日本でも「戦略論 間接的アプローチ」でお馴染みのリデルハートの評伝「リデルハートとリベラルな戦争観」を購入。人物伝とは言っても、むしろリデルハートの実像をあからさまに解き明かそうとした一冊になっている。たとえばリデルハートが、第一次大戦に参戦したものの一時的に戦場から逃げたのではないかとか、他人の発想から拝借した理論が多いとか、その理論に反する現実(第二次大戦緒戦でのドイツ軍の電撃的勝利)が現れた時の対応や、逆に自分の主張が合っていたことを誇張して宣伝するとか、戦後自らの失地を回復するように旧ドイツ軍人に接近したとか、いかがなものかというエピソードが多い。
とは言え、リデルハートの戦争論・戦略論がまったくの的外れかというと、それもまた違うワケで、そのあたり、人は人、論は論というスタンスで分析していて面白い。
自分も学生時代に「戦略論」に接し、こんなにウォーゲーマー向きな本があるのかと、とても楽しんで読んだ記憶がある。後々リデルハートの人物像を知った今でも、この版が本棚に並んでいる。学生の自分にも読めた、この論の読みやすさもリデル・ハートの魅力なんだろうなあとは思う……