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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【The Second World War】「TSWW : Singapore !」Prince of Wales & Repulse

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「TSWW:Singapore !」が到着したので、水上戦の練習シナリオ「Prince of Wales & Repulse」をソロプレイすることにした。なかなかTSWWの本格シナリオには移れないが、なにしろ重たいシステムなので、少しずつ、ゆっくり取りかかる所存。

このシナリオは、マレー沖海戦で撃沈されたイギリスの戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」と巡洋戦艦「レパルス」が、もし日本海軍の戦艦と砲戦に及んでいたら?というもの。設定には3種類あり、隻数的に日本軍優位、両軍同等、イギリス軍優位(未完成のライオン級戦艦まで出てくる)とあるが、今回は両軍ほぼ同等な隻数でぶつかり合う設定を選んでみた。ちなみに1941年設定とすると、海軍補正(NEM)はイギリス海軍が+1、日本海軍が+2となり、練度としては日本軍が優勢だが、イギリス軍にはレーダー補正+1が付くので、お互い同等となる。

さてそのイギリス海軍の編成は、戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」、巡洋戦艦「レパルス」、軽巡と言いながら重巡並の砲撃力を持つ「モーリシャス」、逆に重巡と言いながら軽巡並の砲撃力しかない「エグゼター」、そしてニュージーランド海軍の軽巡「アキリーズ」(唯一、白いユニット)、軽巡「ドラゴン」「ダーバン」、駆逐艦4隻、護衛駆逐艦戦隊(DEF)1という陣容である。 

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対する日本海軍は、戦艦(正確には超ド級巡洋戦艦なのか)「金剛」「榛名」、重巡愛宕」「鳥海」「高雄」、駆逐艦9隻という陣容。

両軍を比較してみると、砲撃力・防御力ともに「プリンス・オブ・ウェールズ」が「金剛」「榛名」より優っているが、「レパルス」はその2隻に砲撃力で劣っているという、なかなか微妙なバランス。巡洋艦グループでは、日本軍は砲撃力で優っているものの数では劣り、駆逐艦グループは、日本軍が量で優り、しかも全艦コードL(超距離魚雷を装備しているため、イギリス軍より遠い射程から魚雷攻撃が可能で、命中した場合のダメージも大きい)なので、質的にも日本軍が優位である。

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砲戦を開始する前に、たいした規模のシナリオではないので、ルール13.P.2(選択)「水上機」を導入してみよう。日本軍の戦艦2隻、重巡3隻はすべてコードF(水上機装備)であり、搭載した水上機を砲戦前に発艦させれば、砲撃観測用に使用でき、修正+1が得られる。しかし水上機を甲板に置いたまま砲戦に突入してしまうと、被弾した際に延焼してダメージが大きくなる可能性もある。そこで「砲戦前に水上機を発艦させたかどうか」チェックをするワケだ。

判定の結果、戦艦「金剛」重巡愛宕」「高雄」は、延焼を恐れて、砲戦前に水上機海上へ投棄した。そのため砲撃修正は無し。重巡「鳥海」のみが、砲戦前に水上機の発艦に成功し、砲撃修正+1を得られる。戦艦「榛名」は、発艦も投棄も間に合わず、甲板に水上機を置いたまま、砲戦へ突入することになった。そのため「榛名」は、奇数ヒットを被った場合、追加でクリティカルヒットを被ることになった。

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さて第1ラウンド。両軍とも、戦艦は遠距離(Lomg Range)に留まり、それ以外の艦船は近距離(Short Range)へ前進。イギリス海軍としては、必殺魚雷を抱えた日本軍駆逐艦をさっさと始末したいし、日本海軍としては、砲戦を生き延びた後、魚雷を叩きこみたいところ。

では砲戦開始。まずは両軍戦艦同士の撃ち合いから。遠距離での砲撃力は、✕70%(端数切り捨て)となるため、「プリンス・オブ・ウェールズ」は砲撃力46✕70%=32、「レパルス」は砲撃力26✕70%=18、「金剛」「榛名」は砲撃力38✕70%=26となる。

プリンス・オブ・ウェールズ」は、防御力6の「金剛」に対し+11砲撃と+9砲撃。

「レパルス」は、防御力6の「榛名」に対し+11砲撃のみ(砲撃力1余り)。

「金剛」は、防御力8の「プリンス・オブ・ウェールズ」に対し+11砲撃のみ(砲撃力7余り)。

「榛名」は、防御力6の「レパルス」に対し+7砲撃を2回。

砲撃結果表では、+11砲撃(確実にヒットあり)が最大コラムであり、このコラムにのみクリティカルヒット(追加ヒット、一発轟沈の可能性もあり)が存在する。そのため、夢のある+11砲撃を行うか、それより低いコラムで複数回砲撃を行うかは悩ましいところだが、今回は両軍とも、可能性のあるうちに+11砲撃を叩き込んでおくことにしたが、一番割を食ったのは砲撃力を7余らせた「金剛」である。しかし余った分まで使って2回「プリンス・オブ・ウェールズ」に砲撃するなら、+5砲撃(ヒット確率50%)2回とか、+9砲撃と+1砲撃などになるため、ダイス目が悪ければノーヒットになってしまう。ここはやはり確実にヒットを与えられる+11砲撃に夢を託すしか……(砲撃力の最適分配を計算するほど、自分は緻密なウォーゲーマーではない)

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遂に火蓋を切った、英日戦艦対決。「金剛」は(一撃轟沈の夢のある)+11砲撃を「プリンス・オブ・ウェールズ」に放ったが1ヒット止まり。「榛名」は「レパルス」に対して+7砲撃2回で、着実に2ヒットを与えた。「レパルス」の防御力は6=ヒットポイント4なので、すでに中破となった。

これに対して「プリンス・オブ・ウェールズ」は、「金剛」への+11砲撃で1ヒット、+9砲撃で2ヒット(出目が良かった)を与え、合計3ヒットを負わせた。「金剛」のヒットポイントも4なので、3ヒットを喰らった状態ではもはや首の皮一枚、大破となった。そして「レパルス」は、「榛名」への+11砲撃で1ヒットを与えたが、「榛名」の艦上には水上偵察機が残っていたため、奇数ヒットによる追加クリティカルヒットを判定。これが追加2ヒットとなり、合計3ヒット、「榛名」も大破に追い込まれた。う~ん、これは後世、歴史家やウォーゲーマーから『あの時、水偵を発艦させるか、投棄すれば良かったのに!』と言われるパターン……

ちなみに艦船は、被ったヒットの数だけ、対空力、魚雷力、移動力が低下し、ヒット/ヒットポイントの割合だけ、砲撃力が低下する。「プリンス・オブ・ウェールズ」は、現在1ヒット/6ヒットポイントなので、砲撃力は5/6(端数切り捨て)=38に低下。「レパルス」は、砲撃力2/4=13。「金剛」「榛名」は、砲撃力1/4=9にまで低下している。

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さらに巡洋艦グループ同士の砲戦では、重巡愛宕」が軽巡モーリシャス」に2ヒット/3ヒットポイントを与え、大破に追い込んだ。駆逐艦グループの砲戦は、両軍2隻が1ヒット/2ヒットポイントを被り、中破となっている。

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しかし砲戦に続く魚雷戦では、長距離魚雷装備の日本軍が、通常の雷撃距離(Torpede Range)よりも遠い短距離から、一方的に攻撃。「愛宕」が「モーリシャス」にトドメを刺し、「高雄」は「アキリーズ」を撃沈した。「エグゼター」も「嵐」舞風」に沈められ、イギリス側の駆逐艦4隻も沈められた。恐るべし、日本軍の酸素魚雷……

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こうして第1ラウンドを終えた結果、イギリス海軍は「プリンス・オブ・ウェールズ」は健在なものの、「レパルス」は中破、巡洋艦駆逐艦は壊滅という有様に。逆に日本海軍は、巡洋艦駆逐艦グループは健在ながらも、「金剛」「榛名」は瀕死の状態に陥っている。

第2ラウンド開始時、両軍の戦艦グループは、それ以外の艦船を遮蔽として、離脱を宣言。両軍の戦艦とも離脱判定に成功し、とりあえず生き延びることとなった。しかし後衛となったイギリス軍の軽巡「ドラゴン」以下3隻は、遠距離ゾーンに戻ったものの、残った日本軍艦隊が、雷撃距離へ前進して再び雷撃を行い、これを全滅させたであろう……という結末が見えたあたりで、お開きとした。

まあ、水偵による被害拡大にしろ、遠距離魚雷の威力にしろ、ちょっと誇張が強いようにも感じるが、TSWWシステムで、1941年の日英艦隊が戦うとこのようになるんだなと。先に、こういったミクロ部分の戦闘展開が見えていないと、上位の海軍作戦も立てられないし。まあ、日本軍の雷撃能力が恐ろしいことは分かったので、やはり航空攻撃か潜水艦攻撃で叩くしか。という意味でも、次は空母同士の戦闘を練習したい。