Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】「戦闘の研究」「Pike & Shotの時代:歩兵の基礎」

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旗代屋さんからのまとめ買いシリーズ・その②。

まず、普仏戦争時代のフランス軍人アルダン・ドゥ・ピックによる著作「戦闘の研究」の邦訳。今回入手した中では最大のボリュームで320ページオーバーという大作。古代のポエニ戦争から、近代のナポレオン戦争などをお題にして、兵士の戦場心理について分析している。当時の隊形や武器装備から、兵士たちがどのような状況下に置かれ、実戦で何を感じ、何を恐れていたのか、それを指揮官たちはどのように統御し、指揮しようとしていたか、どう教育すべきかといったテーマが連なっている。また付録として、歩兵射撃の差異……号令射撃や各個射撃、散兵射撃とその有効性についても触れられていてとても興味深かった。あいにく、そこまで細かく再現できているウォーゲームも少ないが、バタイユ・シリーズや詳細なナポレオン戦争戦術級ゲームならその片鱗は味わえるかなと。

そして「Pike and Shotの時代:歩兵の基礎」も購入。こちらの前半は、当時のマスケット銃兵とパイク(長槍)兵の教本の図録……どのようにマスケット銃を構えて撃つのか、どのようにパイクを構えたり突くのか、という細かい手順が載っている。まあ、ウォーゲーマー的には、そこまで知らなくても良いような気もするが、本書後半の「Push of Pikeの実相」を読むと、当時のドイツ傭兵(ランツクネヒト)やスイス兵などのパイクの使い方の差異(パイクを握る箇所が違うとか)にも触れているし、そもそもどうやってあの長大なパイクを突くのか、実働戦闘時間はどの程度だったのか等を読むと、ウォーゲームをする際にもイメージが膨らむなあと。