Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【C3 Series】Less Than 60 Miles:The Day that never comes Campaign Solo-Play AAR part.2

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さて第2(0900時)ターン。しかしこのターンも、ワルシャワ条約軍は、東西国境線の突破に時間がかかり、対するNATO軍は前線へ駆けつけることに終始した。NATO軍の前哨部隊・アメリカ第11機甲騎兵連隊は、後方への離脱を図っているが、再度それに失敗し、次ターンでの正面攻撃を受けるしかない箇所も。 

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第3(1200時)ターン。このターンから、ようやくワルシャワ条約軍も正面攻撃ということで、温存していた「100.空軍の増強(航空ポイント+2)」「101.航空優勢(NATO軍の航空ポイントを-2)」「001.空爆(爆撃と阻止の航空ポイントが+10)」カードを発動。すでに接敵している(つまり探知レベルが高い)NATO軍の前哨部隊2ユニットに空爆をかけ、双方に損耗1を与え、半拘束=移動力半減とした。 

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その空爆を受けた、アメリカ第11機甲騎兵連隊第2大隊は、離脱にも失敗し続け、東ドイツ軍部隊からの集中攻撃を食らった。指揮力の低い東ドイツ軍とは言え、4個ユニットがかりなら、アメリカ軍騎兵にも追加の損耗を負わせられた。まあ、逆に言うと、通常の「戦術」状態ユニットでは、これぐらい部隊を集中しないとダメかもしれない。 

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北方のBad Heresfeldでは、NATO軍が橋梁を爆破して、ワルシャワ軍の前進ルートを塞いだ。ここに架橋するため、ワルシャワ軍は「002.空中機動」カードを発動。空中機動大隊2個+司令部を降下させ、対岸ヘクスを確保した。架橋するには、ヘクスサイドの一方を占めるだけで良いが、対岸に敵ユニットがいる状態では不可なので、やはり対岸ヘクスも確保しておく必要がある。橋の無いヘクスサイドの向こうへは、補給線が届かないが、このゲームの場合、補給切れになっても損耗ポイントが回復できないだけなので、空中機動部隊を捨て駒にしてでも架橋の時間を確保した方が良いのでは?ということで。

小河川への架橋は2ターンで済むが、NATO軍としては、その前に空中機動部隊を排除して、架橋を阻止したい。と言って今現在、周囲にいるNATO軍部隊は、いずれも警戒(防御)状態なので、いきなり攻撃状態に移れるものでもない。ここらあたりが、本作のままならない部分であり、面白いところ。 

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という感じで、第3ターンまで進めてみたが、増援が来るにつれ、本当に状態マーカーが足りなくなってきたので、今回はここまで。やはりこれはVASSALでプレイした方が良さそうだ。

とりあえずの感想としては、1985年当時の東西戦術理論は、きちんに盛り込まれている印象。戦闘も精密だが、解決には結構手間がかかる。また本作が参考にしたであろうSPI「セントラルフロント」シリーズと比べると、序盤の展開は地味かもしれない。いや実際はこんなもんだよと言われれば、はあそうですかと言うしかないが、ユニットが縦横に駆け回る機動戦ゲームを期待すると、当てが外れるかも。

とりあえず、補給に関する縛りがユルいので(補給切れになっても、損耗が回復できないだけ)、攻めるワルシャワ条約軍としては、一時的に補給切れになっても良いから、路外移動も駆使して前進した方が良いなと。西ドイツ領内の道路上には避難民(移動力消費+1)もいるので、丘陵地帯を進むのとスピードが変わらなかったりもする。どうせワルシャワ軍には「損耗が2ポイント以下の場合、それを回復や補充で取り除けない(11.7)」というルールもあるのだし、多少損耗してもいいから、とにかく最初に行けるとこまで行っとけという感じで進んだ方が良いかも。

そして、そういったルールは掴めてきたものの、いまだ本作のキモである「命令変更」は実行できていない。TCS(Tactical Combat Series)もそうだったが、命令を変更するゲームは、そのタイムラグを味わうために、結構な時間を要する場合がある。恐らく本作もその類いなので、システム全体を確かめるなら、短時間シナリオだけでは不十分で、それなりに長くプレイする必要があると思う。そして多分、長期間プレイの方が面白いはず。まあ、それなりに重たいシステムなので、徐々に理解するしかないか。

【C3 Series】Less Than 60 Miles:The Day that never comes Campaign Solo-Play AAR part.1

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引き続き「Less Than 60 Miles」に慣れるため、キャンペーンシナリオ1「The Day that never come」をソロプレイしてみることに。シナリオ開始は、1985年7月24日0600時想定。ショートキャンペーンならワルシャワ条約軍による西側侵攻開始から3日間(22ターン)、ロングキャンペーンなら侵攻後5日間(38ターン)を扱う。もちろんシナリオ規模は大きくなるものの、フルマップ1枚強だし、全体像も確かめたかったので。しかし各ユニットに置く、状態(Posture)マーカーが足りず。次回は、VASSALでプレイした方が良いかもしれない。

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攻めるワルシャワ条約軍は、北からソ連第1親衛戦車軍、中央にソ連第8親衛機械化軍、南部に東ドイツ第3軍という配置。フリーセットアップなので、この3個軍をどう配するかは自由だが、やはり正面からフランクフルトを目指すルートには、精鋭部隊を置きたいところ。またこの地図の北側には、シリーズ第2作「The Dogs of War」となるはずの北ドイツ平原が広がっており、ソ連軍戦車軍は、そちらの方が突破しやすいようなので、北寄りに配置してみた。東ドイツ軍は、編制こそソ連軍に倣っているものの、装備車両も古く、指揮力も低く、砲兵も完全には自走化されておらず、ソ連軍の劣化コピー的な戦力。まあ、ソ連軍の側面を守ってくれればそれで良しと(そしてNATO軍は、その脆弱な横っ腹を衝くと)

各ユニットの状態は、前回とほぼ変わらず、師団の偵察・戦車大隊は「偵察」、主力である戦車・自動車化歩兵連隊は「機動攻撃」、自走砲兵は「近接支援」というのが大半。ただし東ドイツ軍の連隊は、指揮力が3しかないので「機動攻撃」は採れず、「戦術」状態とした。師団の一部連隊を「攻撃」か「全力攻撃」にしようかと思ったが、やはり開戦当初は、国境越え(+4移動力消費)、避難民(+1移動力)、NATO軍の警戒状態(+2移動力)で移動が阻害されるため、とにかく「機動攻撃」状態で、迅速に西ドイツ領内に攻め込み、後になって命令を変更しようと。しかしユニット状態の選択は、本作のキモでもあるが、まだまだ正解は見えていない……

また予備として、第35親衛空中機動旅団6ユニットが待機し、カードによる作戦発動によって、東ドイツ領内の飛行場から20ヘクス以内に降下する。いわゆるOMG(作戦機動群)の一部なのだろうが、距離が短いため、あまり戦線の奥までは降下できない。

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守るNATO軍は、国境近くに前哨部隊のアメリカ第11機甲騎兵連隊を置き、フランクフルト周辺にアメリカ第3機甲師団、さらに西のヴィースバーデン付近にアメリカ第8機械化歩兵師団を配置している。また北には、西ドイツ第5戦車師団もあり、一部はすでに国境沿いに展開している。この3個師団+1個連隊で、ワルシャワ条約軍の3個軍を迎え撃つことになる。

こちらも、部隊はほとんど「警戒(2ヘクス以内の敵に+2移動力を課す)」とした。後方から前線へ向かう第3機甲・第8機械化・第5戦車師団ユニットは「道路移動」状態の方がスムーズに前線に行けるのだが、着いたらすぐ戦闘に参加するため、やはり「警戒」とした。 

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ということで、第1(0600時)ターン開始。ワルシャワ条約軍は、国境線を突破したものの、NATO軍への直接的な攻撃は無し。前回のソロプレイで、移動力に余裕の無い状態で速攻(Hasty Assault)を行っても疲れるだけだと分かったので、とりあえずNATO軍前哨ユニットに接敵し、後続の到着を待つことにした。それでも一部の部隊は、強行軍を使って出来るだけ前進し、早くも消耗を被るユニットもあった。

また地上戦闘をしない前提で、航空ポイントは事前の砲爆撃で使用。司令部が探知したNATO軍前哨部隊5ユニットに爆撃を行い、2ユニットを「半拘束(Half Engarged)」=移動力半減とした。

さらにワルシャワ軍は、アクションカード「004.ドイツ赤軍」を発動。このテロ攻撃により、アメリカ第11機甲騎兵連隊司令部の要員が殺害され、同司令部は損耗2を被った(損耗4で除去)。他にもワルシャワ軍には、さまざまな手札があるが、両軍がっぷりよつに組んだ状態の方が、いろいろ使えるような気もしたので、今のところは温存。

対するNATO軍は、前哨部隊の離脱を図ったが、成功率80%~90%のはずが、5カ所中3カ所で離脱に失敗し、ワルシャワ軍にゆるく捕らわれつつあった。後方の部隊も、前線へ急行しているが、やはり避難民に移動を阻まれている。また地図盤の南北端には、西ドイツ軍の郷土防衛旅団2個が登場。戦力としては期待できないが、足止めと時間稼ぎには役だってくれるだろう。

またNATO軍も、航空ポイントを事前の砲爆撃に用い、フルダ正面でソ連軍の2個連隊を半拘束とした。今回は、先頭きって前進してくる偵察大隊はスルーして、その後続の戦車・自動車化狙撃連隊を狙ってみた。つまり当時のNATO軍が想定した「ディープ・アタック」的に、前哨部隊ではなく、背後の主力を打撃することで、戦闘加入前に疲弊させようという目論み。もっとも少数火力の砲爆撃だけで敵戦闘ユニットに損耗ポイントを与えることは難しく、今のところは、あくまでも足止め程度にしかなっていないが。

NATO軍にも、何枚かのカードがあるが、こちらも温存。

と、地道な移動と爆撃に終始した第1ターンを終え、続きはまた明日……。

【C3 Series】Less Than 60 Miles:The 11th Hour Solo-Play AAR

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『ブラックホース、ワン、ゼロ。ブラックホース、ワン、ゼロ。こちらショベル・シックス。チャーリー・ワンの報告を確認。軍団規模の大機甲部隊、0600時に西ドイツ領内へ侵入。編成は、タンゴ72型、ブラボー・タンゴ・ロメオ62型。ショベルは交戦中とブラックホース・シックスへ伝言頼む』

1985年7月24日0600時:アメリカ第11機甲騎兵連隊第2大隊E中隊指揮官:ジャック・ラントリー大尉

購入から約2ヶ月。ようやく「Less Than 60 Miles」の初ソロプレイを開始。まずは味見ということで、シナリオ1「The 11th Hour(第11機甲騎兵連隊の出番)」を準備 。これは、ワルシャワ条約軍による西ドイツ侵攻直後の15時間(5ターン)を扱い、ソ連軍自動車化狙撃師団✕2と、アメリカ軍3個大隊の戦闘のみを扱う、導入的なシナリオである。扱うユニット数は少ないので、まずはこのシナリオで慣れろと。

まずソ連軍の2個師団は、いずれも「師団攻勢」命令下にあるものとする。これはシナリオには特に書いていないが、事前に伝達され、展開したものとする。そうしないと、ワルシャワ条約軍の師団命令を伝達・展開するには、4~5ターンかかるので、第1ターンから伝達を始めると、命令が行き届くまでに、このミニシナリオが終わってしまう。まあ、師団命令を書き換えようと思ったら、それぐらいの時間がかかるということで。

※追記:シナリオ開始時の状態は任意とのこと。

その「師団攻勢」下にあるソ連軍の自動車化狙撃連隊は、さすが親衛部隊だけあってか、いずれも指揮力4、つまり機動攻撃(March Assault)が可能なので、その状態を選択。攻撃(Assault)、全力攻撃(Full Assault)状態なら、より攻撃に向いているが、あいにく展開モードなので、移動がしにくい。戦術モードで移動しながら攻撃するには、機動攻撃が良いかなと。各師団の偵察大隊と戦車大隊は偵察(Recon)、自走砲・ロケット砲大隊は近接支援(Close Support)、牽引砲大隊は射撃/移動(Shoot & Scoot)とした。

対するアメリカ軍は「旅団防御」命令下とし、前線の3個大隊は「警戒(Screen)」状態とした。「警戒」は、2ヘクス内に進入した敵ユニットに+2移動力消費を強いるというもの。時間稼ぎには良いし、敵ユニットに隣接された場合も「離脱」がしやすい。そう、このゲームにはZOCは無いが、「阻止」という概念はあり、敵ユニットから離れるには、離脱チェックを行い、失敗すると敵ユニットの隣に留まらなければならないのだ。

まあ、今回はその状態を決めるのにも時間がかかったが、慣れてしまえば『とりあえず機動攻撃』『とりあえず警戒』と、ささっと確定できると思う。 

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さて第1(0600時)ターン。ソ連第8親衛機械化軍団に属する、第39親衛自動車化狙撃師団は、北のBad Hersfeldを狙い、4号線に向かって東西国境を越えた。しかし国境越え(+4移動力消費)、避難民(+1移動力)、アメリカ軍の警戒状態(+2移動力)に阻まれ、2ヘクス前進できた程度。また、道路上で自軍ユニットを追い越す際にも追加移動力がかかるため、ユニットを移動させる順番も重要となる。

今回は、まず「偵察」状態の師団戦車大隊を先行させ、アメリカ第11機甲騎兵連隊第2大隊へ隣接。この接敵で、相手をゆるく拘束しつつ、自走砲大隊を相手を射程内に捉える路外へ配置し、後続の主力・自動車化狙撃連隊を前に出して終わり。なにしろ攻撃するにも移動力が必要だし、速攻(Hasty Assault)なら4移動力、準備攻撃(Prepared Assault)なら8移動力もかかる。それでも「機動攻撃」状態なら、速攻3・準備攻撃6で済むため、かなり経済的なのだが。

また正面のHunsfeldへ向かった第27親衛自動車化狙撃兵師団・右翼も、同様に国境を越えるだけでこのターンを終えている。戦闘までに、非常にお膳立てが必要なシステムだ。 

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しかし第27親衛師団の左翼は、Gersfeld北方に陣取る、アメリカ第8機械化歩兵師団1-68戦車大隊を速攻で攻撃することにした。まず主隊攻撃の前に、師団の偵察大隊を先行、アメリカ軍戦車大隊に隣接させて、主隊の攻撃を支援。さらに後方から、師団の自走砲大隊、ロケット砲大隊、軍直轄の攻撃ヘリコプター大隊、航空支援もぶち込んで、第244親衛狙撃兵連隊で攻撃。対するアメリカ軍も、後方のランス地対地ミサイル大隊でこれを支援。しかし、やはり速攻(攻撃マイナス2)がまずかったか、第244親衛連隊は、損耗2を被った(連隊は損耗6で除去)。

この第1ターン裏、アメリカ軍は、正面のHersfeldから、第11機甲騎兵連隊第1大隊を1ヘクスだけ後退させた。こういった微妙な後退で、配置に着いたソ連軍の攻撃を仕切り直させる目論み。またアメリカ軍は、後方から自走砲大隊を呼び寄せるも、こちらも避難民に阻まれてか、前線を射程に収める位置までたどり着けていない。 

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第2(0900時)ターン。天候は雨。ただでさえ移動が厄介なのに、さらに降雨で各ヘクス+1移動力消費となってしまった。

そんな雨の中、ソ連第39親衛狙撃兵師団が、Bad Hersfeldの第11機甲騎兵連隊第2大隊を攻撃。こちらでもソ連軍は、砲兵・ヘリコプター・航空支援を注ぎ込んで戦闘を支援したものの、最終戦闘力差はマイナス3。これは、両軍の状態、地形による影響が大きく、「機動攻撃」も、移動しながら攻撃できるのは便利だが、やはり展開モードになっての「攻撃」「全力攻撃」ほどの威力は得られない。

それでもソ連軍は、最良のダイス目を出し、双方1損耗と相成った。攻撃したソ連軍は、強制的に1損耗を被るが、防御側アメリカ軍は、「1損耗・その場に留まる・拘束状態」か「0損耗・その場に留まる・半拘束状態」か「離脱チェックをする」を選択できる。アメリカ軍は、後方に回られるのを恐れ、離脱チェックを行ったが、あいにく失敗したうえ、1損耗を被った。「警戒」状態の機甲騎兵ユニットなら、70%で離脱に成功できるのだが…… 

そして南の第27親衛師団は、今度こそ速攻ではなく、マイナス修正の無い準備攻撃で攻めるため、後退するアメリカ軍を追って、さらに攻撃位置を前進させた。

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第2ターン裏のアメリカ軍は、さらに離脱・後退せんとしたが、あいにく各地で失敗し、逆に損耗を被ることとなった。こうなるとソ連軍は、アメリカ軍ユニットに隣接した状態でターンを開始でき、移動力に余裕をもって準備攻撃が行える。 

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第3(1200時)ターン。ソ連軍第27親衛狙撃兵師団は、アメリカ軍1-68戦車大隊に対して、満を持して準備攻撃。しかし両軍ありったけの戦闘支援を注ぎ込んだこの戦闘も、双方損耗1という痛み分けに。その代わり、 第27親衛師団の偵察大隊は、1-68戦車大隊の横をすり抜け、Fuldaの街へ隣接。実際このように、数に優るワルシャワ軍は、NATO軍を拘束したら、それ以外の部隊は後方へ送り込むのが良さそうだ。

またソ連軍第39親衛狙撃兵師団も、正面のHersfeldを抜けて、アメリカ第11機甲騎兵連隊第1大隊を後退させ、Fuldaに迫っている。 

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一方、北では、第39親衛師団第172親衛狙撃兵連隊(6-8ユニット)が、準備攻撃で、第11機甲騎兵連隊第2大隊を攻撃するも、損耗1を被ったのみ。ならばと後方から第120親衛狙撃兵連隊(5-7ユニット)が、強行軍(移動力+3)で損耗1を喰らいつつ前線に躍り出し、速攻で二次攻撃を仕掛けたが、これまた損耗2を被って撃退。第11機甲騎兵連隊は、多勢に無勢ながらもこの波状攻撃を耐えている。 

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とまあ、とりあえず第3ターン表までプレイして今回の味見は終了。やはりワルシャワ軍としては、焦って速攻するより、相手を包囲するように複数の自軍ユニットを張り付かせ(隣接ユニット1ごとに戦闘修正+2)てからの準備攻撃が得策だが、NATO軍としては、相手を引きつけつつ、攻撃前のタイミングで離脱し、相手の攻撃配置をやり直させるのが重要なようだ。ただし、その離脱が出来るかどうかが不確定なのが面白いし、結構キモのルールだと感じた。

また攻撃が成功しても、与えられる最大の損耗は2止まりなので、敵ユニットを除去するのは、なかなか難しいかもしれない。たとえ敵ユニットを包囲して、補給切れに追い込んでも、損耗が自動的に上がることはなく、損耗を取り除けないだけなので、意外にしぶとく生き残りそうだ。

そう考えると、今回の第27親衛狙撃兵師団のように、師団の一部で敵ユニットを拘束しつつ、縦深突破していくのが上策か。そういった御作法も見えてきたので、いずれまたソロプレイしてみる予定…… 

【参考文献】Roman Toeppel「Kursk 1943」

Kursk 1943: The Greatest Battle of the Second World War (Modern Military History)

Kursk 1943: The Greatest Battle of the Second World War (Modern Military History)

 

昨年、英語版が出た、Roman Toeppelの「Kursk 1943」ハードカバー版を購入。Kindleだと500円でも買えるが、やはり書籍で欲しかったし、ハードカバーでも2500円ほどだったので。

Toeppel氏と言えば、かつては「独ソ最大の戦車戦」と神話的に呼ばれてきた(そして実際には、プロホロフカ戦も言われるほどの規模でなかった)クルスク戦の「作戦史」研究に取り組み、日本のウォーゲーム雑誌でも紹介されていたので、前々から読んでみたかった。数年前に翻訳が出たデニス・ショウォルターの「クルスクの戦い1943」でも、クルスクに固執するマンシュタイン元帥の様子が記されていたが、本書では、作戦前の通信も紹介され、マンシュタインの『私は、南方軍集団で、支障なくクルスクが取れると思っている』という楽観的判断から、ツァイツラーへの執拗なプレゼンが続くあたり、なかなか面白い。

しかし実際、1943年春~夏の東部戦線で、先手で攻めるのか、後手で守るのかという作戦立案から行うウォーゲームというと、あいにく自分には思い浮かばない。OCSも、この時期は空白地域だし、個人的にはTSWWの後期東部戦線を扱う「Vengeance」で試してみたい気が……(しかしユニット多そうだな)

クルスク戦で個人的に興味があるのは、もっと戦術レベルの話になるが、モーデルの第9軍が北部から攻め込んだ、ポヌィリ(Ponyri)村の戦闘である。ずいぶん前からASL(Advanced Squad Leader)で、ポヌィリ村の戦いをヒストリカル・モジュールで出すと予告されており、2016年発売の「ASL Journal #11」では地図盤も公開され、当時は2017年発売と言われていたが、いまだに音沙汰が無い。

で、ポヌィリ戦と言えば、フェルディナント重突撃砲を装備した第653、第654重駆逐戦車大隊が投入されたものの、大きな損害を被り『フェルディナントは機関銃を装備していなかったから、ソ連軍歩兵の近接攻撃で撃破された』と昔は言われていた。

ただToeppel氏の本書には、第654重駆逐戦車大隊の戦闘詳報『フェルディナントが歩兵に対して弱いという最初の不安は、根拠の無いものだった。発砲時の衝撃や、見た目の大きさから、フェルディナントに接近してくる歩兵はいなかった』も載っており、そのあたりも神話的な部分だなと。以前読んだ、独ソ戦車戦シリーズの「重突撃砲フェルディナント」にも、火炎瓶だけで撃破されたフェルディナントはごく少数との分析が載っていたし(実際には砲爆撃や地雷による損害が多かった)、ヒトラーお気に入りのフェルディナントを『あれは使えなかった』とすることで、ヒトラー自身の評価を下げようという意図があったのかもしれない。

まあ、そのように戦略・作戦・戦術、いずれのレベルでも神話の多いクルスク戦なので、近年の「作戦史」研究には目を通しておきたいなと。 

【参考文献】Harry Yeide「The Tank Killers」

Tank Killers: A History of America's World War II Tank Destroyer force (English Edition)

Tank Killers: A History of America's World War II Tank Destroyer force (English Edition)

 

「The Tank Killers」をペーパーバック版で購入。Kindle版の方が安いのは分かっていたけれど、やはり実体の書籍として欲しかったし、その方が読むだろうと思って。

サブタイトルは「第二次世界大戦でのアメリカ軍駆逐戦車部隊史」。北アフリカチュニジア戦での苦いデビューから、イタリア戦線、ノルマンディ戦、バルジ戦での駆逐戦車部隊の戦闘を扱っている。巻末には、各駆逐戦車大隊の戦歴が簡単にまとめられていて、参照するにも便利な一冊。

駆逐戦車部隊は、本来の用途からすれば、歩兵支援的な運用をするはずだが、旧来のウォーゲームでは「M4シャーマン戦車隊より少し防御力が低いだけの戦車部隊」として表現されることが多く、M4戦車同様に、攻撃的な運用をしても問題ないゲームも多々あったと思う。

そこに疑問を呈したウォーゲームが、BCS(Battalion Combat Series)で、ユニットとして駆逐戦車大隊はあるものの、それを単一ユニットとして地図盤上で運用することはまず無く、むしろ地図盤から取り去り、歩兵連隊に薄くばらまくように配属して対戦車効果をもたらすようにしている。ここはBCSのこだわりポイントのひとつでもあるし、駆逐戦車部隊を非常に上手く表現していると思う。

また本書を眺めて思うのは、1943年3月にチュニジアで敗北した駆逐戦車部隊=75mm砲装備の対戦車ハーフトラック部隊から、よくまあ1年も経たないうちに、M10駆逐戦車装備の部隊に生まれ変わったものだなあと。このあたり、アメリカ人の『使えないモノにこだわっても仕方ない』という実用主義(プラグマティズム)の現れなのかもしれない。

【参考文献】Antony Beevor「Arnhem」

Arnhem: The Battle for the Bridges, 1944: The Sunday Times No 1 Bestseller

Arnhem: The Battle for the Bridges, 1944: The Sunday Times No 1 Bestseller

 

アントニー・ビーヴァーによる、マーケット=ガーデン作戦の通史「Armhem」をペーパーバック版で購入。ビーヴァー著の第二次大戦戦史もいろいろ翻訳されているが、クレタ島の戦いを描いた「Crete 1941」も、バルジの戦いを扱った「Ardennes 1944」も未訳なので、こちらも翻訳されるか分からないし、とりあえず買っておくかと。「Holland'44」も入手したので、その参考文献ということで。

しかし、さすが「Devil's Cauldron」「Where Eagles Dare」をプレイしたおかげで、細かい地名や部隊名、人名が頭に入っているせいか、ぱらぱら読んだだけでも理解できるのがありがたい。

マーケット=ガーデン作戦の通史と言えば、映画「遠すぎた橋」の原作、コーネリアス・ライアンの「遙かなる橋(上下)」があるし、それで事足りるような気もするが、そちらの原著は1974年だし、今時の文献にも触れておきたいところ。そして、そもそも「遙かなる橋(上下)」の翻訳本ですら、今は絶版なので、どこかから、この「Arnhem」の翻訳、出ないかな。

またマーケット=ガーデン作戦の近年の通史としては「It Never Snow in September」もオススメ。 

GMT「Holland'44」

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前々から購入しようと思っていた「Holland'44」(2017年発売)をようやく購入。自分の場合、ここ最近、2~3万円の高額ウォーゲームを優先して買っていたため、6千円台で買える本作を、ずっと後回しにしてしまった。しかし先日のウォーゲーマー飲み会で『作戦級とはなんぞや?』というお題が出た時に、ふと本作が頭に思い浮かんだ。空挺作戦そのものの作戦立案はせず、すでに決定されたマーケット=ガーデン作戦の遂行を行い、主にその戦術行動を選択するゲームは、むしろ戦術級ゲームと言っても良いんじゃないかと思い、だったらそのあたりも、そろそろ確認するかという流れで入手。来月は、マーケット=ガーデン作戦75周年(1944年⇨2019年)だし、タイミング的にも良いかなと。

幸い、すでに日本語版ルールも公開されているが、ざっと見たところ、やはりMark Simonitch作の「Ardennes'44」「Normandy'44」「France'40」と近く、遊びやすく、それでいてディティールもそれなりに盛り込まれているシステムだった。ゲームスケールは、1ヘクス=2km、1ターン=8時間(午前・午後・夜間)、1ユニット=大隊を基本として、1944年9月17日~9月23日までのマーケット・ガーデン作戦を扱う。恐らく大隊級マーケット=ガーデン戦ゲームの、新しい定番になり得るものだと思う。

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マップは、横長で1枚強というサイズ。さすがイギリス第30軍団の攻撃開始地点から眺めると、一番奥の最終ゴール、Arnhemが遠く感じる。

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カウンターの作りは、近年のSimonitch作とほぼ同様。もういっそSSS(Simonitch Standard Series/System)とか呼べば良いんじゃないだろうか。

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ドイツ軍ユニットには、未確認の「?」状態で配置されるモノもあり。連合軍ユニットが、そのヘクスに進入するか攻撃すると、正体が暴かれ、ダミーユニットの場合もある……という、同じくマーケット=ガーデン作戦を扱った「GTS/The Devil's Cauldron」と同じ仕組みだった。

シナリオは、最初の11ターンを扱うショートゲームと、全20ターンのキャンペーンゲーム。とりあえずショートゲームから味見してみないと。

たぶん「Ardennes'44」が自分の中の「連隊級ベスト・バルジ戦ゲーム」であるように、本作も「大隊級ベスト・マーケット=ガーデン作戦ゲーム」になってくれると思う。デザイナーズノートにもVictory Games「Hell's Highway」への謝辞があったが、たしかにこの21世紀で「Hell's Highway」に置き換わる、定番的な作品になるのだろう。