Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】Bair Irincheev「War of the White Death」

War of the White Death: Finland Against the Soviet Union 1939-40 (The Stackpole Military History Series)

War of the White Death: Finland Against the Soviet Union 1939-40 (The Stackpole Military History Series)

 

半年以上前に、Amazonにて1939-40年の冬戦争(ソ・フィン戦争)を扱った「War of the White Death」(Stackpole Military History Series)を購入。もちろん 「TSWW : Hakkaa Päälle」の参考書にと思い、ちまちま読み進めてきた。原書は、2011年発行と比較的新しい。

本書の特徴は、1991年のソ連崩壊後に世に出てきた資料を基に、冬戦争を分析している点。1941年以降の独ソ戦史も、ソ連側の新資料を加味して書き換えられつつあるが、日本で出版されている冬戦争の本も「冬戦争の戦車戦」以外は、ほとんどがフィンランド側視点中心なので、非常に興味深く読んだ。内容は、基本的に陸戦中心で、戦闘描写も結構細かい。そういう意味では、作戦レベルのTSWWよりも、戦術レベルの冬戦争ウォーゲーム「Red Winter」「TCS:A Frozen Hell」あたりの参考書になりそうだ。

本書でまず興味深かったのは、冬戦争に従軍したソ連軍兵士たちが、故郷に送った手紙を検閲した記録。ソ連側は、その手紙の内容がポジティヴかネガティヴかまで記録しているが、序盤の苦戦にも関わらず、肯定的な内容が多い。しかしそれは、そもそも検閲があると知って否定的な内容を書かなかったのか、それとも故郷の家族や恋人を心配させまいとして肯定的な手紙を書いたのか、想像するのも面白い。

また、スオムッサルミの戦闘で大敗を喫した、ソ連第9軍の前線指揮官や政治将校たちは数多く処刑されているが、肝心の第9軍司令官チュイコフは、責任を問われていない。しかしチュイコフは、冬戦争後、中華民国に軍事顧問として派遣されているが、これは一種の懲罰的左遷だったのだろうか。そういや「独ソ開戦の真実」には、対フィンランド戦争戦訓検討会議で、スターリンに詰問されるチュイコフの発言が載っていたなあ。

チュイコフが、1941年6月にドイツ軍がソ連に攻め込んで来ても、ずっと呼び戻されなかったのは、ソ連の中央指導部から捨て忘れられていたからだろうか。そう考えると、1942年9月に、チュイコフがスターリングラードを守る第62軍司令官に抜擢された際、フルシチョフ政治委員から『貴官の任務をどう見るかね?』と問われ『スターリングラードを守り抜くか、それで死ぬかでしょうね』と答えたのも、自分は一度スオムッサルミで失敗していて、それでも処刑されなかったのだから、スターリングラードでその責任を取る、という意味だったのだろうか。本書ではチュイコフが、自伝の中で一言もスオムッサルミの戦いに言及していないことも挙げているが、そう考えると、スターリングラード着任時のセリフも印象が変わってくるなあと。

まあ、そういった細かい兵士・指揮官の心理含めて、冬戦争のソ連軍を学ぶには良い一冊かと。

【The Second World War】「TSWW : Hakkaa Päälle」Timoshenko's Offensive '40 Solo-Play AAR Part.3

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1940年2月IIターン。天候は、過酷(Severe)から一段階良くなって悪天候(Poor)に。このターンも、ソ連軍は全軍を攻勢補給下に置き、2スタックずつ3箇所で攻撃を行うことに。もちろん、さっさと勝利条件都市ヴィープリ(Viipri)へ攻め込みたいのは山々だが、まだマンネルハイム線も1ヘクスしか突破できておらず、このターンは突破口の拡大に努めることに。その後の作戦的な選択肢も広がるだろうし。

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3箇所での攻撃に先立ち、今回はソ連海軍航空隊も含めて、近接航空支援(CAS)に発進。前ターンは天候が過酷だったため、爆撃力も50%減となったが、このターンは悪天候で済んだため、爆撃力は10%減のみ。 これに対してフィンランド軍は、再び迎撃機を上げたが、ブルドック戦闘機はI-16護衛戦闘機に撃ち落とされ除去。フォッカーD21は、またもI-16戦闘機をステップロスさせたが、爆撃編隊までは達せず、基地に帰還。ソ連軍の近接航空支援は、西から、地上戦力+0.675、+1.575、+1.575となった。

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前ターンに続く、地峡東部のタイパレ(Taipale)への攻撃で、ソ連軍は……

・歩兵69戦力(5個師団+2個旅団)✕0.75(悪天候・大規模陣地)=51.75戦力

・戦車16戦力(2個旅団)✕0.5(悪天候・大規模陣地)=8戦力

・重砲兵31戦力(6個連隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(悪天候)=93戦力

・近接航空支援1.575 合計戦力154.325

対するフィンランド軍は、4戦力✕2.4(マンネルハイム将軍と戦闘効率補正)=9.6。戦闘比16:1なので、振り切り9:1で判定。ダイス修整は、悪天候・大規模陣地の-3。ソ連軍の出目は8。修整して5。結果はDE。防御側は全滅し、ソ連第19軍団がタイパレへ前進した。

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続いて、戦線中央ポラッカラ(Pölläkkälä)への攻撃。ソ連軍は……

・第1軍団スタック(マンネルハイム線を越えている)

・歩兵57戦力(4個師団+空挺連隊+スキー旅団)

・第3軍団スタック(マンネルハイム線を越えていない)

・歩兵37戦力(4個師団)✕0.75(悪天候・大規模陣地)=27.75戦力

・重砲兵20戦力(3個連隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(悪天候)=60戦力

・近接航空支援1.575 合計戦力146.325

対するフィンランド軍は、9戦力✕2.4=21.6。戦闘比は、6.77:1。d100を振って51が出たので、戦闘比7:1に切り上げ。ダイス修整は、陣地線を越える-3。ソ連軍の出目は7。修整4。結果DQ。防御側フィンランド軍は、6スタックポイントのうち1/4を失い(第3軽歩兵師団がステップロス)後退。ソ連軍は、ポラッカラも占領した。

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さらに地峡西部ウーシキルコ(Uusikirkko)への攻撃。ソ連軍は……

・歩兵80戦力(6個師団+2個空挺連隊)✕0.75(悪天候・大規模陣地)✕0.75(悪天候・森湖)=45戦力

・重砲兵38戦力(6個連隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(悪天候)=114戦力

・近接航空支援0.675 合計戦力159.625

対するフィンランド軍は、6戦力✕2.4=14.4。戦闘比は振り切り9:1。ダイス修整-3。ソ連軍の出目は3。修整して0。結果EX。防御側フィンランド軍は全滅し、ソ連軍はそれに等しいスタックポイント5以上の損失を被り(2個歩兵師団をステップロスし、1個空挺連隊を除去)、ウーシキルコへ前進した。また、この戦闘により、フィンランド軍は10スタックポイント以上を損失したため、ソ連軍の勝利条件が1つ満たされた(残るはヴィープリの占領)。

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さらに突破フェイズでも前進してきたソ連軍に対して、フィンランド軍はマンネルハイム線の放棄を決定。勝利条件都市ヴィープリを守るため、薄い戦線を敷いた。

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続いて1940年3月Iターン。天候は、引き続き不良(Poor)。次がいよいよ最終ターンなので、ソ連軍としてはこのターン中にヴィープリに接しておかないと敗北。そのため、ここまで2スタック対1スタックの原則を守って攻めてきたが、このターンでは、1スタック攻撃も致し方無し。

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ソ連軍は、この1スタック攻撃にも近接航空支援(CAS)を投入。当然、フィンランド軍のフォッカーD21戦闘機(本当に孤軍奮闘)が迎撃に当たるも、I-16護衛戦闘機と追い返し合う形で空戦は終了。作戦爆撃力13=地上戦力4.25✕0.9(悪天候)=3.825が投下された。

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ヴィープリの西ヘクスを攻める、ソ連第3軍団スタックは…… 

・歩兵54戦力(4個師団+スキー旅団)

・重砲兵15戦力(3個連隊)✕0.75(悪天候)=11.25戦力

・近接航空支援3.825 合計戦力69.075

守るフィンランド軍は、5戦力✕2.4=12。戦闘比5.75:1。d100振って35が出たので戦闘比6:1に切り上げ。ダイス修整は-1(悪天候・森)。ソ連軍の出目は3。修整して2。結果はQH。フィンランド軍は、高射砲・砲兵連隊を失い、第5軽歩兵師団はヴィープリ市内に後退。ソ連軍は、スキー旅団を犠牲にして、ヴィープリに隣接した。

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ではヴィープリの南東ヘクス、ハインヨキ(Heinjoki)への攻撃。ソ連軍は……

・歩兵111戦力(8個師団+2個空挺連隊)✕0.75(悪天候・森湖)=83.25戦力

・重砲兵40戦力(6個連隊)✕0.75(悪天候)=30戦力 合計戦力113.25

対するフィンランド軍は、5戦力✕2.4=12。振り切り戦闘比9:1。ダイス修整は-2(悪天候・森湖)。ソ連軍の出目は6。修整して4。結果はDE。防御側は全滅して、ソ連軍はハインヨキからもヴィープリに迫る形となった。フィンランド軍も、ヴィープリに第3軽歩兵師団の残余を入れ、最後の市街戦を待った。

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最終1940年3月IIターン。天候は、引き続き不良。ソ連軍は、ヴィープリに接する第1・第3軍団スタックにありったけの戦力を集めて攻撃開始。ソ連軍が結集したのは…… 

・歩兵135戦力(10個師団)

・重砲兵60戦力(10個連隊)✕3(都市)✕0.75(悪天候)=135戦力 合計戦力270

対するヴィープリ守備隊は、14戦力✕2.4=33.6。戦闘比8.03:1。d100振って37だったので、戦闘比は8:1止まり。ダイス修整-1(小都市)。ソ連軍の出目は8。修整して7。結果DE。防御側フィンランド軍は全滅し、ソ連軍はヴィープリを占領し、勝利した。

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というわけで、ソ連軍が、史実では占領できなかったヴィープリを陥落させたが、マンネルハイム線の突破は結構厳しかった。今回は、ソ連軍が最初のターンに突破できていたから最終的に勝利できたが、突破が1ターン遅れたら、ヴィープリ占領はならなかっただろうし、やはり戦力の集中は大事と。

まあ、このシナリオもあくまで練習規模で、詰め将棋的に、4ターン先までにヴィープリを占領できるかという問題を論理的に解く感じ。作戦的余地は少なかったものの、まずは、こういった歩兵と砲兵を中心とした戦闘計算から体得した方が良いと思う。今回も、あれこれ細かい計算手順を記録したが、もしこれに戦車、対戦車要素が加わると、さらに計算は面倒になる。そういった複雑な戦闘をする前に、機甲戦要素の少ない戦場を選んだ方が無難だろう。そろそろ機甲戦要素満載のはずの「TSWW:Barbarossa」も発売されるようだが、個人的には、まだ歩兵・砲兵戦をしっかり学びたい。次のTSWWソロプレイ予定は「Singapore !」の1941年マレー戦か、1944年インパール戦あたり……

【The Second World War】「TSWW : Hakkaa Päälle」Timoshenko's Offensive '40 Solo-Play AAR Part.2

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それでは「TSWW : Hakkaa Päälle」の冬戦争・ティモシェンコ攻勢シナリオ、ソロプレイ開始。最初は1940年2月Iターン、先手ソ連軍、開始フェイズから。ソ連軍は、レニングラードに置かれた補給所(機能面:OP)から、2/3兵站ポイントを消費して、カレリア地峡の第7軍・第13軍司令部(とその麾下軍団司令部)に攻勢補給(OS:Offensive Supply)を供給した。これによりカレリア地峡のソ連軍はすべて、このターンに戦力・移動力を100%発揮できることとなった(一般補給だけの場合は戦闘効率補正✕0.75、騎兵と自動車部隊は移動力1/2、それ以外の部隊は移動力1/4となる)。

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ソ連軍移動フェイズ。カレリア地峡東部にいた予備歩兵師団が前線ヘクスへ移動。ソ連軍は、これに続く戦闘フェイズで、4スタックを用いて2箇所で攻撃に出ることにした。

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ソ連軍戦闘フェイズ。解決に先立ち、2箇所での攻撃を支援するべく、近接航空支援(CAS)任務の航空部隊が出撃。それぞれDB-3MとSB-2bis爆撃機3スコードロン(120機相当)に、I-16タイプ17など護衛戦闘機も付けている。これに対してフィンランド軍のフォッカーD21(40機相当)、ブルドック戦闘機(20機相当)が迎撃発進した。

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戦線中央に迎撃発進したフィンランド軍ブルドック戦闘機は、ソ連軍の護衛I-16戦闘機に追い返され、基地へ帰還。地峡東部上空に向かったフォッカーD21戦闘機は、ソ連軍のI-16戦闘機をステップロス(20機撃墜相当)させたものの、こちらも基地に追い返され、爆撃機本隊へは近づけなかった。

また2つの爆撃隊とも、対空射撃を生き残り(と言ってもたいした対空射撃は無かった)、予定通り近接航空支援を行った。図左側の爆撃機隊は、作戦爆撃力5。右側は、作戦爆撃力7。作戦爆撃力4毎に地上戦力1となるため、左側は地上戦力1.25、右側は1.75となるが、あいにく天候が過酷なため、効果は半減。0.625と0.875となる。うーん、分かってはいたが、地上戦力1にもならんのか……

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では地上戦闘解決。まずカレリア地峡東部タイパレ(Taipale)への攻撃。ソ連軍は……

・歩兵72戦力(6個師団+スキー旅団)✕0.75(過酷・大規模陣地)=54戦力

・戦車16戦力(2個旅団)✕0.5(過酷・大規模陣地)✕0.5(過酷・森)=4戦力

・重砲兵26戦力(5個連隊+列車砲大隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(過酷)=78戦力

・近接航空支援0.875 合計136.875戦力

戦車部隊は、スタックポイント(部隊規模)に等しい装甲値を持つ。この場合、ソ連軍は2個旅団=4スタックポイント分の戦車を持つため、装甲値も4。ただし大規模陣地ヘクスサイドを超えて攻撃する場合、その装甲値を活かした戦車ショック効果(ASE)は無効とされるため、今回は考慮しない。

対するフィンランド軍は、6戦力✕2.4(マンネルハイム将軍と戦闘効率補正)=14.4戦力。戦闘比9.50:1。d100を振って10が出たので、戦闘比10:1に繰り上げるが、地上戦闘結果表には9:1までしかないので振り切り。ただしダイス修整は-4(過酷・大規模陣地)。ソ連軍の攻撃ダイス、出目は1(最悪!)、修整して-3、結果はHQ。攻撃側ソ連軍は、防御側フィンランド軍=5スタックポイントの1/2=2.5スタックポイント以上を除去しなければならず、第72歩兵師団をステップロスさせ(2スタックポイント損失)、スキー旅団を除去(2スタックポイント損失)した。フィンランド軍は、5スタックポイントのうち1/4を失って後退するか、1/2を失って留まるか。当然、後者を選び、第7(軽)歩兵師団をステップロスさせ(2スタックポイント損失)、タイパレを死守した。マンネルハイム線、堅し! 実際、史実でもタイパレ地区での戦闘は、ソ連側にとって虚しいものだったとあるから、そのまんまか……

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では主攻勢軸、戦線中央、キヴェンナパ(Kivennapa)に対する攻撃。ソ連軍は……

・歩兵104戦力(8個師団+2個空挺連隊)✕0.75(過酷・大規模陣地)✕0.5(森・湖)=39戦力

・重砲兵40戦力(6個連隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(過酷)=120戦力

・近接航空支援0.625 合計159.625戦力

対するフィンランド軍は、10戦力(歩兵師団+高射砲連隊+砲兵連隊)✕2.4=24戦力。戦闘比6.65:1。d100振って36が出たので、戦闘比7:1に繰り上げ。ただし、こちらもダイス修整は-4(過酷・大規模陣地)。ソ連軍の攻撃ダイス、出目は8。修整して4。結果はDQ。防御側フィンランド軍は、6スタックポイントのうち1/4を失い(第5軽歩兵師団をステップロスして2スタックポイント喪失)、後退しなければならない。ソ連軍は見事、マンネルハイム線を突破し、陣地線の向こうに第1軍団司令部+4個歩兵師団+1個空挺連隊を前進させた。

この後は、非手番側・フィンランド軍の反応移動フェイズとなるが、あいにく反応移動(移動力1/2で移動)が許されるのは、敵ユニットから3ヘクス以上離れているユニットなので、今回は無し。

続いてソ連軍の突破フェイズ。攻勢補給下の騎兵・自動車化ユニットは、さらに全移動力を使って移動でき、それ以外のユニットは移動力の1/2まで移動できる。ソ連軍の全ユニットは、攻勢補給下にあるため、いずれも移動可能。そしてこの移動中にオーバーランを行ってもよいが、電撃戦を諦めたティモシェンコ大将同様、ここは次ターンの攻勢準備に留めておこう。

手番代わって、フィンランド軍の開始フェイズ。ヴィープリに2個砲兵連隊が登場したものの、前線は手薄。移動フェイズにスキー部隊が位置を変えた程度。というあたりで、次の1940年2月IIターンへ……

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TSWWでは、旧エウロパ・シリーズより補給面も厳しく(そして細かく)なったが、基本的な地上部隊の補給システムは、なかなか良い感じだ。要するに、1/3兵站ポイント払えば、1個軍司令部と、その麾下の4個軍団司令部につながるユニットはすべて補給下に置かれるわけで、その処理は、案外と楽である。その麾下に何個師団いるのかという、従量制的な計算は無い(司令部から隔絶していたら、それをやる)。

また、攻勢補給下にしなければ、どの種類の部隊であろうと、戦闘力も移動力も100%発揮できないという処理は、補給に厳しいOCS(Operational Combat Series)より厳しくなっている。

OCSも補給に焦点を当てたゲームであり、自動車化部隊の移動には燃料が必要だが、歩兵・騎兵部隊はノーコストで動き回れてしまうので、そこがまだユルいかなと。歩兵にしろ騎兵にしろ、メシを食わねば動きも鈍るはずだし、その食糧供給まで再現しても良かったように思うのだが、デザイナーのDean Essigが、とりあえず自動車化部隊の燃料消費に焦点を絞ったから、ああいう形になったのだろう。

なんとなく、2010年代生まれのTSWWが、1990年代生まれのOCSを見て『いや補給にこだわるなら、歩兵や騎兵にも補給ポイントを食わせようぜ』と、先輩格OCSへのアンサーシステムになったような気もする。そういった、次世代・21世紀のウォーゲームの主張を見るのも面白い。

【The Second World War】「TSWW : Hakkaa Päälle」Timoshenko's Offensive '40 Solo-Play AAR Part.1

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引き続き「TSWW : Hakkaa Päälle」の冬戦争シナリオをソロプレイ。今回は、1940年2月から始まったソ連軍の攻勢シナリオ「Timoshenko's Offensive '40」を試すことに(ちなみに、ちょうど80周年)。冬戦争序盤で、大きな損害を被りながらもカレリア地峡のフィンランド軍防衛線=マンネルハイム線を突破できなかったソ連軍は、この地を攻める北西方面軍司令官にティモシェンコ大将を任命。ティモシェンコ大将は、膨大な兵力と砲兵を結集し、正面からマンネルハイム線の突破を画策。結果、この突破戦闘でも、ソ連軍は多大な失血を強いられたものの、フィンランド第2の都市ヴィープリ(Viipuri)に迫ったところで冬戦争は停戦と相成った。

このシナリオは、1940年2月Iターンに始まり、3月IIターンまでに(計4ターン)、ソ連軍がフィンランド軍に10スタックポイント(10個連隊相当)の損失を与えたうえで、ヴィープリを占領していれば勝利となる。

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ソ連軍は、マンネルハイム線の前に5スタック……歩兵師団✕13、戦車旅団✕3、空挺連隊✕3、砲兵連隊✕14、攻城用の列車砲大隊✕1を配置。特に中央の2スタックは、総計70戦力以上。さらに後方にも予備として、戦車師団✕1、歩兵師団✕4、二線級の歩兵師団✕4が控えており、ゴリ押しする気満々。こういうハイスタックが並ぶと、いよいよエウロパシリーズの本格シナリオという感じがする。

一応、エウロパシリーズとは違って、TSWWでは補給ルールも厳しくなったが、後方のレニングラードには、ソ連軍の補給所(ST)があり、2兵站ポイント(LP:Logistic Point)が準備されている。1兵站ポイントで、3個軍司令部とその麾下にある12個軍団司令部を攻勢補給下(騎兵と自動車化部隊も額面移動力100%を使用可能、かつ全ユニットの戦闘効率補正100%を使用可能)に置ける。今回、ソ連軍は、カレリア地峡の東西に第7軍、第13軍の2個軍司令部を有し、その麾下に6個軍団司令部+1個砲兵司令部がある。この場合、2/3兵站ポイントを使用すれば、前線部隊はすべて攻勢補給下となれる。2兵站ポイントがあれば3ターンずっと攻勢補給が継続でき、ソ連軍は1ヶ月毎に1兵站ポイントが送られてくるので、最終ターンまで攻勢補給が途絶える心配は無い。

スオムッサルミ戦シナリオで見られた、ソ連軍に不利な制約もほとんど解除されているため、通常運行で作戦が行える状態となっている。

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対するフィンランド軍も、首都ヘルシンキの補給所(ST)に2兵站ポイントがあり、カレリア地峡軍を補給下に置けるだけの物資はある。ただしマンネルハイム線守備隊はお寒い限りで、前線6ヘクスに各1個師団+砲兵連隊がいる程度。予備兵力も無く、いったん突破されたら、前線を塞ぐ部隊は無い。

一応、フィンランド軍の戦闘効率補正(CEV)はいまだ1.4、後方に陣取るマンネルハイム将軍の防御補正1.0もあるため、フィンランド軍地上部隊の防御力は✕ 2.4となる。質的な有利さは健在だが、さすがにここまで量的に劣勢になるとどうなるか。

また今回、ソ連軍は航空兵力も結集させており、近接航空支援(CAS)を行ってくるはず。しかしフィンランド空軍で頼りになる迎撃機は、フォッカーD21隊1ユニットのみ(北欧空戦記!)。

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ソ連軍としては、とにかく勝利条件都市であるヴィープリを目指して正面攻撃をかけるしかない。カレリア地峡西部沿岸には、フィンランド軍の沿岸陣地も連なっているため、攻めるのが面倒臭いし。

ソ連軍の戦闘効率補正(CEV)は1.0。つまり額面そのまま。しかし過酷な天候下で、マンネルハイム線(大規模陣地線)ヘクスサイドを超えて(戦闘力✕0.75、ダイス修整-4)、森林+湖ヘクスを攻撃する(戦闘力✕0.5)場合、たとえ70戦力あったとしても、70✕0.75✕0.5=26.25となる。フィンランド軍10戦力スタックが✕2.4=24となるのだから、額面70:10でも戦闘比は1:1となるわけだ。キビシィー! いやソ連軍の重砲兵や攻城砲兵は、大規模陣地に対して戦闘力4倍となるから、その活用も大事か。

とは言え、基本的にフィンランド軍1スタックに対して、最低でも2スタックで攻めなければダメ。助攻として、カレリア地峡東部でも攻撃をかけるとしても、2スタック対1スタックの原則は守るべき。

とにかくマンネルハイム線さえ突破すれば、戦闘力✕0.75とダイス修整-4というペナルティは消えるのだから、ソ連軍としては損害に怯まず、攻めるしかない。少しずつでも、マンネルハイム線守備隊の戦力を削っていけば、そのうち戦闘比も有利になってくるはず。しかし「すれば」とか「はず」という見込みでやる作戦ってロクなことにならないのが世の常……まあ、そういった事情も見えてきたところで、いよいよソロプレイ開始。

【The Second World War】「TSWW : Hakkaa Päälle」The Battle of Suomussalmi Solo-Play AAR

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「TSWW : Hakkaa Päälle」の特別ルールを翻訳したので、これで冬戦争(ソ・フィン戦争)もプレイ可能に。しかし史実に寄せるための仕掛け(陰謀ルールとも言う)が結構キツく、実際に確かめることにした。

まずは冬戦争中、フィンランド軍が最も輝かしい勝利を収めた「スオムッサルミの戦い」をソロプレイしてみることに。この戦闘は、フィンランド領内に侵攻したソ連第9軍の先鋒・第163歩兵師団が、スオムッサルミの街を奪ったものの、シーラスヴォ大佐率いる寡兵のフィンランド軍に各個撃破に遭ったうえ、後続の第144歩兵師団まで撃滅されてしまったというソ連軍の大敗。まあ、数個師団程度の戦闘なので、もっと細かいゲームスケールの方が楽しそうだけども。

シナリオ開始時点で、ソ連第163歩兵師団は3個連隊に分割され、それぞれ1一般補給ポイント(GSP)は持っているものの、第9軍司令部と補給所スタック(画像右下)からは、かなり離れている。1939年のソ連軍の主要補給ルート許容量は4と定められ、簡単に言うと、補給所から平地4ヘクス先まで補給下にできる。しかしシナリオ開始時=1939年12月Iターンの天候は、過酷(Severe)かつ凍結(Frozen)であり、主要補給ルートが各ヘクスを通過する消費コストが増し、第163歩兵師団の3個連隊も、この範囲外にあるため、最初から補給切れとされている。

TSWWでは、補給切れと判定された場合、補給源や補給所からの無制限の陸路=補給線(LOS)が断たれた「孤立」なのか、それとも補給所からの主要補給ルート(MSR)から外れた「補給負荷」なのかを判別する。今回の場合、ソ連第163歩兵師団の3個連隊は、補給所からの陸路=補給線(LOS)は通っているものの、主要補給ルート(MSR)範囲内にはいないので「補給負荷」となっている。「補給負荷」には2段階あり、「補給負荷1」では、攻撃力1/2、移動力1/2、影響ゾーン(ZOI、他のゲームで言うZOC)は減少状態、戦車ショック効果(ASE)-1、反応移動無しとなる。現状のまま、もう1ターン経過すると「補給負荷2」となり、攻撃力1/4、防御力、移動力、対空力1/2、影響ゾーン、戦車ショック効果、対戦車効果、装甲防御値無し、反応移動と突破移動も不可となる。

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さてソロプレイ開始。1939年12月Iターン。先手フィンランド軍の移動フェイズから。最初のターンの増援として到着した、第27軽歩兵連隊(2-6)は、スオムッサルミに陣取るソ連第613歩兵師団第759歩兵連隊(4-6)へ接敵。同じく第25連隊(1-6)も、スキー部隊は移動時に敵ZOIを無視できるというフィンランド軍特別ルールを活かし、ラーテ(Laate)道ヘクスへ進出。これとシーラスヴォ大佐直率のRasanan軽歩兵旅団(1-6)と併せて攻撃をかける。最初のターンには、一般補給ポイント4も届いているので、これを3消費して、3個ユニット(3スタックポイント)を攻勢補給下とし、額面100%の攻撃力を発揮させる(攻勢補給にしなかった場合、額面戦闘力✕0.75のみ)。一応、フィンランド軍には、対地支援にも使えるブレンハイムI型爆撃機0.5ステップ(作戦爆撃力1のみ)も控えているが、天候が過酷なので爆撃力50%となるため、今回は使わず。

続いて戦闘フェイズ。額面戦闘力だけなら、フィンランド軍の攻撃力4:ソ連軍の防御力4(補給負荷1でも防御力は変化しない)=戦闘比1:1だが、もちろん修整が加わる。

1939年のフィンランド軍の戦闘効率補正(CEV)は1.4。シーラスヴォ大佐の攻撃補正は0.2。フィンランド軍の攻撃力は、4✕1.6=6.4となる。また3ヘクスサイドからの集中攻撃でダイス修整+1、過酷な天候時の攻撃でダイス修整-1、1/2スタックポイント(=大隊)以上の軽歩兵スタックが森林を攻撃する場合はダイス修整+2、併せて+2となる。フィンランド軍の場合、スキー部隊も軽歩兵として扱えるのが便利。

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対するソ連軍は、戦闘効率補正0。防御力は変わらず4となり、攻撃力6.4:防御力4=戦闘比1.6:1となる。ここでd100を振って出目は19。60以下が出たので、最終戦闘比は2:1、ダイス修整+2で判定する。出目は4。足して6。結果は「QH(Quater/Half)」。まず攻撃側フィンランド軍は、防御側ソ連軍のスタックポイント(1)の1/4を失う。防御側ソ連軍は、スタックポイント(1)の1/2を失って後退する。フィンランド軍は第25スキー連隊を除去し、ソ連軍第759歩兵連隊も除去された。フィンランド軍第27軽歩兵連隊は、空いたスオムッサルミヘクスに前進し、これを奪回。遺棄されたソ連軍の一般補給ポイント1に対しても1d10を振り、出目8=1x0.8=整数にして1ポイント捕獲となった。ここでフィンランド軍Rasanan軽歩兵旅団も前進出来るが、あえてしないのが重要(後述)。

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続いてソ連軍の反応移動フェイズ。特別ルールによって、ソ連軍は毎ターン、西に進まなければならないが、道路沿いに西進するということで、いったんスオムッサルミに接近。

さらに手番代わって、ソ連軍の移動フェイズ。しかしこの1939年12月Iターンはソ連軍の師団分割ユニットはスタックできないという特別ルールがあり、過酷な天候によって移動も阻まれ、2個連隊がかりでは攻撃できない。先行した第163歩兵師団第662歩兵連隊は、一般補給ポイントを消費して補給負荷1を維持してOltavaに入ったが、ソ連軍には、額面戦闘比3:1以上なら必ずフィンランド軍を攻撃しなければならない、という特別ルールもある。第163歩兵師団第662歩兵連隊の額面戦闘力は4、隣接するRasanan軽歩兵旅団は額面戦闘力1なので、ここはマストアタック。と言うより、フィンランド軍は、わざとソ連軍に攻撃を強制させるため、あえてスタックを集めなかった(フィンランド軍がスタックすると合計3戦闘力になり、強制攻撃の3:1にならない)。

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そしてソ連軍の戦闘フェイズ。本来ならソ連軍は、近接航空支援(CAS)任務として爆撃機の支援を送りたいところだが、手元にあるDB-3MとSB-2bis爆撃機は、どちらも作戦爆撃力(カウンター左下の左の数値)は1で、合計しても2。近接航空支援は、作戦爆撃力4ごとに、地上ユニット1戦力分を加算するので、0.5戦力にしかならない。さらに天候が過酷なため、さらにその爆撃力が半減されて0.25……まあ、それを足すことに意味があるかもしれないが、今回は割愛。フィンランド軍も、グラディエーターI型戦闘機を迎撃に上げるだろうし、フィンランド空軍の空戦補正はダイス修整+2(強い)だし、2個の爆撃機ユニットが無事に爆弾を投下できる可能性も少ない。そこからさらに対空砲火も受けるし。

というわけで、航空支援無しで地上戦闘を解決しよう。第662歩兵連隊の額面戦闘力は4だが、補給負荷1によって攻撃力は1/2に。また司令部の攻勢補給下にないので、攻撃力✕0.75。よって4✕0.5✕0.75=攻撃力1.5となる。河川は凍結しているため無問題だが、過酷な天候時の攻撃なのでダイス修整-1。

対する防御側フィンランド軍Rasanan軽歩兵連隊は、額面防御力1なれど、戦闘効率補正1.4、シナリオ地域外にいるマンネルハイム将軍の防御補正1.0があるため、1✕2.4=最終防御力2.4となる。

攻撃力1.5:防御力2.4=1:1.6となり、ソ連軍はd100を振り、出目は49。最終戦闘比1:2、ダイス修整-1となる。ソ連軍の出目は5。引いて4。結果はHR(Half & Retreat)。ソ連第662歩兵連隊は攻撃にしくじり除去された。

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ターン代わって、1939年12月IIターン。スオムッサルミには、フィンランド軍増援のスキー守備連隊((1)-6)✕4個が到着。それに留守番を任せ、Rasanan軽歩兵旅団と第27軽歩兵連隊は、ソ連第163歩兵師団第529歩兵連隊を追撃。東西から挟み撃つ形で攻撃をかけた。もちろんフィンランド軍は、攻勢補給も消費し、額面戦闘力100%。

フィンランド軍の攻撃力は、合計3✕1.6=4.8。ソ連軍の防御力は3。戦闘比1.6:1。d100で48が出たため、戦闘比は2:1へ。ダイス修整+2。出目は7。足して9。結果は「DQ(Defender Quartered)」。ソ連第529歩兵連隊も除去され、第163歩兵師団は全滅した。 

とまあ、ソ連軍はロボット的にしか動けなかったが、史実に忠実に、スオムッサルミの戦いっぽくなっているなあと感じた。フィンランド軍の戦力ばらまき+攻撃強制テクニックも面白いと思う。こういった史実的な縛りについては、好き嫌いもあるだろうが、TSWWは全体的に史実に寄せたシステムなので、自分としては、そりゃあ状況設定も縛るだろうと割り切っている。展開の自由さや、競技バランスは低いが、図上演習ツール、史実再現キットとしては最高。ソ連軍に不利な陰謀ルールも、時期が進むにつれて次第に解除されていくので、次は冬戦争後期のシナリオも試してみよう。

【参考文献】喬良・王湘穂 「超限戦 21世紀の新しい戦争」

超限戦 21世紀の「新しい戦争」 (角川新書)

超限戦 21世紀の「新しい戦争」 (角川新書)

 

2001年に日本語版が発売され、品切れていた「超限戦」が新書化されたので購入。中国で原書が発行されたのは1999年だそうで、2001年の「9.11テロ」前にハイブリッド戦争に言及していたことで話題になったそうだが、自分が触れるのは初めて。マーチン・ファン・クレフェルトも、1991年の「戦争の変遷」で、すでに非正規戦に触れていたが、本書はより具体的にハイブリッド戦争に触れている。

もはや21世紀の戦争は、通常戦争やゲリラ戦争は優に及ばず、金融、メディア、心理戦争など、あらゆる境界や制限を超越して複合されているという意味で「超限戦」なのだろう。まあ、さすがに生態戦争(天候や気象を利用する)となると「?」と思ったりもするが、ちょうど今オーストラリアで起きている大規模な山火事のような災害なら人為的に起こせるだろうし、それも将来戦の一手段なのかもしれない。

ただ、自分の手元には、あいにくハイブリッド戦争をテーマとしたウォーゲームは無い。たぶん「ModernWar」誌あたりで発表されているゲームの中に、ハイブリッド戦的な作品はあるだろうが、まだまだ作品数は少ないと思う。なにしろハイブリッド戦自体、実例も少なく、現在進行形でもあることから、制作側としてもモデル化・ゲーム化しにくいのだろう。またハイブリッド戦争という言葉自体が、すでに中国・ロシアの戦争形態を表しているという話もあり、テーマ的にも絞られるのかもしれない。

一方、プレイする側としても、(自分も含めて)まだこの新時代の戦争観に追いつけていなかったり、むしろなじみ深い、旧来のクラウゼヴィッツ的な通常戦争ゲームを好む人も多いのではないだろうか。いずれ新時代の戦争が、普遍的な形でモデル化されたら触れてみたい気もするが、さまざまな分野での変化スピードが上がっている現代では、なかなかそれも難しいかもしれない。それよりは個々の、今現在の戦争を、その時の状況だけ切り取ったり、仮想設定を組み立てて、個別に表現していくという「取って出し」な形で対応するしかないのかも……などと思いつつ、自分も、もはや失われつつある、通常戦争ウォーゲームと、ノスタルジックにつき合っていくのだろうな。

GMT「Stalingrad'42」Fall Brau AAR

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今日は、2013年2月以来、7年ぶりにYossyさん宅で対戦。Yossyさんも、この7年間はウォーゲームと縁遠かったそうで、だったらオーソドックスな作戦級をということで「Stalingrad'42」を選択。シナリオ1「Fall Brau」を、Yossyさんがドイツ軍、自分がソ連軍を担当した。 

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序盤、快活に進撃するドイツ第4装甲軍。 

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ドイツ軍は、一番手前の勝利ポイント地点Staryy Oskolを占領し、先鋒部隊は早くもVoronezh(勝利ポイント2)に達した。しかしドイツ装甲師団は、各地でステップロスをくらい、早くも消耗しつつある。そして南部では、まだ攻勢に出られず。

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ドイツ第4装甲軍が消耗したうえ、Don川にぶつかったあたりで、今度は南部での攻勢が開始。ドイツ軍は、Valuyki、Voroshilovgradも占領。しかし各司令部を戦闘支援に使った代わりに、それを回復させる補給ポイントが不足してきた。 

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対するソ連軍は、反撃する余裕も無く、ZOCボンド戦線を繋ぐのみ。 

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そのソ連軍戦線も、広い範囲でドイツ軍の攻撃をくらい、一斉に後退、そして混乱。それでも何とか勝利ポイントの達成は防いでいる。  

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南部でのドイツ軍の進撃は、Voroshilovgradで停止。その先にあるMillerovoまでは奪えなかった。

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最終第8ターン。ドイツ軍のSvobodaに対する攻撃は、EX(相互損失)止まり。しかしVoronezhに対する攻撃はようやく成功し、ソ連軍も「断固たる守備」にしくじって後退。あえなくVoronezhは陥落した。しかしその勝利ポイント2点を加えても、合計5点。勝利基準の8点には足りず、ドイツ軍敗北と相成った。

まあ、7年ぶりのリハビリ的対戦とはいえ、8ターン進めるのに4時間ほどだったので、さくさくと進められた感じ。ドイツ軍は、後退するソ連軍を追って、ついついDon川方面に装甲師団を送ってしまったが、そちらは渡河攻撃をするのだし、歩兵師団を送れば良く、装甲師団はDon川とDonetz川の間の平野部を突進させれば良かった……というのは後知恵。まあ一度プレイすれば、そのあたりの戦力配分もすぐ見えてくるかなと。今回は、その戦力配分に手間取り、Voronezh陥落も遅れたが、次回はもう少しスムーズにできるはず。とは言え、Svobodaまでは取れるとしても、勝利ポイント7点目、8点目を取るのは、まだ難しそうに見える。たぶんプレイ回数を重ねれば、また違って見えるのだろうが。

ソ連軍としては今回、ほとんど反撃をしなかったが、枢軸軍も徐々に消耗し、戦線が薄くなっていたので、一発殴れそうなチャンスも何度かあった。一応、予備選力も保持していたが、その時、その近くに反撃できる戦力が無かったのが残念。予備を配置する場所がまずかったのだろうか。あるいは、枢軸軍戦線が綻ぶ場所をあらかじめ予想して、反撃用の予備を準備しておくか……などと対戦後、あれこれ話し合ったので、いずれまた再戦するかもしれない。とにもかくにも、安心安定のSimonitch路線は健在だった。