Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】「総力戦としての第二次世界大戦」

新刊「総力戦としての第二次世界大戦」を購入。本書では、ポーランド戦、フランス戦、英国航空決戦、北アフリカ戦線、イタリア戦線、ノルマンディ上陸作戦戦略爆撃、マーケットガーデン作戦、バルジの戦いが採り上げられており、サブタイトルにも「西方戦線の激闘」とあったので、欧州西部戦線オンリーかと思いきや、それを概説するために東部戦線のバルバロッサ作戦にも一章が割かれている。

プロローグに書かれているように、第二次世界大戦は総力戦=個々の戦闘に決定性は無かった、としながらも、その戦闘を分析している。内容については、特に目新しいものはないと言いつつも、さまざまな戦略家によるその戦闘の論評(そしてその論評自体の問題点)も整理して列挙されているので、なるほど、今この戦いはそういう観点で語られているのか、という基盤的な理解をするには良いかなと。

【参考文献】G.L.ワインバーグ「第二次世界大戦」

第二次世界大戦 (シリーズ戦争学入門)

第二次世界大戦 (シリーズ戦争学入門)

 

シリーズ戦争学入門の第2弾、G.L.ワインバーグの「第二次世界対戦」を購入。軍事史の専門家による第二次世界大戦の概説ということで、欧州・アジア両戦域の流れが簡潔にまとめられている。まあ、すでにアントニー・ビーヴァーの「第二次世界対戦(上中下)」や、H.P.ウィルモットの「大いなる聖戦(上下)」を読んでいると、分量的にはやや物足りない気もする。 

A World at Arms: A Global History of World War II

A World at Arms: A Global History of World War II

 

むしろ気になるのは、本書の元になった、同著者による第二次大戦の通史「A World at Arms」(約1200ページ)だったりする。うーん、ちょっと読み切れるかどうか分からないが、訳者解説ではこの「A World at Arms」を『すでに古典としての地位を確立したといってよい』と評しているので、いずれ手を出すかも。

【参考文献】Niklas Zetterling & Anders Frankson「The Drive on Moscow 1941」

The Drive on Moscow 1941: Operation Taifun and Germany’s First Great Crisis of World War II

The Drive on Moscow 1941: Operation Taifun and Germany’s First Great Crisis of World War II

 

いよいよ史上最大のWWII独ソ戦ゲーム(地図盤20枚、カウンター7840個)「TSWW:Barbarossa」が今月中に発送されるそうで、こちらとしても、その雰囲気作りに、あらためて東部戦線書籍を買い集めている。

まずは「Normandy 1944」の著者でもあるNiklas Zetterlingと、Anders Franksonの共著「The Drive on Moscow 1941」。こちらは「Normandy 1944」とは違って、軍事分析より読み物部分が多い。あらためてモスクワ攻略・タイフーン作戦の顛末を眺めるには手頃な分量。一応、巻末には東部戦線でのドイツ軍戦車の損失数の推移や、独ソ両軍の戦闘序列も簡単にまとめられている。

昨年読んだ「ナチス 破壊の経済」第15章「1941年 転回点」でも、このバルバロッサ作戦~タイフーン作戦の頓挫が、ドイツの戦争が崩壊した時だと捉えており、将来アメリカが参戦する前にソ連を打倒しようとするギャンブルに負けたのがこの時期だと。まあ、ソ連を打倒するだとか、資源問題が解決するという発想そのものが妄想に近かったようだけれど。

だったらウォーゲーム上でも、独ソ戦なんてムダじゃないかと思うけれど、大概の独ソ戦ウォーゲームで与えられるのは、あくまで戦域司令官や参謀本部の立場なので『ドイツの生活圏を拡大するためにソ連に攻め込むぞ』という政治方針は変えられなかったりする。今回発売される「TSWW:Barbarossa」でもそれは同じなので、あくまでハルダー参謀総長のように、絶望的な戦いに胃を痛めるしか。

もちろん、もっと戦略的レベルで、ソ連と戦わずに勝利を収めるようなウォーゲームもあるのだろうが、自分はあまりそのあたりに詳しくないので、そのうち「Gathering Storm」にも触れてみよう(こちらも昨年からルール翻訳中)。

ちなみに「TSWW:Barbarossa」のルールは、すでにメーカーから送って頂いて翻訳を進めている。今のところの印象としては、当時の独ソ両軍の政治的制約も如実に反映しているというか、ガチガチに史実に固める方向のルール。ドイツ軍は、1941年12月以降、後退する際、スタック毎に「後退許可」が出るかどうか判定するとか、1942年以降は毎年1回攻勢をやらなきゃいかんとか(つまり42年の青作戦、43年の城塞作戦、44年のバルジのような攻勢をどこかでやれと)。他にも、対独協力者(ヒヴィ)や奴隷労働の活用、選択ルールとしてNBC兵器、とか恐ろしいルールも多々あり。すでにルールそのものの翻訳作業は90%まで終わっているので、発売と前後して公開できるかと思う。まあ、ルール以外にも、膨大なシナリオブックや戦闘序列や図表類があるけれど、とりあえず本体ルールでなんとか……

【参考文献】Niklas Zetterling「Normandy 1944」

スウェーデン軍事史家、Niklas Zetterlingが2000年に出版した「Normandy 1944:German Military Organization, Combat Power and Organizational Effectiveness」(1944年ノルマンディ:ドイツ軍の軍事組織、戦闘力、組織戦闘効率)が再版されたので、Amazonにて購入。ノルマンディ戦のドイツ軍分析としては、評価が高い一冊だったし、自分も前々から読みたかったが、初版が長らく品切れで、中古市場でも高騰していたので、ありがたい再版である。

しかし今回の再版は、一応「fully revised and updated(全面改定版)」という触れ込みだったが、旧版と比較した米Amazonの評価を見ると、あまり大きな改訂はされていないようだ。2000年以降に出版されたドイツ軍師団史からの情報が適用されている形跡も無く「全面改定版」 という宣伝文句は大袈裟かもしれない。また第2装甲師団の編成表が第2SS装甲師団になっているミスもあり、やや残念な出来である(Kindle版なら、そのうち訂正されるかもしれない)。

とは言え、内容そのものは興味深いので、ぱらぱらと読み始めている。

そもそも本書の存在を知ったのは、2016年に入手した「GTS:The Greatest Day」(ノルマンディ上陸作戦の英軍海岸のみを扱った作戦戦術級ゲーム)が、ドイツ軍の戦闘序列を調べる際に本書を基礎とした、と書かれていたことだった。特に「GTS:The Greatest Day」では、本書でZetterlingが言う「ドイツ軍は、ノルマンディ戦線では、8.8cm対空砲を対戦車任務にはほとんど使用せず、もっぱら(本来の任務である)対空任務と、間接砲撃任務に使用していた」という主張を採り入れている。そのため「GTS:The Greatest Day」にも、ドイツ軍の8.8cm対空砲ユニットは入っているが、対戦車能力は無く、対空と間接砲撃力しかない。これは結構思いきった処理で、それを見た時、ことの真偽はともかく、なるほどそういう歴史解釈もあるのかと、非常に興味深く感じた。

他にも本書では、連合軍航空機による空爆の間違ったイメージ……戦闘爆撃機によるロケット弾攻撃なんて車輌にそうそう当たらないし、その実害は思ったより少なく、むしろドイツ軍増援の移動を阻害したり、鉄道操車場などのインフラ攻撃の方が効力を発揮していたという記述も面白く、ドイツ軍戦闘車輌の主砲による装甲貫徹力の比較や、トレヴァー・N・デュピュイが考案した数式によってドイツ軍の戦闘効率を論理的に算定しようとする試みも、興味深い。

基本的には、ノルマンディ戦に参加したドイツ軍師団や独立部隊の説明が大半だが、そういった新視点での研究も多々盛り込まれており、ノルマンディ戦にご興味のあるウォーゲーマーなら、目を通しておいて損は無い一冊かなと。

【Advanced Squad Leader】「Onslaught to Orsha 2」「Bagration 1944」

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プレオーダーしていた、ASL(Advanced Squad Leader)のヒストリカルモジュール「Onslaught to Orsha 2」が到着。元々は、2002年にHeat of Battleから発売されたが、今回18年ぶりに、Bounding Fire Productionから第2版としてシナリオが追加されたうえで再版された。自分も、初版が発売されたのは覚えているが、当時はそれを買う予算が無く、スルーしてしまった。この第2版のカバーアートは、HoB初版と同じだが、どうせ再版するなら、もうちょっと良い絵は無かったものか(苦笑)

お題は1944年6月、ソ連軍による大攻勢、バグラチオン作戦の一環として、スモレンスクミンスク街道に位置するオルシャ(Orsha)近郊へのドイツ軍陣地線への攻撃を扱っている。平野部でのドイツ軍陣地に対するソ連軍の物量攻撃という状況も、ASLヒストリカル・モジュールでは珍しいかも。

すべてのシナリオをプレイするには「ASL:Beyond Valor」(独ソ軍セット)とさまざまな地図盤の他に、BFP製品である「Crucible of Steel」「Into the Rubble 2」「Poland in Flames」が必要だが、まあ、手元にあるモノだけでプレイできれば。

OtO: Onslaught to Orsha

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こちらが、オルシャ近郊の街道沿いヒストリカル・マップ。以前BFPが発売した「Objective:Schmidt」の地図盤は光沢紙でイマイチ好みではなかったが(光沢マップは写真撮るとテカるしね)、今回はマットな紙に印刷されていてありがたい。 しかしこの地図盤、実は3枚に分割されているが、その折り方が何と言うか、もうちょっと折り畳みやすいサイズにしなさいよとか、3枚の折り目を揃えなさいよと言いたくなる。まあ、ヘクス径は大きいので、プレイはしやすそうだが。

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さらにASL標準サイズの汎用地図盤も4枚収録。 

カウンターシートは、3.5枚。1/2インチカウンターが370個、5/8インチカウンターが384個。印刷はきれいだし、紙質も、正規製品と遜色ない出来。

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カバーアートにも描かれているように、今回、ソ連軍には、多数の地雷処理戦車(マインローラー)と火炎放射戦車が登場。またISU-122、ISU-152などの重自走砲もカウンター化されているので、そのあたりの戦闘車輌によるゴリゴリの陣地突破シナリオがプレイしたいなら、手を出してみるのもあり。他にも、レンドリース供与のM10駆逐戦車、M15自走対空砲等々も収録されている。 

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対するドイツ軍には、ナースホルン自走対戦車砲や、III号観測戦車、据付式の機関銃キューポラカウンターも登場。ううん、ソ連軍の重武装に比べると圧倒的に非力。 

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シナリオは 32本収録。HoBの初版では、シナリオ22本だったのが、シナリオが10本追加された形。また旧版にもあった、キャンペーンゲーム1本、ソリテア(一人用)ASLのミッション2本も収録。

追加ルールとしては、地雷除去戦車、対砲兵射撃もあり。

Bagration 1944: The Destruction Of Army Group Centre (Campaign)

Bagration 1944: The Destruction Of Army Group Centre (Campaign)

  • 作者:Steven Zaloga
  • 出版社/メーカー: Osprey Publishing
  • 発売日: 1996/01/15
  • メディア: ハードカバー
 

で、実はバグラチオン作戦自体、ソ連軍の圧倒的攻勢とは知っているものの、細かい展開を知らなかったので、とりあえずオスプレイ・キャンペーン・シリーズの「Bagration 1944」を取り寄せてみた。本作で扱うオルシャでの突破戦闘も図解されているので、シナリオの背景を知るには良いかなと。

まあ、バグラチオン作戦全体を扱った作戦級ゲームと言えば、GDW「白ロシア大作戦 Red Army」があるが、あいにく未プレイ。あのMark Simonitchが何年も前から「Bagration'44」というタイトルを開発中のようだが、それもいつ出来るやら。OCS(Operational Combat Series)でもバグラチオン作戦を扱ったタイトルは予定に出ていないし、となると頼りになりそうなのはTSWWで東部戦線後半を扱う「Vengeance」かな。いや、それもいつ出るんだか……

【Advanced Squad Leader】S6「Released from the East」AAR

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先月に引き続き、Karter氏とASL(Advanced Squad Leader)スターターキットを対戦。今回は、スターターキット1収録のシナリオS6「Released from the East」を選んでみた。お題は、1941年12月、はるばるシベリアから輸送されてきたソ連第78歩兵師団あらため第9親衛歩兵師団が、雪中の古都イストラにて、ドイツ第2SS師団ダス・ライヒに反撃するというもの。シナリオ特別ルールとして、ソ連兵は冬季カモフラージュを着用しているため、開豁地移動への臨機射撃(FFMO)-1ペナルティを被らない。

そう、つまり実際の戦場には雪が積もっているのだが、ASLの地図盤は春夏イメージの緑野が基本なので、そのまま使っても雰囲気は出ないし『この地図盤は緑だけど、実際には雪が降ってるから白ね』と自分に思い込ませるのも難しい。

そこで今回は、VASL(Virtual ASL)上で、シナリオに使用する地図盤の冬季バージョンを呼び出し、それをスクリーンショットで複数の画像として取り込み、画像加工ソフトで切り出し、A4サイズ2枚に拡大して、厚手の上質紙にきれい印刷。さらに余白を切り落として、即席の冬季地図盤を作ってみた。やや画像は粗く、ヘクスドットも見づらいが、それでも雰囲気は出ているので良しとしよう。 

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海外のASLerのプレイ風景を見ると、テーブルの上に整然と、地図盤、シナリオカード、図表、ダイストレイ等が並べられていることが多く、それがすごく好きなので、ちょっと真似してみた。ルールに詳しくなるとか、プレイに強くなるとかより、まずは雰囲気重視だったり、カタチから入るという……

今回は、攻撃側ソ連軍をKarter氏が受け持ち、自分は防御側ドイツ軍を担当。ソ連軍が、第6ターン表までに、3つの複数ヘクス石造建築物(R2、L6、D3)のうち、2つを占領していれば勝利。ソ連軍には4-5-8✕14個分隊があるが、そのうち5個分隊は予備として第3ターンに登場予定。ただし東か北か、どこから登場するかは分からない。

ドイツ軍の自分として、建物1つは奪われたとしても、2つ目を奪われなければ良いだろうと思いつつ、L6は捨てつつR2に後退する算段。D3にも、第3ターンの増援を警戒して分隊を配置した。 

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さて対戦開始。第1ターン。ソ連軍主力は、北からまっすぐL6建物に殺到。ドイツ軍の臨機射撃で1個分隊を失いながらも、早くもM7ヘクスに突入した。karter氏は基本、ウォーゲームではユニットを大切にする慎重派なのだが、なぜかソ連軍を受け持つ時は果敢になるというか、多少の損害は気にしなくなるという、ある意味、ソ連軍向きな人なのだ。 

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予想通り、L6建物は早々とソ連軍に奪われたが、建物内のドイツ兵はK5ヘクスへ後退し、反撃の機会を伺っている。そして第3ターン、ソ連軍増援部隊はR2建物へ突進。つまり、D3建物の奪取は諦め、薄く広く展開したドイツ軍のど真ん中に圧力を加え、左右両翼を切り離そうとする作戦。これに対応して、D3建物を守っていたドイツ軍部隊も、L6建物を奪回すべく、移動を開始した。 

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第4ターン。ソ連軍は、1個分隊を失いつつも、やはり果敢にR2建物へ突入。守備するドイツ軍を最後の建物ヘクスR1に追い詰め、第5ターンには、臨機射撃をかわしつつ爆薬(火力30)の設置に成功した。ああ、これでR2建物も失われたかと思った瞬間、Karter氏が振った爆発ダイスロールは12!不発! これがあるからASLはやめられないぜ…… 

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一方、ドイツ軍は第5ターン裏、建物奪回の最後のチャンスとして、9-2指揮官自らL5ヘクスに突撃し、白兵戦を仕掛けたが、あえなく戦死。1個分隊は残って混戦となったものの、ソ連軍の支配を崩したわけではない。ちなみにここでは、両軍ともキラースタックを組み「力こそパワー」を合言葉に大火力射撃戦を展開。もちろんASLでは、なるべくスタックしない方が良いとは言いつつも、そういう状況もあるし、石造建物はカタいしねと。 

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最終第6ターン表。ソ連軍は、L6建物ヘクスに3個分隊を注ぎ込み、混戦中のドイツ兵を除去。そして爆薬の爆破に失敗したR2建物でも、火力比1:1の白兵戦が行われ、 これにソ連軍がしくじればドイツ軍の勝利だったが、Karter氏は見事、これを成功させ、R2建物も占領。ぎりぎりでソ連軍勝利と相成った。

さすが2ヶ月連続でASLを対戦すると、お互いルールを思い出せてきたような。このまま次回もASLスターターシナリオで、基本動作を学ぶかも。

【参考文献】「航空戦史 航空戦から読み解く世界大戦史」

Liberation PRE-ORDER - TKC Games

航空戦史 (航空戦から読み解く世界大戦史)

航空戦史 (航空戦から読み解く世界大戦史)

  • 作者:古峰 文三
  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

新刊「航空戦史・航空戦から読み解く世界大戦史」を購入。内容は、第一次~第二次大戦における航空戦に関する「歴史群像」記事11本+書き下ろし1本。あいにく雑誌は購読していないので、このように書籍としてまとめて頂いた方がありがたい。休止した歴群アーカイヴも復活してくれないかなあ。

それはともかく、本書に収められた記事は、大戦中(大戦間)の航空戦を作戦面から分析しており、非常にウォーゲーマー向け。しかし作戦級の航空作戦ウォーゲームといっても、バトル・オブ・ブリテン物は多々出版されているが、本書で扱われている、ノモンハン航空戦、本土防空戦となると、なかなか数が少ないと思う。ノルマンディ戦の作戦級ウォーゲームも数は多いが、本書の記事が言うところの、実はドイツ空軍も連合軍がフランスに航空基地を作るまでは健闘していた、という視点を取り入れた作品となると、これまた数が絞られるかもしれない。ただ、連合軍とドイツ軍の撃墜数だけを比べて「互角だった」というのも、違うような気がする。そもそも航空機とパイロットの母数が違うのだから「どれだけの割合を撃墜したか/撃墜されたか」「どれだけのパイロットが生還できたか」「どれだけの補充が送られてきたか」というパーセンテージを示してくれないと、作戦分析としては甘いようにも思う。

本書では、ビルマインパールの航空戦も扱っているが、自分が所有しているゲームで言うと「TSWW:Singapore !」がそれを再現できるかもしれない。ややスケールが大きめだが、一応、航空作戦級ゲームとしても機能しそうだし、すでにインパール作戦シナリオも日本語に訳してあるので「TSWW:Barbarossa」発売に伴うルール改訂作業が済んだら、取りかかってみたい。

またTSWWシリーズでは「Barbarossa」の次に、南太平洋戦域全体を扱う「Operation Watchtower」が発売される予定だが、これがあれば、ラバウル航空戦も作戦級ゲームとしてプレイできるはず。自分もすでにプレオーダーしているし(代金も払ったし)、プレイするのが楽しみだ。

バトル・オブ・ブリテンに関しても、旧GDW「英国本土決戦(Their Finest Hour)」のリメイクを含んでいる「TSWW:Blitzkrieg」も再版されるはずなので、そちらで試してみたい。もっと詳細なゲームとしては「Burning Blue」とかもあるけれど、自分には歯が立たなそうなので……

ノモンハン航空戦や、日中戦争の航空作戦も「TSWW:The China Incident」でプレイできるかと思うが、まだまだ発売には時間がかかりそうだ。何年先になるのやら。

先が見えないという意味では、第二次大戦後期の西部戦線を扱う「Liberation」も、いつ出るのやら。ノルマンディ航空戦はもちろん、ドイツ本国への戦略爆撃も試せるはず。

これも先が見えないが、大戦末期の日本本土侵攻を扱う「Kamikaze」なら、台湾沖航空戦や、本土防空戦シナリオもあるだろう。

まあ、何が言いたいかというと、とりあえずTSWWさえ揃えておけば、大戦中の航空戦が網羅できそうなので、ルール翻訳がんばろうと(購入するにも、価格的にがんばりが必要なシリーズだが)。