Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Battles of Napoleon】「Eylau 1807」Solo-Play AAR Part.1

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先日購入したBattles of Napoleonシリーズの「Eylau 1807」をソロプレイしてみた。一応、練習用の小規模シナリオもあるが、このシステムは軍全体の管理ルールがキモだと思うので、いきなり1807年2月8日のグランドバトル・シナリオ(午前08:00ターン開始)を準備してみた。しかし地図盤に書き込まれた各軍団/師団の配置表記が読みにくいなあ……などと思いつつセットアップ開始。

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たいしてルールも読んでいない状態で並べ始めたが、各フォーメーション(軍団/師団)は、それぞれの表記から数ヘクス以内に自由配置する形になっている。デザイナーズノートを読むと、本シリーズの1ヘクス=150メートルという縮尺は、当時の歩兵大隊、砲兵中隊、騎兵連隊の正面幅に相当しているので、基本的には1ヘクス毎に1ユニットを置くようなイメージを持ちつつ、歩兵と砲兵は2個まで(あるいは歩兵1個+砲兵1個まで)スタックでき、また1ヘクスから射撃できるのは歩兵が4戦力、砲兵が8戦力までなので、そのように組み合わせたり(強襲戦闘にはそのような制限はない)。

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またユニットが退却する場合、移動力分のヘクス数を後退し(騎兵は移動力の1/2)、自軍ユニットを踏んづけて退却したら連鎖退却も起きるとのこと。であれば前線ユニットと二線ユニットの間を少し空けて、退却路を確保した方が良いんだろうな、とか思ったり。

ちなみにこの配置画像ではスタックルールを間違えていて、後から手直ししている(スタック制限を超えた3枚スタックが存在している)。

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こちらは軍管理シート。各フォーメーションには命令マーカーが置かれている。フランス軍は、増援部隊が揃うまでは「防御」(射撃可能、1ヘクス移動可)か「保持」(射撃可能、移動不可、2個ユニットが1戦力回復)を選び、ロシア軍の前線部隊は「攻撃」(敵ユニットへ隣接可、強襲/突撃が可能)を選んでいる。

それぞれの命令には消耗度があり、「攻撃」命令は消耗度が高く、「攻撃」命令を受けているフォーメーションが多ければ、軍全体がより消耗していく。

黒と灰色のキューブは両軍の疲弊点(AFP)を表しており、黒が10AFP、灰色が1AFPを意味している。フランス軍は最初の段階で210AFPを有していたが、第1ターンの命令で4AFPを消耗したので、残り206AFPになっている。対するロシア軍は220AFPを有していたが、攻撃命令が多いため11AFPを消耗し、第1ターンの時点で209AFPになっている。

この疲弊点(AFP)は、ユニットの除去、指揮官の死傷、地理的目標を奪われる等でも減っていく。逆に地理的目標を奪ったり、「再編成」(各ユニットが1戦力回復)命令を出せば増えていく。疲弊点がゼロになったら軍全体が崩壊し、ゲーム終了と。

また、各命令には主導権ポイントが付され、その合計はフランス軍が0(攻勢的な命令をまったく取っていない)、ロシア軍が22なので、ロシア軍が第1ターンの主導権を取ったことになる。

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本作ではチットの代わりに、活性化キューブ(AC)を用いて各フォーメーションを動かしていく。両軍は、各ターン序盤の命令フェイズでダイスを1個ずつ振り、その出目+各ターン毎の両軍の修正値+両軍司令官のリーダーシップ値=合計数の活性化キューブを獲得する。今回の第1ターンでは、フランス軍(青いキューブ)が12個(ダイス3+ターン修正5+軍司令官ナポレオン4)、ロシア軍(緑のキューブ)が8個(ダイス2+ターン修正4+軍司令官ベニグセン2)となった。つまり第1ターン、フランス軍は12回、ロシア軍は8回フォーメーションを活性化できるということ(各フォーメーションは最大3回まで活性化できる)。ただしこのグランドバトル・シナリオでは、最後のキューブ2個は活性化せずに捨てられる。

そしてロシア軍は主導権を取っているので、最初に活性化できる緑(ロシア軍)キューブを1個外しておき、それ以外のキューブをカップに入れ、さらに同時射撃戦キューブ(赤)を2個カップに加えてランダムに引き、順次、活性化していく。

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第1(08:00)ターンの天候は晴れ。先手ロシア軍は、右翼のフォーメーションから前進させていく。途中、二度の同時射撃戦(赤)キューブが引かれ、双方はまだ中距離(5~4ヘクス)ながらも砲撃を浴びせ合う。ロシア軍は強力な砲兵スタックを用意していたため、フランス軍に痛打を与えたが、フランス軍砲兵は部隊をバラしてしまったため、さほどの効果は得られなかった。これもう少し火力を集中させた方が良いのかなあ。ただし短距離(3~2ヘクス)なら火力2倍だし、隣接砲撃なら火力4倍にはなる。

特にフランス第7軍団第2師団は、結構な砲撃ダメージを被ったので、師団長が命令変更チェックを行い、「防御」から「保持」命令(戦力回復可)に変更した。

一方ロシア軍も、第1ターンから「攻撃」命令は出したものの、実際に強襲/突撃に及んだフォーメーションは無く、だったら(消耗の少ない)「移動」命令で良かったのでは?と思ったり。しかし後から命令変更を行う場合、師団長が主導権チェックに成功する必要があるしなあ……とあれこれ思い悩んだ。

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カップから引かれた活性化キューブは、軍管理シートの各フォーメーションのマス目に置き、何回活性化したか記録するために用いる。これは結構わかりやすい。そして結果、フランス軍の青キューブ2個が引かれないまま、第1ターン終了……

……と、ルールを確認しながら(そして昼寝もしながら)ちまちま進めていたら、1ターン目が終わったところで日が暮れてしまった。まだ歩兵同士の射撃戦や、強襲/突撃にも至っていないので、第2ターンから先はまた明日以降……

「Operation Typhoon」Panzer Gruppe Guderian Scenario AAR

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今日は、久しぶりに自宅にKarter氏を招いてゲーム会。お題はIED版の「オペレーション・タイフーン」南部シナリオ。一応、SPI/ホビージャパン版も手元にあるが、すでに老眼同士の対戦なので、読み取りやすいIED版で良かろうと。ちなみにKarter氏は、この手の戦力チット式のウォーゲームは初めてである。我々もウォーゲーム歴は40年以上になるが、意外とこのシステムに触れてこなかったもので。

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自分はソ連軍を担当。Karter氏はドイツ軍を担当。

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今回は初対戦の練習プレイなので詳細は省くが、ドイツ軍は序盤、頼りにしていたグロスドイッチェラント連隊が低戦力チットを引き意気消沈。全般的にドイツ軍は戦力チットの引きが平均以下で、対するソ連軍は平均以上のチットを引き当てていた。しかし戦闘判定ダイスは逆に、ドイツ軍が良い出目を出していた。本作の戦闘結果表は、単純にダイス目が大きければ良いとか、小さければ悪いというものではないけれど、狙い澄ましたように良い目を出していた気がする。

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一応、第7ターンまで進めたけれど、徐々に消耗していくドイツ軍と、徐々にユニットを増していくソ連軍の関係性を確認して本日はおしまい。Karter氏的には、システムは理解できたけど、作戦的には難しいなあと。次は、中央部か北部のシナリオもやろうかという話も出たので、気に入ってもらえたのかもしれない。まあ、そのうちに。

【Eagle of France】「Fallen Eagles II : Waterloo 1815」The Battle of Mont-Saint-Jean Solo-Play AAR

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引き続き「Fallen Eagles II : Waterloo 1815」をソロプレイ。すでに練習シナリオ1、2は終わったので、いよいよ本戦シナリオ「The Battle of Mont-Saint-Jean」に挑戦。もちろん、ワーテルロー会戦をフルに扱うシナリオである。

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一応、自由配置ルールもあるが、今回は最初のプレイだし、史実通りに配置してみた。ソロプレイなので隠匿ルールも省略。いや本当はこの隠匿プレイがなかなか過激で、最初は戦闘ユニットを配置せず、ダミー含めた指揮官カウンターだけが盤上を動き回り、実際の指揮官が暴露されてから戦闘ユニットを配置する……というもの。まあ、「戦場の霧」をシミュレートするという意味では正しいが、自分の場合、最初からこのようにズラッと戦闘ユニットが並んだ状態でぶつかり合う光景が見たいので、たぶんやらないかな。しかしTLNB(The Library of Napoleonic Battles)シリーズもそうだけど、ナポレオン系はそういった面倒な隠匿ルールが好きだねえ。一応、選択ルール24.0の「ユニットの向き」は採用。戦術カードは使用するけれど、選択ルールの戦略カードは省略と。

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こちらは命令チャート。フランス軍は、まず親衛軍団が自動的に「防御命令」を受けていて、さらに予備に控える第6軍団、第3、第4騎兵軍団は「命令無し」とする。前線中央の第1軍団にはラ・エイ・サンテ農場を目指す「地点目標命令」が与えられ、左翼の第2軍団はウーグモン城館を目指すことにした。

いや、先日プレイした際にも拠点攻撃が面倒なことはわかったし、プレイヤーズノートにもそういった拠点は包囲するに留めた方がいいとは書いてあったけど、自分の場合、すぐにゲーム的な最適解を目指したり、歴史的なIf(もしも)を試すより、まずは史実通りに拠点を攻めてフランス軍がヒドイ目に遭うかどうか確かめたい。対する連合軍は、歩兵フォーメーションは「防御命令」、騎兵フォーメーションは「命令無し」とした。

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戦術カードは、フランス軍が「ダイス振り直し」「指揮官の救済処置」「命令を2変更」「3スタックが無条件に回復」「孤立した敵スタックの除去」「騎兵による奇襲(緊急防御チェック無し)」を選択。対する連合軍は「3回目の活性化可能」「退却による除去の無視」「4フォーメーションの砲兵同時活性化」「硝煙(防御ダイス修正+2)」「防御射撃が有利に-1」「偵察」を選んだ。ただしこの戦術カードは、いったん使っても捨て札にはならず、相手方の手札になってしまうので、あえて使用せず、相手にも渡さない、ということにもなりそうだ。

さて最初の11:00ターン。地表は泥濘状態なので、移動力-1、隣接以外の砲撃判定も不利に+1。先手を取ったフランス軍は、命令通り、左翼の第2軍団をウーグモン城館へ、右翼の第1軍団をラ・エイ・サンテ農場へと向かわせる。第2軍団の先鋒部隊は、早くもウーグモンの果樹園に潜むネーデルラント兵と白兵戦になったが、相手は退かず。また後方からは、親衛軍団の砲兵部隊だけが前線に向かって移動を開始した(親衛歩兵と親衛騎兵は、時間的に移動許可が出ていない)。対する連合軍も微妙に配置位置を変えているが、まだこのターンは静かなものだ。

12:00ターン。フランス軍右翼第1軍団は、高台に砲兵を上げて、連合軍と撃ち合いを始めた。ラ・エイ・サンテ農場に向かうよう命令されている歩兵師団群は、まだ稜線の手前に隠れて、準備砲撃の効果が出るの待っている(地点目標から遠ざかる移動は禁止だが、停止するのは可)。この準備砲撃にゆっくり時間をかければいいのだろうが、それぞれのフォーメーションが活性化を終えるたびにターン終了チェックが行われるため、各フォーメーションが2回の活性化をやりきらないうちにターンが終わり、時間が進んでしまう(そしてプロイセン軍の増援が来てしまう)可能性もある。実際この12:00ターン、第1軍団は活性化を1回しただけでターン終了となった。

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同じ12:00ターン、左翼のフランス第2軍団は、2回の活性化でウーグモン城館にも2度、白兵戦を仕掛けたが、立て籠もるイギリス軍はノーダメージ。果樹園を守っていたネーデルランド連隊は除去したものの、道連れとばかりに2ステップロスを被り、早くも消耗しつつある。

13:00ターン。先手フランス軍は、左翼第2軍団から活性化。ウーグモン城館に対して4スタックがかりで白兵戦に挑んだ。しかし隣接ヘクスからの防御射撃によって、1スタックがステップロスしたうえ、練度チェックに大幅にしくじり敗走することに。ここでフランス軍は戦術カード「ダイス振り直し」を使い、再び練度チェックを行ったが、これまたダイス目が悪くて結局、敗走。結局3スタックがかりの攻撃となったが、これも逆に練度チェックを喰らい、さらにもう1スタックが敗走した。

続いて、これと相対するイギリス第1師団が活性化し、砲撃と白兵戦によってさらにフランス第2軍団の1スタックを敗走させた。

フランス第2軍団は、次の2回目の活性化を回復期間とし、敗走3スタック中、2スタックの回復に成功した。しかしこの活性化では、攻撃も移動もできないため、ウーグモン攻略の手も止まったことになる。後から考えたら、ここで戦術カード「3スタックが無条件に回復」を使っても良かったかも。

一方、右翼のフランス第1軍団は、3スタックがかりでラ・エイ・サンテ農場に立て籠もるイギリス軍を除去。見事これを占拠した。しかし稜線を越えた他の部隊は、モン・サン・ジャン高地からの砲撃を浴び、次々にステップロス&敗走。

14:00ターン。このターンからプロイセン軍の増援が登場する。

先手フランス軍は、第1軍団の目標地点をモン・サン・ジャン高地に変更し、高台目指して攻め上ったが、イギリス軍の凄まじい防御砲撃&射撃を浴び、続々と後退。さらにイギリス第5師団からの反撃も喰らい、一時は敗走スタックが5個にもなるという有様。仕方なく第1軍団は、二度目の活性化を回復に用い、5個敗走スタックをすべて回復させたが、すでに戦力は半減している。

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フランス軍の右翼、第2軍団はステップロスした連隊に代わって後続の部隊を注ぎ込み、イギリス軍の防御射撃にもめげず、4スタックがかりでウーグモン城館を二度攻撃したものの、結果はイギリス軍の練度チェックのみ、そしてそれに成功と、まったく進展が無い。

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一応、フランス軍は、疲弊した第1・第2軍団の真ん中に、親衛砲兵部隊と、第6軍団を前進させつつある。後はこの部隊で中央突破といきたいが、ここまでの戦況を見ても、なかなか厳しいだろうなと。またフランス軍両翼には、いまだに第3・第4騎兵軍団が温存されているが、こうまで前線が不利だと、むしろイギリス軍騎兵部隊による側面攻撃に備えて取っておくか……という感じ。そして画像右上には、このターンから盤面に進入してきたプロイセン軍の姿が…

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本来は、まだまだこの先もソロプレイをする予定だったが、ここまでの4ターンで、なんとなく感触は掴めたので、今回はここでお開きとした。なにしろ全体的なゲームも、命令ルールを使うのも初めてだったので、今回は味見だけでいいやと。

その味見的な感想で言うと、テンポ良く進められる、遊びやすいシステムだなと。命令ルールは、どの命令が何ができて、何をしてはいけないのかという確認に手間取ったが、慣れてしまえば機能的だし、目標地点も細かく設定されているので、あまり悩まずに、少しずつフォーメーションを動かすことができた。

ただ、フランス軍で勝とうとなると、たしかにウーグモン城館は面倒過ぎるし、迂回した方が良いのだろうけど、と言って真っ直ぐモン・サン・ジャン高地に向かっても大丈夫なのか?とも思ったり。十分な準備砲撃でイギリス軍を弱らせようと思っても、ターンがあっさり終わって、どんどん時間が過ぎてプロイセン軍が来るやもしれず。そういう意味では、ターンがいつ終わるかわからないのも面白かった。

イギリス軍としても、実は最初の配置では密集し過ぎていて、前線のスタックがどれか敗走したら、後続のスタックを踏んで連鎖敗走するんじゃないの?とも思ったので、もう少し布陣を整備しながら防戦した方が良いんだろうなあと。

 

じゃあ次は、同じくナポレオン会戦級の「Eylau 1807」の味見へ……

【Eagle of France】「Fallen Eagles II : Waterloo 1815」D'erlon Assault Solo-Play AAR

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引き続き「Fallen Eagles II : Waterloo 1815」の練習用シナリオ2「D'erlon Assault」をソロプレイしてみた。先にプレイした「Hougoumont 」シナリオでは基本的に歩兵戦を習得したが、こちらは双方ともに第一線に砲兵部隊が並び、その背後に歩兵、さらにその後方に騎兵部隊が控えているというナポレオン戦争時代の典型的な配置になっている。映画「ワーテルロー」でも、フランス第1軍団(デルロン指揮)の攻撃から、それを迎え撃ったイギリス軍・ピクトン将軍の戦死、さらにスコットランド騎兵の突撃とポンソンビー将軍の戦死という、この会戦の中央部で行われた激戦を切り取ったシナリオになっている。

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シナリオは13:00ターンに始まり、16:00ターンまでの4ターンのみ。

まず最初の13:00ターンは、フランス軍砲兵、フランス第1軍団、英蘭連合軍の歩兵フォーメーションのいずれか、という順番で活性化するよう決められている。ところが最初のフランス軍砲兵が活性化チェックに失敗。いや敵陣を砲撃しないまま第1軍団を突っ込ませてもマズイだろう。一応、フランス第1軍団は活性化に成功したが、まだ尾根の手前で停止し、連合軍砲兵から狙われない位置に待機する。対する連合軍も、ピクトンの第3師団が活性化に失敗。どちらも砲火を交えぬまま最初のターンが終わった……

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14:00ターンは、フランス軍先攻で、双方4回ずつ活性化を試みる(ただし騎兵フォーメーションはまだ活性化不可)。フランス軍は、まず砲兵隊の活性化に成功したものの、砲撃はいずれもスカ。返す刀でイギリス軍砲兵に撃たれてステップロスする始末。仕方なく、たいして砲撃の成果も無いまま、フランス第1軍団の4個歩兵師団が前進し、うち3個スタックは、要塞化されたラ・エイ・サンテ農場へ攻め込んだ。

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しかしラ・エイ・サンテ農場からの防御射撃は凄まじく(ダイス目が良かった)、フランス軍最左翼のスタックは、2個連隊ともステップロスして後退。残る2スタックも攻撃位置に踏みとどまったものの、立て籠もるイギリス軍は練度判定に成功し効果は無し。フランス軍は右翼でも攻撃したが、こちらも双方ともに練度判定で終わっている。

この後の英蘭連合軍の砲撃も良好で、ラ・エイ・サンテ農場に隣接したフランス軍3スタックのうち2スタックが後退し、2ユニットが除去され、さらに1スタックは敗走(練度判定に、基準値より3大きい出目で失敗)にまで追い込まれた。

ただしシナリオ特別ルールとして、こういったラ・エイ・サンテ農場やウーグモン城館ヘクスには、歩兵ユニットを単独で配置するとより強固な防御修正が得られるので、今回のように砲兵まで配置しなくてもいいのかもしれない。でも砲兵がいると、それはそれで強力だし、あくまで歩兵ユニット単体でも守りやすいという意味なのか。

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15:00ターン。双方に増援の騎兵スタックが到着。このターンは、英蘭連合軍が先手となり、双方6回の活性化を試みる。先手の連合軍は、さらにフランス軍左翼に砲撃を浴びせ、完全にその攻撃能力を喪失させた。対するフランス軍は、増援の騎兵も含めて4スタックがかりで右翼で攻勢に出た。

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この攻勢も、2スタックは後退させられたものの、正面の部隊はイギリス第5師団スタックをすべてステップロスさせて退け、フランス軍は斜面の上に到達した。

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しかし英蘭軍は、第2ネーデルランド師団も投入してフランス軍にダメージを与え、戦線を維持しようとしている。またフランス軍は、この右翼に第4騎兵軍団を集め、連合軍への側面攻撃を狙っている。

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最終16:00ターンは、両軍とも3回ずつ活性化して終了。先手を取ったフランス軍は、疲労しきった第1軍団の歩兵と、増援の騎兵スタックで再び正面攻撃。しかしこれはことごとく連合軍に跳ね返され、歩兵3スタックはすべて除去され、騎兵スタックも練度チェックにしくじって敗走する羽目になった。

それでもフランス軍は、温存していた第4騎兵軍団の2個スタックで連合軍左翼を攻撃。ミルハウンド直率の重騎兵スタックは、ハノーヴァー第4旅団の連隊を敗走させ、もう一方の重騎兵スタックも、すでにステップロスしていたイギリス第5師団スタックを全滅させた。どちらの防御側歩兵も、緊急防御チェック(実質的な方陣形成ルール)に失敗したため、なすすべ無くやられた。しかしさらに追撃戦闘になだれ込んだ重騎兵スタックは、同じく第5師団スタックを攻めたものの、こちらは緊急防御チェックに成功されたうえ、白兵解決ダイスも酷く、重騎兵4ユニット中、1ユニットが除去、3ユニットがステップロスという惨憺たる有様になった。

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これに対してイギリス軍騎兵フォーメーション(アクスブリッジ指揮)が反撃し、フランス軍騎兵はことごとくステップロスさせられていく。

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最後にミルハウンド直率の重騎兵スタックも、アクスブリッジ騎兵に反撃しそのステップを喪失させたが、時間的にはここまで。

 

最終ターンで騎兵を使ってみたが、なるほど、騎兵追撃(戦闘後前進した後の追加戦闘)が上手く決まるとなかなか効果的だなあと感じた。意外とナポレオン戦争の会戦級ゲーム、騎兵突撃が強力に表現されている作品ばかりではないけれど、これはゲーム中に隙あらば試したくなるなあと。

システム全体としては、かつて我が家で数多く対戦された「Triumph & Glory」よりちょっと細かい程度で、ほぼほぼ似たような雰囲気でもあるので、自宅で対戦するには良いかもしれない。あとまだ命令ルールに触れていないが、それはもうフルバトル・シナリオで試してみようかなと。

「1868 戊辰戦争」

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今日は、3年ぶりにゲームマーケット会場に行き「1868 戊辰戦争」なるゲームを購入。昨年ぐらいからX(Twitter)でテストプレイの様子がアップされ、なかなか面白そうなゲームだなあと思っていたので入手してみた。会場では、開始2時間で完売したという、結構な人気作だったようだ。

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地図盤は見ての通り、東海から関東甲信越、東北に至る全域をポイント・トゥ・ポイント方式で網羅している。自分も関東生まれ、関東育ちなので、自分の地元はもちろん、見慣れた地名が並んでいて親近感を覚える。ゲームとしては、1ターン=半月で、慶応四年(1868年)四月から九月までの戊辰戦役を扱う。史実で言うと、三月十五日に予定されていた新政府軍の江戸城総攻撃が、西郷隆盛勝海舟の会談により中止され、江戸城無血開城された後から始まり、九月二十二日の会津藩の降伏あたりまでの時期となる。

ゲームは、双方が1枚ずつ交互かつランダムに「行動チット」を引き、旧幕軍、会津藩、白河口、東征大総督、奥羽鎮撫といった各方面部隊を活性化させていく。

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まあ、地元出身としては、D62「国府台」とD68「市川」が直接つながっておらず、D62「国府台」から直接D67「船橋」に行けるのがちょっと違和感。今でも国道14 号線や京成線の駅を見ればわかる通り、西から「国府台」⇔「市川」⇔「船橋」と成田街道として連なっているのだが、これ何かしらゲーム的な意図があるのだろうか? 

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各ポイント=地点は、軍隊の拠点や要地、平地、山地、港あり等に分けられ、ユニット数の配置制限がある。各地点を結ぶ交通路も、主街道、脇街道、山道に分類され、それぞれ消費移動力が異なり、もちろん主街道は移動しやすく、山道は移動しにくい。

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戦闘に負けた場合、ひとつ手前の地点に後退しなければならず、もしその後退地点にすでに味方ユニットがいてスタック制限を超過する場合、さらにひとつ手前の地点に連鎖後退しなければならない。

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カウンターは、しっかりした厚手で、一般ゲームメーカー製と比べても遜色が無い。各戦闘ユニットには表面のみに情報が記され、戦力・火力・練度が数値化されている。1戦力=100人であり、そのユニットの人数の多さを表す。火力は、射撃戦術の発達段階を示しており、1なら火縄銃などの旧式射撃戦術、2なら先込銃(エンフィールド銃等)の導入段階、3なら後装銃(スナイドル銃等)の熟練段階を表す。

こちらは旧幕府・同盟軍ユニットだが、最も頼れそうなのは西洋式訓練を受けた幕府歩兵、伝習隊(土方歳三大鳥圭介が指揮)の兵力5・火力3・練度4。他にも、7連発のスペンサー銃を装備していたとされる庄内藩ユニット、ガトリング砲を装備していた長岡藩ユニット、赤黒のイギリス的な軍服を着ていたとされる仙台藩の額兵隊あたりが頼もしく見える。

戦闘=会戦は、別途、戦闘ボードを使って解決する。まず防御側→攻撃側の順で砲撃を行い、さらに火力の高い歩兵ユニットから、前線にいる目標ユニットに対して射撃を行う。双方ダイスを1個ずつ振って攻撃側は火力、防御側は練度を足して数値が低ければ前線から後退する。そのような射撃戦闘を最大5ラウンド繰り返した後、前線に残っている戦力値を比べ、少ない方が退却する。

そう、つまりこのゲームの会戦では、白兵戦闘は無い。鳥羽伏見の戦いの後、敗退した新撰組土方歳三が『もう刀槍の時代は終わった』と呟いたと言われるが、まさにその通り、すべての戦いは射撃火力で決することになる。なので一応、白兵戦闘が強そうなイメージの新撰組ユニットもあるが、本作ではひたすら射撃戦を行うことになる。戦いは火力だよ兄貴。

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こちらは新政府軍ユニット。もちろん主力の薩摩、長州ユニットは射撃火力に長けているが、全ユニットが火力3というわけでもなく、まだ射撃戦術能力にはバラつきが見られる。佐賀藩の強力な砲隊ユニットはアームストロング砲だろうか。

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戊辰戦争に登場したさまざまな歴史上の人物は、各ターンに1枚ずつ引ける「作戦カード」としてキャラクター化されている。こちらは新政府軍側の作戦カード。「西郷隆盛」なら追加チットを獲得、「板垣退助」は会戦に勝利したら追加行動が可能、「山県狂介」は増援の繰り上げ、といったイベントとして処理される。

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こちらは同盟軍の作戦カード。「大鳥圭介」はユニットを失わずに強行軍が可能、「松平容保」は会津藩ユニットの練度+1、「河井継之助」は長岡藩ユニットの火力と練度+1などがある。

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このように江戸開城以降の戊辰戦争を包括した戦役級ウォーゲームとなると、旧ゲームジャーナル時代の「戊辰戦争」ぐらいしかないはずで、それもすでに入手困難なので、今回早々に売り切れたというのもわかる気がする。また、本作はディティールも細かいし、射撃戦術の発達段階をテーマとした会戦ルールも面白そうなので、戊辰戦争にご興味のあるウォーゲーマーの方は、もし通販がされるようなら、是非入手して、プレイしてみてほしい。自分も近いうちに触れてみよう。

【参考文献】「戦況図解 戊辰戦争」

Amazon戊辰戦争の参考資料を探していたら、サンエイ新書の「戦況図解 戊辰戦争」という本を見つけた。しかし申し訳ないがサンエイ新書なんて聞いたことがなかったし、近場の大型書店にも無かったので、ちょっと怪しく思っていたが、ようやく丸の内丸善で現物を発見。ぱらぱら眺めたら、たしかにウォーゲーマー向きの戦況図が沢山載っていたので購入した。この手の、簡単に歴史をわかった気になれる系の雑誌や書籍は基本的にスルーしているが、これだったら手元にあっても良いかなと。

戊辰戦争はもちろん日本国内の戦争だし、特に地元近辺や、実際に行ったことがある、通過したことがある地域だと、その距離感や風景などイメージしやすい。江戸城を脱出した大鳥圭介国府台で兵をまとめ、松戸、水海道、下妻、下館と北上し……などという記述を見ても、ああ、はいはい、今でいうところの関東鉄道常総線に沿った感じね、鬼怒川の水運も利用したのかな、とか想像できたりする。

しかし、あまり自分が知らない地域、行ったことがない地域だと(自分の場合、北越戦線や秋田戦線)、日本国内の話なのに、位置関係がわからなくて、やはりこういう戦況図があった方がありがたい。同じく行ったことがないけれど、異国のノルマンディとかアルデンヌ地方の方が、ウォーゲームの地図盤を通じて馴染みがある、というのもおかしな話だが……

【Eagle of France】「Fallen Eagles II : Waterloo 1815」Hougoumont Solo-Play AAR

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先日購入した「Fallen Eagles II : Waterloo 1815」から、ウーグモン城館だけを切り取った練習用ミニシナリオをソロプレイしてみた。全3ターン。両軍が各ターン2回ずつ活性化し、ウーグモン城館ヘクスを争奪するというもの。とりあえず初プレイなので、ルールブックを読みつつ、ちまちまと進めてみた。

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第1ターン。先手フランス軍は、足の速い軽歩兵スタックを両翼に配置して、ウーグモン城館を包囲する手筈。スタックは1ヘクスに30戦力まで、1ヘクスから攻撃できるのは20戦力まで、という制限を気にしつつスタックを組んでみた(砲兵と騎兵は2倍戦力扱い)。守るイギリス軍は、城館を囲む庭園ヘクスに配置してみたが、防御効果は、射撃に対しては多少あるものの、白兵戦には無し。

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フランス軍は6スタックがかりで、イギリス軍3スタックに白兵戦攻撃を宣言。これに対してイギリス軍が防御射撃を行い、2スタックがステップロス。砲兵はともかく、単なる歩兵射撃だけでは効果薄。

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白兵戦は、戦力比的に劣勢のイギリス軍スタックが次々とステップロス。

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しかし手番変わって、イギリス軍が攻勢射撃によってフランス軍を追い返す。後方に控えていたオランダ軍ユニットも、フランス軍軽歩兵を止めるために前進。

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しかし再びフランス軍の手番となり、攻勢射撃と白兵戦によってイギリス軍2スタックが消滅。

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第2ターン。先手フランス軍は、庭園ヘクスに残る最後のイギリス軍ユニットを除去しつつ、ウーグモン城館に三方から迫ったが、籠城部隊にダメージは与えられなかった。しかし籠城部隊も歩兵ユニットだけなので、防御射撃が頼りない。砲兵ユニットも籠城させた方が良いなあと今さら思ったり(砲兵と歩兵がいれば、別々の攻撃ヘクスに対して防御射撃が行える)。

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フランス軍は、2回目の活性化で4スタックがかりでウーグモン城館を攻撃。しかし防御射撃で、早くも2ユニットがステップロスさせられ、白兵戦のダイス目も悪く、守るイギリス軍の練度チェックのみ(そして成功)で終わる。

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第3ターン。先手フランス軍は、三度ウーグモン城館を攻撃したものの、またもイギリス軍の練度チェックのみ(そして成功)。オランダ軍ユニットも、ステップロスしつつもいまだ健在。

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フランス軍は、2回目の活性化でようやくウーグモン城館にステップロスを与え、イギリス軍は練度チェックに成功したものの、その場に留まるためにさらに1ステップロス。とは言え、これでシナリオ終了なので、何とかウーグモン城館を守り切ったことになる。そしてフランス軍も、ほとんどのユニットがステップロス状態に。プレイヤーズノートを読んでも、ウーグモン城館は包囲するけれど直接攻撃は避けるという手が紹介されていたので、それが正解なのかもしれない。

 

とりあえず、歩兵と砲兵の戦闘手順はなんとなくわかった。システム的な感触としては悪くないし、自宅で友人と対戦するならこれぐらいの軽さで良いかなあと。次は騎兵が出てくる練習シナリオ2「D'erlon Assault」を試してみよう。