GMTのCOINシリーズ「A Distant Plain」を購入。COINとはCountrer-insurgency=対ゲリラ活動、治安戦の略。本作は、現代アフガニスタンを舞台とした、多国籍軍、新生アフガニスタン政府、タリバン・ゲリラ、アフガニスタン国内の軍閥の四つ巴による権力闘争マルチ・プレイヤーズ・ゲームである。COINシリーズは、すでにニカラグア内戦を扱った「Andean Abyss」、キューバ革命を題材にした「Cuba Libre」が発売されているが、あいにくそちらには食指が伸びなかったものの、本作の登場と、来年発売されるであろうヴェトナム戦争をテーマとした「Fire in the Lake」に惹かれて購入を決意した。
厚手のハードボード・マップにはアフガニスタン国内が描かれ、エリアで区分されている。また国外エリアとして隣国パキスタンもあり、ここがタリバン・ゲリラの温床ともなっている。
多国籍軍と新生アフガニスタン政府はCOIN側、タリバンと軍閥はゲリラ側と称される。四つの勢力は、それぞれ勝利条件が異なる。多国籍軍であれば、人的損害を可能な限り抑えたうえでアフガニスタン国内に支持を広げることである。タリバンは、アフガニスタン国内に基地を建設し、COIN側への不支持を広めれば勝利できる。新生アフガニスタン政府は、多くの人口を支配し、パトロネージと呼ばれる私腹ポイントを貯めれば勝利。軍閥は、COIN側にもタリバンにも支配されていない人口が多く、リソースと呼ばれる資金が多くあれば勝ちである。
この勝利条件を「裏読み」するならば、多国籍軍は勝利条件さえ整えばさっさとアフガニスタンから撤兵してもよく、タリバンは1駒残らず殲滅されたとしてもアフガニスタンの民衆がCOIN側を支持していないなら勝利できる。新生アフガニスタン政府は、支配している人口が自分たちCOIN側を支持しているかどうかなど関係なく、軍閥はアフガニスタン国内が無政府状態に近くなればなるほど勝利に近づく。ある意味、非常にドライでブラックユーモア的な勝利条件であり、だからこそ四つの勢力が直面するアフガニスタンの混沌とした情勢が理解できるとも言える。
ゲームの進行には、共通のカードを用いる。各手番では、現手番のカードと、次の手番のカードが公開され、それを見たうえで、どちらのカードのイベントを使うか、あるいはパスして何らかの行動を行うかを考えさせられる。ただし各カードには、イベントをプレイできる順番が記されており、先手の勢力にイベントをプレイされてしまったら、後手の勢力はもうイベントをプレイできず、他の行動を行うしかない。また先の手番でイベントをプレイした勢力は一回お休みとなるため、連続してイベントを行うことは基本的に出来ない。「今」と「次」。2つのカードをよく勘案して、何をすべきか判断を求められる。しかし「次の次」は公開されないため、そこで実行したいイベントが出てきても、プレイできない……と云った事態もままあるだろう。
自分はこういったゲームにはあまり惹かれないと思っていたが、なぜか本作に関しては強く興味を覚えている。システムは独特だが、飲みこんでしまえばプレイするのは難しくないはずなので、早速遊んでみたいと思う。
※追記:2014/04/07 C3iに捕捉されました。