Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】「ロンメル戦記」

ロンメル戦記 (学研M文庫)

ロンメル戦記 (学研M文庫)

 

新刊「ロンメル戦記」を購入。ロンメル元帥の生誕から悲劇的な死までを綴った詳細な、と言うより赤裸々な人物伝になっている。勿論、両大戦での活躍も事細かに記されているが、むしろ目を引くのは、恋人がいながら別の女性に子供を産ませたり、北アフリカで部下たちに理不尽な命令を下して衝突するなど、良く言えば人間くさく、悪く言えば負の側面まで晒して、神格化された智将の実像をリアルに解き明かした部分だった。

兵学校教官として、部下の損失を抑えるよう指示しながらも、フランス戦で指揮した第7装甲師団に甚大な損害を被らせ、その犠牲と引き替えに、自らは名声を得たのも皮肉ですな。

また自分の要望が通らない時は、直接ヒトラーを頼って事を解決する等、そりゃあ周囲の将軍は面白くないだろうし、妬まれただろうし、北アフリカ失陥後の「厄介者」扱いにも納得。しかしヒトラーの寵愛が失せると、途端にロンメルの人生も萎み始め、身に覚えのない罪で死を迎える様は、多少気の毒に感じる。師団長ぐらいに留まっていればと思うも、なにせ歴史にもしもは無いので……