Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】「灰緑色の戦史 ドイツ国防軍の興亡」

灰緑色の戦史――ドイツ国防軍の興亡

灰緑色の戦史――ドイツ国防軍の興亡

 

古くはウォーゲーム雑誌「シミュレイター」から、近年の「コマンドマガジン」「歴史群像」などの雑誌に掲載された、大木毅氏の戦史記事が収録された「灰緑色の戦史」を購入。サブタイ通り、第一次大戦~第二次大戦でのドイツ軍をテーマとした記事で構成されている。

自分の場合、ウォーゲームでも第一次大戦はほとんど興味が無いので、やはり目が行くのは第二次大戦寄りの記事。特に学生時代「シミュレイター」で読んだシチリア島撤退戦の記事は懐かしかった。「OCS:Sicily II」キャンペーンをプレイした時は、イタリア半島撤退までプレイできなかったが……

またバルジの戦いにおける「アメリカ第2機甲師団vsドイツ第2装甲師団」の記事も、後に「BCS:Last Blitzkrieg」の当該シナリオをプレイする際に参考になった。

たぶんBCS第4弾のハンガリー戦「Panzer's Last Stand」が出版された暁には、本書の「王虎枯れ野を走る」(第503重戦車大隊の記事)も参考にすると思う。まあ、どうしてもウォーゲーマーなので「コマンドマガジン」掲載記事に偏って活用してしまうのだが……

【Battalion Combat Series】「Baptism by Fire」Operation Spring Wind Solo-Play AAR

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「Baptism by Fire」の序盤4ターン(2月14日~2月17日)を扱う「Operation Spring Wind」シナリオをソロプレイしてみた。盤上に配置されたアメリカ第1機甲師団CCA・CCC戦闘団に対し、ドイツ軍第10・第21装甲師団が攻撃をかけるという設定である。4ターン終了時までに枢軸軍がSidi bou Zid、Kern's Crossroad、Sbeitlaを占領し、さらにもう1カ所勝利条件ヘクスを奪えば枢軸軍勝利となり、連合軍はSbeitlaとKern's Crossroadを占領していれば勝利となる。とりあえずBCS初体験なので、第1ターンは下記リンクのプレイ例を参考に動かしてみた。

「Baptism by Fire」Playing A Complete Game Turn

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第1ターン、天候は晴れ。ドイツ軍先攻。最初に活性化したのは、プレイ例と同じくKG Reimである。プレイ例では、いきなりティーガー中隊を移動面で突進させ、Poste de Lessoudaのアメリカ軍G/1戦車中隊を射撃戦で除去し、さらにKern's Crossroadへ前進して2回目の射撃戦を行っている。しかしティーガー中隊も、移動面では射程1(展開面では射程2)なので、アメリカ軍戦車の射程内に踏み込む必要があり、1ステップしかないため、ダイス目が悪ければ「双方1ステップロス」で全滅する恐れがある(そしてティーガー中隊は再建不可だ)。 数が少なく貴重な射程2の戦車ユニットを失うのも嫌なので、ここは慎重に展開面でG/1戦車中隊へ接近し、アウトレンジ射撃をしかけて難なくこれを除去。さらにII/86歩兵と共にTF Watersを攻撃する位置についたものの、第2活性化には失敗してKG Reimの手番は終了。

手番変わって連合軍は、やはりプレイ例と同じくCCAを活性化。プレイ例通り、Sidi bou Zidを放棄して、Kern's Crossroadへ後退した。

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さらに手番変わってドイツ軍は、KG Gerdtを活性化。先に動いたKG Reimを追い越す形で13号線を西進し、Kern's Crossroadを守るCCAを攻撃。アメリカ軍3/1戦車大隊を後退させた後、第2活性化にも成功し、さらなる攻撃で背後にいたCCA司令部をも後退させ、CCA補給部隊も機能不全に陥らせた。KG Gerdtは、都合5ヘクスの縦深突破を成し遂げたうえに疲労レベルは上がらずという、理想的な活性化だった。

手番変わって連合軍は、最後のフォーメーションCCCを活性化。部隊機能判定(SNAFU)の結果「機能半減」だったため、移動力が半減したが、運良く第2活性化にも成功し、Sbeitlaへ後退できた。

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続いて枢軸軍は、KG Stnkoffを活性化。アメリカ軍3/168歩兵大隊の攻撃に向かわせ、直接射撃を複数回浴びせてステップを削ったものの、第2活性化にはしくじり、3/168大隊を除去しきれなかった。最後に残ったKG Schtは、Sidi bou Zidを占領してSbeitlaへ向かっている。ここまでが第1ターンである。

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第2ターン。天候は雨のため、部隊機能判定(SNAFU)は「半減」が上限となる。つまりフル移動力を使える活性化はない。連合軍には第3ターンに増援(CCB/1)が来るので、枢軸軍を足止めしてくれる恵みの雨か。CCCは、Sbeitla付近で準備防御(移動を犠牲にして防御を堅くする)に入ったが、枢軸軍も逃げる連合軍ユニットを討ち取りつつ、Sbeitlaへ前進。疲労が上がりやすい通常/急襲攻撃は使わず、射撃戦や直接射撃を多用しているため、各KGの疲労レベルも上がっていない。

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第3ターン。天候は晴れ。Sbeitla攻防戦の始まり。両軍戦車隊による射撃戦の応酬となるが、数と質に劣るアメリカ軍戦車がみるみる削られていく。Sbeitlaに籠もるCCC 3/6機械化歩兵大隊も6ステップを有し、準備防御状態にあるものの、直接射撃を浴び続け、次第に戦力が落ちていく。そして連合軍期待の増援CCB/1は、第2活性化に失敗したため、Sbeitlaに入る手前で行動終了。

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最終第4ターン。遂に枢軸軍KG LangがSbeitlaへ突入。部隊はさらにSbeitlaを越えて連合軍のCCB・CCC司令部スタックを射撃し、これを後退させた。もはや連合軍にSbeitlaを奪い返す戦力は無いが、これで枢軸軍の勝利が決まったわけではない。あとひとつ、勝利条件ヘクスを取らなければならない。

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地図盤北部に広がる勝利条件ヘクスのうち、Hadjeb el Aioun(40.26)はガラ空きのため、Kern's CrossroadでもたもたしていたKG Reimが進路を変えて北上するも、第1活性化だけでは到達できず、第2活性化には失敗。代わってそちらへ向かったKG Gerdtも、KG Stnkoffも、やはり第2活性化に失敗し、Hadjeb el Aiounを占領できず。結局ゲームは「引き分け」で終わった。※ルール間違い:KG Gerdtを最終第4ターンに盤上から取り除くのを忘れていた。

感想。最初は、地図盤が広い割にユニットが少ない、と思ったが特に問題はなかった。と言うより、このシステムには広いスペース(特に縦深)が必要なのだと分かった。なにしろ1回戦闘や射撃戦に負けるたび3ヘクス後退するし、それが複数回重なると、かなり戦線が動く。後方に二線陣地と言うか、予備の防御ユニットを置いておくのも大事になる。そういう意味では先輩格のOCS同様、BCSも縦深突破が可能であり、縦深防御が必要なシステムなのだと分かった。司令部や補給部隊が蹴散らされるとフォーメーション全体に影響が及ぶ、というあたりも(表現方法は違えど)OCSと同じような思想が流れている。

また、個々のスタックが蜂のように飛び回って刺し合う機動戦も、北アフリカ戦にマッチしていると感じた。独特なシステムなので、最初は戸惑うかもしれないが、決して難解なゲームではないので、馴れればさくさく進められるし、この「Operation Spring Wind」シナリオなら、午後から夕方までで決着できるだろう。あらためてシリーズ第一作「Last Blitzkrieg(バルジ戦)」をプレイすれば印象は変わると思うが、とりあえずのBCS第一印象はそんなところである。

【Battalion Combat Series】「Baptism by Fire」

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MMP社に直接プレオーダーしていた、BCS(Battalion Combat Series)第2弾「Baptism by Fire(業火の洗礼)」が到着。お題は、1943年2月14日~23日(1ターン=1日)までの北アフリカチュニジアにおけるドイツ軍の反撃「春風作戦」から始まる、いわゆるカセリーヌ峠の戦闘。すでにこのBlogでも記事にしているが、BCSの基本ルールはver1.1となり、様々な改訂が加えられている。

枢軸軍は、指揮系統の混乱により、2つの作戦目標(TebessaかLe Kef)のうち、どちらを攻めるか決定しないままキャンペーンゲーム(全11ターン)を始め、第6ターン(2月19日)になったら、ランダムに作戦目標をチットで決める。それまでは、枢軸軍も連合軍も狙いが定まらぬまま戦うハメになる。シナリオは6本あり、まずは戦闘序盤を扱う「春風作戦」シナリオ(全4ターン)から試してみたいが、ユニットが少ないので、実際に一日かければ、キャンペーンゲームもそれなりに消化できそうな気もする。

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そう、本作のユニットは非常に少ない。カウンター総数は560個だが、半数以上はマーカー類であり、部隊ユニットは(司令部と補給部隊を含めて)枢軸軍50個、連合軍70個ほどしかない。これで戦場がフルマップ2枚なのだから、ユニット密度的にはかなりスカスカだろうが、扱うユニットが少ない分、シリーズ第1弾「Last Blitzkrieg(バルジ戦)」よりもBCS入門者向けだと思う。地形も、入り組んだアルデンヌの森よりは、分かりやすい。

ただ、この戦力密度でフルマップ2枚の戦場をカバーできるのか?と思ったら、「前哨(Recon Screen)」なる新ルールが登場していた。前哨に指定された偵察ユニットは、3ヘクス以内の移動面の敵ユニットに対し、ヘクス毎に追加+1移動力を消費させることで敵の前進を鈍らせるというもの。とは言え偵察ユニットも少ないし、それでうまいこと、この広い戦場がカバー出来るかは分からないが、一応この前哨ルールは、シリーズ第1弾「Last Blitzkrieg」にも適用できるとのこと。このあたり、まだまだこのBCSというシリーズ・システムが固まっていない感もある。

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すでにBCS基本ルール1.1も、本作の特別ルールやヒストリカルノートも訳してあるので、早速ソロプレイに取りかかってみたい。個人的に、WWII大隊作戦級は大好物だが、なにせ独特かつ斬新なシステムだし、まだまだシリーズ立ち上げ当初の開発段階にも思えるので、「味見する」程度の感覚で触れようかと思う。以下のリンク記事が、実際ユニットを動かす参考になりそうだ。

「Baptism by Fire」Playing a complete Game Turn

カセリーヌ峠の戦い1943―ロンメル最後の勝利 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ 世界の戦場イラストレイテッド)

カセリーヌ峠の戦い1943―ロンメル最後の勝利 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ 世界の戦場イラストレイテッド)

 

【参考文献】エドワード・ルトワック「戦争にチャンスを与えよ」

戦争にチャンスを与えよ (文春新書)

戦争にチャンスを与えよ (文春新書)

 

2014年に「戦略論」が邦訳された、エドワード・ルトワックの「戦争にチャンスを与えよ」を購入。なかなか扇情的なタイトルだが、それもある意味、ルトワックの芸風だと思うので、まあ良しとしよう。本書は、論文やインタビューをまとめたもので、現在の東アジア情勢を中心に語られているが、冒頭に記された「戦争にチャンスを与えよ」は、ユーゴスラビアやアフリカ等での紛争を題材に、中途半端な停戦介入による、そのデメリットを説いている。つまり、一時的に地域紛争を停戦させても、国家や民族間の憎悪が不完全燃焼のまま残ったり、難民を永続化させてしまうと。「戦争は良くない」という人道主義だけで介入しても、その地域から憎悪を根絶したり、難民を定住化させるプロセスには莫大なコストと時間がかかり、それを引き受けるだけの能力が無いなら、無責任な介入になるという説だ。

以前読んだ「戦略原論」の中にも、紛争に対する人道的介入の章があったが、実際、虐殺などを見過ごすことは国際社会として無責任だが、その後、その国を再建する責任まではあまり議論されてこなかったという話もある。こういったあたりは、あまりウォーゲーマー向きの内容ではないが、現代の国際紛争を見るうえでは、とても重要な要素だと思う。

【Operational Combat Series】「Sicily II」Campaign AAR part.2

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今日は秋葉原イエサブにてFORGER氏主催の「OCS:Sicily II」キャンペーン会、第二回に参加してきた。前回、第2(7月14日)ターンまで進めたユニットを再配置し、第3(7月18日)ターンから再スタート。自分の担当は、前回と同じくシチリア島東部の枢軸軍である。

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第3(7月18日)ターン。先攻は連合軍。イギリス軍はアウグスタ市を包囲しつつ、第23機甲旅団をもってカタニア市へ向けて北上開始。イタリア軍装甲車大隊に攻めかかるも、イタリア軍とは思えぬ精強さ(アクションレーティング最良の5)によって逆奇襲をくらい、2個戦車大隊を失った。枢軸軍は、火力30のイタリア軍砲兵連隊を予備モードにし、連合軍の攻撃を阻止砲撃で鈍らせる構えである。

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第4(7月21日)ターン。先攻は連合軍。イギリス軍がアウグスタ市に攻撃を宣言すると、守備に就いていたイタリア軍3個沿岸ユニットがすべて降伏し、市街は無血占領された……。再び攻めかかってきたイギリス第23機甲旅団への火力30の阻止砲撃も失敗(2D6で4以上なら当たりなのに3が出た)。しかしイギリス軍のダイス目も振るわず、第23機甲旅団は再び攻撃に失敗し、後退した。拙守、拙攻である。

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一方、シチリア島西部では、アメリカ軍がいったん戦線を食い破ったものの、ドイツ軍の反撃によって突破した戦車大隊が孤立する事態が発生。アメリカ軍は別方面でも突破を試みて入念な攻撃を行ったが、そちらの戦果もはかばかしくなかったようだ。

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第4ターン裏の枢軸軍。すでにアウグスタ市を落とした連合軍は、いよいよ本腰を入れてカタニア市へ北上するであろうということで、東部枢軸軍各部隊は整然と後退。さながら戦略的持久を試みた沖縄戦の如くである。一方の西部枢軸軍は「攻撃こそ最大の防御」とばかりに、アメリカ軍戦線の穴を衝こうとしたり、ロケット砲で敵飛行場を砲撃するなど、あの手この手を繰り出していたようだ。

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第5(7月24日)ターン。先攻は連合軍。イギリス軍は3攻撃スタックを準備したが、うち1つはイタリア軍の阻止砲撃によって混乱。それでも44RTR戦車大隊を主力としたスタックが無事、渡河攻撃に成功し、プリマソーレ橋の南に到達した。

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第5ターン裏、枢軸軍は、カタニア市沖合に浮かぶイギリス軍空母フォーミダブルに目をつけた。実は第5ターン表の航空戦で、イギリス軍は哨戒用の戦闘機を使い切っており、空母部隊をカバーする戦闘機は皆無だった。早速、Bf109g戦闘機が空母の直援機に襲いかかり、これを撃退。戦闘機の援護を失った空母めがけてイタリア本土からJu88爆撃機✕4が襲来し、これに混乱。さらに続く突破フェイズでも、イタリア本土から第二波となるJu88+SM84爆撃隊が襲いかかり、2D6振って4以上が出れば空母本体にダメージヒットが出るはずが、ここで振ったダイスが痛恨の2(ピンゾロ)!空母への混乱はこのターンで消えてしまうため、結局散々騒いだ割には何も結果が得られないというていたらくであった……

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ということで今回はこの第5ターンまで進めて終了。次回は第6(7月28日)ターンからの再開だが、すでにイギリス軍はカタニア市に3ヘクスにまで迫っており、戦線の破断界も近いような気がする……

【参考文献】「軍事史とは何か」

軍事史とは何か

軍事史とは何か

 

ドイツでの軍事史学会の講演録をベースとした「軍事史とは何か」を購入。歴史学という中での軍事史のあり方について、複数著者による考察がまとめられている。そもそも歴史学とは何かという専門的教養が無いとついて行けないし、自分にとっても、正直、本書の大半は歯が立たない内容だった。

しかし、戦後ドイツにおける戦争史研究がたどった変遷や、「作戦史」という聞き慣れないものの、非常になじみ深い概念を知れたのはありがたい。なるほど、自分がウォーゲームの参考資料として最近惹かれているのも、本書で言うところの「作戦史」なのだなと、あらためて再認識した。

恐らく、本書でも「作戦史としての軍事史」を書いているデニス・ショウォルターの「クルスクの戦い1943」や、カール・ハインツ・フリーザーの「電撃戦という幻」あたりは、学術的な作戦史なのだろう。まあ、どこからが学術的で、どこからが非学術的なのかという線引きは、単なる歴史ファンの自分には分からないが、これから洋書戦史を選ぶにしても、「作戦史」というワードが、自分の目安になりそうだ。

【Operational Combat Series】「Beyond the Rhine」 A Time for Trumpets AAR

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「OCS:Beyond the Rhine」のバルジ戦シナリオ「A Time for Trumpets」第1(12月15日)ターンは、地表状態:雪、上空:飛行不可という天候でスタート。先攻ドイツ軍は、9SPを獲得し、装甲教導師団、第1SS、第12SS装甲師団を斬り込み役に攻撃開始。後方に控える第2装甲、第2SS装甲、第9SS装甲師団、第3装甲擲弾兵師団は予備モードにして、突破に備えさせた。使用する選択ルールはいつも通り、21.2「ステップに比例した戦闘力」と21.8「空ヘクスへの攻撃」である。

幸先良く、第17ネーヴェルヴェルファー旅団の砲撃でヘクス3408のアメリカ軍分遣連隊が除去され、第12SS装甲師団先鋒スタックは、空になったヘクスを攻撃し、労せずして突破口を啓開した。しかし第1SS装甲師団を支援した第4ネーヴェルヴェルファー旅団の砲撃はスカ。仕方なく第1SS装甲は、そのままアメリカ第14騎兵グループを攻撃し、偵察大隊を失いつつ、マルメディへ迫った。第18、第62国民擲弾兵師団は、アメリカ第106歩兵師団を除去し、第116装甲師団も順調にオウル川を渡っている。

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これに続く突破フェイズで、第9SS装甲師団が、第1SS装甲を追い抜く形で前線へ。再度、第14騎兵グループを攻めるも、除去には至らず。また第12SS装甲師団を追い抜いた第3装甲擲弾兵師団の偵察大隊は、一気に米軍砲兵スタックに肉薄し、AR(アクションレーティング)頼みで攻撃したものの、撃退されている。それでもエルゼンボルン尾根の米軍(レベル1陣地✕3)は、すでに半包囲下に。

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一方、装甲教導師団先鋒は、無事オウル川を渡り、続く第2装甲師団が突破攻撃を仕掛けたものの、単なる分遣連隊相手に逆奇襲をくらい、AL1o1で退却する始末。さらに南では、第212国民擲弾兵師団がエヒテルナッハを奪っている。

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これに対し連合軍は、第1ターン裏、北部からアメリカ第2、第3、第5、第7機甲師団、第1、第30、第84歩兵師団を送り込み、ドイツ軍の封じ込めにかかった。さながら一般的なバルジ戦ゲームでの一週間分の増援が最初の三日で全部到着したような感じだろうか。

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南部からはアメリカ第10機甲師団が来援。バストーニュ正面は、南部から来援する部隊が少なく、北部からの部隊も(移動力的に)間に合わないので、実は手薄である。ドイツ軍が突破に手間取ったせいで命拾いしたかもしれない。

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第2(12月19日)ターン。地表は乾き、天候も晴天。つまり道路事情は良くなったために連合軍増援の足も速くなり、空軍も飛んでくると。そして連合軍が譲る形でドイツ軍先攻。

ドイツ軍は再び9SPを獲得したが、第1ターンに使い過ぎたか、早くも補給が苦しく、全装甲師団を動かして攻撃させる余力が無い。それでも第116装甲師団がサンヴィットを奪取。第9SS装甲師団+第3降下猟兵師団は、第14騎兵グループをようやく除去し、突破モードでさらに前進したものの、すでにマルメディにはアメリカ第3機甲師団が到着しており、(支援砲撃も無い状態での)突破攻撃は断念した。第12SS装甲師団の目前にも、アメリカ第5機甲師団が立ちはだかっている。

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一方、装甲教導師団+第2装甲師団コンビも、バストーニュへ前進しているが、こちらも遅々として進まない。 さらに南では、ルクセンブルグへ向かった第352国民擲弾兵師団の攻撃が失敗。同じく第272国民擲弾兵師団に至っては、アメリカ軍分遣連隊相手に逆奇襲6シフトをくらって2ステップロスというていたらくである。

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第2ターン裏。連合軍は、北から南へ機甲戦闘団による防衛線を張り、その背後に予備モードの砲兵部隊を並べて阻止砲撃の準備も万端……

というあたりで、感触はつかめたので、今回はお開き。まあ、恐らくこのまま続けても、史実のような大突破はかなり難しそうだ。先にも書いたが、連合軍増援のやりくりが史実より自由なため、さっさと余っている部隊をかき集めて、ドイツ軍突破口を塞げば、それで決着が着くような気もする。バストーニュはともかく、マルメディすら落とせないとはドイツ軍として情けないが、特に陰謀ルールの無いOCSでバルジを表現するとこうなるのかと。

いや逆に考えれば、むしろこれは『もし連合軍が手持ちの予備を全部フリーハンドで使えたら?』という稀有なIfシミュレーションになっていると思う。連合軍にしてみれば、ジークフリート線の向こうに隠れているドイツ軍の装甲予備がごっそり、わざわざその防御線から出てきてくれるのだから、むしろ有り難い状況と言えるかもしれない。当時、アルデンヌ攻勢を知ったパットン将軍が『ドイツ軍は肉挽き器の中に頭を突っ込んだようなものだ』と言ったそうだが、確かにそうなのだ、この攻勢を逆に活かせば、ドイツ軍の装甲予備をまるごと撃滅できるのだから。そういった視点でプレイすると、このシナリオも面白いと思う。また挑戦してみよう。