Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Advanced Squad Leader】「あなたのASLプレイを上達させる13のステップ」を訳してみた

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前々から「ASL Journal」等に掲載されている入門者向け記事を訳そうと思っていたが、ようやく年末になってヒマな時間が出来たので、まずは「Out of Attic #2」に掲載されている「13 steps to Improving Your ASL Game」=「あなたのASLプレイを上達させる13のステップ」という記事から訳してみた。これはアバロンヒル時代の「General vol.30 no.1」(1995年)に掲載されていたそうで、3段組とはいえ、たった2ページの記事である。

内容は、ASLのプレイに関する基本的なコツがまとめられており、いわく『スタックはするな(それより射撃グループを作れ)』『受け身になり過ぎるな(リスクを取る決断ができるのが良いASLプレイヤーへの第一歩)』『DR2でしか回復できない奴は回復させるな(DR2で回復すると戦渦が発生して狂暴兵化し、自殺的突撃をしてしまう)』『混乱した相手をさらに蹴飛ばせ(常に動揺状態DMにさせろ)』『利点を活かせ(静粛な分隊があるなら白兵戦に持ち込め、射程で優るならアウトレンジ射撃を心がけろ)』『装甲車両は、煙幕を張って、移動中射撃を行い、敵区域に突っ込ませろ(その全部が移動フェイズに行える。準備射撃をしたら、それでおしまいだ)』『装甲車両を敵区域に突っ込ませて、敵の強力なスタックを無力化しろ(いわゆるVBMフリーズ戦法。そのために装甲車両を犠牲にすることを躊躇するな)』『常に捕虜を取れ(ただし9-2以上の指揮官は殺せ)』『煙幕を多用しろ(敵に投げつけるなら白燐弾を投げろ)』等々。もちろん筆者本人も、そのすべてがいつも有効とは限らないし、そこがASLの面白いところだよねとは書いているし、自分も訳しながら、楽しく読ませてもらった。

しかし一番面白かったのは、13ステップの最後にある「Moral」の項目だった。ユニットの「士気」の話かと思ったら、プレイヤー自身の「品性」の話だったのだ。

この記事によると、どんなプレイヤーでも、不運や不利な状況によって、精神的に混乱してしまうことがあると。そうなったプレイヤーは、戦況を見直したり、部隊を再結集させるのではなく、自暴自棄に陥ってしまう……まあ、ウォーゲーマーなら(自分のこととしても、対戦相手のこととしても)一度や二度は経験があるだろう。それが最終ターンならともかく、第1ターンが不運だったからといって、いきなり第2ターンで自暴自棄になるべきではないと。

また『精神的に混乱したプレイヤーは、自分の4-3-6分隊が、30火力、修整-4で撃たれて、それに耐えられなかったとしても愕然とする』という書き方には、思わず苦笑してしまった。外野から見れば、そりゃ耐えるのは無理だ、諦めろと言いたくなる。また『対戦相手のダイスロールが全部(最悪の)11か12になりますように……と祈っているようなら、そのプレイヤーの品性は壊れている』という表現にも笑った。

そのように自分自身の品性が崩壊しそうになったら、冷たいコーラかビールでも飲むか、お風呂に入ってさっぱりしろ、とアドバイスしているのも微笑ましい。また、自分が不利な状況のゲームに戻る場合、そこから新しいゲームが始まるつもりになってやってみろ、というのも面白い。それはある種の心理的欺瞞だが、そういった精神的タフさは、ASLに限らず、すべてのウォーゲーム、ボードゲームにも当てはまるので、実はそこが一番役に立ったかもしれない……