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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Age of Muskets】「Tomb for an Empire」 Arapiles Battle Scenario Solo-Play AAR

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「Tomb for an Empire」のルールをほぼ読み終った。早速、野戦ディスプレイだけを用いるアラピレス会戦シナリオをソロプレイすることに。決戦自体は、1812年7月、サラマンカ付近においてマルモン元帥率いるフランス軍が、ウェズレイ麾下のイギリス軍を攻撃したものの撃退されたと云う一戦である。これをAge of Musketsシステムで表現するとどうなるか、簡単にご紹介しておこう。

※実際の部隊配置はユニットを裏返し、その数値等を隠してプレイするが、分かり易いように写真ではユニットを表向きにしている。

まず戦力比較。

フランス軍は、歩兵43戦力、騎兵3戦力。

イギリス軍は、歩兵43戦力、騎兵4戦力と、ほぼ互角。

フランス軍司令官マルモンは、作戦指揮値15、士気修正-1、イニシアチブ7、戦術修正+2。

イギリス軍ウェズレイは、作戦指揮値18、士気修正-3、イニシアチブ7、戦術修正+3。

この辺りの差も、さほど開いていないかに見える。

まず両軍とも中央セクションに丘陵オーバーレイ(防御効果あり)を配置。次に両軍司令官は、それぞれのイニシアチブ値にd10の出目を足す。多い出目の司令官は、側面攻撃チットが使用できる。今回はマルモン元帥が側面攻撃チェックに成功。両軍とも丘陵のある中央は避け、両翼に戦力を集中。 続いて戦闘臨界値(ほぼユニット数)の決定。フランス軍10、イギリス軍11。自軍兵站から戦場ゾーンまで連絡線が引けていない場合、この臨界値は2下がる。各ラウンド毎に勝敗を決し、敗北した側の死傷値は2ずつ上がっていく。死傷値が臨界値に達すると全軍敗走となる。つまりフランス軍は、5回敗北すると死傷値10となるため、最速の場合、表裏2.5ラウンドで決着する。

続いて作戦チットを選択。司令官はイニシアチブ値に等しい数の作戦チットを引ける。マルモンは、突撃4枚、側面攻撃1枚、回復1枚、撤退1枚を引いた。ウェズレイは、突撃4枚、回復2枚、撤退1枚を引いている。ここで引いたチットが、この決戦で行える行動となる。

次は作戦指揮チェック。司令官が野戦全体をコントロールできたかどうかを判定する。2d10を振り、司令官の作戦指揮値以下ならば成功。ウェズレイ(作戦指揮値18)はこれに成功しし、ダイス+1。失敗したマルモン(作戦指揮値15)は戦闘ダイス-2。ここまでが決戦前の段取りである。

さて第1ラウンド表。フランス軍の手番。各手番では、戦闘チット1枚が使える。フランス軍は、右翼セクションに突撃チットを使用。双方1d10を振り、戦術、戦力比修整などを加えて、大きい方が勝利。 最初の戦闘ではフランス軍が敗れ、ダイス差5以上のため1戦力除去。死傷値2上昇となった。続けてマルモンは、イニシアチブ判定に成功し、2枚目の連続チット使用に成功した。マルモンは同じく突撃チットを右翼セクションに使ったがこれも敗れ、さらに1戦力除去。死傷値は4に上がった。

続いて第1ラウンド裏。イギリス軍の手番。ここで手番のパスも選択できるが、d10を振って司令官のイニシアチブ値以上が出てしまうと、チット1枚を失ってしまう。また両軍パスが続いた場合は引き分けとなり、野戦終了。ウェズレイは、左翼セクションに突撃チットを使用。先ほど攻撃失敗したフランス軍右翼を攻め、攻撃成功。フランス軍はまたも1戦力を失い、死傷値が6に上がった。ウェズレイは追加チット判定をせず、防戦の構え。この戦闘ラウンドは、両軍のチットが尽きるか、戦闘臨界に達するか、どこかのセクションが全滅するまで行われる。

第2ラウンド表。フランス軍手番。フランス軍左翼セクションが突撃チット使用。こちらはダイス目が等しかったためドロー。連続突撃もドロー。

第2ラウンド裏。イギリス軍手番。イギリス軍右翼セクションが突撃チット使用。イギリス軍が敗れ1戦力除去、1部隊混乱、死傷値2。

第3ラウンド表。フランス軍手番。フランス軍が側面攻撃チットを使用。予備セクションの騎兵2ユニットで攻めるも、フランス軍敗退。マルモン元帥はイニシアチブ判定に失敗し、連続チット使用ならず。

第3ラウンド裏。イギリス軍手番。イギリス軍も騎兵部隊に突撃チット使用。 攻撃は成功し、フランス軍死傷値は臨界値10に達し敗走……。イギリス軍は騎兵3戦力を用いて追撃。追撃は、勝利側の騎兵戦力と、敗走側で交戦していない騎兵戦力を差し引いて判定する。結果は3戦力×300%で、追撃されたフランス軍はさらに9戦力を失った。この追撃で失われた損失は、キャンペーンゲームにおいては恒久的な除去として扱われる。またベテランより一般兵、一般兵より新兵が優先して除去される。勝利側は戦闘で失った戦力の20%を、敗走側は損失の40%を恒久除去として、残りの損失は落伍兵として盤上に残る。これがキャンペーンゲームであれば、敗走側は1ゾーン(エリア)退却し、1アクションポイント(ゲームでの行動力)を失う。

と、こんな感じで野戦だけでもミニゲームのようになっている。作戦指揮チェックによって司令官がそれぞれの戦いで実力を発揮できるかどうか未知数なのは面白い。戦闘ラウンド中よりも、敗走決定後の騎兵追撃で損害が多く出るのも、いかにもナポレオン戦争らしい。

問題なのは、やはり戦力マーカーだろうか。ベテラン、新兵に区別されてないため、 別途、等級マーカーを用いるか、記録シートに書き込む必要がある。 どちらにしろ面倒くさいのが難点だ。これは別途、戦力マーカーを自作するべきだと痛感した。