田村尚也氏が「歴史群像」に連載されていた「各国陸軍の教範を読む」が、加筆されて一冊にまとまって出版されたので早速、購入してみた。本書は、ドイツ軍、フランス軍、ソ連軍、日本軍の用兵思想から、その教範を比較し、行軍・捜索・攻撃・防御にどのような差異があるのかを解説したものになっている。
本書で解説されている教範を、ウォーゲームで再現するなら、作戦・戦術級レベルのゲームになると思うが、本書を読んだうえで、ドイツ軍を受け持っているプレイヤーが『よし、俺はドイツ軍の教範を読んだ士官として、このゲームを動かそう』とするのも面白そうだ。
結局、自分という人間も、戦後生まれの日本人なので、ウォーゲームをプレイする際にも、どこかに「戦後生まれの日本人」という部分が表れるかもしれない。「当時の軍事教育を受けたドイツ軍人」が絶対にしないような行動をするかもしれない。しかし、こういった書籍から知識を得て、なんとなく『たぶん当時のドイツ軍人ならこうしたかもしれないな』という縛りを課すという、ある種のロールプレイング的な模擬実験もありかなと。もちろん教条主義的に、こういった戦闘教義に従い過ぎる必要もないとは思うし、ウォーゲームの勝敗で言えば、むしろ負けてしまう可能性もあるだろうが、そういった接し方ができるのも、模擬実験(シミュレーション)の楽しい部分だと思う。