Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】「戦術学入門 戦術を理解するためのメモランダム」

新刊「戦術学入門」を購入。古今東西の戦術研究の歴史を紐解き、戦闘原則を交えつつ、現代の戦場に適合した戦術判断を導き出すには?というあたりが主眼か。

個人的に興味深かったのは、アメリカ陸軍の状況判断プロセスであるMDMP(軍事意思決定プロセス)とTLP(小部隊指揮手順)の紹介。部隊規模で言うと、旅団戦闘チームや大隊以上の判断はMDMP、中隊以下の判断はTLPとなる。このMDMPのために、CRM(危険見積)とIPB(情報見積)があり、7段階のステップを踏んで進めるわけだが、途中の4段階目にウォーゲームの実施が挟まっている。そしてウォーゲームの結果を見た後、指針を修正し、最終判断を下す……という、なかなか面倒なプロセスになっている。ややお役所仕事的にも感じるが、旅団規模ともなると、そこまで入念な準備が必要なのだろう。しかしTLPも、8段階のステップを踏むため、小部隊の判断でも、それだけ念入りにということか。4段階で済むOODAループは、まだ簡単な方なんだなと。

ただ、このMDMP、TLPという判断ステップを、自分もウォーゲームをプレイする際に、自然とやっているかもしれない。つまり、対戦するゲームを決めたら、その情報と危険を見積もり、事前にソロプレイをして、作戦を修正した後、本番で対戦する……みたいな。それをお役所仕事的に書き連ねるとMDMPになるのかもしれない。