Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

Command Magazine #44 「Okinawa」

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コマンドマガジン44号を購入。目当ての付録ゲームは3Wから発売されていた「沖縄」のライセンス版である。本作はWWII沖縄戦を包括しており、ゲームスケールは1ターン=3日、1ヘクス=800m、1陸上ユニット=大隊~中隊。地上戦だけでなく菊水作戦を含む航空戦闘も含んだ、沖縄戦ゲームの決定版とも言える内容になっている。

本作のターンは、両軍で表裏を交互に行うのではなく、単一ターンの中でそれぞれの行動をすべて解決するものだ。ターン・シークエンスは、海空戦、天候判定に続いて、両軍の戦術を決定する。日本軍には撤退、温存、隠蔽、反撃と云う選択肢が、一方のアメリカ軍には準備、浸透、迂回、突撃と云う戦術がある。この組み合わせによって、そのターン、両軍の射撃戦闘がどれだけコラムシフトするかが決定されるのだ。その後、アメリカ軍移動、射撃戦闘、アメリカ軍突撃、日本軍移動、日本軍突撃、日本軍補充、回復の順でターンを進める。こういったタイプのゲームも珍しい。

本作は、ZOC浸透移動とそれに対する臨機射撃があり、戦車と速射砲ユニットは2ヘクスの射程を持つ等、戦術的ディティールもふんだんに盛り込まれた精密作戦級の感もある。一方で日本軍に戦果ノルマを課すような幕僚会議ルールもあり、沖縄戦の指揮状況を反映してもいる。本誌掲載のリプレイもかなり力が入ったものであり、非常に参考になりそうだ。

なりそうだ、としか言えないのは、実は本作も未だプレイに至っていないためだ。購入から十数年経った今でもカウンターすら切っていない。大隊レベルの精密作戦級なので自分の好むゲームスケールではあるのだが、沖縄戦と云う題材が二の足を踏ませているのだろう。

実は自分の小学校時代の校長先生が沖縄の方で、実際沖縄戦にも参加されていた。校長先生は、特に悲惨な戦争体験などはお話にならなかったが、一度だけ、修学旅行の夜に自分たちの部屋に来てくださり、沖縄戦時の幽霊話(死んだはずの戦友が地下壕の入り口に立っていた)を話してくれたのだ。自分たちの学年は5クラス200人以上いたが、その中からなぜ自分たちの部屋を選んで、そんな話をしてくれたのかは判らない。ただその時から自分の中で沖縄戦は、少しだけ身近な題材になってしまった。戦争はどれも悲惨なもので、そこに差を付ける気はないが、身近に感じるか遠くに感じるかはまた別の話だ。本作をプレイする気にはなかなかなれないが、そういう題材がひとつふたつあるのも自然なことだと思っている。

沖縄―日米最後の戦闘 (光人社NF文庫)

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