Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Grand Operational Simulation Series】「Hurtgen:Hell's Forest」October Scenario Solo-Play AAR Part.2

さて「Hurtgen:Hell's Forest」10月シナリオも、シナリオ開始7日目、10月8日ターンへ突入。このターンから、アメリカ第7軍団(第3機甲師団、第1・第9歩兵師団)も攻撃を開始した。連合軍のトラックポイントも2増加され、弾薬・燃料量も改善されたものの、まずは様子見とばかり、第3機甲師団、第1歩兵師団のみを起動する。

しかし第3機甲師団の前面には、装甲効果を発揮できない西方防壁と市街地が立ち塞がり、さしたる戦果は上げられなかった。そもそもなぜこんな地域に機甲師団を配置したのか!と作戦計画をひっくり返したくなるが致し方ない。その代わり、第1歩兵師団はアーヘン市の外周陣地を順調に潰していく。

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一方ドイツ軍には、第1SS装甲師団の装甲擲弾兵大隊2個が来援。この部隊を、今まで軍予備として温存してきた第506重戦車大隊(ケーニッヒスティーガー装備)とスタックさせ、即席のカンプフグルッペを編成。アメリカ第30歩兵師団への反撃を試みさせた。しかしアメリカ軍は、戦闘前の阻止砲撃と空軍地上支援によってこれを撃退。

またドイツ第2108装甲大隊(V号パンター装備)を含む複数スタックは、突出したアメリカ第30歩兵師団第119連隊第3大隊に対し果敢に反撃。この包囲攻撃は、砲爆撃によって阻止されず、アメリカ軍大隊は全滅一歩手前まで追い込まれた。このマリアドルフ(W3520-W3521ヘクス)近辺の平野部は、ドイツ装甲部隊がその能力を発揮しやすい地域となっている。アメリカ軍はこのターンに受けた反撃を重く見て、以降の作戦方針に変更を加えることとなった。

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続く10月9日ターンは曇天。連合軍の空軍能力は半減されたが、ドイツ軍は弾薬チェックが振るわず、新たな砲弾が届かなかった。また連合軍は、空軍による補給妨害(ドイツ軍のトラックを襲わせる)を続けて来たが、ここまでさしたる効果は上げられず、また装甲部隊による反撃に備えるため、これを中止。航空ポイントは主に地上支援に回すこととなった。

反撃をくらったアメリカ第30歩兵師団は、いったん陣容を整え、前進を停止。アメリカ第1軍全体としてもドイツ装甲部隊の反撃に備えるため砲撃を控えた。弾薬と空軍ポイントが残っている以上は、ドイツ軍も迂闊に反撃ができないのだ。

そしてアメリカ第1歩兵師団は、支援砲爆撃が無い割には善戦を続け、遂にアーヘン市中心部に陣取るドイツ第246国民擲弾兵師団司令部に接敵。10月9日ターン終了時には、市内のドイツ軍の中には補給切れとなるものもあり、包囲環は閉じていないものの、事実上アーヘン包囲が成立した形である。

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またこの10月9日ターンからは、アメリカ第9歩兵師団もヒュルトゲンへ向けて進撃を開始。あくまで助攻ながらも、意外にも攻撃はスムーズに推移した。

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そして10月10日ターン。遂にアーヘン市が陥落。南北から攻め込んだアメリカ第1・第30歩兵師団が市の中心部で手を握り合った。第1歩兵師団の損害は軽微で、さすがビッグレッドワンの異名は伊達ではなかったようだ。

また装甲部隊の反撃をくらった第30歩兵師団は、マリアドルフ近辺に拠点を構築開始。これに立て籠もられると反撃もしにくいという理由で、再びSS第1装甲+第506重戦車大隊スタックが反撃に向かったが、やはり盛大な砲爆撃をくらって後退している。ドイツ軍も多少の損害は気にせず攻め込みたいところだが、10月8日ターン以降(つまりアメリカ軍が1個軍団ではなく2個軍団で攻めかかってきて以来)、損害が急激に跳ね上がり、補充ポイントも枯渇しかかっているのだ。ましてケーニッヒスティーガーなぞ、いったん失えば補充は難しく、無理に攻めるよりは睨みを効かすだけにしておく方が良い……という判断で引き続き温存された。

※GOSSでは、戦車種によりステップ回復に必要な装甲補充ポイントが異なる。III号突撃砲1ステップは1装甲補充ポイントで補えるが、V号パンター1ステップ回復には1.5ポイントが、VI号ティーガーには2.5ポイントが、VI号b型ケーニッヒスティーガーには3ポイントが必要となる。ドイツ軍が各ターンに受け取れる装甲補充ポイントは、1~4ポイント。

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上写真は10月11日ターン終了時。右上にはアーヘン救援に間に合わなかったドイツ第116装甲師団の先遣隊が見える。実際、盤上に現れたのは2ターン前だが、戦略移動や道路移動を使うと連合軍の地上妨害を受けてしまうため、戦術移動モードでちまちまと路外移動をするしかなかった。

また今までアーヘン市内へ補給線を通すため、ドイツ軍戦線のボトルネック部分を支えていた部隊が、今度は南北からアメリカ軍に挟まれる形となった。この二次包囲を避けるべく、ドイツ軍は徐々に後退しつつある。

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またアメリカ第9歩兵師団は、ヒュルトゲン手前のヘクスまで前進している。一応こちらにもドイツ軍の増援部隊が来つつあるが、 すでに西方防壁ラインは抜かれており、防衛は難しいように思う……という辺りで今回のソロプレイは終了。やはりアーヘン攻防というメインテーマが終わったと同時にモチベーションも下がってしまった。一応ここまでやったという達成感も得られたので良しとしておこう。

 

しかし「やった」とは言え、ルールミスも多かった。ルールの読み落としにも、ずいぶん気づいた。まあ元々このシステムをミス無く回すには、かなりの修練が必要だが、乱暴に言えば「移動・戦闘・予備移動を繰り返すだけのシステム」と言えなくもなく、そういった感触が掴めただけでも大収穫である。次回はより精度の高い状態でプレイできるのではないかと自分に期待もしている。

GOSSは軍単位で補給・補充を管理するシステムなので、プレイヤー1人が1個軍を扱うのが区切りが良い。しかし1個師団が20ユニット前後で構成されるため、1個軍となると150~200個近いユニットを管理せねばならず、負担としてはかなり重い。それでも盤上にいくらユニットがあろうが、燃料・弾薬が無ければ動かせず、動かす必要もない、という解釈はOperation Combat Seriesにも通じている。

そこに大隊規模の戦術ディティールをこれでもかと盛り込んだのはやり過ぎだが、これを修得するとOCSすら普通のゲームに思えてしまう。ある意味、筋力トレーニング的なウォーゲームだが、そこに楽しみを見いだせるか、苦行と感じるかは個々人にお任せする。

個人的には、同じシナリオのウォーゲームを一ヶ月以上自室に置きっ放しにしたのは人生初で、そういった意味でも感慨深いソロプレイだった。自分はフルマップ2枚程度のセミビッグゲーム嗜好なので、これからはこういった形で、ロングスパンのウォーゲームも少しずつ消化していきたいと思う。