Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

Command Magazine 「アジアン・フリート」

f:id:crystal0207:20220423160504j:image

今日は「アジアン・フリート」が到着。かつてVG社から発売されていた艦隊シリーズの21世紀極東版。元々は同人ゲームだったが、去年の冬コミで買い逃してしまった。フルマップ2枚、カウンター約800個、チャート多数を含むなかなかのボリューム。

※追記:2007年に購入した後、2014年ぐらいにいったん売却。そして2022年4月21日、いつも巡回している古書店サイトに本作(未切り離し)が入荷していたので、思わずぽちってしまった。ウクライナ戦争でロシアの巡洋艦モスクワが撃沈された直後に、また本作を入手したのは、どういう因縁なんだか……

f:id:crystal0207:20220423160515j:image

フルマップ2枚の地図盤は、日本列島から台湾海峡をカバーしている。2007年発売当時も紛争の熱が高まっていたが、あれから15年経った2022年も、いまだにその熱はおさまっていない。※以下「台湾侵攻」シナリオの公式リプレイ。

https://commandmagazine.jp/other/best/009/image/af-replay01.pdf

登場するユニットは、日米中台朝韓露の各国軍である。前作とも言うべき「第7艦隊」発売から、すでに20年が経過し、冷戦時代の主役ソ連はロシアに名を変えて生き残ったものの、収録されたシナリオには出番がまったく無く、時の流れを感じさせる。もっとも、ウクライナ戦争が始まった今2022年としては、ユニットをアップデートすれば、むしろロシアの脅威を検証するキットにもなり得るかなと。ちなみに対ロシアのシナリオは、後に発売されたコマンドマガジン77号に掲載されている。

f:id:crystal0207:20220423160536j:image

ソ連軍に代わって台頭したのが中国軍。艦艇の数が多いうえ、ロシア製高速対艦ミサイルや防空システムも導入し、なかなか手強そうだ。いやしかし、ウクライナ戦争での巡洋艦モスクワ撃沈を見るに、この手の艦船のダメージコントロール能力(このシリーズで言うところの防御力)を見直した方がいいのかも。

対する海上自衛隊には「第7艦隊」未収録のイージス艦も登場。オマケユニットの正規空母名が「うねび」ってのは縁起悪いですな…… (明治時代にフランスで建造され、日本回航途中に行方不明になった軍艦と同名)。アメリカ軍には弾道ミサイル迎撃艦「シャイロー」があり、空を見上げりゃF22ラプター、B2爆撃機、F117ブラックホークとステルス三昧。 航空自衛隊にもF22ユニットが用意されているが、実際買えるんだかどうだか。※……と書いたのは2007年当時。結局、自衛隊はF35を購入した。そして2011年には、デザイナー篠原氏による日米軍ユニットのアップデート・モジュールが同人版として発売された。

f:id:crystal0207:20220423160545j:image

こちらは韓国、台湾、ロシア、北朝鮮ユニット。2007年発売から15年経った今でも、このあたりで揉めている現実に目眩がする……

f:id:crystal0207:20220423160555j:image

f:id:crystal0207:20220423160604j:image

システムは旧来の艦隊シリーズを踏襲しているが、「第3艦隊」で用いられたセグメント毎に活性化プレイヤーを決めるのは不採用。やはり一方が連続活性化するのは、ゲーム的に危険なのかもしれない。また戦略航空任務におけるAWACSルールが追加され、 さらに選択ルールとして「長距離空対空戦闘」もあり、目視外から長距離ミサイルを発射する最新鋭機にも対応している。コンポーネントも総じて使いやすくなったと思う。 以前は地図盤に各種ディスプレイが載っていたので、シナリオで使わないマップも必要だったが、「第3艦隊」同様にディスプレイ類は別紙化されている。VG社版では味気なかったマーカー類も、イラストが描かれててグッド。 タスクフォース・マーカーとか、他のシリーズにも流用できそうだ。