Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Operational Combat Series】「Sicily II」Landing AAR

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昨日は、秋葉原イエサブにてFORGER氏主催の「OCS:Sicily II」勉強会に参加。キャンペーン序盤の上陸プロセス(1.5ターンのみ)を遊んでみた。なにしろ長年OCSは遊んでいても、上陸作戦はあまりやったことがない。そのうえOCSでは、海上輸送と揚陸のルールがかなり細い。戦車揚陸艦(LST)と上陸用舟艇(LC)と水陸両用車(DUKW)にもそれぞれ異なる機能と役割があり、それらを正しく把握する必要がある。

また連合軍は、地図盤外のチュニジアに集積された大量の物資を、港湾の収容力(荷物の積み卸し制限)に合わせて、増援として送り込む。その確保のためにどう作戦を進めるべきか。逆に枢軸軍は、その補給パイプをどう締め上げられるのか。港湾に対する施設砲爆撃でその能力を削ったり、たとえ港湾を占領されても戦闘ユニットを隣接させてZOC内に拘束し港湾活動を妨害する(基本ルール19.0f(F))等々、単なる陸上戦シナリオに比べて、目を通すべきルールは非常に多い。そのあたりのルールや手順を再確認して、いずれキャンペーンシナリオをやろうということだった。

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さてゲーム開始。上陸上陸と言いつつ、戦いはまず航空戦から始まった。もちろん連合軍には大量の航空機ユニットがあるのだが、枢軸軍にもそれなりに質と数を揃えた空軍があり、しかも上陸地点をカバーできる(警戒空域としての10ヘクス以内に収められる)位置に複数の飛行場があるのだ。当然、枢軸軍(FORGER氏担当)は、その前線飛行場に空戦力5(かなり強い)のドイツ軍Bf-109g戦闘機を配置し、睨みを効かせている。イギリス軍(自分が担当)とアメリカ軍(HA氏が担当)は、まずその敵警戒空域を消すべく、やはり空戦力5のスピットファイアVを送り込み、制空戦闘を開始。ある程度、損害も被ったものの、警戒中の枢軸軍戦闘機を次々任務中止にしたうえで、爆撃機を枢軸軍飛行場に送り込み、対施設爆撃で駐機中の航空機ユニットにダメージを与えていった。この部分だけでも、GMT「Downtown」を思わせる作戦級空戦ゲームが味わえるので、なかなか面白い。

その航空戦と平行して、上陸プロセスも進行していく。自分が担当したイギリス軍では、2つしかないLST(戦車揚陸艦)が2つとも揚陸に失敗するという大アクシデントが発生。LSTは、揚陸に成功した直後、1SP(補給ポイント)を受け取れる港湾に変換される。2カ所で揚陸に成功すれば、1SP港湾が2つ出来、それが補給源となり、上陸部隊に補給が通り、チュニジアからの海上輸送も受け取れるのだが、その肝心のLST港湾が作れなかったのだ。一応、SPの揚陸に成功した海岸もあるものの、このままの状態で次ターンの補給フェイズを迎えると、補給切れになるユニットも多々出てくる。これは何としてでも第1ターンに港湾都市を奪取しなければ……ということで、急遽、特殊部隊2個中隊だけでシラクサ(港湾あり)を攻撃。奇襲頼みの攻撃で、なんとか奇襲が成立し、シラクサを奪取した。ちなみに空挺降下は、損失無しで降りている。

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イギリス軍は、奪った飛行場に、早速戦闘機を配置し、警戒空域を展開。イギリス軍空母2隻も、シラクサの北へ動き、海上から警戒空域を張り出した。ただアメリカ軍は、奪った飛行場がひとつだったため、その飛行場だけで上陸部隊をカバーしなければならないのがちと辛い。写真ではA-36戦闘機(空戦力4)が配置されているが、前線飛行場に配置するための、強力な戦闘機を残しておく必要もある(制空戦闘で強い戦闘機を使い切ると後で困る)。その代わりアメリカ軍は、ありあまる爆撃機を駆使して、あちこちに鉄道妨害マーカーを置き、ドイツ軍地上部隊による上陸海岸突進を防ぐ構えを見せた。

これに対して枢軸軍も、空で反撃開始。シラクサに残っていたイギリス軍上陸用舟艇(本来は洋上ボックスに戻して第二波、第三波を運ぶ役目。減ってしまうと洋上の部隊と補給ポイントが送り込みにくい)を潰すべく、制空戦闘をすること無く、Bf-109g(空戦力5)とFw-190A-5(空戦力4)の戦闘機2個を護衛につけて爆撃機2個を送り込んできた。当然、空戦力5のスピットファイアVが迎撃に上がったところ、これがすべて空戦に勝ち、たった1ユニットで4個の護衛+爆撃機編隊を追い返す大活躍。やはり制空権は大事、という話になった。

枢軸軍地上部隊は後退しつつも、連合軍港湾にユニットを隣接させ、ZOC効果により港湾活動を妨害。地味ながらも、連合軍の補給パイプを締め上げる効果は大きい。

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第2ターン。連合軍先攻。イギリス軍は、先のターンで失った戦車揚陸艦2つが、早くも帰ってきてくれた(ダイス1個ターン後に復活)。早速また揚陸させてみたが、このうち1つがまた揚陸失敗……。それでも続々と洋上ボックスから第二波部隊と補給ポイントが到着し、港湾活動を妨害していたイタリア軍ユニットも、艦砲射撃を浴びせて混乱させた後、戦闘によって除去できた。シラクサを奪った特殊部隊✕2中隊に関しては、イタリア軍を潰した結果、突破を得て、一気にアウグスタ西側ヘクスへ突破戦闘をしかけた。これもまた奇襲頼みの攻撃だったが、運良く奇襲が成功し、市街突入に成功。SAS大活躍だ。

アメリカ軍は、海岸に迫ってきたドイツ軍部隊を、歩兵師団を分割した分遣連隊で取り囲み、あえて攻撃せず、次の補給ターンの補給判定で死んでもらおうという判断。これが最終ターンだったので、失敗してもいいや気分で攻撃しても良かったのだが、やはりOCSの心のルール、「たとえミニシナリオでもキャンペーンシナリオをプレイしているようにプレイすべし」精神で攻撃が見送られたのだろうか(実際はアメリカ軍の補給ポイントが枯渇気味だった。それより先に4ステップ歩兵師団によるオーバーラン攻撃でSPを使いまくっていた)。

という感じで、たった1.5ターンでも濃密なゲームが展開された。プレイタイムも5時間近くかかったのではないか。三軍共同作戦と言えば聞こえはいいが、それだけ様々なルールを読む必要があり、規模はマップ1枚でも、結構敷居が高いと思う。逆に言えば、「Sicily II」さえプレイ出来るなら、OCSの航空作戦も海上輸送もマスターしたことになるので、がんばってここから入るというのもひとつの手かもしれない。