Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの置き土産

【参考文献】アルバート・C・ウェデマイヤー「第二次大戦に勝者なし (上下)」

第二次大戦に勝者なし〈上〉ウェデマイヤー回想録 (講談社学術文庫)

第二次大戦に勝者なし〈上〉ウェデマイヤー回想録 (講談社学術文庫)

 
第二次大戦に勝者なし〈下〉ウェデマイヤー回想録 (講談社学術文庫)

第二次大戦に勝者なし〈下〉ウェデマイヤー回想録 (講談社学術文庫)

 

柏の古書店にて、講談社学術文庫版の「第二次大戦に勝者なし(上下)」を再購入。以前、旧版(読売新聞社のハードカバー版)を持っていたが、処分してしまい、でもやっぱり要るなあということで、再び入手した。この文庫版もすでに絶版なので、定価以上の買い物となったが、まあ、仕方ない。

本書は、第二次大戦時のアメリカの戦争計画にも携わった、ウェデマイヤー将軍の回想録。しかし久しぶりに読むと、このウェデマイヤー将軍、マーシャル参謀総長の下でアメリカの動員計画そのものを立案し、戦争前のドイツ陸軍大学留学時代にはゲッベルスゲーリングなどナチスの要人にも会い、クラスメイトには後にヒトラー暗殺計画の実行犯となるフォン・シュタウフェンベルグ(当時)大尉がいて、イギリス出張ではチャーチル首相とも会い、英米カサブランカ会談にも同席し、オーストラリアではマッカーサー将軍に会い、ガダルカナル島も視察し、パットン将軍の参謀としてシチリア島上陸作戦にも参加し、ビルマ、中国戦線にも行くという、まるで戦争大河ドラマの主人公のように、第二次大戦の名場面、主要人物と巡り会い続けるという、なかなか数奇な運命をたどっている。彼を主人公にしたら、面白いドラマが作れるかもしれない。

しかし最初に読んだ時は、アメリカの戦争計画を立案したプロセスの方に驚いた記憶がある。枢軸側に勝つためには、アメリカとしては850万人の動員が必要であるとする「勝利の計画」は、その規模の大きさに目眩すら覚える。そしてそれが可能だというアメリカの国力にも。

【参考文献】ウィリアムソン・マーレー他「戦略の形成(上下)」

戦略の形成 上 (ちくま学芸文庫)

戦略の形成 上 (ちくま学芸文庫)

 
戦略の形成 下 (ちくま学芸文庫)

戦略の形成 下 (ちくま学芸文庫)

 

文庫化された「戦略の形成(上下)」を購入した。2007年に刊行されたハードカバー版は未読。 なぜ当時買わなかったんだろうなあ。その時は、予算的に、上下巻6千円がキツかったのかもしれない。いずれにしろ、ありがたい文庫化である。

本書は、複数の歴史家・戦略研究家による、さまざまな時代・国家の戦略の成り立ちを解き明かしたもの。ここで言う戦略は、あくまでもケースバイケースであり、その背景にあった、それぞれの国家の事情や経験、民族性、時代背景などを分析することで、なぜその時、その国家が、そのような戦略を有したのかを解説している。テーマとして採り上げられているのは、古代のペロポネソス戦争、ローマ対カルタゴ戦争から、中世の中国、近世のハプスブルグ家と多岐にわたるが、個人的に興味深かったのは、やはり第一次世界大戦から、第二次世界大戦へと続く中での、ドイツ、イギリス、アメリカ、ソ連、イタリア、フランスの戦略の変遷。これを通して読むと、第二次大戦の素地となった第一次大戦を理解することで、また第二次大戦の理解も深まると思う。まあ、自分も第一次大戦には疎いのだが、このあたり、地続き的に眺めておかないと、第二次大戦の各国の戦略の土台も理解できないのだろうなとは思う。

ちなみに今現在の我が家には、このレベルの政戦略が試せる第二次大戦ゲームは無い。断捨離する前は、いろいろ持っていたが、作戦・戦術レベルに絞ってしまったので……。ただ、もし今、第二次大戦の戦略級ゲームをするとしたら、GMTの「A World at War」(Advanced Third Reich + Empire of the Rising Sunのアップグレード版)と、大戦前のヨーロッパの政治状況を扱う「Gathering Storm」かなあと思う。同じくアジアの政治状況を扱う「Storm over Asia」もプレオーダーに上がっているし、魅力的なのだが、「A World at War」はルールの分量が凄まじくて、ちょっと太刀打ちできなさそうだ。

【Company Scale System】「The Little Land : The Battle of Novorossiysk」Operation Gory Solo-Play AAR

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引き続き「The Little Land : The Battle of Novorossiysk」シナリオ3「Operation Gory」をソロプレイ。このシナリオは、Novorossiysk近郊に上陸した部隊と連結するため、東の戦線からソ連軍が攻撃を開始するもの。ところが史実では、攻めるソ連軍の稚拙さと、守るドイツ軍の巧みさが噛み合ったのか、7ヶ月後の1943年9月まで上陸堡=The Little Landと連結できなかったという展開。上の写真を見ても分かるように、シナリオ2の上陸地点・The Little Landまで10ヘクス程度だが、それが突破できなかったと。

それもそのはず、今回このシナリオで攻勢を担当するソ連第318狙撃兵師団と、第3歩兵軍団は、いずれもこの時点で疲労の極みにあり、すぐに攻撃に移れる状態ではなかった。さらに守るドイツ第73歩兵師団も、森林地帯に堅固なトーチカを構築しており、なまなかな攻撃では太刀打ちできない態勢にある。 

ちなみにドイツ軍の配置説明にミスがあり、10月10日付のエラッタにも記載されていなかったので、BGG(Board Game Geek)で質問したところ、デザイナーから回答が得られた。46/617工兵中隊はヘクス17.16ではなく21.10へ、III/615の歩兵中隊3個はヘクス14.10ではなく21.15へ配置とのこと。 

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こちらが海岸沿いに展開している、ソ連第318狙撃兵師団。シナリオ開始時点で、疲労度6、部隊練度3(最高で5)という状態にある。CSSでは、各ターン毎に、疲労度5以上のソ連軍部隊は、部隊練度が1下がることになっている。そのターンに師団チットをカップに入れなければ、疲労度は1回復する。疲労度が4以下になれば、部隊練度も1上昇する。これを時系列で考えてみると……

第1ターン:0700時:回復手順無し

第2ターン:0900時:部隊練度2に低下。師団チット入れず。疲労度4に回復。

第3ターン:1100時:部隊練度3に上昇。師団チット入れず。疲労度3に回復。

第4ターン:1300時:部隊練度4に上昇。師団チット入れず。疲労度2に回復。

第5ターン:1500時:部隊練度5に上昇。師団チット入れず。疲労度1に回復。

第6ターン:1700時:師団チット入れず。疲労度0に回復……となる。

つまり攻勢初日は、夕方まで師団全体の行動は行えず、連隊フォーメーションチットだけでどうにかするしかない。そして連隊を動かしたとしても、部隊練度は低いため、敵からの攻撃を受けた場合、あっさり潰走してしまう可能性が高い。第318師団から言わせれば、正直、なんでこんなタイミングで上陸作戦なんかしやがった?という感じだろうか。 

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ソ連第3歩兵軍団はもっと酷く、疲労度7、部隊練度3(最高で4)という状態から始まる。

第1ターン:0700時:回復手順無し

第2ターン:0900時:部隊練度2に低下。師団チット入れず。疲労度6に回復。

第3ターン:1100時:部隊練度1に低下。師団チット入れず。疲労度5に回復。

第4ターン:1300時:部隊練度0に低下。師団チット入れず。疲労度4に回復。

第5ターン:1500時:部隊練度1に上昇。師団チット入れず。疲労度3に回復。

第6ターン:1700時:部隊練度2に上昇。師団チット入れず。疲労度2に回復。

第7ターン:1900時:部隊練度3に上昇。師団チット入れず。疲労度1に回復。

第8ターン:2100時:部隊練度4に上昇。師団チット入れず。疲労度0に回復。

……とまあ、師団の全回復には作戦初日いっぱいかかる予定だ。

しかしそこはソ連軍。当時の作戦指導まで再現するものとして、完全回復などせず、疲れていてもケツを上げて戦えという乱暴な戦い方をしてみよう。とりあえず夕方までは、両部隊とも師団チットの投入を控え、疲労の回復を進めつつ、連隊フォーメーションチットのみでドイツ軍を牽制しようかと。 

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ではソロプレイ開始。第1(1943年2月4日0700時)ターンには、第318狙撃兵師団チットが自動的にカップに入っているので、とりあえずドイツ軍に隣接してみた。しかし海外沿いは、遮蔽物の無い平地であり、複数のドイツ軍トーチカから撃たれる、まさにキルゾーンになっている。もちろん内陸のソ連第3歩兵軍団は、まったく動かず、指揮・派兵ポイントの蓄積を行っている。 

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第2(0900時)から第6(1700時)ターンまでは、接敵した両軍による砲撃の応酬が続いた。やはり海外沿いの平野部に進出したソ連軍は、次々に潰走(師団ディスプレイへ撤退)し、第318狙撃兵師団第1331歩兵連隊に至っては、全9個歩兵中隊のうち7個中隊が潰走する有様。しかし守るドイツ軍にしても、この対応によって指揮ポイントを消費し、来たるべき翌日の攻勢に余力を残せるほどではない。そういった指揮リソースの消耗戦という意味では、ソ連軍の接敵も決してムダではなかったと思う。 

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第7(1900時)ターン、ようやく回復したソ連軍の両部隊は、日没前に師団チットを投入。第3歩兵軍団も、明日の攻勢準備のため、接敵を開始した。また師団チットを投入しないと、潰走したユニットを盤上へ戻せないし、配属された航空攻撃マーカーも使わないままになってしまうので、対地支援はここですべて使用。対地支援には、守る側の防御修正などは一切適用されないので、堅いトーチカに籠もったドイツ軍部隊にも、かなりの損害が出た。

しかしドイツ軍も、このターンに師団チットを投入し、やはり対地支援を使用。He110の爆撃が、前線で混乱しきっていたソ連軍大隊スタック(中隊ユニット✕3個)に運良く命中し、一撃でこの一個大隊を除去する活躍を見せた。しかし酷い戦いだ…… 

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日没直前の第8(2100時)ターン。全戦線にわたって、弾幕マーカーが並ぶ凄まじい砲撃戦。あまりの激しさに、中砲煙マーカーが足りなくなっている。よくよく考えてみれば、ここまで部隊密度の高い戦闘は、CSSはもちろん、GTSでも経験していないかもしれない。良くも悪くも、いかにも東部戦線らしいが…… 

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そして日没。夜間第1・第2ターンは、両軍とも回復にいそしみ、夜が明けてから、また戦闘が始まるのを待つ……というあたりで、今回のソロプレイは時間切れ。しかし、ゲーム内で一日戦った割には、ソ連軍は1ヘクスもドイツ軍の防衛線を抜けていないというていたらく。ドイツ軍も、予備陣地は無いわ、機動予備部隊も無いわで、どこかで突破されたら全戦線を下げることにも成りかねないが、今のところ防御線を堅持している。ただ、回復したソ連軍両部隊が攻めてきた場合、指揮リソースで劣勢になるかなと。

これで「The Little Land:The Battle of Novorossiysk」のシナリオ1~3に触れてみたが、この3つの戦場(主上陸と陽動上陸、それと連結する前線)を統合するとキャンペーンゲームとなる。まあ、ソ連軍の作戦全体を見てみると、その未調整さに唖然とする。もし本作のソ連軍を複数プレイヤーで分担プレイしたら『(上陸部隊)早く来てくれ!』『(前線)いやこっちも疲れてるし』という、酷い会話になりそう。多分、この作戦に参加したソ連軍指揮官たちも『なにが作戦術だバーカ! 現場のことも知らないで、勝手な作戦立てやがって!』と憤慨していたのかもしれない。

しかしその作戦の酷さも含めて、非常に東部戦線らしいシナリオなのも事実。特にCSSでは、中隊ユニットをスタックさせて火力を上げ、スタックとして1回しか射撃できないという方式が採られており、これがソ連軍の大隊がかりの攻撃とマッチしているように感じた。兄貴分のGTS(Grand Tactical Series)だと、スタックしても火力は上がらず、ユニット別に複数回射撃できるのだが、CSSの方が戦力集中の相乗効果を良く表していると思う。もしまた本作に触れるとしたら、上陸シナリオではなく、もう一度このシナリオに再挑戦して、2日目以降まで進めてみたい。

【Company Scale System】「The Little Land : The Battle of Novorossiysk」The Little Land Solo-Play AAR

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引き続き「CSS:The Little Land:The Battle of Novorossiysk」をソロプレイ。今回はシナリオ2、メインタイトルにもなっている「The Little Land」を試してみた。こちらのシナリオは、Novorossiysk近郊に上陸したソ連第305海軍歩兵大隊(Kunikov少佐指揮)の戦闘を扱っている。元々は、あくまで陽動上陸部隊だったはずが、主上陸部隊(前回プレイしたシナリオ1)が壊滅してしまった代わりに、こちらに増援部隊が送り込まれ、小さな上陸堡=The Little Landを巡る戦いが続いたという展開。

一応、Tsemesskaya湾の対岸には、上陸部隊を支援する沿岸砲兵部隊も展開している。この沿岸砲兵、なんと射程81ヘクス=40.5kmなのだが、装備砲は不明。ちなみにシナリオブックに記載されている沿岸砲兵の配置位置は間違っており、エラッタで訂正されている。 

CSS:The Little Land Errata 2019/10/10

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ではソロプレイ開始。1943年2月3日夜間、Novorossiysk近郊に上陸したKunikov少佐の第305海軍歩兵大隊は、まず制圧状態から回復。唯一、Kunikov少佐と行動を共にしていたスタックだけが、防御の堅い、魚の缶詰工場(ヘクス2725)に進出した。しかし守る枢軸軍も、他のソ連軍部隊が防御の堅い都市ヘクスに入る前にと、ルーマニア軍騎兵中隊2個を派遣し、先に泥風呂施設(2628)などを確保。前進したKunikov少佐のスタックを、本隊から切り離す格好となった。 

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明けて第2(2月4日0700時)ターン。ソ連軍は早速、対岸の沿岸砲兵に間接砲撃を要請。ルーマニア騎兵部隊に猛砲撃を加え、早くも1個中隊が潰走(師団ディスプレイへ撤退)した。ちなみに潰走した場合、 司令部かその隣接ヘクスに復帰できるが、このシナリオの場合、両軍ともに司令部が無い。そのため潰走=事実上の除去となるが、そういう解釈で良いんだよな?後からエラッタで『ああ、本当は司令部もあります。表記忘れです』とか言わないよな? 

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第3(0900時)ターン。ソ連軍は、早くもルーマニア軍騎兵2個中隊を蹴散らし、Novorossiysk市内へ突入。しかし枢軸軍にも、増援のドイツ第73歩兵師団の3個中隊が到着し、市内に入った。ここからはもう、お決まりの市街戦と砲撃の応酬。 

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結局、第7(1700時)ターンまで進めたが、両軍とも一歩も譲らぬ膠着状態となった。さらにこの後、第20ターンまで双方ともに増援が来ず、このユニットだけで戦う予定なので、うーん、あまり面白くないなあと感じて中止してしまった。まあ、一応メインタイトルではあるけれど、あくまで陽動作戦だしな……

また今回のソロプレイでは、ドイツ軍の沿岸砲兵(21cm砲と15cm砲)も、ソ連軍の前進を防ぐのに大活躍してくれた。ただ、これ便利すぎない?という印象も。CSSの先輩格GTS(Grand Tactical Series)では「間接砲撃は3ヘクス以内に行えない」という縛りがあったが、CSSではその制限が撤廃されているため、敵の懐に飛び込み、間接砲撃を阻むという戦術が成り立たなくなっている。上の写真にあるように、21cm野砲が、まるで迫撃砲のように1km(2ヘクス)先でも間接砲撃を当ててくるのが困ったもの。まあ、実際それが可能だったかもしれないし、デザイナーはバグを取ったつもりなのかもしれないが、個人的にはGTSの3ヘクス砲撃制限を適用したい。

GTSでは「間接砲撃は3ヘクス以内に行えない」の他にも、「砲撃要請が通るかダイスで判定する」「砲撃(10面体)ダイスで9が出たら、砲兵隊との連絡が切れ、もう一度要請判定を行う」という縛りがあったにも関わらず、「砲兵ゲーム」と呼ばれるほど間接砲撃の威力が大きかったと思う。ところがCSSでは、その3つの縛りをすべて撤廃しているので、GTSよりも砲兵支援が強力になっているはず。そのあたりは、昨年「CSS:Guam」をソロプレイした時にも感じたが、果たしてこの調整で良いのかどうか、自分の中では、まだ審議中である…… 

【Company Scale System】「The Little Land : The Battle of Novorossiysk」Operation More Solo-Play AAR

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先月購入した「CSS:The Little Land : The Battle of Novorossiysk」の翻訳ルールが公開されたので(馬場夫さん、いつもありがとうございます)、早速シナリオ1「Operation More」をソロプレイしてみた。このシナリオは、実際には失敗した、ソ連軍によるオセレイカ(Yuzhnaya Ozereyka)への空挺・上陸作戦を扱っている。史実では、第一波だけ上陸した後、第二波以降を載せた上陸船団が「作戦失敗」と判断し、第一波を置き去りにして帰ってしまうという、なかなか酷い展開だったが、このシナリオでは、第二波以降も上陸するというIF(もしも)シナリオ。しかしソ連海軍歩兵vsルーマニア軍歩兵とは、渋い組み合わせである。シナリオ後半では、ドイツ軍山岳猟兵1個大隊も応援に登場予定。 

ちなみに配置する際、ソ連軍空挺ユニット2個は、実際に地図盤上の3フィート(約90cm)上から落とし、降下ヘクスに降りたかどうか判定するという、バカバカしいながらも盛り上がるルールとなっている。これは空挺ルール部分にも「Jack Radey氏に感謝を込めて」とあるように、本作と同じテーマを扱った「Black Sea Black Death」にあったルールから拝借したようだ(BSBDでは2フィート上から落とすとのこと)。まあ、真面目で精密なルールも好きだけれど、こういった遊び心も大事ということで。

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さて、第1(1943年2月3日夜間II)ターン。制圧状態で上陸したソ連海軍歩兵(ピンク色のユニット)第一波は、派兵(Dispatch)ポイントを払って、最初に師団チットを選択。まず制圧状態から回復した後、続く第255海軍歩兵旅団(255IB)フォーメーションチットによって、上陸ヘクスに隣接するオセレイカ村のルーマニア第10歩兵師団司令部に対し、人海戦術を敢行。指揮官による陣頭指揮、レンドリースのM3スチュアート戦車、火炎放射器装備の工兵中隊もあったおかげで、見事この白兵戦に勝利し、オセレイカ村を奪取した。しかし3カ所の海岸砲台の守りは堅く、まずこの制圧が急務ともなっている。一応、降下地点に下りた空挺歩兵中隊が、背後からFlems海岸砲台に接敵。隣接されたユニットの射程は1ヘクスに限定されるため、これでFlems海岸砲台も遠距離は狙えなくなったわけだ。一応、アゾフ小艦隊の艦砲射撃もあるが、火力が低いのか「弾幕が残らない」という制限付き。

守るルーマニア軍は、白兵戦によって、早くも師団司令部と8.8cm砲ユニットを1つ失い、このターンは回復に徹するのみとなっている。

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第2(2月4日0700時)ターン。ソ連軍上陸第二波が到着。これも制圧状態で上陸するため、最初のアクションは回復。しかし上陸ヘクスに留まり続けると、スタック制限オーバーで混乱マーカーが載せられてしまうため、直接指揮(Command)ポイントを払ってでも、上陸ヘクスから出て行かせた方が良い。だが硬直的な指揮のソ連軍に、臨機応変に使える指揮ポイントは少なく、この後、徐々に上陸海岸が渋滞することに。そして指揮ポイントを海岸の交通整理に使うため、戦闘行動にも制限が生じている。また海岸砲台については、白兵戦で一気に落としたいが、ソ連軍の人海戦術には、通常の2倍の派兵ポイントがかかるため、そうそう何度もは使えない。各ターン、師団フォーメーションチットを購入し(2派兵ポイント消費)、先手チットを取る(2派兵ポイント消費)となると、人海戦術に回せるポイントもあまり無い。

第3(0900時)ターン。ソ連軍上陸第三波が到着。しかしこのターンも、海岸沿いでの戦闘が続いた。一応、重機関銃も荷下ろしされつつあり、徐々にソ連軍の前線火力も上がっているのだが。 

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第4(2月4日1100時)ターン。ソ連軍上陸第四波(最終)が到着。しかし最後に現れたのは、NKVDの政治委員。指揮能力は低いくせに、本来の指揮官がヘタを打つと(射撃10面体ダイスで絶対失敗の9を振ると)、それに取って代わるという面倒な存在である。本来の指揮官は、ユニットの火力を+1してくれるので、是非とも前線で指揮を執ってほしいのだが、射撃して9を出されたら政治委員に代わられてしまうので、逆に使いづらくなってしまった。

それでもソ連軍は、次第に迫撃砲も展開させ、艦砲射撃と併せて、ヘクス0829、Glevovka村の8.8cm砲ユニットも除去。ルーマニア軍の防御線は、中央が破られた形となり、(やはりレンドリースの)マチルダ戦車中隊を含む部隊が、Glevovka村から突破を果たした。 

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第5(2月4日1300時)ターン。ようやく枢軸軍後方に、増援のドイツ軍山岳猟兵大隊が登場。ソ連軍も、朝から攻勢(日中に師団チットを入れる)が続いたため、部隊全体の疲労度が上がっており、このままドイツ軍と対峙するのは危険とみて、このターンには師団チットを入れず、休息ターンとした。すでに海岸のルーマニア軍もほぼ一掃したし、残るは海岸砲台である(いまだ健在)。 

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第6(2月4日1500時)ターン。Vasilevka村付近で、ソ連軍先鋒と、ドイツ軍山岳猟兵が会敵。しかし、すでにこの地域を射程内に収めていたソ連迫撃砲が炸裂。まだ移動モードだったドイツ軍の山砲部隊を潰走させた。対するドイツ軍も、後方に陣取る10.5cm砲の間接砲撃により、ソ連海軍歩兵1個中隊を潰走。いつものGTS/CSSでよく見られる砲撃戦の応酬と相成った。またこのターンには、ヘクス1329で頑張っていたルーマニア軍陣地が陥落し、Flems海岸砲台が孤立してしまった。 

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第7(2月4日1700時)ターン。遂に、ヘクス0730のBleslau海岸砲台が陥落。これを包囲していたソ連軍部隊は任務から解放され、中央奥のVasilevka村へと向かった。 

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そのVasilevka村では、ソ連軍の砲撃に耐えきれず、山岳猟兵中隊2個が潰走。幸い、すぐに後方の大隊司令部付近に復活したが、防御線は下げざるを得なかった。そしてシナリオ的には、あと残り2ターンあるが、ほぼほぼソ連軍の勝利確定ということで、今回はここまでとした。

まあ、攻めるソ連軍目線だと、なかなか面白いシナリオだと思う。枢軸軍は防戦一方なので、ベテランプレイヤーが枢軸軍、入門プレイヤーがソ連軍を担当すると、CSSシステムの登竜門としても機能するような気が。そして「ユニットを地図盤の上から実際に落として降下判定」というルールに関しては、ひとつのネタとして、全ウォーゲーマーに一度は体験していただきたいところ。ソロプレイでもニヤニヤしてしまったので、対戦プレイなら、その馬鹿っぷりに、対戦者みんなで盛り上がれるのでは?

【参考文献】バリー・リーチ「独軍ソ連侵攻」

独軍ソ連侵攻

独軍ソ連侵攻

 

ぶらり立ち寄った新橋駅前の古書市で、バリー・リーチの「独軍ソ連侵攻」を300円で購入。前々から読みたかったが、今まで価格と状態がちょうど良いモノと出会えず、何度かスルーしたものの、今回ようやくの入手。1981年発行だから、すでにウォーゲーマーだった中高生の頃に読んでいてもおかしくないけれど、なぜか縁が無かった本でもある。

原書は1973年と古いが、内容は「ソ連侵攻は、ヒトラーの思いつきだったのか?それとも以前からの計画だったのか?」「なぜヒトラーは、イギリスを打倒する前にソ連へ侵攻したのか?」「ドイツ軍は、ソ連侵攻をどのように計画したのか?」「なぜバルバロッサ作戦は失敗したのか?」というあたりに焦点を当てて、ドイツ軍のソ連侵攻を戦略・作戦面から分析するという、いかにもウォーゲーマー的な内容になっている。出版は古いとは言え、すでに本書でも、ドイツ軍の敗北をすべて死せるヒトラーの責任にしようとする旧ドイツ軍人の思惑も見透かされており、そういう意味では、真っ当な研究書だと思う。

そろそろ「TSWW:Barbarossa」(コンポーネント的には史上最大級のビッグゲームになるはず)も発売されるようだし、ちょうど良い参考書になりそうだ。これ、再版すればいいのになあ。

【参考文献】「新訂・最新軍事用語集 英和対訳」

新訂・最新軍事用語集 英和対訳

新訂・最新軍事用語集 英和対訳

 

そろそろ「TSWW:Barbarossa」も発売されるようだし、またそのルール翻訳に取り組むためにも「最新軍事用語集 英和対訳」を購入した。英語の軍事用語が、特に自衛隊資料ではどう翻訳されているかを網羅した一冊。最近また軍事関係の洋書も読むようになったし。いつも悩まされる「Cohesive」は「結集行動」、「Exploitation」は「戦果拡張」か。「Organic」はいつも「固有の」と訳しているけれど「編成上の」という意味もあるのか。問題は、TSWWのルールを訳す時間を確保できるかどうかだが……