Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Operational Combat Series】「Beyond the Rhine」 A Time for Trumpets AAR Part.1

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最近、OCS(Opeartional Combat Series)の話題が続いたせいか、ちょうど1年前にさわりだけソロプレイした「Beyond the Rhine」のバルジ戦シナリオ「A Time for Trumpets」に再挑戦してみた。

前回のソロプレイでは、既存のバルジ戦ゲームとは異なり、突破するドイツ軍に対して連合軍がフリーハンドで南北から予備部隊を注ぎ込み、わずか2ターンで(史実の12月19日時点で)ドイツ軍を封鎖できることが分かった。ドイツ軍がこれを防ぐには、主攻勢軸となるアルデンヌの森林地帯だけでなく、さらにその南北でも、連合軍の増援を阻むような陽動攻撃を行った方が良いのでは?と思った。当然、史実のバルジ戦より大がかりな攻勢になるし、それを戦いきれる補給物資は多分無い。しかし連合軍の増援を遅滞させるチャンスがあるなら、やってみようか……という感じである。

逆にこのシナリオでは、連合軍が「後の先」、つまりドイツ軍の攻勢を逆利用し、自在に予備部隊を使うことで、バックハンドブロー的にドイツ軍を撃滅するチャンスが表現されている。実際ドイツ軍が攻勢を仕掛けてきた時、パットン将軍が『ドイツ軍は、肉挽き器の中へ頭を突っ込んでしまったようなものだ』と言ったという逸話があるが、たしかに堅牢なジークフリード線の向こうに隠れていたドイツ軍が、わざわざその防御線から出てきてくれたのだから、チャンスと言えばチャンスなのだ。

と、おおまかな展開イメージを描きつつ、ソロプレイ開始…… 

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まず第1(12月15日)ターン。ドイツ軍先攻。補給は8SP到着。まずAachenの北で、第9装甲師団が陽動攻撃を開始。英米軍の境界線に割って入り、Heerlenにいたアメリカ第19軍団司令部を襲ったが、1ステップロスして後退。上手くいけば、予備の第10SS装甲師団で二の矢を放つつもりだったが……

またルクセンブルグの南では、やはり陽動攻撃として第17SS装甲擲弾兵師団が打って出たが、こちらも1ステップロスして渡河攻撃に失敗している。 

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やはり頼りになるのは、主攻勢軸なのか。しかし第1SS装甲師団、第12SS装甲師団、さらに第501SS重戦車大隊+第150旅団のスタックは、それぞれアメリカ軍の前線を後退させたものの、突破モードには至らず、じんわりと前進したのみ。 

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最悪だったのは、Bastogneへ向かうはずの第2装甲師団+第26国民擲弾兵師団の攻撃。混乱したアメリカ軍分遣連隊相手に逆奇襲3シフトを喰らい、なんと2ステップロス。唯一気を吐いたのが第116装甲師団で、奇襲6シフトで米軍の駆逐戦車大隊と砲兵グループを吹き飛ばし、突破モードでもSt.Vithに対して二度目の奇襲4シフトでこれを奪っている。この第116装甲師団に続けと、北から予備の第2SS装甲師団、第9SS装甲師団を回し、さらなる突破に備えた。

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本来なら、予備フェイズにBastogneへ向けて発進するはずだった装甲教導師団は、第2装甲師団が行き詰まったため、急遽南進。運良く事前砲撃だけで突破口が空いたEchternachから、一気にLuxemburgの北2ヘクスまで進出した。史実の展開からは早くもかけ離れたが、一応勝利条件都市には、Luxemburgの先にある、Metz、Verdunも含まれているので、こちらに攻め込むのもゲーム的にはありだ。

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これに対して第1ターン裏の連合軍は、増援のアメリカ第101空挺師団をBastogneへ、第82空挺師団をLuxemburgへ鉄道輸送で送り込み、Aachenの間隙は分遣連隊を捻出して埋めることに。北の陽動作戦は、イギリス軍に任せ、アメリカ第3機甲師団と第1歩兵師団はEupen付近に展開。さらに北からアメリカ第2、第7機甲師団が地図盤中央に向かい、ドイツ軍の突破に備えた。また南のアメリカ第10機甲師団と第26歩兵師団は、本来ならBastogneへ向かいたいところだが、装甲教導師団に対処するため、Luxemburgへ。さらにイギリス軍も、近衛機甲師団と第33機甲旅団を南下させ、Liegeの防衛に就かせた。

ちなみにこのシナリオでも、イギリス軍の展開制限はあるが、他のバルジ戦ゲームと比べるとその制限は非常にゆるく、Bastogne北2ヘクスの線まで進出してもかまわないことになっている(上の写真右側の黒い点線が、イギリス軍が進出できる北部・中央部の境界線)。ただしアルデンヌの森であるHeavy Woods地形では、黄色い兵科マークのイギリス軍戦車大隊は戦力が半減されるし、イギリス機甲旅団はすべて(黄色)戦車大隊のみで編成されているため、あまり頼りにはならない。いわゆる『ルール的にはやってもいいけど、ルール的にはうまくいかない』という奴だ。やはりこの森林でも戦力を十分に発揮できるのは、赤い兵科マークのアメリカ軍コンバットコマンドということで。(一応、赤い兵科の機甲旅団2ユニットを含むイギリス近衛機甲師団は、アルデンヌの森林でも戦える編成になっている)

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さて第2(12月19日)ターン。今回もドイツ軍先攻。まず、装甲教導師団のLuxemburg突破を支援するため、南から第17SS装甲擲弾兵師団をスイングし、増援の総統警護旅団も付けて、これを副攻勢軸とした。行き当たりばったりで生まれた突破口だが、南から来るアメリカ第10機甲師団を足止めしている効果は大きい。しかし装甲教導師団は、Luxemburg手前を守っていた米軍駆逐戦車大隊を蹴散らして、突破モードを得たものの、二次攻撃に使える補給ポイントが無く、街の手前で足止めされている。 

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北部の第1SS装甲師団、第501重戦車大隊、第150旅団は、引き続き地道に前進。第12SS装甲師団は、アメリ第3機甲師団のコンバットコマンドにぶつかり、停止。

第116装甲師団はこのターンも順調に前進し、さらにそれを乗り越える形で、予備の第9SS装甲師団が南からMalmedyへ迫っている。しかし早くも補給ポイントが枯渇気味で、第2SS装甲師団は動けず、第2装甲師団も突破モードを得たものの、二次攻撃の補給ポイントを得られなかった。 

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第2ターン裏の連合軍は、各アメリカ機甲師団のコンバットコマンドを戦闘モードにして戦線を埋め、その背後に予備モードの砲兵部隊を配置し、防衛体制を整えつつあった。もっとも補給ポイントが足りないのは連合軍も同様で、積極的に反撃する余裕は無い。それでもこのターン、空が晴れたため、連合軍の空爆が炸裂し、ドイツ装甲師団の主力6スタックを混乱させた。

しかしここまでの殊勲・幸運師団である第116装甲師団だけは、空爆の魔の手から逃れているし、次の第3ターンは、混乱していない部隊でどれだけやれるかが肝となり、またそこにのみリソースを注ぎ込むことになるだろう……というあたりで、Part.2はまた明日。