

さてイギリス第22機甲旅団と支援集団は、アリエテ戦車師団残余の歩兵部隊による遅滞行動に阻まれ、まだEl Ademにも達していない。イタリア軍もやるものよ。その東を、第1南アフリカ師団、このターンに増援として登場した第22近衛旅団が北上しているが、トブルク包囲網を脅かす位置まではまだまだ…… 

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Gabr Sledi付近では、先手を取ったドイツ第15装甲師団が、イギリス第7機甲旅団に射撃戦を挑むも、軽火器装備の南アフリカ装甲車大隊と「双方ステップロス」される始末。返す刀で、イギリス第7機甲旅団が、Wechmar戦闘団の2個偵察大隊はもちろん、第15装甲師団の戦車大隊を2個とも殲滅してしまった。

盤上には、まだWechmar戦闘団の司令部カウンターが残っているが、所属ユニットをすべて失ったため、フォーメーションが「壊滅」したものとみなして除去される予定。 

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リビアン・オマール周辺でも、第15装甲師団が、徐々に押される展開に。しかし第11インド旅団は、いまだに陣地を奪えずにいる。 

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ハルファヤ峠では、第4インド旅団が、ようやくひとつ目の陣地を占領。Bach戦闘団の歩兵ユニット(2ステップ=1個中隊)なんぞひとひねり、と侮ったのが運の尽き。旅団は活性化できないわ、ダブルOBJマーカーの恩恵は得られないわ、航空支援は当たらないわ、戦闘結果表でのダイス目は悪いわで、この展開となった……

とまあ、「死者慰霊日」の史実にふさわしく?枢軸軍が甚大な損害を被ったあたりで、今回のソロプレイはお開き。相変わらず、たとえ戦場が広くても、一度に動かすユニットは10個程度という、BCSの遊びやすさを再認識した。ただ、フォーメーションの割り振りと、補給ルートの選定については、両軍とももっと上手くやれるんじゃないかとも思った。ドイツ軍装甲師団も、能力値は高いが、補充が来ないため、いったん崩れるとどうしようもない感じ。そのあたりも、もう少し上手くやりたいなと。地形的にも平坦で、BCS初心者が取り組みやすい戦場だと思う。しかしそう考えると、地形的に面倒なバルジ戦をシリーズ第一作に持って来たのってどおよ、いやテーマ的にセールスポイントが高いのは分かるけど……(^_^;) 

【Battalion Combat Series】「Brazen Chariots」Operation Crusader Solo-Play AAR Part.1

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昨年11月から始めていた、BCS(Battalion Combat Series)のv2.0ルール訳がようやく年末に完成。最初は、まあ差分だけチェックして訳せばいいやと思っていたが、v1.2からv2.0になった際に、ルールの章立てがまったく変わり、説明文も全面的に書き直されていたため、またイチから訳し直すハメに。それでも乗りかかった船だとばかり、ルールブック、プレイブック、「Brazen Chariots」用のルールとヒストリカルノート、図表類も全部日本語化して、ようやくひと安心。とりあえずこれで1回プレイしてみるかと思っていたら、この前日、1月4日付で、また新たなv2.0ルールブックが公開されていた。まあ、恐らく微調整だろうが、正月から改訂作業をするのも面倒だったので、ひとつ前の、2020年12月3日版のv2.0ルールでBCSをソロプレイすることにした。

しかし手間がかかった割には、v1.2からv2.0に関して、大きなルール変更はなかった。スタック移動の禁止(ユニット個別に移動する)、支援中の長距離射撃(Stand-off)ユニットの射撃戦や直接射撃の禁止、急襲攻撃(Shock Attack)での砲兵ポイント使用可等々、細かい修整はあるが、大枠としてのプレイ感はあまり変わらないはず。新たに市街戦ルールも導入されているが、これは将来発売予定のBCS第4作「Panzers Last Stand」でのブタペスト攻囲戦で使用するものだろう。 

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そんなBCS2.0での初ソロプレイに選んだのは「BCS:Brazen Chariots」のクルセイダー作戦シナリオ。「Brazen Chariots」は、まだ小規模シナリオしか触れていなかったので、ここで大物シナリオを1回やっておこうと。一応クルセイダー作戦シナリオには、地図盤2枚だけを使うものもあるが、今回はキャンペーン仕様の3枚版。ちなみに我が家のゲームテーブル(150cm✕90cm)では、微妙に乗り切らなかったので、地図盤の下にプラスチック製の下敷きやら、固めのデスクマットを敷いて、なんとか安定させている。やればできるものよ。

お題のクルセイダー作戦は、1941年11月19日、英連邦軍が、トブルク要塞に立て籠もった味方部隊を救出するため、4個機甲旅団+3個歩兵師団で砂漠を突っ切り、要塞内の部隊と呼応して枢軸軍を叩こうとする作戦である。作戦開始日、珍しく豪雨が降っていたため、枢軸軍がこの攻勢に気づかず、攻勢の兆候もあったものの、その情報はロンメルを含めて軽視されていたため、英連邦軍の奇襲となり、対応する枢軸軍にも混乱が見られた。結局、12月初旬までかかって、両軍機甲部隊による殴り合いが続き、消耗戦に打ち負けた枢軸軍が後退し、トブルクは解囲されている。その翌年には、また枢軸軍がトブルクを奪い返すのだが、平坦な砂漠での戦車戦・機動戦という意味では、ウォーゲーム的にも人気が高いと思う。 

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こちらがそのトブルク包囲網。要塞内には、イギリス第70歩兵師団とポーランド歩兵旅団が立て籠もり、その周囲を、イタリア軍4個歩兵師団とドイツ・アフリカ師団が包囲している。このシナリオでは、そのすべてのフォーメーションが行動を「Lock」されており、英連邦軍が籠城を止めて打って出るか、どこからか攻撃されない限り、まったく活性化できず、プレイ上は無視して進める。救出部隊がトブルクまでたどり着くまでは、動かないということ。 

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こちらがトブルク救出に向かう、イギリス軍機甲部隊。一応、2方向から向かっているが「?」マークで示したHagfet el Hareibaで2級道路は終わり、そこから先は未舗装道路(Track)になっている。各フォーメーションの補給段列(Combat Train)は、1級か2級道路にしか配置できないので、ここでストップとなり、そこから最適距離である15ヘクス先にイギリス第4機甲旅団司令部を置いても、その指揮範囲は5ヘクスなので、トブルクまでは全然届かない。せいぜいドイツ・アフリカ師団の後背を脅かせる程度。なので、この真ん中の道を使わずに部隊をどこかに振り向ける必要がある。 

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こちらはリビア・エジプト国境の辺境戦線。枢軸軍が築いた地雷原マーカーがずらっと並び、イタリア軍サヴォナ歩兵師団と、88mm砲の使用で有名なバッハ戦闘団が陣取っている。英連邦軍は、こちらにも攻勢をかけ、海岸縁のハルファヤ峠か、内陸のリビアン・オマールを抜いて、後方のバルディアを落としたいところ。とまあ、フルマップ3枚の広い戦場に複数の焦点があるという、なかなか興味深い戦闘状況。BCSの場合、ユニット10個程度のフォーメーションを、お互いひとつずつ動かすプレイ手順なので、マップが広いからといってプレイが面倒になることはない。 

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ではソロプレイ開始。第1(1942年11月19日)ターン。英連邦軍は、道路事情の悪いHagfet el Hareibaの道を諦め、第7機甲旅団を西へシフト。Bir el Gubiを守るイタリア・アリエテ戦車師団を攻撃した。装備戦車的には劣るイタリア軍だが、この攻撃は首尾良く撃退。しかし英連邦軍は、さらに第22機甲旅団、支援集団を注ぎ込み、ガリガリとアリエテ戦車師団のステップを削っていく。もちろん、各ターンに受け取れる補充ポイントは、枢軸軍の方が少ない。射撃戦(Engargement)で「双方ステップロス」しても、立ち直るのは、英連邦軍の方が早いのだ。 

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ハルファヤ峠では、第11インド旅団が地雷原に入ったところで停止。対するバッハ戦闘団は、砲撃で迎え撃っている。バッハ戦闘団は、支援として88mm砲も備えているが、v2.0ルールでは、その88mm砲で敵歩兵を直接射撃(Attack by Fire)することは禁止された。

この攻撃に対し、枢軸軍主力であるドイツ第15、第21装甲師団も出動したが、まだ前線にはたどり着いていない。ちなみに第15装甲師団に至っては、トブルク攻略のための訓練中だったそうで、道路すら外れた、北の海岸縁に分散している。 

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続く第2(11月20日)ターン。英連邦軍は、前日の消耗を帳消しにするほどの補充を受け取り、さらりと復活。対するイタリア軍には補充が来ず、消耗したままのアリエテ戦車師団に、再び英機甲部隊が襲いかかった。またBir el Gubiの南には、第1南アフリカ師団も到着しているが、そろそろ各フォーメーションの補給ルートが混線してきそうな気配…… 

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ここでようやく、ドイツ第21装甲師団が、イギリス軍主力の側面を守る第4機甲旅団に攻めかかった。機甲旅団とは言っても、その装備はアメリカ製のM3ハニー軽戦車であり、III号戦車大隊が移動モードのまま殴りかかっても、撃ち負ける始末。まあ、M3ハニーの場合、戦闘モード(展開面)でも移動力が6もあるのは便利なのだが……(他のイギリス製戦車はもっと不便) 

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一方、ドイツ第15装甲師団は、第1・第2活性化とも完全に成功し、リビアン・オマールに迫ったインド第11旅団に一気に攻めかかり、まだ移動モードだったマチルダ戦車大隊を押し返した。しかしこれに対して、この日の増援であるニュージーランド師団が攻め寄せ、バレンタイン戦車ながらもドイツ軍と互角に撃ち合っている。 

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続く第3(11月21日)ターン。英軍主力の機甲部隊は、アリエテ戦車師団の戦車大隊をひとつ残らず殲滅し、トブルクへ前進。しかし側背に迫ったドイツ第15装甲師団に対応するため、第7機甲旅団を東へ差し向けた。その第7機甲旅団は、第1活性化の半減だけというニブさで東へ向かっている。まあ、本当はそういう器用な機動ができる子たちではないが仕方ない…… 

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その英第7機甲旅団が向かうGabr Sredi付近では、第21装甲師団が、英第4機甲旅団を襲っているが、こちらも第2活性化まで許可されたものの、どちらも半減・半減という結果で、今ひとつキレが悪い。第4機甲旅団も、M3ハニー軽戦車を失いつつ、まだその位置を保持している。 

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混沌としてきたのはリビアン・オマール周辺。第4インド旅団は、地雷原に入ってリビアン・オマールの陣地を攻めようとするも、ドイツ第15装甲師団の機関銃大隊に押し返され、なかなか攻撃位置に就けない。頼みのマチルダ戦車大隊も、III号戦車大隊に撃ち負けて後退。しかしニュージランド師団、第5ニュージランド旅団の歩兵部隊が、ドイツ軍歩兵を押し返し、III号戦車大隊にも砲撃でステップロスを与えていく。
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ハルファヤ峠では、第11インド旅団が、艦砲射撃の支援を受けつつ3個大隊がかりで攻めたのに、攻撃側敗退というていたらく。このターン、英連邦軍には航空支援も無く、辺境戦線での戦況ははかばかしくなかった……というあたりで、今日のソロプレイはここまで。

しかしBCSに触れるのは約1年半ぶりだが、相変わらずサクサク動かせるプレイ感が良い。ユニット密度もスタックも薄いしねえ……(この前のTSWWのユニット密度が酷すぎた)

【The Second World War】「Barbarossa」Operation Uranus Solo-Play AAR Part.2

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「TSWW:Barbarossa」天王星作戦シナリオ、第1(1942年11月後半)ターン、後手、枢軸軍プレイヤーターン開始。引き続きスターリングラード周辺のドイツ軍部隊は、後退許可を求めたが、第3装甲擲弾兵師団スタックに「反撃のための移動なら可」という返事が来たのみ。その第3装甲擲弾兵師団にしても、ソ連軍の影響ゾーン(ZOI)に阻まれ、包囲網から脱することはできなかった。南部では、Elistaから北上してきた第16装甲擲弾兵師団スタックにのみ、行動の自由が許されたが、すでに周囲のルーマニア軍部隊は壊滅し、孤立無援の状態となっている。 

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西では、ドイツ第22、第27装甲師団ルーマニア第1戦車師団によって、ソ連第1親衛機械化軍団への反撃が行われたが、あいにく攻撃側後退。こちらもじわじわと戦線を押し下げられている。 

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代わって、第2(1942年12月前半)ターン、先手、ソ連軍プレイヤーターン。天候は、引き続き凍結、そして雪。ソ連軍は、ドイツ第6軍の包囲を完成させるべく、南北から圧力をかけた。 

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その結果、南では、ソ連第4機械化軍団が、ドイツ第29装甲擲弾兵師団を撃滅。ソ連第13戦車軍団も、ドイツ第4装甲軍司令部を押し潰して、包囲網を東から狭めていった。しかし北からの攻撃に対して、ドイツ第VIII軍団司令部スタック(減少状態の歩兵師団と砲兵)が予想外の健闘を見せ、その前進を阻止したうえ、ソ連第3親衛騎兵軍団をステップロスさせた。 

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西では、さっきのお返しとばかりに、ルーマニア第1戦車師団が攻撃され、ステップロスして後退。ソ連第2親衛歩兵師団も、イタリア軍前線を蹴散らし、山岳軍団司令部へ迫っている。

続いて、第2ターン、後手、枢軸軍プレイヤーターン。このプレイヤーターンから、遂にドイツ第6軍に補給線が通らず、包囲網の中のスタックはすべてU1(孤立1:攻撃力と防御力と移動力が1/2に、影響ゾーンが減少状態に、反応と追撃移動無し)となった。このまま補給切れが続けば、次のソ連軍プレイヤーターンの開始フェイズで、ドイツ第6軍はU2(孤立2:攻撃力1/4、移動は1ヘクスのみ、10面体を振って7以上なら除去)となってしまう。

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この包囲網を救うべく、一般補給ポイント(GSP)を空輸するため、ドイツ軍飛行学校からもかき集められた(とシナリオ設定に書いてある)輸送機部隊が到着。航続距離の長いFw200輸送機などは、航空基地からスターリングラードまで2往復できるため、倍の輸送能力を使って、総計15輸送力✕4=60一般補給ポイント=60個連隊分の補給物資を理論上は運べるが、凍結ターンでは空輸量が1/2となる。さらに、すでに護衛の戦闘機部隊も、前線から離れた航空基地に退避しているため、スターリングラード上空まで飛ぶには、長距離飛行(額面航続距離の2倍まで飛行できるが空戦が半減する)を使うしかない。つまり空戦力9のMe109戦闘機でも、空戦力4となり、ソ連軍のYak-1(空戦力7)やMig-3(空戦力6)に負けてしまう。それでも行くしか無いぜ!と飛び立った空輸部隊だが、案の定、ソ連軍戦闘機の迎撃を受け、半数以上の輸送機が追い返される結果となった。一応、多少の一般補給ポイントは届けたが、第6軍全体を救えるほどの量ではなかった……

一方、地上では、増援のドイツ軍第9、第23装甲師団が到着。両師団は、ドイツ第6軍の包囲を解くべく、ソ連第4戦車軍団に殴りかかったが、結果はあいにくEX(相互損失)。スタック規模の小さいソ連軍が全滅したものの、それと同数のスタックポイントをドイツ軍側も失うことになり、相討ちの形で第23装甲師団が全滅。第9装甲師団もステップロスという、散々な結果と相成った。

またこのターン、枢軸軍はスカスカになった戦線を埋めるべく、後方で遊んでいる部隊はいないかと、スタックの中身を探しまくったが、残っているのは戦力0の鉄道工兵連隊ばかりだった。 

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代わって第3(1942年12月後半)ターン、先手、ソ連軍プレイヤーターン。この開始フェイズで、さらにドイツ第6軍の補給状態が悪化し、U2(孤立2)に。写真上は、早くも補給除去判定でお亡くなりになった皆さん。おお、第369クロアチア歩兵ユニットもスターリングラードの露と消えたか…… 

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ソ連軍は、このターンで一気に包囲網を締め上げ、ドイツ第6軍司令部もここで除去。スターリングラード北ヘクスはまだドイツ軍が保持しているが、このまま補給切れ除去判定を待てば、自然と減っていくのだから、無理に攻める必要もない。 

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次の枢軸軍プレイヤーターンには、また増援としてドイツ第17装甲師団も到着するが、もはや状況的には焼け石に水。枢軸軍としては、第6軍救出は諦めるしかない、という史実に近い状況となったので、今回のソロプレイはここまでとした。

まあ、昨年からちまちまとTSWWの練習プレイを続けて来たが、ようやく大機甲部隊による、オーバーランありの機動戦までたどり着けた。TSWWは、1ターン=半月のゲームだが、自軍移動中のオーバーラン、戦闘フェイズでの攻撃、戦闘後前進中のオーバーラン、追撃フェイズのオーバーラン、敵軍反応フェイズでのオーバーランと、意外と攻撃チャンスはある。ただ、オーバーランを行うには、かなりの戦力を集めたキラースタックが必要であり、今回もソ連軍機械化軍団スタックが猛威を振るうことになった。戦闘結果でEX(相互喪失)を喰らう場合も、スタック規模が小さい方が全滅するため、スタック負けしないためにも、ある程度の戦力を集めた方が良いなと(あればの話だが)。

また今回は、空輸による地上部隊への補給が行われたが、これもあらかじめ、スターリングラードが孤立することを想定して、枢軸軍戦闘機を通常距離で飛ばせるように前線をキープしたいところ。またソ連軍としても、空輸部隊が来ることを想定して、迎撃戦闘機をスターリングラード周辺に配置したり、移送しておく必要があるなと。

しかし今回も、ユニットを配置するのが死ぬほど面倒だったので、やはりTSWWは、VASSALでプレイすべきゲームだと再確認した。ハイスタックが込み入った状況でその中身を調べるのも手間だし、やり直したり訂正するのも楽だし。まあ一応、実体物としてのゲームも買ったので、数年に1回ぐらいは、こうして実体プレイをするのも良いかもしれないが……(^_^;)

【The Second World War】「Barbarossa」Operation Uranus Solo-Play AAR Part.1

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2021年初のソロプレイとして「TSWW:Barbarossa」の天王星作戦シナリオを開始。もちろん、年末にちょっとだけプレイした「Stalingrad'42」と同じく、スターリングラードに攻め込んだドイツ第6軍を、ソ連軍が包囲する作戦である。TSWWの規模でユニットを並べると、フルマップ1枚弱に収まり、なんだ、こんなサイズかと思えるほど手頃。しかしユニット数は少なく見えるが、これを総数7840個の中から探し出すのが、ヒジョーに手間だった。シナリオのセットアップ情報にも間違いが多く、元旦の午後からセットアップを始めて、ほぼ丸一日。マトモに考えれば、VASSALで並べた方が断然簡単なのだが、今回はあえて実際に並べてみた。ユニットが並んでいる写真も撮りたかったしね。 

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ユニットに埋もれて、まったく見えないが、青い丸で囲まれた2ヘクスがスターリングラード市である。北ヘクスをドイツ軍が占領し、南ヘクスをソ連軍が保持している。しかし史実的には、むしろまだ北ヘクスを奪い合っているような気がする(GMTのStalingrad'42も同様)。ただゲーム的には、ソ連軍が南ヘクスを握っていた方が、より多くのドイツ軍を包囲網に捕らえられるかもしれない……という処理なのか。

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こちらは、北からハンガリー軍(緑地に白文字)、イタリア軍(薄緑)、ルーマニア軍(青地に黄文字)が連なる枢軸軍戦線。ルーマニア軍は、この戦いでのヤラレ役だが、強い色味のカウンターのせいか、妙に強そうに見える。 

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さて第1(1942年11月後半)ターン開始。天候は晴天、地表は凍結。特にシナリオ的な指示はないが、事前に凍結ターンが続いたものとして、河川が凍結し、渡河するペナルティも無いものとした。まずソ連軍は、突破予定地域3カ所に航空戦力を送り込み、敵ユニットの戦闘効率補正(CEV)を下げる、戦場航空阻止(BAI)ゾーンを展開せんとした。これに対して枢軸軍も迎撃機を上げ、護衛戦闘機にステップロスを与えたものの、3カ所とも追い払われ、ソ連空軍に圧倒されるスタートとなった。しかしソ連軍も、まだまだ作戦爆撃力は低く、3カ所ともレベル1の戦場航空阻止ゾーン(戦闘効率補正-10%)のみ。

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スターリングラードの南では、ソ連第4機械化軍団(33-16)スタックが、ルーマニア軍の前線部隊をオーバーランで踏み潰し、その後方にいたルーマニア第7軍団司令部を攻撃した。これを守るのは、ドイツ空軍地上連隊、SS警察大隊、ルーマニア工兵大隊という、まったく頼りにならない連中で、呆気なく全滅。またソ連第13戦車軍団(17-15-16)は、ドイツ第4装甲軍司令部を攻撃し、これを後退させている。 

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西のルーマニア軍戦線に対しては、まず移動フェイズで後方から砲兵部隊を呼び寄せてからの慎重な攻撃で幕開け。ソ連第1、第4、第26戦車軍団スタックがそれぞれ枢軸軍戦線を押し下げ、ドイツ第8、第9軍団司令部に迫っている。さらに西では、史実よりも早く、イタリア軍戦線に対する小土星(リトル・サターン)作戦が発動。ソ連第1親衛機械化軍団(32-16)スタックが、イタリア軍戦線を食い破りつつある。

これに対して枢軸軍は、次の反応フェイズで、南のElistaにいた第16装甲擲弾兵師団を急遽北上させ、ルーマニア軍戦線の穴を繕った。そして包囲の危機に陥ったドイツ第6軍は、ここでいったん後退して戦線を整理したいが、ルール17.4.e.xi「一歩も退くな」という、西への後退許可が出るかどうか、ダイス判定を行う必要がある。判定は、10面体ダイスを1個振り、1が出れば自由に移動可能、2か3なら1ヘクスだけ自由に移動、4から8なら後退不可、9なら反撃のための移動は可能、となっている。この判定に、スターリングラード近辺のスタックがことごとく失敗。まあ、50%で後退不可だから仕方ない。そのためドイツ第6軍は、危機にありながらも、まったく位置を変えられないという状況に陥った。さらにこの後退判定は、ドイツ軍にのみ課せられるため、一部地域では、ルーマニア軍が、一緒にスタックしていたドイツ軍ユニットを置き去りにして後退するという場面もあり、枢軸同盟の破綻が見えてきたような……

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さらに枢軸軍反応フェイズに続く、ソ連軍追撃フェイズでは、攻勢補給を受け取っていたソ連軍自動車化・騎兵部隊が、全力移動によるオーバーランを仕掛け、逃げ惑う枢軸軍部隊を踏み潰していく。こうしてドイツ第6軍が包囲されるまであと3ヘクスと迫ったあたりで、今日はここまで。この後、第1ターンの後手、枢軸軍プレイヤーターンとなるが、果たして……

【Wargaming Column】ゆく年くる年2020

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ここ数年恒例、今年購入したウォーゲームたちで記念写真。

今日は、FORGERさん、N村さんとのオンラインお茶会に参加してきた。例年この時期は、年末ゲーム会かコミケついでに集まってお茶するのが常だが、やはりコロナ渦で集まるのは控えようということで。まあ、今年はとにかく新型コロナに席巻された一年だったが、自分個人のウォーゲーム活動で言うと、そもそもゲーム会に参加せず、自分の好きなタイミングでソロプレイをするという、ほぼ引退状態に移行していたので、あまり影響はなかった。ただ、今までソロプレイ用に使っていたテーブルで、リモートワークをする機会が増えたので、ゲームを広げっぱなしにできなくなった程度。それもVASSALを活用したり、リモートワークの無い時期にゲームを広げる等して対応した。

【2020年の購入ウォーゲーム】

今年購入したのは、ウォーゲーム15個+3冊+ASL13点。そういや集合写真に「Hedgemony」入れてなかったけどまあいいか。あれは別枠。昨年も購入が10個を超えてしまったが、今年もさらに越えてしまった。OCS、CSS、GOSS、TSWWの新作は予定通り。しかしよく考えると、数年に1作しか出ないシリーズの新作がカブった一年でもあった。うっかりメルカリで、レッドサンブラッククロス3点セットを買ってしまったのは想定外。GMTのNEXT WARシリーズにまた手を出したのは、時代の変化に対応して……ということにしておこう。そして写真右隅に、しれっと映っているVG「Pacific War」は、年末ぎりぎりにネットオークションで買ったモノ。これは年明けに紹介記事を書く予定。2020年は、ちょっとゲームを買い過ぎた感もあり、反省はしているけれど後悔はなし。

【2020年のウォーゲーム・プレイ】

今年プレイできたのは「Stalingrad'42」「TSWW : Hakkaa Päälle」「TSWW:Singapore !」「CSS:The Fulda Gap」「OCS:Hungarian Rhapsody」「TSWW:Barbarossa」「TSWW:Day of Infamy」そしてASL2回と、TSWWに偏っていた。まあ、とりあえずTSWWの小さなシナリオから潰していって、プレイの練習を重ねた一年だったと。そんな中でも一番楽しめたのが「TSWW:Singapore !」のインパール作戦シナリオだった。インパール方面だけでなく、アキャブ、雲南方面も平行して作戦を行い、その背後の補給線まで意識させるというスケールは、TSWWシステムに合っているなあと。

【2021年の購入ウォーゲーム予想】

まず、もうすでにプレオーダーしているし、代金も支払い済みなのが「TSWW:Operation Watchtower(南太平洋編)」「BTW:La Guerra(スペイン市民戦争)」。メーカーからは11月に印刷に入ると連絡があったが、あいにくイギリスがまた新型コロナでロックダウンに入ったため、発売が来年に持ち越された。GTSの新作「Race for Bastogne」も来年こそは出るかと。他には「Less Than 60 Miles」の続編「The Dogs of war」もすでに発売が近いようである。GMTから再版される「Pacific War」も入手する予定。現時点で見えているのは、そんなところ。ただ、2020年の買い物傾向からして、旧作ゲームをオークションで手に入れそうな予感もしている。もしかすると一回断捨離した後の、コレクション再構築フェイズに入ったのかもしれない。あまり買いすぎないよう、気をつけよう…… 

【2021年のウォーゲーム・プレイ予想】

2021年の課題としては、2年前に購入した「A World at War」が筆頭。これまったく手が出ていないので、年明けにカウンター切るところから始めたい。「A World at War」の開戦前を扱う「Gathering Storm」「Storm Over Asia」も翻訳しようかと思ったが、他に手を挙げられた方がいたので、そちらにお譲りすることに。ただ「A World at War」も、2003年版の和訳しかないので、最新版にアップデートしたい。

さらに次の翻訳タイトルはGOSS。昨年「Lucky Forward」も出て、ルールも最新版になったので、いよいよかなと。3段組80ページのルールブックは目眩がする分量だが……。年末に買った「Pacific War」もGMTの再版と併せてプレイ候補。TSWWも新作が出れば、またそのルール訳、ミニシナリオの味見が始まるかと思う。

という感じで、2021年も隠者的に活動するかと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

【参考文献】「幻の東部戦線 第二次大戦後のドイツ再軍備と冷戦」

幻の東部戦線 ([バラエティ])

幻の東部戦線 ([バラエティ])

  • 作者:古峰 文三
  • 発売日: 2020/12/28
  • メディア: 雑誌
 

月刊PANZER誌2017年3月号~2019年7月号に掲載されていたという連載「幻の東部戦線」がまとめてムック化されたので購入。恥ずかしながらPANZER誌は普段、立ち読みもしていないので、そんな連載があったことすら知らなかったが、こうしてまとめて読んでみると、第二次大戦後のヨーロッパでの東西対立が、西ドイツの再軍備を中心に概説されていて、非常に勉強になる。

最近も「SCS:Iron Curtain」という、1950~1980年代を想定した第三次世界大戦ウォーゲームが出版されたが、いまだにこの仮想テーマは(特に冷戦時代を知っている世代にとっては)人気がある。本書ではその背景として、旧ドイツ軍人たちの復権リデルハートの関与や、朝鮮戦争ベトナム戦争中東戦争の戦訓を活かしての東西ドクトリンの変遷などが記されていて興味深い。個人的には、子供の頃に雑誌などで見かけたカノーネ突撃砲が誕生した背景にそんないきさつがあったのかと思ったり。まあ、自分も、この東西冷戦時代に戦車プラモデルからウォーゲーム趣味に入った一人なので、やはりこの時代には特別な思い入れが残っているようだ。 

冷戦 ワールド・ヒストリー(上)

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冷戦 ワールド・ヒストリー(下)

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