月刊PANZER誌2017年3月号~2019年7月号に掲載されていたという連載「幻の東部戦線」がまとめてムック化されたので購入。恥ずかしながらPANZER誌は普段、立ち読みもしていないので、そんな連載があったことすら知らなかったが、こうしてまとめて読んでみると、第二次大戦後のヨーロッパでの東西対立が、西ドイツの再軍備を中心に概説されていて、非常に勉強になる。
最近も「SCS:Iron Curtain」という、1950~1980年代を想定した第三次世界大戦ウォーゲームが出版されたが、いまだにこの仮想テーマは(特に冷戦時代を知っている世代にとっては)人気がある。本書ではその背景として、旧ドイツ軍人たちの復権とリデルハートの関与や、朝鮮戦争・ベトナム戦争・中東戦争の戦訓を活かしての東西ドクトリンの変遷などが記されていて興味深い。個人的には、子供の頃に雑誌などで見かけたカノーネ突撃砲が誕生した背景にそんないきさつがあったのかと思ったり。まあ、自分も、この東西冷戦時代に戦車プラモデルからウォーゲーム趣味に入った一人なので、やはりこの時代には特別な思い入れが残っているようだ。