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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【全域戦場 Joint All Domain Operation】「東南2X-乙」台湾本島上陸演習 Assault Landing Exercise Solo-Play AAR

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今回は「全域戦場 01-B(台湾編・陸戦)」から、中国軍による台湾本島上陸作戦、コードネーム「東南2X」のうち、台中方面だけを切り取った「東南2X-乙」シナリオをソロプレイしてみた。陸戦用の地図盤は、海空戦用の地図盤とリンクさせるために、ネストヘクスと呼ばれる複数ヘクスの集合体的な地域に分割されている(上写真で言うと、黄色いヘクス境界線で示されている)。「東南2X-乙」シナリオでは、ネストヘクスTC-1、TC-2地域だけを使用し、台湾軍は第4戦区部隊(部隊番号4)、第4苗栗戦区(部隊番号4-ML)がこれを守備し、中国軍は第72集団軍(部隊番号72GA)が上陸する。

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こちらが、陸戦用の地図盤端に描かれている、台湾本島のネストヘクス分割図。海空戦と連結した場合は、たとえば、海空戦の地図盤上で台湾本島のTC-1ヘクスに地上支援の航空機を送り込んだ場合、この陸戦用の地図盤上のネストヘクス図に移行される。上写真のように、すでにネストヘクスTC-1には、中国軍のJ-15戦闘爆撃機と、BZK-005無人偵察機1が配置されている(いずれも中国本土から飛来)。J-15戦闘爆撃機は、ネストヘクスTC-1内での地上戦闘を1回支援したら、中国本土の基地へ帰還する。BZK-005無人偵察機は、バッテリーが続き、そのヘクス内に存在している限り、そのヘクスでのすべての地上戦闘(攻撃、反撃、準備砲撃、特殊攻撃)に有利なダイス+1修正を与え、またネストヘクス内の全ヘクスに位置特定が行える。

上陸する中国第72集団軍は、合成旅団6個から編成されている。そのうち上陸第一波は、中型自動車化合成旅団(M-CCG)2個と、軽型合成旅団(L-CCG)1個である。この3個旅団は、軽装ユニット(移動力の数値が中抜き)である。各上陸海岸は、敵ユニットがいなければ2兵力値(ステップ)まで上陸でき、敵ユニットが存在すれば1兵力値までしか上陸できない。しかし重装ユニット(移動力の数値が実数字)の、中型機械化合成旅団(M-CCG)は重装備を抱えているため上陸時に1兵力値を2倍にし、まったく敵のいないヘクスにしか上陸できない。さらに重型機甲合成旅団(H-CCG)は1兵力値を3倍に換算するので、荷卸能力の高い港湾ヘクスにしか陸揚げできない。

となると、まず第一波として軽装ユニットを上陸させ、安全に重装ユニットを上陸させられる海岸や港湾ヘクスを確保する必要がある。上陸する軽装ユニットにしても、旅団全体としては4ステップもあるため、1ステップに分割した小型ユニットとして上陸し、後に再集結すると。

また中国本土の航空基地には、ヘリコプター部隊も待機し、特殊作戦群ユニットが搭乗している。すでに台湾本島内にも潜伏中の特戦群マーカーがあり、呼応して台湾軍の防衛を阻害する予定である。

さて第1ターン。中国第72集団軍の第一波は、台中市の南部6ヘクスに上陸。今回は特別ルール2.14のソロプレイ・ルールを採用し、中国軍が上陸したヘクス毎に10面体ダイスを1個振り、5以下が出たら海岸堡マーカーが出現することにした。結果、3ヘクスに海岸堡が現れ、2ヘクスは無血上陸。そしてすでに海岸ヘクスで待ち構えていた台湾軍機甲歩兵大隊ユニットに対しては、唯一の航空支援としてJ-15戦闘爆撃機を投入し、これを制圧(火力半減、移動を阻害)。さらに上陸部隊による準備攻撃(火力1.5倍)によって、台湾軍ユニットを除去した。また中国軍は、1海岸堡も除去し、残る2つにも1ステップロスを与えている。

対する台湾軍も、上陸部隊の両翼に準備攻撃を仕掛け、中国側の中型合成ユニット1ずつを除去。しかし攻撃/反撃を行ったユニットは消耗状態(移動戦闘不可)となり、回復までに最短でも2ターンかかるため、果たしてここで攻撃するのが良いことなのかマズいことなのか。

第2ターン。中国軍は第二波として、補給大隊1(第一波ユニットの回復用)、特戦群3ユニットを上陸。残った海岸堡を攻撃した。特戦群はわずか火力2だが、情報化値(このゲームで超大事な数値)が8と非常に高く、それに対して海岸堡のような施設マーカーは情報化値0と見なすため、その差分+8を戦闘ダイスに加えられる。これによって残る2カ所の海岸堡も除去。しかし、そうか、こんなに簡単に上陸できるなら第一波を特戦群にして海岸堡を掃討してもらい、その後で主力の合成大隊を送り込めば良かったなあ。いやでも、非力な特戦群だけでは、台湾軍が攻め込んできた場合、上陸海岸が維持しにくい。あるいはもっと広範囲に上陸して、一気にユニットという名の手数を増やすべきだったか……

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第3ターン。中国軍は、占領した麦寮港(港湾規模値4)に、第三波として中型機械化合成旅団(重装ユニット)を1兵力値だけ上陸させた。この港湾ヘクスか隣接ヘクスに、中国軍の指揮センターユニットがあれば、規模値と等しい兵力値(この場合は4)を荷卸できるが、まだ指揮センターは到着していないので、現時点ではその半分の2兵力値しか下ろせない。そして重装機械化ユニットは、荷卸の場合2倍として計算するので、さらに半分の1兵力値しか下ろせないと。

しかしこれでは上陸部隊の蛇口が細すぎる。やはりこれは台中港(規模値6)を占領して、重装ユニットを続々と送り込むべきか。もちろん台湾軍も、このような大型港湾を重点的に守った方が良いのだろう。あと、上陸部隊の消耗・回復ローテーションも考えないと……

……というあたりが見えてきたところで、今回の練習ソロプレイはおしまい。まあ、いろいろなメカニズムが絡み合っているので、少しずつ理解していこう。