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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【The Second World War】「TSWW : Hakkaa Päälle」Helsinki'39 Solo-Play AAR

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引き続きTSWW入門ということで、「Hakkaa Päälle」の空戦練習シナリオ「Helsinki'39」をVASSALでソロプレイしてみた。このシナリオは、1939年の冬戦争時に、ソ連軍のTB-3爆撃機✕2ユニット(計80機相当)が、護衛機無しで(実際、当時のソ連軍はそうしていたらしい)フィンランドの首都ヘルシンキの爆撃に向かうが、フィンランド空軍のフォッカーD21戦闘機✕1ユニット(40機相当)の迎撃と、対空射撃を受けるというもの。実際には、ヘルシンキのヘクス上空で迎撃・対空射撃・爆撃が解決されるが、分かりやすいように、VASSAL上では、別のヘクスにカウンターを置いてみた。

ちなみにヘルシンキには、固定(Positional)の重対空砲2ポイントが配置されているが、ヘルシンキの街そのものにも、固有(Organic)の重対空砲1ポイントが存在するため、合計3ポイントの重対空砲が存在することになる。また重対空砲は、対戦車モードと対空モードがあり、マーカーで示すことになる。対戦車モードでは対空射撃ができず、対空モードでは対戦車効果が発揮できない。さらに重対空砲は、戦略爆撃に対して対空射撃が行えるが、軽対空砲は、それが不可となっている。

実際にヘルシンキを爆撃する場合、そのヘクスに存在する目標によって、ヒットを与えられる爆撃力が必要となる。たとえばヘルシンキには大型港湾があるが、これを作戦爆撃任務で爆撃する場合、4作戦爆撃力を投下すれば1ヒットが与えられる。しかしTB-3の作戦爆撃力は1(カウンター左下の左側の数値)なので、2ユニットで爆撃しても爆撃力2にしかならず、ヒットは与えられない。また戦略爆撃任務で大型港湾を爆撃するなら、8戦略爆撃力を投下すれば1ヒットが与えられるが、TB-3の戦略爆撃力は3(カウンター左下の右側の数値)なので、合計6戦略爆撃力にしかならず、ヒットは与えられない。このように、目標に対してどれだけの爆撃力を投入するか(迎撃や対空砲火によって失われることも鑑みて)を考えることも必要になってくる。

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本来は、ヘルシンキのヘクスに進入したTB-3爆撃機✕2を、D21戦闘機がヘルシンキ上空で迎撃するのだが、分かりやすいように別ヘクスで表示。ソ連軍には護衛機がいないため、D21は直接、TB-3を迎撃する。しかし爆撃機は2個あるが、戦闘機は1個しかないため、空戦ペアが1つしか成立せず、迎撃できるのは1ユニットのみとなる。

D21の空戦攻撃力は5(カウンター左上の数値)、TB-3の空戦防御力は2(カウンター右上の数値)なので、フィンランド軍は空戦解決表の「+3」の欄で1d10を振る。対するソ連軍TB-3の空戦攻撃力は0、D21の空戦防御力は4なので「-4」の欄で1d10を振り、結果は同時に適用する。

そしてこの時期のフィンランド空軍は、対ソ連軍の場合、航空戦闘効率補正(ACEV)としてダイス修整+3が得られる。対するソ連空軍のACEVは、どの国に対してもダイス修整-1を被る。この差分もお互いに適用するため、フィンランド軍はダイス修整+4、ソ連軍はダイス修整-4となる。しかしソ連軍は、空戦解決表の「-4」の欄で、一番良い出目「10」を出しても、-4修整されると「6」となり、相手に何の効果も与えられないことが確定した。

一方、フィンランド軍は、空戦解決表の「+3」の欄で、一番良くない出目「1」を出しても、+4修整されて「5」となり、結果は「1ステップロス」となる。TB-3爆撃機1ユニットが裏返されるが、D21戦闘機に出来ることはここまでで、D21は(無傷で)自分の空軍基地に帰還していく。

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D21の迎撃をかいくぐったTB-3✕1.5ユニット(60機相当)は、ヘルシンキにある固定2+固有1=合計3重対空砲の射撃を、それぞれ別々に受ける。フィンランド軍は、対空射撃解決表の「2~4」の欄で1d10を振り、爆撃機に対するダイス修整+1が得られる。「2~4」では、結果9以上でないと被害が与えられないが、2ステップのTB-3に対する対空射撃は、ダイス目8+1=9=「R*」となった。「R*」を被った2ステップのTB-3爆撃機は、全爆撃力を投下し、損害無しで基地に帰投するものの、投下した爆撃力の25%は分散され、目標には投下されずに終わる。

また先の空戦で1ステップに減じられたTB-3は、対空射撃の被害を受けずに、そのまま全爆撃力を投下する。これが作戦爆撃任務なら、2ユニット合わせて1+0=1作戦爆撃力のみが投下され、戦略爆撃任務なら、2ユニット合わせて3+2=5戦略爆撃力が投下されたことになる。

またソ連軍は、TB-3爆撃機1ステップ(20機相当)を失ったが、これは敵軍領土上での損失となるため、TB-3の1/4ステップが補充プールに入れられる。もし自軍領土上空での損失なら、1/2ステップが補充プールに入る。

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もちろんこの航空戦闘も、より大規模になれば、もっと煩雑になるだろう。特に、目標に投下された爆撃力と、分散して目標には投下されなかった爆撃力を計算するのは、ちと面倒くさい。と言っても、分散した爆撃力は160未満なら無視される。逆に言えば、分散した爆撃力が160以上あった場合、その効果も判定するわけだ。まあ、B17G爆撃機が、戦略爆撃力22という評価だから、B17G✕10ユニット(400機相当)=220爆撃力の1/2が分散しても110にしか届かないので、滅多にないとは思うが、史実で言えば1943年7月のハンブルグ大空襲が参加爆撃機746機(TSWWで言えば18.5ユニット)、1945年2月のドレスデン大空襲が参加爆撃機804機(20ユニット)なので、そういった規模の爆撃なら、分散投下された爆撃力もまた別の効果を発揮するのだろう。

またTSWWの標準ルールでは、爆撃目標ヘクスでのみ迎撃が行われるが、選択ルールでは、爆撃の往路・復路で複数回の迎撃を行うルールも用意されている。やはり英米連合軍の、ドイツ本国に対する戦略爆撃などでは、この選択ルールを使ってみたい。

とりあえずこの移動・迎撃・対空射撃・爆撃というプロセスは、地上ユニットを支援する場合でも頻繁に起きるので、陸戦メインのシナリオでも修得は必須ということだろう。その程度なら、あまり面倒ではないので、なんとかなるかなと思っている。

さて次は、TSWWの海戦を味見してみよう……