Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】ジェイムズ・リーサー「シンガポール 世界を変えた戦闘」

仕事のついでに、ぶらり立ち寄った板橋区古書店で、古いハヤカワの翻訳物「シンガポール 世界を変えた戦闘」を購入。著者は、ディエップ奇襲作戦を描いた「グリーン・ビーチ」の著者、歴史学者ジェイムズ・リーサー(リーソー)。ぱっと見て、日本軍によるシンガポール攻略戦の本かと思いきや、テーマはもっと大きく、イギリスのシンガポール支配からその経営にもかなりのページを割き、シンガポール陥落によって後に引き起こされたアジア諸国の独立にまで筆が及んでいる。だからこそサブタイが「世界を変えた戦闘」なのだろう。

そう言えばTSWWの「Singapore !」も買ったきり、積みゲー化しているが、そちらもいずれ着手したいところ。マレー半島戦ぐらいなら、ソロプレイできるんじゃないかと。

【参考文献】アダム・トゥーズ「ナチス 破壊の経済(上下)」

ナチス 破壊の経済 上

ナチス 破壊の経済 上

 
ナチス 破壊の経済 下

ナチス 破壊の経済 下

 

今年8月に邦訳が出た、経済史研究者アダム・トゥーズの「ナチス 破壊の経済(上下)」を購入。自分は経済には疎いが、最近、戦略級ゲーム「A World at War」も入手したので、ナチスドイツの戦争経済分析も参考になるかと思って挑戦してみた。 正直言うと、やはりその内容は、自分程度の経済知識では歯が立たない部分も多々あったが、それでもかなり面白く読み進めている。おおざっぱに言うなら『ナチスドイツは戦争には負けたけれど、シュペーアの活躍を含めて経済的には上手くやり、英米露を相手に何年も戦い抜いた』と思われているが、その実像はまったく違うのだと検証している。

上巻では、ナチスドイツがいかに綱渡り的な経済状態で大戦に踏み切ったか、というあたりが興味深い。よく『大戦時のドイツには大戦略が無かった』と酷評されるが、それを経済的にも裏付けている内容。さらにその経済的困窮ぶりが、フランス占領以降も続き、石油が絶対的に不足していたため、国防軍が自動車化を諦めようとしていた話も面白い。

また後半では、アルベルト・シュペーアの活躍に焦点を当て、その実像を解き明かしている。シュペーアが起こしたとされる軍備的な奇跡は、実際には数字の誤魔化しや、それ以前からの努力等によって成し遂げられた部分も多々あり、要するに軍備プロパガンダであったと言う。すでにドイツの兵器生産の成長率は、連合軍の戦略爆撃が功を奏してきた1943年5月には停止していたともある。

かつてアバロンヒルの戦略級ゲーム「第三帝国」は『ドイツの基本資源ポイント(BRP)は、1945年が最高潮になって、雪崩的な崩壊が起きない』と評されたが(新シミュレイター誌2号)、それも、とにかくドイツは経済的継戦能力が高かったという、評価があったからなのだろう。実際、ほとんどのWWII戦略級ゲームは、1945年春までドイツが粘る展開になっていると思うが、そういった前提も怪しいかもしれない。それとも、どこかにもう、このトゥーズ論を採り入れたWWII戦略級ゲームとかあるのだろうか? 

またシュペーアに関しても、たとえば自分も以前プレイした、GMT「Barbarossa to Berlin」の枢軸軍カードにはまさに「シュペーア」その人の手札もあり、これを使用すると、大戦末期に消耗したドイツ装甲軍ユニットを3個回復できるイベントが発動される。いかにも、シュペーアの有能さを表したカードであり、同様の効果は他のウォーゲームにもありそうだ。そして、たとえそんなカードがあったとしても、自分も含めて大半のウォーゲーマーはその効果に疑問を持たないと思われる。しかしそのようなシュペーアの英雄化も、トゥーズが言うところの通俗的ナチス理解であり、表現なのだろう。

まあ、このトゥーズの分析が正しいかどうか、経済に疎い自分には判断できないが、第二次大戦の戦略級ゲームにご興味のある方なら、良い参考文献になると思う。自分もこれでまた「A World at War」「Gathering Storm」へのモチベーションが上がってきた。

【参考文献】「ドイツ海軍魂 デーニッツ元帥自伝」

ドイツ海軍魂―デーニッツ元帥自伝

ドイツ海軍魂―デーニッツ元帥自伝

 

ぶらり所沢の古本まつりに行き、カール・デーニッツ元帥の自伝「ドイツ海軍魂」を購入。自伝と言っても、生い立ちから海軍生徒時代、第一次大戦前後の時期がメインなので、若かりし頃に限られている。デーニッツと言えばUボートをすぐ連想するが、巡洋艦ブレスラウでの勤務時代、水雷艇の艇長時代、戦間期巡洋艦エムデンに乗っての外国訪問等々、ドイツ海軍士官としての勤務ぶりが綴られている。 

10年と20日間―デーニッツ回想録

10年と20日間―デーニッツ回想録

 

第二次大戦期のデーニッツの自伝としては「10年と20日間」があるが、こちらは未入手。やはり人気があるのか、古書相場も高い。

【参考文献】「第二次世界大戦外交史(上下)」

第二次世界大戦外交史(上) (岩波文庫)

第二次世界大戦外交史(上) (岩波文庫)

 
第二次世界大戦外交史(下) (岩波文庫)

第二次世界大戦外交史(下) (岩波文庫)

 

GMT「Gathering Storm」の参考書として「第二次世界大戦外交史(上下)」も購入。外交官出身であり、第47代総理大臣(1948年の7ヶ月のみ)でもあった芦田均氏による、日本の外交活動を軸とした第二次世界大戦史といったところか。第二次大戦の推移につれて、日本がどのような政治方針で外交を行ったか、そしてどのように欧州情勢に振り回され、どれほど混乱したかが、非常に読みやすい文章で綴られている。特に日独伊三国同盟の成立、対米開戦、終戦工作に至るプロセスには多くが割かれているし、興味深い。まあ、後代の人間としては、どうしてこうなってしまったんだ……という思いも感じるが。

【参考文献】E.H.カー「危機の二十年 理想と現実」「独ソ関係史」「歴史とは何か」

危機の二十年――理想と現実 (岩波文庫)

危機の二十年――理想と現実 (岩波文庫)

 

GMT「Gathrering Storm」の参考文献として、元職業外交官であり、後に国際政治学者となったE.H.カーの「危機の二十年」を購入。本書は、第一次大戦後の国際情勢を論じ、第二次大戦が勃発する直前の1939年7月に印刷所に送られ、開戦直後という数奇なタイミングで出版されたもの。つまりカー自身は、第二次大戦の始まりや結末を知らないまま、本書で戦間期を論じているわけだが、それでも開戦前の国際情勢を知るには外せない古典だなと。

独ソ関係史―世界革命とファシズム

独ソ関係史―世界革命とファシズム

 

同じくE.H.カーの「独ソ関係史」も、軍事書を中心とした古本カフェ「ドレッドノート」にて購入。こちらは戦後の1951年に出版された本だが、戦間期の二十年の中でも、独ソ両国のイデオロギーを成り立ちから紐解いている。まあ、ウォーゲームに直接関わる部分は少ないのだけれど。

歴史とは何か (岩波新書)

歴史とは何か (岩波新書)

 

しかし一応、自分も国際関係学部卒業なので、本当はこういった本も、学生時代に読んでおくべきだったよなあと今さら思った。自分が学生時代に読んだカーの著作は「歴史とは何か」程度だったが、これは2014年に改版した後も買い直した。「歴史とは何か」で学んだ歴史に対する姿勢は、自分がウォーゲームや戦記等に触れる際にも活かしたいと思っている。

GMT「Gathering Storm : Prequel to A World at War」

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先日のGMTセールで「A World at War」と一緒に「Gathering Storm」(2015年発売)も購入した。こちらは「A World at War 前夜」というサブタイトル通り、第二次世界大戦開戦前の、ヨーロッパの政戦略をテーマとしている。ゲームは1935年春、つまりヒトラーヴェルサイユ条約を破棄し、ドイツの再軍備を宣言した時点から始まる。各プレイヤーは、ドイツ、イタリア、イギリス、フランス、ソ連の主要国を担当し、来たる大戦への準備を進め(または政治的に大戦を遅らせ)、中小国と同盟し(または侵略し)、5カ国中2カ国が大戦に参戦するとゲーム終了となる。そしてこの「Gathering Storm」での結果を「A World at War」に引き継ぐこともできる。

この「Gathering Storm」は、ヨーロッパでの政治情勢を扱うが、アジア太平洋を扱う「Storm over Asia」は今年夏にGMTでプレオーダーが始まっている。そちらでは、プレイヤーは、アメリカ、日本、中国を担当するのだろう。一応、自分もプレオーダーする予定(今日現在、379/500オーダー)。

しかしこの「Gathering Storm」、BGG(Board Game Geek)はもちろん、GMTサイトでのユーザー評価も結構低い。特に「ルールブックにプレイ例がまったく無く、非常に読みにくい」「カウンターの例示も無く、どのコマを何に使うのか分からない」とあり、実際その通りだったりする。まあ、そのあたりは専用サイトで補完されているが、基本的には「A World at War」マニア向けの商品なのだろう。

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こちらがゲームマップ。各中小国には、どの主要国からの影響が大きいのかを示すボックスが記されている。ちなみに自分が、第二次大戦前を扱うゲームを手にしたのはこれが初めてだが、デザイナー自身も『この手のテーマは、アバロンヒルのOrigin of World War IIしかプレイしていない』とのこと。 

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こちらが主要国ディスプレイ。ここで各国の国家収入や、工場の稼働状態、軍事ユニットの動員、軍艦の建造などを管理する。 

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こちらが中小国に置かれる、主要国の影響を表す旗マーカー。これだけ見ると、ルールが簡単なマルチプレイゲームに見えなくもない。いや「A World at War」をプレイするよりかは簡単なのだろうが…… 

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こちらがドイツのカウンター。基本的にこのゲームは、自分の望む政治・軍備状況で第二次大戦に突入したいという、ある意味、第二次大戦の各国指導者のロールプレイングゲーム的な要素もあると思う。そのためドイツの場合、大戦前の戦争準備を、史実よりも海軍寄りにしてもいいし、それによって戦艦フリードリッヒ・デア・グロッセ(BB5)、戦艦ラインラント(BB5)、空母グラフ・ツェッペリン(CVL2)、空母エウロパ(CVL2)等の建艦を早めてもいいわけだ。

また逆に、自分なりのヒトラーとして『我が国は、東方に生存圏を拡大せねばならぬ。そのためにはソ連を絶滅させる必要があり、当然、陸軍の拡充と、ウラルの工業施設を叩ける超距離爆撃機が必要なのだ。海軍の諸君の出番は極めて少ない』とか言いだし、そちらに軍事研究を偏らせることもできる。

しかし当然、国家収入なり、軍備努力には制限があるから、一方に偏れば、もう一方への手当が史実よりも減ってしまう。そのあたりのジレンマを楽しめるかどうか。たぶん、自分は楽しめるクチ。 

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イタリアも、自分なりのムッソリーニになりきって『我が国は、かつてのローマ同様、再び地中海を制するのだ。そのためには英仏の艦隊と雌雄を決するための海軍力が必要なのだ』とか言いだし、戦艦ロムルス(BB5)や空母アクィラ(CVL2)を建造してもいい。ただしイタリアの国力でそれをやると、他の分野がどれだけ圧迫されてしまうのか…… 

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イギリスにも、戦艦クロムウェル(BB5)、戦艦ライオンハート(BB5)なるユニットが見えるが、まあ自分ならそこまでやらないだろうなと。

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フランスには、戦艦ナポレオン(BB5)、戦艦ジャンヌダルク(BB4)もあり……っていうか、このゲーム戦艦好きだな! まあ、戦艦という一見美味しそうな選択肢も混ぜておいて、実際の建艦には手間がかかることを理解するためのブラフ(囮)要素なのかも。またフランスの場合、マジノ線をアルデンヌまで延長することも可能で、ドイツ軍の初期電撃戦はどうなるのかという興味もある。そうなると、もはやこのゲーム、仮想・第二次世界大戦の事前設定構築ツールにもなりそうだ。 

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ソ連は、世界的な経済情勢から影響は受けない。そしてソ連の場合、指導部・軍部での意思統一が進めば進むほど国家の生産性が上がる仕組み。そのためには粛清(Purge)を行う必要があり、これを行わずには、戦争準備もままならないという酷い仕組み。恐ろシア…… 

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こちらはランダムイベントカード、144枚。主要国が、いくら計画的に戦争準備を整えても、世界的な経済動向や、中小国の勝手な動きにも影響されると。 

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こちらは、軍事研究の記録シート。国によって可不可もあるが、ジェット機、ロケット、核兵器の開発、戦略爆撃機、海軍航空隊(と空母)の訓練、戦艦の設計、対潜作戦の研究、魚雷、港湾攻撃能力、戦車、機密作戦、対防諜、暗号解読、占領地の統治、レーダー……などが、大戦前にどれだけ進捗したかを記録する。このあたりもプレイヤーの好みが出そうだ。 

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そしてこちらが「A World at War」への引き継ぎルール、大戦前状態の地図のオーバーレイ(ラインラント、チェコスロバキアポーランド回廊がドイツ領になる前の状態)、マジノ線と西方防壁(ウェストウォール)の拡張ヘクスマーカーと、内容物的には、かなりのボリュームがある。

先にも書いたが、本作には、各国指導者のロールプレイングゲーム的な側面もあり、自分の望む形で第二次大戦に突入するプロセスを味わえると思う。ゲーム自体は、1935年春に始まり、1940年冬まで扱う(1ターン=3ヶ月)が、ドイツとして、大戦を1940年まで遅らせてもいいし、イギリスやフランスが先制攻撃をかけてもいい。またイギリスもフランスもイタリアも中立のまま、独ソ開戦という状況もあり得るようだ。そういった歴史的な可能性を試すツールとしては、かなり面白そうに見える。もちろん、それを「A World at War」に引き継ぐとなると骨が折れそうだが、すでに「Gathering Storm」のルール自体は1/3ほど訳したので、いずれ実プレイに漕ぎ着けたい。 

地獄の淵から:ヨーロッパ史1914-1949 (シリーズ近現代ヨーロッパ200年史 全4巻)

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危機の二十年?理想と現実 (岩波文庫)

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GMT「A World at War , 3rd printing」

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先日のGMTのセールで、第二次世界大戦を包括した戦略級ゲーム「A World at War」第3版を購入してしまった。いや、ほんと「してしまった」感が強い。ルールは多いわ、帳簿付けは多いわ、これ以上面倒なタイトルを抱えてどうするとも思ったが、実は最初に出た時から欲しかったシロモノ。初版が出た2003年当時は、お小遣いに余裕が無く購入を断念し、第2版が出た2013年当時は、すでにウォーゲームの断捨離フェイズに入っていたのでこれまた見送り。しかし2018年に第3版が出たところで、自分としても、第二次大戦の戦略級ゲームをひとつ手元に置くならこれだなということで購入決定。GMTからは、もっと手頃なWWII戦略級である「Triumph and Tragedy」や「Unconditional Surrender !」が出ているのに、わざわざ「A World at War」に手を出してしまうあたりに自分の業の深さを感じる……

それはともかく、この「A World at War」は、かつてアバロンヒルから発売されていたWWII欧州戦略級「Advanced Third Reich」とWWIIアジア太平洋戦略級「Empire of the Rising Sun」を合体させたモノ。自分も以前、アバロンヒルの「第三帝国 Rise and Decline of the Third Reich」は所有していたが、結局プレイに至らず、手放してしまった。その断念もあって「A World at War」にも手を出さなかったのだが、やはり学生時代からの憧れのゲームでもあるし、もう一度再挑戦してみようかと思い購入した。今年は、かつて断念したGDWエウロパシリーズに、あらためてTSWWとして再挑戦しているし、そういう時期なのかもしれない。

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こちらがヨーロッパ地図盤=「Advanced Third Reich」部分。1ヘクス=60マイル(約96km)。 

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フランスのマジノ線、ドイツの西方防壁(ウェストウォール)に描かれた要塞マークを見ると、ああ「第三帝国」直系の子孫なんだなあと思う。 

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こちらがアジア太平洋地図盤=「Empire of the Rising Sun」部分。1ヘクス=100マイル(約160km)。

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ルールブックは、200ページオーバー。そしてブックとは言っても製本されておらず、「Advanced Squad Leader」のようにバインダーに入れる式になっている。まあ、この中に、第二次大戦の陸戦、海戦、空戦、兵站、経済、研究、諜報、外交、政治、各国事情がすべて網羅されているのだから、多くなって当然か。一応、ルールの序文には『プレイ時間の90%で使われるのは、このルールのうち10%だけですよ』と書いてあるが、それでも20ページ以上じゃないか。いや、たしかに滅多に使わないルールが多数あるだろうし、そこが「第三帝国」系の面白さかもしれない。

かつてシミュレイター誌に掲載された「第三帝国」の記事でも『プレイし始めて3年経つけれど、未だに読み忘れルールが発見される』『読んでないルールが発見されると、展開がガラッと変わる』『重箱の隅をつつき回して見たこともないルールをほじくり出してくる奴がいる』とあったが、当時高校生だった自分も、それが妙に面白そうに感じたのだから始末に負えない。

ちなみに「A World at War」は、専用サイトも開設され、そちらには最新版ルール(2019年以降)もアップされている。もし読むとしたら、最新版と向き合う必要もある。

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そしてルールブックとは別に、100ページ以上の記録表ブックも付いている。この記録表は「A World at War」の基本概念とも言える、BRP(Basic Resource Points:基本資源ポイント)の、各国別の、各年度別の記録シートが大半を占めている。また開戦前の主要国間の緊張関係や、軍事研究や建艦の進捗、中小国との外交関係、潜水艦戦についての記録表もあり。よく『帳簿付け的なゲームはしたくない』と仰るウォーゲーマーの方もおられるが、そういった方々にとっては、まさに悪夢のようなゲームだろう。正直、自分も実際プレイできるんだか自信は無いが、せっかくなら、本格的に取り組んでみたいとは思う。 

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こちらは海軍のTF(タスクフォース)管理ディスプレイ。 

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黒地に白字はドイツ軍ユニット。始祖である「第三帝国」のデザインを踏襲している。戦艦ジークフリード(BB4)なる仮想艦がちらっと見えるが、他にも戦艦モルトケ(BB4)、戦艦グロスドイッチュラント(BB5)、戦艦フリードリッヒ・デア・グロッセ(BB5)なる仮想艦もあり。このレベルの戦略級ゲームで、なにも個々の艦船に名前を付けなくてもいいじゃないかという向きもあるだろうが、デザイナーズノートには『有名艦支持者の圧力団体』からの要望があったとある。まあ自分も、艦船ユニットに艦名は付いていて欲しい派だなあ。 

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こちらはイギリス軍。移動力が2種類あるのは、欧州地図盤用と、アジア太平洋地図盤用。 

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ソ連軍も、欧州とアジア太平洋の双方に登場するため、移動力は2つとなっている。 

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黒地に金字は日本軍。こちらも仮想艦として戦艦肥前(BB5)、紀伊(BB5)、尾張(BB5)、薩摩(BB5)があるが、果たしてその建艦にBRPを注ぎ込むほどの価値があるのかどうか。そして空母蛟龍(CVB4・こういう当て字で良いかどうか知らんが)はともかく、空母八咫烏(CVB4)?空母Yurei(CVB4)?幽霊? 

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こちらがアメリカ軍。「A World at War」は、カウンターシート全10枚、カウンター総数2800個だが、アメリカ軍だけで、まるまるシート2枚分を占めている。 

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総じて、第二次大戦の戦略級ゲームというだけではなく、今までに発売されたウォーゲームの中でも、ルールが多いゲームトップ3には入るであろう超大作。さらに言えば、帳簿付け含めてプレイの手間もかなりかかりそうだが、せっかく入手したので、少しずつ触れていきたい。幸い、2003年版のルール和訳は手元にあるので、まずは最新版ルールとの差分チェックからか。まあ、実際にプレイするのはだいぶ先だろうし、しばらく積みゲー状態になるだろうが、我が家のWWII戦略級ゲーム枠は本作で決定と。