Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの置き土産

【Battalion Combat Series】「Brazen Chariots」Operation Skorpion Solo-Play AAR

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2ヶ月前に購入した「BCS:Brazen Chariots」のカウンターを、ようやく切り離し完了。まあBCSシステムそのものに関しては、もう自分的評価は安定しているし、今さら面白さを確かめる必要もないので、ついつい後回しにしてしまった。とは言え「Brazen  Chariots」に触れていないのもマズイので、まずは入門者向けシナリオ「Operation Skorpion」から味見を。

本シナリオは、1941年5月26日~27日にかけて、ドイツ第15装甲師団が、イギリス第22近衛旅団が籠もるハルファヤ峠の奪取を狙うというもの。ハルファヤ峠近辺には、イギリス軍歩兵大隊2個、マチルダ戦車大隊(ただし1ステップのみ)があり、南からはイギリス第7機甲師団第7機甲旅団(戦車大隊1+歩兵中隊3)が迫っている。また27日には、さらにイギリス軍予備部隊(歩兵中隊3)も来援する。

これに対してドイツ軍は、Wechmar戦闘団(偵察大隊✕2)でスクリーンを展開し、第7機甲旅団を牽制しつつ、Herff戦闘団(III号戦車大隊2、ただし合計3ステップのみ)でマチルダ戦車大隊を抑え、第15装甲師団本隊(歩兵大隊1+オートバイ歩兵大隊1)でハルファヤ峠を攻めることになる。

期間は2ターン(2日)のみ、ハーフマップ、両軍3フォーメーションのみと、規模的にもお手頃だし、歩戦共同による目標地点奪取という基本的な作戦行動をBCSで学ぶにはちょうど良いシナリオだと思う。 

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さて第1(5月26日)ターン。攻めるドイツ軍は活性化ダイスが振るわず、 Herff戦闘団のIII号戦車隊は、英軍マチルダ戦車隊に接近したのみ。第15装甲師団本隊も、ハルファヤ峠に籠もる英軍大隊(6ステップ)を2ステップ削ったのみ。両軍とも、非常におとなしい展開となった。

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続く第2(5月27日)ターンは、打って変わって激しい展開に。まずドイツ軍Herff戦闘団が、III号戦車1ステップを犠牲にして、マチルダ戦車隊を除去。残ったI/8戦車大隊は、第2活性化でイギリス軍後方に向かい、第22近衛旅団本部とその補給段列ヘクスに突入。双方は、別ヘクスに転送されたものの、協調(Coodination)をくらうこととなった。

しかし返す刀で、イギリス第7機甲旅団が、Herff戦闘団司令部ヘクスに突入し、これを後退させ、I/8戦車大隊を指揮範囲外に孤立させた。まあ、孤立による損耗判定は、このシナリオ範囲外の第3ターンになるので、今回は無問題だが、お互いの前線司令部を踏み潰し合うという、いかにも北アフリカな展開に。

そして第15装甲師団本隊は、二度の活性化でハルファヤ峠を攻め、これを奪取。しかしイギリス軍も、増援部隊を送り込み、オートバイ歩兵大隊を後退させ、ハルファヤ峠へ攻撃開始。ところが、ハルファヤ峠にしがみついたドイツ軍歩兵大隊の最終1ステップが削りきれず、シナリオ終了。峠を占拠したドイツ軍の勝利と相成った。

たしかに、入門向けには良いシナリオだと思う。その分、すでにBCSに慣れているプレイヤーには、ちと物足りないボリュームだが、その役目はバトルアクス作戦シナリオなり、クルセイダー作戦シナリオが担ってくれるだろう。個人的には、ようやくプレイ準備も整い、ひと安心と……。

【Advanced Squad Leader】「ASL Starter Kit #4」

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ASLの新作「ASL Starter Kit #4」をクロノノーツゲームさんから購入。#1が基本の歩兵戦闘、#2が砲兵器、#3が戦車と来て、この#4は太平洋戦線編。しかし#1~#3までが価格30ドル前後だったのに、突然この#4が65ドルなのは、何故なのか。コンポーネント的には、前作とさほど変わらない量なので、なんとなく値上げ感もある(いやむしろ#1~#3が安すぎたとも言える)。 

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カウンターシートは、2枚。SKシリーズでは初お目見えとなる、アメリ海兵隊と日本軍が登場。もちろん日本軍の分隊カウンター裏は、本家ASL同様、混乱面は無く、ステップロスして戦闘を継続するという、ある意味、規格外の扱いになっている。万歳突撃ルールも入っているので、ASL日本軍の独特さがSKでも味わえそうだ。ちなみに本家ASL太平洋戦線モジュール「Rising Sun」には中国軍も入っていたが、そちらは割愛。

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地図盤は、3枚。第一印象としては、太平洋戦線ではなく、一般的なヨーロッパ戦線の地図盤に見えてしまった。「Rising Sun」に入っている地図盤、特に34、36、39、47あたりは、森と川と高地(場合によっては田んぼ)が入り組んだ地形で、それが太平洋戦線の面倒臭さを再現していたのだが、こちらは、地形的にも、入門者向けにマイルドなものになっている。一応、このSK#4にも太平洋戦線の地形ルールは入っているが、それがASL太平洋戦線のハードルを上げている一因でもあるので、地図盤をシンプルにしたのは、賢明な判断だなと。

収録された8本のシナリオも、いずれも規模が小さく、戦車が出てこず、砲兵器も迫撃砲だけというシナリオが4本ある。ASLの太平洋戦線シナリオも、なかなか小振りなモノが少ないように思うので(などと言うとASLマニアから、あれがある、これがあると言われそうだが)、ちょっと日本軍を試してみたい時には、このSK#4で済ませてしまえるのは、ありがたい。

とは言え、実際このSK#4をやるかと言うと、それよりは死蔵中の、ヒストリカルASLのガダルカナル戦か、グロスター岬戦か、嘉数高地戦に挑戦したいところ。もちろん日常的に遊ぶなら、断然SK#4だが……

【C3 Series】Less Than 60 Miles

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イタリアの振興メーカー、Thin Red Line Gamesの新作にして、C3シリーズ第1弾「Less Than 60 Miles」を購入。このThin Red Line Gamesは、昨年2018年に、デビュー作「1985:Under an Iron Sky」を発売したが、それがなんと、かつてSPIから発売されていた1980年代の仮想・第三次世界大戦ゲーム「The Next War」を今風のグラフィックでリメイクした作品だった。

それに続くメーカー2作目となるこの「Less Than 60 Miles」は、やはり同じく1985年想定の第三次世界大戦モノだが、一応オリジナルシステム……しかしルールを読んでみると、どう考えてもSPIの「Central Front」シリーズと「NATO Division Commander」のハイブリッド=魔合体のような作品だったので、ついつい手を出してしまった。このC3シリーズも「Central Front」シリーズ同様、全5作で欧州中央戦線をすべてカバーするらしい。ああ、もう所有ウォーゲームはWWIIモノだけに限定しようと思っていたのに、冷戦真っ只中の1985年当時に青春を送ったウォーゲーマーとしては、こんなモノを出されて買わないワケにはいかなかった…… 

C3シリーズ5作の連結図:https://trlgames.com/wp-content/uploads/2019/01/CFP-v2.jpg

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さてそのC3シリーズ第1弾「Less Than 60 Miles」は、欧州中央戦線のまさにど真ん中、東西国境線の、いわゆるフルダ峡谷から西ドイツの大都市フランクフルトへ向かう戦域を扱っている。まさにSPIがかつて発売していた「Fulda Gap」「Fifth Corps」「NATO Division Commander」が扱っていた地域であり、当時ベストセラーとなったジョン・ハケット著「第三次世界大戦」も、このフルダ峡谷でのアメリカ第11機甲騎兵連隊の戦闘シーンから始まるのは、当時を知る80's現代戦ウォーゲーマーならご存じのはず。 

第三次世界大戦―1985年8月 (サラ・ブックス)

第三次世界大戦―1985年8月 (サラ・ブックス)

 

ヘクススケールは、1ヘクス=5km。マップは1枚のみだが、通常のA1サイズよりやや横に長い。恐らく地図盤西端に、ワルシャワ条約軍の目標であるライン川を収めるためだろう。

ちなみに自分がウォーゲームに入門して2番目に買ったのがSPI「NATO Division Commander」なので、懐かしい地名を見つけて『Flitzlarよ、私は帰ってきた!』と叫びたくなる衝動に駆られた(^_^;) 

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想定としては、例の如く、ソ連を主体とするワルシャワ条約軍が西ドイツに侵攻し、それをNATO軍が迎え撃つもの。攻めるワルシャワ条約軍中央軍集団には、ソ連第1親衛戦車軍、ソ連第8親衛機械化軍、東ドイツ第3軍などが登場。守るNATO軍は、アメリカ第5軍団管轄として、アメリカ第3機甲師団アメリカ第4・第8機械化歩兵師団、アメリカ第11機甲騎兵連隊、西ドイツ第5装甲師団などが登場。

そう言えば中学1年生の時に「NATO Division Commander」を買った際、タイトルに「NATO」と入っているから、きっと西ドイツ軍やイギリス軍も入っているだろうと思ったら、米ソ軍のユニットしか入っておらず、酷くガッカリした思い出がある。ああ、当時の自分が求めていたモノは、まさにこれだよ…… 

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ワルシャワ条約軍ユニットは、主力部隊が連隊、支援部隊が大隊規模。1985年想定ということで、ソ連軍のカテゴリーA戦車師団は、当時新鋭のT80戦車を装備。モーター・ライフル師団はT72かT62戦車、東ドイツ軍はT55戦車という感じ。支援部隊として、スカッドB地対地ミサイル、Mi24ハインド戦闘ヘリコプター部隊もあり。

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NATO軍ユニットは、ほとんどが大隊規模で、戦闘ヘリコプター部隊が中隊規模になっている。こちらも1985年想定なので、当時新鋭のM1エイブラムズ戦車は、アメリカ第11機甲騎兵連隊には配備されているものの、アメリカ第3機甲師団は、まだ換装が済んでおらず、一部の戦車大隊はM60A3装備になっている。AH64アパッチ戦闘ヘリもまだお目見えしていない。また西ドイツ軍装甲師団も、レオパルト2とレオパルト1A3が混在している。

こういった戦闘ユニットは、それぞれ規模に応じた損耗限界(Attrition Limit)=損害や疲労の吸収度があり、連隊なら5、大隊が4、中隊が3、ヘリ部隊は規模に関係無く5となっている。SPIの「Central Front」シリーズは当初、連隊だろうが中隊だろうが損耗度が一律に設定されていて、1個中隊が妙に粘る展開もあったが、後期の作品では規模毎に損耗度が変更されたので、それに倣った形か。

そう、基本的にユニットの動かし方は「Central Front」的であり、各スタック毎に12行動力を持ち(強行軍を行えば+3行動力)、その行動力の範囲で、移動・戦闘を自由に組み合わせるもの。つまり6行動力で移動し、3行動力で攻撃をかけ、また3行動力で移動し、強行軍+3行動力でまた攻撃できるわけだ。もっとも「Central Front」シリーズでは、両軍が1スタックずつ交替しながら動かしていたが、この「C3」システムでは、一方がすべてのスタックを動かし終わったら、相手側に交替する仕組みになっている。

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その一方、「NATO Division Commander」からは、戦闘ユニットの態勢(Posture)システムが導入されている。各戦闘ユニットには「攻撃力-防御力」が記されているが、現状の態勢によってその能力は上下する。たとえば「全力攻撃(FASL)」態勢なら攻撃力+2、防御力+3だが、砲爆撃が+1当たりやすくなる。ちなみに態勢は「路上行軍(ROAD)」「戦術(TAC)」「攻撃(ASL)」「機動攻撃(MASL)」「全力攻撃(FASL)」「防御(DEF)」「定点防御(RDEF)」「積極防御(ADEF)」「警戒(SCR)」「偵察(REC)」「射撃&移動(S&S)」「砲撃(BARR)」「近接支援(CSUP)」「ヘリコプター(FARP)」「司令部展開(DEPL)」「司令部移動(MOV)」「補充(REFT)」の17種類。

この17種類の態勢は、大きく3つの移動モード……「行軍」「戦術」「展開」に分かれており、それぞれ移動や戦闘などの消費コストが異なっている。

また、どの態勢からどの態勢へ移れるのか、移れないのか、態勢を変更する場合、どれだけの時間がかかるのかも定められているあたり、ああ「NATO Division Commander」だなあと。

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また上位組織の命令は、TCS(Tactical Combat Series)を彷彿とさせるものになっている。いやそれとも「NATO Division Commander」も、こんな感じだったっけ?(もう処分したので確認できない)。

両軍とも、司令部の指揮範囲内にある部隊に、移動・攻撃・防御・補充・再編といった命令を出すのだが、それぞれ規模ごとに、必要な指揮ポイントや、それを伝達する時間、展開する時間が異なっている。簡単に言えば、大規模部隊の命令実行には時間がかかり、小規模部隊の命令実行は早く済む。ただし、指揮系統が混乱していたり、前線で部隊が拘束されていると、その命令が遅延する。 

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さらに各ターン毎に引かれるイベントカードもあり。空爆や特殊部隊作戦、暗号解読、司令部の捕獲、作戦地図の入手などなど。 

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ここまで書いただけでも、かなり詳細なゲームシステムだが、戦闘ひとつ解決するにも、かなりの要素を算定しなければならない。戦闘自体は、両軍ユニットの能力値を差し引いて見るが、それに対して砲爆撃とヘリコプターをどれだけ支援させるか、目標をどれだけ探知できているか、対空射撃で航空支援がどれだけ阻害されたか、電子戦の影響はどうかも判定し、場合によっては、化学兵器核兵器も使用される。

ユニットスケールとしては、よくある連隊/大隊級なのだが、1ターン=3時間なので、短時間でどれだけの行動が行えるかにも、こだわったシステムでもある。このあたり、ゲームデザイナーが「OODAループ」(相手より早く意思決定プロセスを回すことで、作戦テンポを高速化し、相手の思考・行動をマヒさせる)の再現を目指しているようだ。つまり、物量に優るワルシャワ軍は、それだけ部隊規模が大きいため、命令変更や実施にも時間がかかるが、NATO軍は、小規模ながらも、より柔軟に戦うことで対抗する、という場面を再現したいのだろう。

たしかに1980's現代戦作戦級ゲームとしては、ワルシャワ軍の梯団攻撃に対して、NATO(アメリカ)軍のエアランドバトル構想、運動戦理論が本当に通用したのか、というあたりまで再現してもらいたい。そういう意味では、かなり明確なテーマを持った作品だが、実際にプレイしてどうなるかは未知数。

シナリオは3本、キャンペーンは2本収録。まずは一番短い「The Eleventh Hour」(開戦当初の11時間を扱う・5ターン)シナリオから触れてみたい。ありがたいことに、すでに日本語訳ルールも入手したので(馬場夫さん、ありがとうございます)、近いうちに是非プレイしたい。

※7/3追記:日本語訳ルール、公開されました。

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【The Second World War】「TSWW : Day of Infamy」Climb Mt.Niitaka English AAR

先日「Day of Infamy」「Climb Mt.Niitaka」をプレイしたことを、TSWWのYahoo ! グループに投稿したところ、参加者の大半が欧米の方だったので『これを英語で読みたい』と言われ、Google 翻訳を頼りに、試しに作ってみました。無料ですので、どうぞ。

When I posted that I played "Day of Infamy" "Climb Mt. Niitaka" to the Yahoo! group of TSWW, because of most of the that participants were English speakers, and they would like to read this in English. So, I tried to make a english AAR by relying on Google Translate. this AAR is free. enjoy !

【The Second World War】「TSWW : Day of Infamy」Climb Mt.Niitaka Solo-Play AAR Part.3

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「Day of Infamy」「ニイタカヤマノボレ」シナリオのソロプレイその3。1941年12月前半ターンの第2海上移動セグメントを終わって、ここから第3海上移動セグメント。真珠湾奇襲に成功した日本軍機動部隊だが、すでにこの時点で残燃料は75%である。真っ直ぐ日本に帰るにしろ、アメリカ軍空母部隊と戦うにしろ、この第3海上移動セグメントが終われば残燃料50%となり、次の第4海上移動セグメントの終わり(残燃料25%)には、油槽船団と合流して洋上補填を受けたいところだ。

しかしハワイ近海まで油槽船団を接近させれば、敵空母部隊から襲われる危険もあり、油槽船団を撃沈されれば、機動部隊本隊の生存も危うくなる。となると機動部隊も、いつまでもハワイ沖にいるよりは、さっさと日本へ向けて帰り、油槽船団と合流した方が良いのだろう。

とは言え、このままアメリカ軍空母を放置して帰るのも、いかがなものか。では、淵田美津雄攻撃総隊長が進言したとされる『どうせ帰るなら、中央航路を真っ直ぐ帰り、アメリカ軍空母と出会ったら、これを撃滅する』案を採択して、ミッドウェー方面に向かってみよう。

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第3海上移動セグメント。日本軍機動部隊は、ハワイ沖を離れ、ミッドウェー島方面に進み、アメリカ軍TF12(空母レキシントン)を索敵範囲に収めた。TSWWの空母索敵システムは、わざわざ索敵機をどこかに飛ばすのではなく、索敵任務に1スコードロンを充てたら(その索敵機カウンターは艦隊上に置いたまま)、索敵範囲内(1海上ゾーン以内)にいる敵部隊を発見したかどうか、判定する。基本的には、1d10を振って8以上が出れば「発見」だが、日本軍は海軍効率補正(NEM)による+2修正(1941年のみ)、空母機による+2修正(1942年5月まで)が得られるため、4以上なら「発見」できる。結果、ダイスは7で、日本軍機動部隊は、TF12を発見した。

また日本軍は、ハワイに帰投するであろうTF12の退路を阻むため、潜水艦も周囲に展開。TSWWの潜水艦は、2ステップなら半径1海上ゾーン、1ステップなら自身がいる海上ゾーンを範囲とする哨戒ゾーンを有し、これを通過する敵艦船を探知すれば、攻撃が行える。

早速、日本軍機動部隊は、TF12を撃滅すべく、戦闘空中哨戒(CAP)に零戦✕5を残し、攻撃隊(零戦✕4、九九式艦爆✕7、九七式艦攻✕9、総計276機相当)を発艦させた。しかし艦隊が索敵に成功しても、攻撃隊が敵艦隊を発見できるとは限らない。1d10を振って6以上なら敵艦隊を発見できるが、今回はダイスで8が出て、発見に成功した。このようにTSWWシステムでは、二段階の敵発見チェックが課せられる。

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まず護衛の零戦✕4スコードロン(13.8✕5=55.2機相当)が、空母「レキシントン」から迎撃に上がったF2A3バッファロー戦闘機(20機)と空戦に入った。零戦隊は、技量と物量に任せてF2A3隊を撃墜したが、負けじとバッファロー隊も、零戦1スコードロンを撃墜している。

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続いて攻撃隊の配分。まず第一目標の空母「レキシントン」(ヒットポイント6)には、艦攻✕3、艦爆✕4、総計96.6機を充て、次に3隻の重巡洋艦(ヒットポイント3)に艦攻✕2、艦爆✕1ずつを充てた。このあたり、実はルールには明確に書いていないが、FAQを読むと『航空攻撃を解決する前に、目標を宣言しなければならない』とあるので、結果次第で目標を変更するのは不可とした。

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これに対してTF12は、対空力(艦船カウンター左下の左の数値)合計13で対空射撃を開始。まだ1941年当時は、アメリカ軍に有利な対空修正も少なく(しかし戦争後期になるにつれ、凶悪なまでに進化する)、空母「レキシントン」を狙った艦攻1、艦爆2、重巡「シカゴ」を狙った艦攻2、艦爆1を妨害し、その爆撃力を75%低下させたにとどまった。

ちなみにアメリカ軍は、艦隊の全対空力を使用しているが、これは早くから輪形陣を採用したためである。一方の日本軍は、開戦当初は輪形陣を採用していないため、1943年6月ターンまでは、どれだけ艦隊に艦船があっても、対空射撃に使えるのは、主力艦+1巡洋艦+1駆逐艦までという制限がある。

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そして攻撃した結果、空母「レキシントン」に対しては、魚雷攻撃8回のうち3回命中して3ヒット、艦爆隊の急降下爆撃(爆撃力✕50%)9回のうち2回命中して2ヒット、合計5ヒットとなり、ヒットポイント6の「レキシントン」を沈めるにはあと1ヒット足らず、ぎりぎり大破で踏みとどまった。攻撃隊は17回、1d10を振って、6以上が出れば命中なのに、5回しか当たらないとは不甲斐なし。

一方、重巡洋艦3隻は呆気なく撃沈され、特に「ポートランド」と「アストリア」は、雷撃隊だけの攻撃で沈んでしまい、艦爆隊の出る幕無し。こんなことなら、余った艦爆隊も「レキシントン」攻撃に割り当てれば良かったと思っても後の祭りである。

また、北方の油槽船団は、機動部隊との合流地点に向かい、囮部隊の駆逐艦2隻は、ミッドウェー島へクスに入って艦砲射撃に備えたところで、日本軍の第3海上移動セグメントは終了。この後は、返す刀でアメリカ軍の第3海上移動セグメントとなる。

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しかし大破した空母「レキシントン」を擁するTF12は、もはやハワイに帰港するしかない。艦船は、被ったヒット数だけ移動力が低下するため、移動力8の「レキシントン」は移動力3に低下し、TF12も高速空母戦闘グループとして1海上移動セグメントに21海上ゾーンを移動できたのが、現状では通常速度の空母戦闘グループとなり、14海上ゾーンしか移動できない。そして日本軍潜水艦の哨戒ゾーンを避けて移動すると、第3海上移動セグメント内では、真珠湾に帰り着けないが、これも仕方ない。

ちなみに艦船の修理には、与えられたヒット+2d10ターンかかる。たとえば空母「レキシントン」が、第4海上移動セグメントに真珠湾に帰港し、次の1941年12月後半ターンから修理に取りかかっても、2d10で10と6が出れば、5+10+6=21ターン後、1942年10月に完全復旧するわけだ(燃料ポイントを消費して90%までいきなり修理を済ませる、応急修理ルールもあり)。

残るTF8(空母エンタープライズ)は、一応、日本の機動部隊へ接近し、航空攻撃をかけられる位置にあるが、たとえ索敵に成功し、攻撃隊を送り込めても、機動部隊上空にはCAPの零戦✕5が待ち構えており、それを突破できる見込みはほとんど無い。まだ1941年の時点では、技量的にアメリカ軍にとって非常に不利なため、ここで消耗するより、明けて1942年以降を待った方が吉と。だったら日本軍の油槽船団を襲えば……とも思うが、そちらはさらに遠く、TF8が第3海上移動セグメントで到達して索敵できる、ぎりぎり範囲外に位置している(それも日本軍は計算しないといけない)。

燃料的に考えても、史実での空母「エンタープライズ」は12月初頭にハワイを出航し、いったん帰港する途中なのだから、12月前半ターン、第1・第2海上移動セグメントで洋上を移動し、すでに残燃料は50%という設定のはず。その補給状態で、またミッドウェー方面まで出撃するというのも厳しい……ということで、このソロプレイも、ここで終了するのが宜しいかと。

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というワケで一応、TSWWの本格的っぽい空海戦シナリオに触れてみたが、今回のソロプレイですら、1ターンの中の海上移動セグメント2回分を進めただけに過ぎない。かなり濃密かつ詳細なシステムではあるけれど、より詳細なレベルのWWII空母戦ゲームに比べればシンプルだし(特に索敵)、個人的にはこれで十分だなと。戦略的には、海軍部隊の補給的な縛りで悩めるし、戦術的には、対艦攻撃プロセスに見られるようなダイスの振り合いも楽しめるし、なかなか上手い具合に出来ていると思う。

今回のソロプレイにしても、もし日本軍機動部隊が、空母「レキシントン」の発見にしくじり、逆に「レキシントン」「エンタープライズ」からの波状攻撃を食らったらどうなるのか、そしてもし日本軍の空母が損傷を受けたら、日本への帰路でどのような支障が生じるのか、を考えるのも楽しい。なんだかんだ言って、実は史実通り、真珠湾を一発奇襲したら、損傷を受けずにさっさと避退して、第二段作戦に備えるのがベストなんじゃないかとも思ったり。

そういった「戦争の模擬実験装置」という意味でも、今回のように、ほぼほぼ史実に近い戦果が出たうえ、現実的に可能な範囲での仮想状況も試せるのは、機能としてかなり良いなあと。このシミュレーション・マシンに『日本軍が上陸・占領したハワイ諸島に、アメリカ軍が逆上陸・奪還作戦をしかける』(シナリオQ:Never Fear, The Marines are Here!)を入れたら、どんな結果が出てくるんだろうと思ったり。 

またソロプレイはVASSALで進めたものの、傍には地図盤を広げて両軍の行動範囲をヘクスで数えたり、資料を眺めて『そもそも奇襲された時点で、空母エンタープライズは、どれだけ燃料を消費していたのだろう』とか調べたりと、まさに「ひとり図上演習」状態だった。いや、基本ウォーゲームはどれも「図上演習感」があるのだが、このTSWWは、自分が今までプレイした中でも、かなり「図上演習感」のあるシステムだった(次点はOCS)。まあ、さすがに重たいシステムなので、次から次へとプレイするのは厳しいが、少しずつ消化できればと思っている。 

また今回、プレイ中にさまざまな疑問が生じ、FAQも参照しつつ進めることになった。本来はルールに書いていないと困る事も多々あるので、「TSWW:Barbarossa」が発売されたら、新ルールを確認しなければ。いずれしろTSWW探求の旅は、まだ続く……

【The Second World War】「TSWW : Day of Infamy」Climb Mt.Niitaka Solo-Play AAR Part.2

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「TSWW:Day of Infamy」の「ニイタカヤマノボレ」シナリオその2。いよいよ1941年12月前半ターン、両軍の第2海上移動セグメントが終わり、機動部隊が真珠湾攻撃位置についたところから、という体で、このシナリオは開始される……のだと思う。本来は、第2海上移動セグメントの日本軍の手番が終わったら、アメリカ軍側の移動になるのだが、奇襲前に動かれても困るので、そこは割愛。真珠湾口にいる特殊潜航艇も、ミッドウェー島にいる囮部隊も、この時点では動かず、航空部隊による奇襲の後に行動することとしよう。 

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続いて手順的には、まず敵空軍基地への攻撃から解決しなければならない。日本軍は、九九式艦爆✕3スコードロン(今回の場合は、13.8✕3=41.4機相当)で、ホイーラー陸軍航空隊基地(収容力3)を攻撃した。

ちなみにシナリオ特別ルールとして、最初の5回の航空攻撃に対するアメリカ軍の対空射撃力は1/3に低下し、いかなる迎撃も受けない。6回目以降の対空射撃力についても1/2に低下するが、迎撃は受ける。3個ユニットをまとめたこの攻撃が、第1回目の航空攻撃と見なされ、アメリカ軍戦闘機による迎撃は受けないので、護衛機は付けていない。

アメリカ軍の対空射撃はいずれも空振りで、九九式艦爆隊は、作戦爆撃力(カウンター左下の左の数値)合計6を投下。敵空軍基地に対しては、3作戦爆撃力を投下する毎に1ヒットが自動的に与えられるため、今回は2ヒットとなり、ホイーラー基地の収容力は2低下して1となり、駐機してあったP40BトマホークとP36Aホーク戦闘機が、それぞれ1ポイントずつ航空補充ポイントを失った。また空軍基地へ2ヒットを与えたことにより、日本軍は勝利得点4を獲得。

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さらにヒッカム陸軍飛行場、エワ海兵隊飛行場にも、九七式艦攻✕各1が爆撃。こちらも対空射撃をかいくぐり、各作戦爆撃力3を投下。基地に1ヒットずつ与え、さらに勝利得点4を得て、合計勝利得点は8に。しかしあいにくヒッカムとエワの基地収容力がどこにも書いていない。ホイーラー基地の収容力(3)はFAQに書いてあったし、「Pearl Cityの収容力は1」という記述もあったのだが、今回はどちらも収容力1とし、ヒットを被ったことによって、両飛行場とも発進能力を失ったと仮定しよう。そしてこれが第2、第3の航空攻撃で、迎撃も受けないため、護衛機も付けていない。

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そして、いよいよ真珠湾港内にいる戦艦群に対する、九七式艦攻隊による魚雷攻撃である。港内には7隻の戦艦が在泊しているため、九七式艦攻✕7スコードロン(13.8✕7=96.6機相当)をすべて魚雷攻撃とし、1隻ずつに1個スコードロンを充てた。これもまとめて1回の航空攻撃とみなすので、迎撃は受けない。 

そしてTSWW基本ルールで、港湾内にいる敵艦船を航空攻撃する場合、港内にいる全艦船の対空力(艦船カウンター左下の左側の数値)を合計する。今回の場合、真珠湾港内にいる全艦船の対空力を合計すると72になるが、対空射撃解決表には最大でも「20+」までしかなく、特別ルールで低下させる場合は、対空力20の1/3(切り捨てで6)、1/2(10)として計算するそうだ。

しかし対空力6でも10でも、航空隊がステップロスを喰らうことはなく、たとえ「R*(帰還)」になっても、作戦爆撃の場合は、爆弾を投下して帰るため、ほとんど損害は出ないし、魚雷も無事に投下できるだろう(戦略爆撃の場合は、目標以外のデタラメな場所に爆弾を投下して帰還することになる)。

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そして対空射撃の結果、「R*」を被ったスコードロンもあったが、すべて魚雷の投下に成功している。対空力10で、最悪のダイス目を出されると「R」となり、魚雷力の75%しか投下できなかったが、そのような結果は出なかった。

ここから魚雷攻撃判定に入るが、簡単に言うと魚雷力の回数分、1d10を振って8以上なら命中。ただし 今回の艦攻隊は、すべてコードV(対艦魚雷能力あり)による港湾内の艦船への魚雷攻撃なので、修正+3が得られるため、5以上なら命中となる。命中後は、また1d10を振り、その数値を合計して5で割った数が目標艦船に与えたヒット数となる。さらにコードV航空機による、港湾内の艦船への魚雷攻撃は、そのヒット数をも2倍にし、追加でクリティカルヒットも与える。日本軍雷撃隊、恐るべし。

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そして雷撃結果。戦艦「ウエスバージニア」は、魚雷攻撃3回のうち2回が命中。その後に振ったダメージダイスは、6、5だったので、足して11。5で割って2ヒット。それを2倍にして4ヒット。さらにクリティカルヒット表で1d10を振り、追加2ヒット。合計6ヒットを被った。「ウエスバージニア」の防御力は8なので、ヒットポイントは6。つまりすべてのヒットポイントを奪われ、「ウエスバージニア」は撃沈された。他にも戦艦「オクラホマ」が撃沈。戦艦「カリフォルニア」「アリゾナ」「ネバダ」は、ヒットポイント5のうち4ヒットまで喰らったものの、撃沈とはならず、首の皮一枚残して大破。「メリーランド」と「テネシー」は、魚雷を一発も受けず、難を逃れた。日本軍は、戦艦2撃沈で10勝利得点、その他12ヒットで12勝利得点を獲得。

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さらに九九式艦爆✕5スコードロン(13.8✕5=69機相当)が、真珠湾の海軍基地を爆撃。こちらも迎撃は受けず(5回目の航空攻撃)、対空射撃もかいくぐり、作戦爆撃力10を投下。海軍基地は、4爆撃力を投下される毎に1ヒットを喰らうため、今回は2ヒットの被害となった。また2ヒットを被るごとに、港内で修理中の艦船にも損害チェック(d100)を判定しなければならない。その結果、駆逐艦「ショー」「シャレイ」が撃沈。重巡洋艦ニューオーリンズ」が追加1ヒットを被った。日本軍は、駆逐艦2撃沈で4勝利得点、1ヒットを与えて1勝利得点を獲得。

ちなみに駆逐艦「ショー」は、実際、真珠湾奇襲の際、乾ドックで攻撃を受け、弾薬庫が爆発しながらも、後に修理され、ガダルカナル戦に投入されている。

……というあたりで、この1941年12月前半ターン、移動フェイズ中の航空攻撃は終了。この後、地上戦闘フェイズが続くが、それはすっ飛ばして、突破フェイズに移り、また日本軍の移動、続いてアメリカ軍の移動になる。ある意味、日本軍の連続行動的になるが、まあ、この状況なら仕方ないかなと。そして日本軍としてはむしろ、ここから先どうするのか……史実通り、すぐさま日本に戻るのか、はたまた二次攻撃や、米空母の撃滅を狙うのかを考える必要があるが、それはまたPart.3にて。

【The Second World War】「TSWW : Day of Infamy」Climb Mt.Niitaka Solo-Play AAR Part.1

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「TSWW:Day of Infamy」の導入シナリオA「Climb Mt.Niitaka(ニイタカヤマノボレ)」をVASSALにてソロプレイ開始。タイトル通り、日本軍機動部隊による、真珠湾への奇襲攻撃を扱うシナリオである。プレイ自体は、日本軍による空襲から始まるが、シナリオの説明には『日本軍機動部隊が、どのようにしてハワイ近海まで到達したか』も書かれていたので、そのあたりから(ルール確認の意味も含めて)見ていこう。

まずTSWWシステムは、1ターン内に両軍4回ずつ海上移動セグメントがある。先攻ターンの移動フェイズ、先攻ターンの突破フェイズ、後攻ターンの移動フェイズ、後攻ターンの突破フェイズで4回移動する機会があるということ。1ターン=半月なので、1海上移動セグメント=3.8日だそうな。

そのため日本の機動部隊は、史実通り、1941年11月後半ターンの第4(最終)海上移動セグメントに単冠湾を出航し、続く12月前半ターンの第1・第2海上移動セグメントを費やして、真珠湾を攻撃距離に収める位置まで移動してきたことになる。史実でも、日本軍機動部隊は、攻撃地点まで11日間かけて到達しているので、3.8日✕3=11.4日というのは、妥当なスケールだなと。

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ここで日本軍機動部隊を見てみると、空母6隻を含むうえ、すべて戦術速度7(カウンター右下の数値)以上の主力艦・大型艦船・駆逐艦のみで構成されているため、海上任務グループの種別としては「高速空母戦闘グループ」となり、各海上移動セグメント毎に21海上移動ポイントが得られる。簡単に言うと、最初の画像にあった戦略地図上で21ヘクス=21海上ゾーン進めるということ。

しかし各艦船には、個別に戦略移動力(SMA、カウンターには表記されていない)という能力値がある。この戦略移動力は、各艦船が1海上移動セグメントでどれだけ海上ゾーンを移動できるかを表し、その4倍まで移動したら、その艦船の燃料が枯渇する。つまり事実上、艦船は、無補給の場合、まるまる1ターン分しか洋上にいられないということだ。しかもこの戦略移動力は、戦闘・索敵・洋上補給を行った場合に追加消費されるので、そのような行動を行えば、洋上に滞在できる時間も短くなっていく。ある意味、戦略移動力は、各艦船の行動限界を示す数値でもあるわけだ。

そして今回の場合、単冠湾からハワイ近海までの往路は59海上ゾーン(シナリオには57海上ゾーンと書いてあるが)なので、単純計算すれば、機動部隊の全艦船は、往復118海上ゾーンを移動するだけの戦略移動力が必要となる。しかし空母「赤城」でも、戦略移動力は30✕4=120しかなく、これはハワイまで行って帰って来れるぎりぎりであり、戦闘行動を行うだけの余裕はほとんど無い。また軽巡阿武隈」とすべての駆逐艦の戦略移動力は21に満たないため、部隊に随伴はできるが、他の艦船より燃料消費が速くなるという現象が発生してしまう。

この燃料問題を解消するため、日本軍機動部隊は、1941年12月前半ターン第1海上セグメントを終わった時点で(つまり2回目の海上移動を終えた段階で)、油槽船団(AO)から洋上補給を受け、再び燃料を満タンにして、さらに海上移動セグメント4回分の行動力=戦略移動力を再獲得したことになっている。ちなみにこの時点では、大半の艦船の残燃料は50%だが、先に述べた軽巡阿武隈」と駆逐艦たちは、残燃料40%ほどになっているはず……

……という計算を、本来はプレイヤー自身が計画しなければならないのだ。実際この作戦計画プロセスを確認しながら『俺は黒島亀人先任参謀か!』と言いたくなったが、このような渡洋侵攻作戦を計画するには、やはり綿密な計画が必要だし、海軍とて補給に縛られるのは当たり前。まあ、恐らく地中海や北海などの、航路が短い海軍作戦であれば、ここまで大変な思いはしなくても済むはず。 

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さて補給面で黒島参謀の気分を味わったあとは、母艦航空戦力を確認して、淵田美津雄攻撃総隊長の気分を味わってみよう。機動部隊に参加している航空母艦は6隻。各艦の航空機搭載能力は、カウンター下段中央に記してある。「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」は3スコードロン、「瑞鶴」「翔鶴」は4スコードロンを搭載可能。合計20スコードロン。TSWWでは、1スコードロン=約20機だが、史実で日本軍機動部隊が有していた航空機が約360機だったので、ここでは1スコードロン=約18機と数えるべきか。

しかしシナリオを読むと、日本軍は母艦搭載能力を超越して、全26スコードロンを有している。構成は、零戦二一型(A6M2)✕9、九七式艦攻(B5N2)✕9、九九式艦爆(D3A1)✕8。全360機とすれば、1スコードロン=13.8機。各空母あたり1スコードロンずつ多いことになる。どうやらTSWWからしても、史実での真珠湾奇襲はゲームシステム上、「規格外の戦果」だったようで、本来の20スコードロンでは、史実に近い戦果が出ないのかもしれない。何はともあれ、この26スコードロンで、ハワイ攻撃を検討してみよう。 

真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田美津雄自叙伝 (講談社文庫)

真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田美津雄自叙伝 (講談社文庫)

 

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先に示した戦略地図を拡大すると、日本軍機動部隊は、真珠湾の北方3ヘクス=3海上ゾーンに位置している。最も航続距離の短い九九式艦爆(航続距離15)に合わせると、ここまでハワイに近づかないと攻撃できないためである。また、洋上補給を終えた日本軍の油槽船団は、北方に避退しつつある(油槽船団は、高速空母戦闘グループより足が遅いため、先に日本に向かっている)。

一方、ハワイ諸島近海には、アメリカ海軍の空母「エンタープライズ」を含むTF8が展開し、ハワイとミッドウェー島の中間には、空母「レキシントン」を擁するTF12が展開している。またこのミッドウェー島には、日本軍機動部隊の避退を援護するため、駆逐艦「漣」「潮」から成る囮部隊も接近し、潜水艦戦隊(SSF)も展開している。

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さらにハワイ近海を拡大し、通常の地図盤スケールに入ろう。ハワイ沖では、TF8の他にも、砲撃訓練中の重巡ミネアポリス」や、警戒中の駆逐艦なども海上にある。また真珠湾に隣接するヘクスには、日本軍の特殊潜航艇も待機している。 

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TSWWのゲームスケールは、1ヘクス=15マイル(24km)なので、真珠湾ヘクス(PHC3915)には、アメリカ陸軍のヒッカム飛行場や、海兵隊のエワ飛行場まで含まれる。このすべてが、真珠湾ヘクスにスタックしているわけだ。物理的にはとても無理! やはりVASSALのようなツールがないと管理できんわ……

この「ニイタカヤマノボレ」シナリオでは、お互いに艦船・航空機・海軍基地・空軍基地に与えた損害を比較して決定する。最も得点が高いのは「空母の撃沈:10VP」であり、次点が「戦艦の撃沈:5VP」「海軍基地への1ヒット:5VP」なので、日本軍が狙うのも、そのあたりか。しかし、いくら26スコードロンもあっても、8隻もの戦艦と、真珠湾という海軍基地にすべてダメージを与えるのは厳しいだろう。また真珠湾ヘクスに隣接する、アメリカ陸軍のホイーラー飛行場(P40B✕3スコードロン、P40C✕1スコードロン等)も、奇襲後のことも考えると早期に潰しておきたい。

そう、シナリオの説明でも『南雲提督は、ハワイの海軍基地を徹底的に破壊もせず、アメリカの空母を撃沈しようともせず、さっさと避退した』『そのような提督の無益な決断や、さらなる日本軍の攻撃を検証するために、このシナリオはデザインされている』とあるので、1941年12月前半ターンいっぱいは……つまり第3・第4海上移動セグメントまでは、プレイすべきなのだろう。

アメリカ軍側としても、たとえ奇襲で戦艦なり真珠湾にダメージを被っても、日本軍の空母1隻を撃沈して、勝利得点差を詰めたいところだが、ハワイ駐留のアメリカ軍航空機には、対艦能力がほとんど無く、空母「エンタープライズ」「レキシントン」による索敵や攻撃もかなり厳しそうに思える……というあたりで、ソロプレイ開始。

ちなみにこれ、あくまで導入シナリオである!(Blogじゃなくて論文を書いている気分)