Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Advanced Squad Leader】ASL112「Out of Cowardice」Solo-Play AAR

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引き続き、ひとりASL復習会Part.4。そう言えば、2006年に買った枢軸中小国モジュール「Armies of Oblivion」も遊んでないなあと気づき、良さげな東欧系シナリオを探したところ、ASL112「Out of Cowardice」が手頃なサイズではないかと。設定としては1941年4月、ドイツ軍、イタリア軍と共にユーゴスラビアに侵攻したハンガリー軍が「ちょっとした抵抗を受ける」というもの。しかしROARの対戦記録を見ると、ハンガリー軍9勝、ユーゴ軍51勝と圧倒的にユーゴ軍が有利そうなシナリオである。

使うのは地図盤50の半分のみ。全6ターン。防御側ユーゴ軍がdr(D6)で決定した個数の建物を、ハンガリー軍が奪えば勝利。本来、ユーゴ軍+パルチザンは隠匿マーカーを用いるが、ソロプレイなので割愛。パルチザンは、勝利条件の建物に配置され、ユーゴ軍はその村を守る高地付近に配置される。ハンガリー軍(トルディI型軽戦車1輌、チャバ装甲車1輌あり)は、第1ターンに盤端から進入する。

トルディ (戦車) - Wikipedia

チャバ (装甲車) - Wikipedia

問題は、両軍のELR(戦闘経験レベル値)だ。士気チェックに失敗した際、士気値+ELRを越えてしまうと、そのユニットは1段階、質の低いユニットカウンターに置き換えられ、回復しても、以後はその質の低いユニットとして機能するというルールだが、今回のシナリオでは、ハンガリー軍のELRが2、ユーゴ軍のELRは1しかない。つまりハンガリー軍3-4-7分隊は士気7+2=9、ユーゴ軍4-3-7分隊は士気7+1=8を越えると質が低下してしまうし、これはかなり頻出しやすい数字だと思う。ハンガリー軍3-4-7(一線級、そもそもこのユニットからして、よその国の軍隊なら半個分隊だ)は3-3-6(徴集兵)になり、ユーゴ軍4-3-7(新兵)はそれ以上質の悪いユニットが無いため、戦意喪失(敵に隣接されると降伏する)状態になってしまう。ちなみにユーゴ・パルチザンはELR5。いやそれが普通なんだが。

こりゃあバランスが悪いと言うより、酷い展開になるのでは……と思ってソロプレイを始めたところ、いきなり第1ターンの戦闘だけで、ハンガリー軍11個分隊のうち、2個分隊が除去、3個分隊がELR落ちで3-3-6に置き換え、さらに7-0指揮官が損耗で除去、トルディI型軽戦車の主兵装20mm砲が故障(後に完全使用不能)という、あまりプレイバランスを気にしない自分でも『こりゃ酷いなあ』という展開になったので、あらためて最初からプレイし直すことにした。

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仕切り直しての第1ターン表。盤端から進入したハンガリー軍は、ユーゴ軍と横一線に並んで撃ち合うことに。しかしこれは失敗。ハンガリー軍は、分隊とは言え3火力しかないのだから、ユーゴ軍新兵分隊の4火力に撃ち負けて当然。普段使っているドイツ軍やソ連軍と同じように動かしていてはダメだ。『自分はダメな軍隊を扱っているんだ』と意識を切り替えないと。一応、ユーゴ軍も各所で士気チェックを強いられたが、意外にダイス目が良く、混乱もせず、頑強に粘っている。盤端ではハンガリー軍2個分隊がユーゴ軍1個分隊相手に白兵戦を挑んで混戦となっているが、この後の第1ターン裏で、まさかの敗北を喫し、2個分隊とも除去された。

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第1ターン裏では、取り巻きの歩兵がいなくなったトルディ軽戦車に対し、ユーゴ軍8-0指揮官+4-3-7分隊が白兵戦を仕掛け、これを移動不能とした。トルディ軽戦車は、車載機関銃で白兵戦に応じ、ユーゴ軍は混戦に。この混戦に対して第2ターン表、ハンガリー軍が隣接ヘクスから射撃を行い(つまり自軍の戦車と脱出した乗員もろとも撃つ)、8-0指揮官は混乱、4-3-7分隊は混乱・戦意喪失。その戦意喪失した分隊に、ハンガリー軍が隣接していたため、ユーゴ軍分隊は降伏して捕虜となった。ところが第2ターン裏、今度はそのハンガリー軍+捕虜スタックめがけて、ユーゴ軍が射撃を行い(つまり囚われた捕虜もろとも撃つ)、ハンガリー軍2個分隊ともELR落ちで3-3-6となり、捕虜も撃たれて半個分隊になるという、東欧製B級戦争映画(そんなものが実在するかは知らんが)のような展開に。

で、そのあたりの処理に馴れていないものだから、ルールブックをひっくり返して、あちこちを読むうち疲れてしまい、今回のソロプレイは2ターンまでで終わりとした。まあ今日は、あまり使ったことがない戦意喪失や車輌への白兵戦ルールなどを確認できたので良しとしよう。ハンガリー軍にしても『分隊分隊と思うな、半個分隊と思って使え』という教訓を得たので、いずれまた違うシナリオで触れてみたい。そしてこういう経験の積み重ねがASLには必要だと思う。元祖Squad Leaderも、段階的にルールを修得するシステムだったし、ASLも、無理して最初から全部のルールを完璧に使いこなそうとして結局プレイできないなら、まず自分が把握できているルールだけで遊ぶのもアリだと思う。

【Advanced Squad Leader】J128「Opium Hill」Solo-Play AAR

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本日もひとりASL復習会。そう言えば、せっかく太平洋戦線モジュール「Rising Sun」を買ったのに、太平洋戦線シナリオを遊んでいないなあと思い、日本軍が登場するシナリオの中から良さげなものを探してみた。できれば日本軍が攻撃側で(ステップロスしつつ前進するのを試したい)、車輌も少し登場するシナリオを……という条件で見繕った結果、「ASL Journal #9」収録のJ128「Opium Hill」に決定。

設定としては、1942年2月14日、マレー半島に上陸した陸軍第18師団第56連隊が、イギリス軍士官に率いられた第1マラヤ旅団を攻撃するというもの。日本軍は、イギリス軍ユニットを除去するか、指定の石造建築物を支配するか、盤外へ突破するなどして勝利得点24を獲得すれば勝利、というシナリオである。日本軍戦力は、4-4-7分隊✕9を主力として、95式ハ号軽戦車が3輌。イギリス軍戦力は、4-5-7分隊✕3、4-4-7分隊✕8に加え、第1ターンにマーモン・ヘリントンIII型装甲車が1輌登場する。ROARの対戦記録では、日本軍11勝、イギリス軍18勝とのこと。全6ターン。

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第1ターン。日本軍は、イギリス軍対戦車ライフルを警戒しつつ、中央の道路から95式ハ号を進めたが、何もここまで警戒しなくても良かった気が(なにしろハ号は、正面装甲値が1しかなく、対戦車ライフルでも十分無力化され得る)。それに対して日本軍歩兵は……なぜか『とにかく行け行け、敵の射撃に構わず突撃!』という無謀な気分になり、開豁地でもかまわず敵に向かって前進。当然、損害も喰らっているが、日本軍ドクトリンとしてはこの方が「らしく」感じる。うまくプレイするのも大事だが、「らしく」プレイするのも自分の中では大切な要素なのだ。

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第1ターン裏には、イギリス軍マーモン・ヘリントン装甲車が登場。果樹園を突っ切り、95式ハ号の車列の側面に回り込み、対戦車ライフルで射撃を開始した。またイギリス軍9-1指揮官率いる中機関銃(MMG)スタックが、DR3射撃を浴びせて日本軍9-1指揮官を早くも除去。やはりこの性急な前進、ドクトリンとしては日本軍らしいが、ASLプレイとしては正しくないらしい……

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第2ターン。95式ハ号2輌が道路を外れて移動。これに対してマーモン・ヘリントン装甲車が対戦車ライフルを臨機射撃で放ったところ、95式ハ号1輌を移動不能とした(乗員は脱出して車輌は放棄)。しかし残る95式ハ号が、37mm砲を撃ち込み、装甲車を撃破。こちらも乗員は脱出している。

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第3ターン。イギリス軍9-1+MMGスタックは、またもDR3射撃で日本軍スタックを血祭りに上げたが、95式ハ号や50mm迫撃砲の集中砲火も受けている。東側の森では、日本軍がイギリス軍を圧倒しつつ、木々の間を縫うように浸透。

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第4ターン。脱出した95式ハ号の操作班は、人出が足りないため、軽機関銃(LMG)を任されていたが、何の気なしに放った射撃がDR2となり、イギリス軍分隊1を除去。この活躍に士気が奮い立ったか、日本軍は良好な射撃を連発し、頑強に抵抗していたイギリス軍9-1指揮官+MMGスタックをも混乱・潰走させた。

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第5ターン。95式ハ号✕2輌は、東の森の切れ目からイギリス軍側背に進出。混乱するイギリス軍分隊を射撃したが、ここでDR12、主砲故障……。それでも日本軍は、東の森を制圧。そのまま盤外突破して勝利得点を稼ぐ手もあったが、引き続き、イギリス軍が籠もる石造建築物を攻撃することに。

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しかし回復したイギリス軍9-1指揮官+MMGスタックが、再び頑強に抵抗。またも95式ハ号、50mm迫撃砲の猛射を受けつつ、日本軍を寄せ付けぬ構えである。しかし東の森に取り残された8-0指揮官+対戦車ライフルスタックは、日本軍に囲まれ、この後、全滅。G7木造建築物ヘクスにも、日本軍分隊がステップロスを喰らいながらも突入している。 

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第6ターン。G7に入った日本軍ステップロス分隊は、隣のH7に突撃し、不利な戦力比ながらもイギリス軍分隊との白兵戦に勝利。しかし日本軍の前進もここまで。結局、イギリス軍分隊5、指揮官1を除去して、勝利得点11に留まり、イギリス軍勝利となった。しかし無理に石造建築物を攻撃するより、さっさと盤外突破すれば勝利得点24を稼げたと思う。ちなみにDR(2D6ダイスロール)統計は、日本軍がDR平均6.69。イギリス軍がDR平均7.17だった。イギリス軍は最良のDR2を一度も出せず、日本軍はDR2を3回出している。まあ日本軍は、今回の敗北をダイス目のせいにはできないかなと。

しかし久しぶりにASL日本軍を使った印象は……やはりこういう人間(生命)の使い方はダメだなと感じた。指揮官からすれば『とにかく休むな』『死んでもいいから戦い続けろ』だし、兵士にしても『俺たちに混乱という選択肢は無い』のだから、悲惨という他ない。

まあ、日本軍の悲哀はともかく、シナリオ規模としては、やはりこの程度が一番好きだと思う。細かいルールに関しては、まだ覚えきれていないので、引き続きリハビリ的なソロプレイを重ねていきたい。あれこれ遊んでいるうちに「Hakkaa Paalle」「Yanks 2nd」を買う意欲も出てくるだろう(なにしろ、そろそろ朝鮮戦争モジュール「Forgotten War」も出るらしいので)

【Advanced Squad Leader】ASL35「Blazin' Chariots」Solo-Play AAR

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昨日に続いてASLをソロプレイ。車両ルールをだいぶ忘れていたので、再インストールという意味で、純然たる戦車戦シナリオ「ASL35 Blazin' Chariots」(West of Alamein収録)を選んでみた。設定は、1941年11月19日リビアにおけるクルセイダー作戦の一部として、イギリス軍王立戦車連隊第5大隊のスチュアートI(a)軽戦車12輌と、ドイツ軍第5装甲連隊の一隊……IV号E型✕2輌、III号H型✕2輌、III号G型✕3輌、II号F型✕2輌……が交戦するというもの。The ASL Scenario Archive の記録では、イギリス軍10勝、ドイツ軍7勝。ROARでは、イギリス軍75勝、ドイツ軍83勝。地図盤は26、27、28の3枚を使うので、各地図盤毎にイギリス軍は戦車を4輌ずつ、ドイツ軍は3輌ずつ配置してゲームを開始した。夕陽に向かって射撃を行う場合、命中判定には、強烈な西日による+2妨害DRMが付くので、西に向かって前進するイギリス軍にはやや不利か。

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今回は事前に、各戦車主砲の命中ナンバーと撃破ナンバーの「素」の数値を算出しておいた。ここに記したのは、あくまで射撃距離、砲の種類程度の数値であって、実際に射撃する際には、さらに様々な修正が乗っかるのだが、ここまでの数値を出しておくだけでもプレイ中の計算が楽になるし、何より各砲の特徴が分かるので便利だ。IV号E型の75mm*砲は、射撃距離13ヘクスから急に命中ナンバーが落ちる(つまり当たらなくなる)から、これは接近戦向けだなとか。III号G/H型の50mm砲とスチュアートの37mmLL砲はほとんど大差無いし、むしろ遠距離では37mmLL砲の方が撃破ナンバーが高いなあとか。 

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そんな特徴を眺めつつ、とりあえず先攻イギリス軍は、12輌のスチュアート軽戦車を二段に分け、6輌は移動中射撃を行いつつドイツ軍に接近、残る6輌はある程度前進した後で停止して射撃することにした。ドイツ軍は、先にも書いたようにIV号E型は接近戦向けだし、II号F型の20mm砲も遠距離では役に立たないので、積極的に距離を詰め、近距離砲戦を挑むことにした。

で、後はまあ、お互いに撃ち合い、撃破炎上したり移動不能になったりという展開で、両軍の半数が機能停止した3ターンあたりでプレイを止めてしまった。戦車だけとは言うものの、一人で戦車を21輌動かすというのもなかなか面倒くさく、これは「T2 Puma Prowls」でリハビリした方が良かったかもなと思った。(そういや11年前の⇩この時も簡易射撃データ表を作った……と書いてあるなあ)

やはり自分が好きなASLシナリオは、歩兵戦主体で、車輌はちょっと出てくるだけ、というバランスなので、そういったシナリオを選んで、ルールの再取得を続けていこうと思う。 

ちなみに今日使った砲兵器ナンバー表もDropboxに上げておくので、ご興味のある方はご自由にどうぞ。 

【Advanced Squad Leader】AP52「Into Vienna Woods」Solo-Play AAR

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久しぶりにASL(Advanced Squad Leader)にも触れようと思い、2010年5月以来7年ぶりにソロプレイを開始。あれこれシナリオを眺めるうち、なんとなく「ASL Action Pack 5」収録の「AP52 Into Vienna Woods」を選んでみた。設定としては1945年4月17日、オーストリア、ウィーン近郊の高地に陣取ったソ連軍第39親衛ライフル軍団の支隊に対し、ドイツ軍第12SS装甲師団のHauschild戦闘団が攻撃を仕掛け、高地の奪取を狙うもの。使用するのは地図盤58の半分のみ。全6ターン。第3ターン裏には、SU-85駆逐戦車、SU-76M自走砲各1輌を含むソ連軍の増援が到着する。The ASL Scenario Archive に登録された本シナリオの対戦記録を見ると、ドイツ軍14勝、ソ連軍13勝、ROARでもドイツ軍55勝、ソ連軍47勝となっていて、まずまずバランスも良さそうだ。

ドイツ軍が、3レベル高地すべてを支配すれば勝利するが、その3レベル高地にはあらかじめソ連軍の塹壕が据えられている。ただ今回ソ連軍は、その3レベル高地塹壕を最終陣地とし、その手前の斜面に個人壕を配置し、前哨陣地とした。

本来は隠匿ルールもあるのだが、ソロプレイなので割愛。

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まず第1ターン。ドイツ軍主力(SS6-5-8✕7個分隊)は、高地前面に展開し、ソ連軍前哨陣地を攻撃。9-1指揮官とパンツァーシュレックを持った支隊(SS6-5-8✕4個分隊)は、高地の背面に回り込み、第3ターンの増援を待ち構える算段だった。 

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第2ターン。ドイツ軍は、ソ連軍前哨の個人壕2つを奪い、3つ目の個人壕には白兵戦を仕掛け、混戦中。パンツァーシュレックを抱えた一隊も側面に回り込んだ。 

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第3ターン表。ドイツ軍は、勝利条件であるヘクスU4、V4を同時に奪おうと、先鋒を半個分隊✕2に分けて前進させたが、このうち1半個分隊が混乱。それでも残る1半個分隊がヘクスV4に突入し、ソ連軍陣地を分断した。一方、側面に回った支隊は、援護のつもりでパンツァーシュレックを歩兵火器としてソ連軍陣地に発射したものの、最初の一発でDR12が出てしまい、貴重な対戦車火器が(ソ連軍戦車が登場する前に)壊れて除去されてしまった……。この時点で、ソ連軍の初期配置戦力(5.5個分隊)は、半数以上除去されていたが、なんとか増援が来る第3ターンまで粘った形だ。

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そして第3ターン裏。ソ連軍待望の増援(エリート4-5-8✕10個分隊)が到着。増援部隊は早速、すでにスカスカになっていた3レベル高地塹壕に入るべく、斜面を駆け上がった。途中、ドイツ軍の臨機射撃で2個分隊が除去されるも、凶暴兵(バーサーク)化した分隊が、ドイツ軍半個分隊が立て籠もるヘクスV4の3レベル高地塹壕に突入。これと混戦に入った。またSU-85駆逐戦車は、ドイツ軍支隊に致命的命中(DR2)を与えて、1個分隊を吹き飛ばし、9-1指揮官も混乱、潰走させた。 

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第4ターン。このあたりから塹壕内が忙しくなってきたので、塹壕マーカーは下に配置して中身を見ながらプレイしている(本来は塹壕の上下におくことで、塹壕の外にいるか中にいるかを表す)。ドイツ軍は、Y5の3レベル高地塹壕にも突入したが、すでに高地中央はソ連軍増援部隊によって守りが固められている。ソ連軍の射撃も厳しくなり、さしものSS部隊も混乱・潰走するユニットが頻出した。 

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第5ターン。ソ連軍は、ヘクスV4での混戦を制し、これを奪回。ソ連軍右翼は、SU-76M自走砲の支援もあって、そのまま後退するドイツ軍を追って前進した。ドイツ軍右翼は、SU-85に射すくめられ、潰走⇨回復⇨前進⇨撃たれてまた潰走、を繰り返している。 

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第6ターン。もはやこの最終ターンだけで、ドイツ軍が3レベル高地すべてを奪うのは無理、とは思ったが、とりあえず第6ターン表だけでもプレイすることにした。そんな諦めムードの中、何気なく高地中央ヘクスW5に放ったドイツ軍の射撃が、ソ連軍最高レベルの9-1指揮官を除去し、2個分隊を混乱に。こういう場面があるからASLは最後まで分からないよなあ……とは言うものの、あいにくそのW5を奪いに行ける分隊がいない。ドイツ軍は最後に、やるだけやってみるかとヘクスX3、X4に突撃を仕掛けたが、どちらも混戦でヘクスは奪えず。ソ連軍勝利でソロプレイを終えた。

まあ、7年ぶりのソロプレイなので、部隊の動かし方がどーのこーのという段階以前に、かなりルールを忘れていた。ああ、そういやそんなルールあったなあの連続だったので、あくまでASLリハビリみたいなものだ。しばらくは数を重ねてソロプレイし、ルールと実戦感覚を取り戻そうかと思う。  

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ちなみに今回、両軍のDR(ダイスロール、2d6の出目)をすべて記録してみた。よくASLのプレイ後に『今日はダイス運が悪かったよ~』『いやそんなことないだろ、あそこでDR2を出したじゃないか』とか何とかダイス目のせいにする場合が多々あるので、実際どれくらいの出目に分布していたのか、調べてみようと。ちなみに今回のソロプレイでは、ドイツ軍がDR平均値7.19。最良のDR2は一度も出なかったのに、最悪のDR12は3回出ている。一方のソ連軍は、DR平均値6.47。DR2も2回出し、その1回で凶暴兵が出現し、もう1回はSU-85の致命的命中だ。平均値はソ連軍の方が良いし、ここぞという場面でDR2を出したのもソ連軍だったので、今日のダイス運はソ連軍の方が良かったかなと。今回使ったDR集計シートは、Dropboxに上げておくので、ご興味のある方はご自由にお使いください。

 

【Operational Combat Series】「Sicily II」Campaign AAR part.5

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今日は「OCS:Sicily II」のキャンペーン第5回。しかしここまで西部枢軸軍を担当されてきたN村氏が風邪でダウンしてしまい、今回は自分一人で枢軸軍全軍を担当することとなった。一応、N村氏からは『足止めと拠点死守部隊以外は、メッシナ戦線に収容する感じで』との連絡があったので、なるべく戦線が破綻しない形で後退することを心がけた。

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まず第11(1943年8月14日)ターンからスタート。イニシアチブは、枢軸軍が譲る形で連合軍が先攻。とにかく連合軍の連続ターンを防ぐために、枢軸軍としては後手を取り続けなければならない。イギリス軍は、事前に予備のイタリア軍砲兵スタックを砲撃で混乱させ、阻止砲撃をさせずに攻め込む手で攻撃開始。たまらず枢軸軍は後退し、遂にイギリス第50歩兵師団がカタニア市内へ突入した。

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一方、アメリカ軍は、Bianca川の西岸に陣取るイタリア軍装甲車大隊を二度にわたって攻撃したものの、ここを突破できず。しかし、後にアメリカ軍担当HA氏から「英雄爆撃隊」と名付けられたダイス目良好な爆撃機編隊がCanicatti村(3211)西に位置していたイタリア軍黒シャツ連隊を吹き飛ばし、じりじりと突破口を穿ちつつあった。

第11ターン裏の連合軍は、戦線の整理のみで終わっている。 

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第12(8月17日)ターンも、譲る形で連合軍先攻。アメリカ軍は、Canicatti村の西に陣取っていたイタリア軍Livorno師団を除去し、突破モードとなった第753戦車大隊が単独で、後方に控えていた枢軸軍予備砲兵2個スタックを攻撃。これが奇襲成功、ダイス目12の大当たり攻撃となり、砲兵を2個とも除去した。またBianca川西岸のイタリア軍装甲車大隊も除去され、戦線が2カ所で食い破られた形となった。

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一方のイギリス軍も戦線を分断するように、第1カナダ歩兵師団がAdrano村の南(4619)まで前進。ただしこちらは、補給線の都合で、ここまでの前進となっている。

枢軸軍は、もはや現状のユニット数で現在の戦線を維持するのは困難と判断し、シチリア島西部は諦めて戦線を縮小。補給物資も、メッシナ方面に寄せる形で移送を開始した。

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第13(8月21日)ターン。ここも譲る形で連合軍先攻。しかし遂に突破口を得たアメリカ第2機甲師団は、『ヤッちゃっていいんすか?』とばかりに、一気にシチリア島西部に突進。まだ去就の定まらなかったイタリア軍海岸師団2個に接敵し、戦闘もせずにこれを降伏させるわ、飛行場を奪って自軍の戦闘機は送り込むわ、置き去りの補給物資は奪うわと、一気にその占領範囲を拡張した。ここで突然、突破戦闘へと移行したため、アメリカ軍担当のHA氏も『急にやることが増えましたね』と仰っていたが、たしかにプレイヤー自身の思考モードを切り替えるタイミングでもあり、OCSに限らないだろうが、ウォーゲームが華々しくなり、面白くなる瞬間だと思う。

イギリス軍は、降下猟兵戦闘団の立て籠もる丘に2個師団を注ぎ込んでこれを奪うなど、引き続き慎重かつ手堅い攻撃で前進中。

枢軸軍は、まだパレルモを保持しているものの、アメリカ軍の突破次第では、いつこれを奪われるか分からず。そうなれば島北岸の道路を一気に走られ、エトナ山戦線の裏側に回られてメッシナを落とされる危険もあると見て、再び戦線を整理……というあたりで今回はお開きとなった。

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キャンペーンゲームとしては、残り3ターン(第16ターンまで)。史実よりも枢軸軍が粘っているため、すでに第11ターンから枢軸軍側に勝利ポイントが入っている状態である。このあたりで協議終了にしても良さそうな雰囲気もあるが、ここまで参加してきたN村氏抜きで終わりにして良いのか?とか、せっかくアメリカ軍が突破したのだからどこまで攻められるか見てみたいという声もあり、とりあえず記録だけは取っておいた。もし次回があるとすれば、それが最終回になるはず。さて、最後まで戦えるかどうか……

【Wargaming Column】コレクションを整理する:2017年秋

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また、所有ウォーゲームを思いきって処分した。今年の1月このBlogで、

(次の)見切り候補としては、プレイ稼働率が低くなったGMT「Musket & Pike」シリーズ、OSG「Library of Napoleonic Battles」シリーズあたりだろうか。ただ、そのあたりを手放すには、まだ惜しい気がするので、しばらくは様子見である。最後まで残るのは、多分ASL、OCS、GTS、GOSSだろうか。いっそ、コレクションをそれだけにするという手もあるのだが、まだそこまでは……

と書いたが、まさにそれを実践した形だ。「Musket & Pike」シリーズを含む中世~近世の会戦級ゲームはすべて処分。「Library of Napoleonic Battles」シリーズを含むナポレオン戦争ゲームもすべて処分。GMT「Next War」シリーズを含む現代戦ゲームもほぼ処分。結局、そのあたりまで手をかける余裕はこれからの自分には無いと分かったので、ばっさりジャンル切りしてしまった。で、結局残ったゲームは……

 一軍:Operational  Combat Series(OCS)、Grand Tactical Series(GTS)

 二軍:Advanced Squad Leader(ASL)、Grand Operationl Simulation Series(GOSS)

 予備役:戦国群雄伝(+同人モジュール+謙信上洛+真田軍記)、三国志演義

 処分保留:GMTのシモニッチWWII作品、Battalion Combat Series(BCS)等々

一軍が21タイトル、二軍が(ASLをまとめて1タイトルとすれば)3タイトル、予備役が13タイトル、処分保留が11タイトル……と、所有ゲームを計48タイトルにまで削った。所有タイトルを絞り込んだ分、次にどれをプレイするかという焦点もシンプルになったし、気分もすっきりだ。

しかも基本的に稼働可能な一軍・二軍ゲームは、ほぼWWII陸戦ゲームだ(一部、朝鮮戦争タイトルあり)。つまりこれから先は基本、WWII(非戦略級)陸戦ゲーマーとして、師団級OCS、大隊級GOSS、中隊級GTS分隊級ASLだけプレイしていこうというのが「ほぼ引退」ライフの方針である。まあ、一軍・二軍のうち3シリーズの販売元であるMMP社がくたばった場合、かなり困るだろうが、その時はその時だ。

大隊級というジャンルではBCSも面白いのだが、個人的好みで言うとGOSSに軍配が上がるので、もしかすると将来BCSを切る可能性もある。GMTのシモニッチ作品もプレイしやすくて良いのだが、最近発売された「Holland'44」に今ひとつ食指が伸びないので、これもまたどうなるか分からない。またCompass Gamesから発売されたGTSの改変システムCompany Scale System(CSS)も気になるので、来年あたり味見をしてみて、今後もつき合うか考えたいと思う。そのあたりを買うなら「GOSS:Atlantic Wall」の方が欲しいが、これは高額なので懐と要相談。

それよりも、しばらくご無沙汰なASLをどうにかしたいと思っている。年内には「ASL:Forgotten War(朝鮮戦争モジュール)」が出るという噂もあり、そろそろ未購入のフィンランド軍、アメリカ軍モジュールを揃え、JournalやAnnualのプレイ指南記事でも訳しつつ、集中してソロプレイを……とも思っている。

もちろん、知見を広めるという意味では、様々なウォーゲームに触れた方が良いし、自分もまだBCSなりCSSには触れてみたいが、ある程度の知見を得たなら、思いきりタイトルを絞り込んでつき合うのも良いと思う。これもひとつのスタイルということで。

【参考文献】ヘルマン・ホート「パンツァー・オペラツィオーネン 第三装甲集団司令官 バルバロッサ作戦回顧録」

パンツァー・オペラツィオーネン――第三装甲集団司令官「バルバロッサ」作戦回顧録

パンツァー・オペラツィオーネン――第三装甲集団司令官「バルバロッサ」作戦回顧録

 

ヘルマン・ホートの自伝が出たので購入。前半は、自身が第3装甲集団司令官として参加したバルバロッサ作戦の回想、後半が戦後に書いた軍事研究論文という構成。特にスモレンスク戦に関する記述が多いので「OCS:Smolensk」の参考書に良さそうだ。