Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】バート・S .ホール「火器の誕生とヨーロッパの戦争」

全然ノーマークだったけれど、平凡社ライブラリーから「火器の誕生とヨーロッパの戦争」が再刊されたので購入。もともと1999年に日本語書籍として出版されたけれど、後に絶版となり、古書店でもプレミア価格になっていた一冊。自分も2011年に中世ミニチュアゲームに入れ込んでいた時に読みたくなったものの手に入らず、仕方なく洋書を買って気を紛らせたという……いや、ありがたい復刊である。

本書は、ルネッサンス期の西ヨーロッパで、いかにして火器が普及、発達していったかを紐解く軍事技術史。著者も序論で述べているが、鉄砲や大砲ってなんとなく普及して、なんとなく発達したイメージがあるが、いやそこは歴史家としてきっちりその変遷を追ってみようという意欲作。もちろん新兵器である火器を受け容れたヨーロッパの貴族や兵士層、軍隊の構造、築城術や戦争そのものの変化にも触れ、単なる技術史に留まっていない。

ちなみに今現在、手元にあるルネッサンス期のウォーゲームは「Men of Iron」シリーズの「Arquebus」のみ。これもたしかに銃兵や大砲が登場するが、もうちょっとスケールの細かいシステムも欲しかったり。「Musket & Pike」がまさにそうなんだけど、あれは清教徒革命、三十年戦争と、本書で扱う範囲からちょっと後なのよね。まあ、まだ「Arquebus」のパヴィア戦シナリオはプレイしていないのでそのうち……