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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【C3 Series】Less Than 60 Miles:The 11th Hour Solo-Play AAR

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『ブラックホース、ワン、ゼロ。ブラックホース、ワン、ゼロ。こちらショベル・シックス。チャーリー・ワンの報告を確認。軍団規模の大機甲部隊、0600時に西ドイツ領内へ侵入。編成は、タンゴ72型、ブラボー・タンゴ・ロメオ62型。ショベルは交戦中とブラックホース・シックスへ伝言頼む』

1985年7月24日0600時:アメリカ第11機甲騎兵連隊第2大隊E中隊指揮官:ジャック・ラントリー大尉

購入から約2ヶ月。ようやく「Less Than 60 Miles」の初ソロプレイを開始。まずは味見ということで、シナリオ1「The 11th Hour(第11機甲騎兵連隊の出番)」を準備 。これは、ワルシャワ条約軍による西ドイツ侵攻直後の15時間(5ターン)を扱い、ソ連軍自動車化狙撃師団✕2と、アメリカ軍3個大隊の戦闘のみを扱う、導入的なシナリオである。扱うユニット数は少ないので、まずはこのシナリオで慣れろと。

まずソ連軍の2個師団は、いずれも「師団攻勢」命令下にあるものとする。これはシナリオには特に書いていないが、事前に伝達され、展開したものとする。そうしないと、ワルシャワ条約軍の師団命令を伝達・展開するには、4~5ターンかかるので、第1ターンから伝達を始めると、命令が行き届くまでに、このミニシナリオが終わってしまう。まあ、師団命令を書き換えようと思ったら、それぐらいの時間がかかるということで。

※追記:シナリオ開始時の状態は任意とのこと。

その「師団攻勢」下にあるソ連軍の自動車化狙撃連隊は、さすが親衛部隊だけあってか、いずれも指揮力4、つまり機動攻撃(March Assault)が可能なので、その状態を選択。攻撃(Assault)、全力攻撃(Full Assault)状態なら、より攻撃に向いているが、あいにく展開モードなので、移動がしにくい。戦術モードで移動しながら攻撃するには、機動攻撃が良いかなと。各師団の偵察大隊と戦車大隊は偵察(Recon)、自走砲・ロケット砲大隊は近接支援(Close Support)、牽引砲大隊は射撃/移動(Shoot & Scoot)とした。

対するアメリカ軍は「旅団防御」命令下とし、前線の3個大隊は「警戒(Screen)」状態とした。「警戒」は、2ヘクス内に進入した敵ユニットに+2移動力消費を強いるというもの。時間稼ぎには良いし、敵ユニットに隣接された場合も「離脱」がしやすい。そう、このゲームにはZOCは無いが、「阻止」という概念はあり、敵ユニットから離れるには、離脱チェックを行い、失敗すると敵ユニットの隣に留まらなければならないのだ。

まあ、今回はその状態を決めるのにも時間がかかったが、慣れてしまえば『とりあえず機動攻撃』『とりあえず警戒』と、ささっと確定できると思う。 

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さて第1(0600時)ターン。ソ連第8親衛機械化軍団に属する、第39親衛自動車化狙撃師団は、北のBad Hersfeldを狙い、4号線に向かって東西国境を越えた。しかし国境越え(+4移動力消費)、避難民(+1移動力)、アメリカ軍の警戒状態(+2移動力)に阻まれ、2ヘクス前進できた程度。また、道路上で自軍ユニットを追い越す際にも追加移動力がかかるため、ユニットを移動させる順番も重要となる。

今回は、まず「偵察」状態の師団戦車大隊を先行させ、アメリカ第11機甲騎兵連隊第2大隊へ隣接。この接敵で、相手をゆるく拘束しつつ、自走砲大隊を相手を射程内に捉える路外へ配置し、後続の主力・自動車化狙撃連隊を前に出して終わり。なにしろ攻撃するにも移動力が必要だし、速攻(Hasty Assault)なら4移動力、準備攻撃(Prepared Assault)なら8移動力もかかる。それでも「機動攻撃」状態なら、速攻3・準備攻撃6で済むため、かなり経済的なのだが。

また正面のHunsfeldへ向かった第27親衛自動車化狙撃兵師団・右翼も、同様に国境を越えるだけでこのターンを終えている。戦闘までに、非常にお膳立てが必要なシステムだ。 

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しかし第27親衛師団の左翼は、Gersfeld北方に陣取る、アメリカ第8機械化歩兵師団1-68戦車大隊を速攻で攻撃することにした。まず主隊攻撃の前に、師団の偵察大隊を先行、アメリカ軍戦車大隊に隣接させて、主隊の攻撃を支援。さらに後方から、師団の自走砲大隊、ロケット砲大隊、軍直轄の攻撃ヘリコプター大隊、航空支援もぶち込んで、第244親衛狙撃兵連隊で攻撃。対するアメリカ軍も、後方のランス地対地ミサイル大隊でこれを支援。しかし、やはり速攻(攻撃マイナス2)がまずかったか、第244親衛連隊は、損耗2を被った(連隊は損耗6で除去)。

この第1ターン裏、アメリカ軍は、正面のHersfeldから、第11機甲騎兵連隊第1大隊を1ヘクスだけ後退させた。こういった微妙な後退で、配置に着いたソ連軍の攻撃を仕切り直させる目論み。またアメリカ軍は、後方から自走砲大隊を呼び寄せるも、こちらも避難民に阻まれてか、前線を射程に収める位置までたどり着けていない。 

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第2(0900時)ターン。天候は雨。ただでさえ移動が厄介なのに、さらに降雨で各ヘクス+1移動力消費となってしまった。

そんな雨の中、ソ連第39親衛狙撃兵師団が、Bad Hersfeldの第11機甲騎兵連隊第2大隊を攻撃。こちらでもソ連軍は、砲兵・ヘリコプター・航空支援を注ぎ込んで戦闘を支援したものの、最終戦闘力差はマイナス3。これは、両軍の状態、地形による影響が大きく、「機動攻撃」も、移動しながら攻撃できるのは便利だが、やはり展開モードになっての「攻撃」「全力攻撃」ほどの威力は得られない。

それでもソ連軍は、最良のダイス目を出し、双方1損耗と相成った。攻撃したソ連軍は、強制的に1損耗を被るが、防御側アメリカ軍は、「1損耗・その場に留まる・拘束状態」か「0損耗・その場に留まる・半拘束状態」か「離脱チェックをする」を選択できる。アメリカ軍は、後方に回られるのを恐れ、離脱チェックを行ったが、あいにく失敗したうえ、1損耗を被った。「警戒」状態の機甲騎兵ユニットなら、70%で離脱に成功できるのだが…… 

そして南の第27親衛師団は、今度こそ速攻ではなく、マイナス修正の無い準備攻撃で攻めるため、後退するアメリカ軍を追って、さらに攻撃位置を前進させた。

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第2ターン裏のアメリカ軍は、さらに離脱・後退せんとしたが、あいにく各地で失敗し、逆に損耗を被ることとなった。こうなるとソ連軍は、アメリカ軍ユニットに隣接した状態でターンを開始でき、移動力に余裕をもって準備攻撃が行える。 

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第3(1200時)ターン。ソ連軍第27親衛狙撃兵師団は、アメリカ軍1-68戦車大隊に対して、満を持して準備攻撃。しかし両軍ありったけの戦闘支援を注ぎ込んだこの戦闘も、双方損耗1という痛み分けに。その代わり、 第27親衛師団の偵察大隊は、1-68戦車大隊の横をすり抜け、Fuldaの街へ隣接。実際このように、数に優るワルシャワ軍は、NATO軍を拘束したら、それ以外の部隊は後方へ送り込むのが良さそうだ。

またソ連軍第39親衛狙撃兵師団も、正面のHersfeldを抜けて、アメリカ第11機甲騎兵連隊第1大隊を後退させ、Fuldaに迫っている。 

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一方、北では、第39親衛師団第172親衛狙撃兵連隊(6-8ユニット)が、準備攻撃で、第11機甲騎兵連隊第2大隊を攻撃するも、損耗1を被ったのみ。ならばと後方から第120親衛狙撃兵連隊(5-7ユニット)が、強行軍(移動力+3)で損耗1を喰らいつつ前線に躍り出し、速攻で二次攻撃を仕掛けたが、これまた損耗2を被って撃退。第11機甲騎兵連隊は、多勢に無勢ながらもこの波状攻撃を耐えている。 

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とまあ、とりあえず第3ターン表までプレイして今回の味見は終了。やはりワルシャワ軍としては、焦って速攻するより、相手を包囲するように複数の自軍ユニットを張り付かせ(隣接ユニット1ごとに戦闘修正+2)てからの準備攻撃が得策だが、NATO軍としては、相手を引きつけつつ、攻撃前のタイミングで離脱し、相手の攻撃配置をやり直させるのが重要なようだ。ただし、その離脱が出来るかどうかが不確定なのが面白いし、結構キモのルールだと感じた。

また攻撃が成功しても、与えられる最大の損耗は2止まりなので、敵ユニットを除去するのは、なかなか難しいかもしれない。たとえ敵ユニットを包囲して、補給切れに追い込んでも、損耗が自動的に上がることはなく、損耗を取り除けないだけなので、意外にしぶとく生き残りそうだ。

そう考えると、今回の第27親衛狙撃兵師団のように、師団の一部で敵ユニットを拘束しつつ、縦深突破していくのが上策か。そういった御作法も見えてきたので、いずれまたソロプレイしてみる予定……