Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Operational Combat Series】「Beyond the Rhine」 A Time for Trumpets AAR

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「OCS:Beyond the Rhine」のバルジ戦シナリオ「A Time for Trumpets」第1(12月15日)ターンは、地表状態:雪、上空:飛行不可という天候でスタート。先攻ドイツ軍は、9SPを獲得し、装甲教導師団、第1SS、第12SS装甲師団を斬り込み役に攻撃開始。後方に控える第2装甲、第2SS装甲、第9SS装甲師団、第3装甲擲弾兵師団は予備モードにして、突破に備えさせた。使用する選択ルールはいつも通り、21.2「ステップに比例した戦闘力」と21.8「空ヘクスへの攻撃」である。

幸先良く、第17ネーヴェルヴェルファー旅団の砲撃でヘクス3408のアメリカ軍分遣連隊が除去され、第12SS装甲師団先鋒スタックは、空になったヘクスを攻撃し、労せずして突破口を啓開した。しかし第1SS装甲師団を支援した第4ネーヴェルヴェルファー旅団の砲撃はスカ。仕方なく第1SS装甲は、そのままアメリカ第14騎兵グループを攻撃し、偵察大隊を失いつつ、マルメディへ迫った。第18、第62国民擲弾兵師団は、アメリカ第106歩兵師団を除去し、第116装甲師団も順調にオウル川を渡っている。

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これに続く突破フェイズで、第9SS装甲師団が、第1SS装甲を追い抜く形で前線へ。再度、第14騎兵グループを攻めるも、除去には至らず。また第12SS装甲師団を追い抜いた第3装甲擲弾兵師団の偵察大隊は、一気に米軍砲兵スタックに肉薄し、AR(アクションレーティング)頼みで攻撃したものの、撃退されている。それでもエルゼンボルン尾根の米軍(レベル1陣地✕3)は、すでに半包囲下に。

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一方、装甲教導師団先鋒は、無事オウル川を渡り、続く第2装甲師団が突破攻撃を仕掛けたものの、単なる分遣連隊相手に逆奇襲をくらい、AL1o1で退却する始末。さらに南では、第212国民擲弾兵師団がエヒテルナッハを奪っている。

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これに対し連合軍は、第1ターン裏、北部からアメリカ第2、第3、第5、第7機甲師団、第1、第30、第84歩兵師団を送り込み、ドイツ軍の封じ込めにかかった。さながら一般的なバルジ戦ゲームでの一週間分の増援が最初の三日で全部到着したような感じだろうか。

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南部からはアメリカ第10機甲師団が来援。バストーニュ正面は、南部から来援する部隊が少なく、北部からの部隊も(移動力的に)間に合わないので、実は手薄である。ドイツ軍が突破に手間取ったせいで命拾いしたかもしれない。

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第2(12月19日)ターン。地表は乾き、天候も晴天。つまり道路事情は良くなったために連合軍増援の足も速くなり、空軍も飛んでくると。そして連合軍が譲る形でドイツ軍先攻。

ドイツ軍は再び9SPを獲得したが、第1ターンに使い過ぎたか、早くも補給が苦しく、全装甲師団を動かして攻撃させる余力が無い。それでも第116装甲師団がサンヴィットを奪取。第9SS装甲師団+第3降下猟兵師団は、第14騎兵グループをようやく除去し、突破モードでさらに前進したものの、すでにマルメディにはアメリカ第3機甲師団が到着しており、(支援砲撃も無い状態での)突破攻撃は断念した。第12SS装甲師団の目前にも、アメリカ第5機甲師団が立ちはだかっている。

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一方、装甲教導師団+第2装甲師団コンビも、バストーニュへ前進しているが、こちらも遅々として進まない。 さらに南では、ルクセンブルグへ向かった第352国民擲弾兵師団の攻撃が失敗。同じく第272国民擲弾兵師団に至っては、アメリカ軍分遣連隊相手に逆奇襲6シフトをくらって2ステップロスというていたらくである。

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第2ターン裏。連合軍は、北から南へ機甲戦闘団による防衛線を張り、その背後に予備モードの砲兵部隊を並べて阻止砲撃の準備も万端……

というあたりで、感触はつかめたので、今回はお開き。まあ、恐らくこのまま続けても、史実のような大突破はかなり難しそうだ。先にも書いたが、連合軍増援のやりくりが史実より自由なため、さっさと余っている部隊をかき集めて、ドイツ軍突破口を塞げば、それで決着が着くような気もする。バストーニュはともかく、マルメディすら落とせないとはドイツ軍として情けないが、特に陰謀ルールの無いOCSでバルジを表現するとこうなるのかと。

いや逆に考えれば、むしろこれは『もし連合軍が手持ちの予備を全部フリーハンドで使えたら?』という稀有なIfシミュレーションになっていると思う。連合軍にしてみれば、ジークフリート線の向こうに隠れているドイツ軍の装甲予備がごっそり、わざわざその防御線から出てきてくれるのだから、むしろ有り難い状況と言えるかもしれない。当時、アルデンヌ攻勢を知ったパットン将軍が『ドイツ軍は肉挽き器の中に頭を突っ込んだようなものだ』と言ったそうだが、確かにそうなのだ、この攻勢を逆に活かせば、ドイツ軍の装甲予備をまるごと撃滅できるのだから。そういった視点でプレイすると、このシナリオも面白いと思う。また挑戦してみよう。