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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】エリノア・スローン「現代の軍事戦略入門 増補新版」

現代の軍事戦略入門【増補新版】陸海空からPKO、サイバー、核、宇宙まで

現代の軍事戦略入門【増補新版】陸海空からPKO、サイバー、核、宇宙まで

  • 作者: エリノア・スローン,奥山真司,平山茂敏
  • 出版社/メーカー: 芙蓉書房出版
  • 発売日: 2019/03/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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カナダの戦略研究家エリノア・スローンの「現代の軍事戦略入門 増補新版」を購入。2015年に翻訳が出た旧版は未見。各章毎に、21世紀の海戦、陸戦、空戦、核戦力、非正規戦、平和維持活動(旧版から追加)、軍事トランスフォーメーション、サイバー戦争、宇宙戦力に関する戦略の進化や比較がまとめられている。今現在の戦争の様相を説きながら、各領域での、戦略思想の違いを俯瞰できるのも便利だなと。

戦略研究というのも、学問のひとつなので、それぞれの学派?でどのように意見が違っているのか、どのような問題を見据えているのかが分かるのも興味深い。

ただ、自分の場合、ここまで最先端の現代ウォーゲームには触れていないし(いいとこ「Labyrinth」「A Distant Plain」程度)、断捨離した結果、今では第二次大戦のゲームばかり所有しているので、本書で得られた知見をシミュレーションできる機会はしばらく無さそうだ。

本書でも扱っている、不正規戦、サイバー戦などを上手くまとめた21世紀の現代戦ウォーゲームがあれば触れてみたいが、あいにくまだ視界に入っていない。自分の場合、もはや失われつつある通常戦争の方に興味があるが、今現在の、ハイブリッド戦争や、マルチドメイン領域を扱ったウォーゲームで良いモノがあればとも思っている。

【Advanced Squad Leader】「Red Factories」

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事前注文していたASLのヒストリカル・モジュール第10弾「Red Factories」(1942年のスターリングラード市街戦の一部)が到着。なんと1989年に発売されたヒストリカル第1弾の「Red Barricades」(赤いバリケード大砲工場周辺での戦闘)を再版したうえ、それと連結する「Red October」(赤い10月武器工場周辺での戦闘)も付け足したという、ASLヒストリカル史上最大規模のモジュールとなっている。事前注文だけで約2000個が売れていたあたり、全世界のASLer待望のモジュールとも言えよう。

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こちらが約30年ぶりにリメイクされた「Red Barricades」の新版マップ(2枚)。もちろんタイトル通り、赤いバリケード大砲工場周辺が描かれている。これを描いたのは、旧版と同じくCharles Kiblerだが、旧版のグラフィックが使用に耐えなかったので、あらためて描き直したとのこと。

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こちらが旧版の「Red Barricades」(1989年発売)。地図盤を比べてみると、建物の輪郭は、やはり新版の方がクリアで、LOS判定もし易そうだ。それにしてもこの旧版、たしか自分がウォーゲームからいったん離れる前の学生時代、発売当時に購入したはずだが、これもほとんどプレイしないまま、約30年が経過し、そのまま新版に移行……というのも、なんというか申し訳ない(箱絵は旧版の方が好きかも)。 

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そしてこちらが初お目見えの「Red October」マップ(2枚)。川岸には、丸い石油備蓄タンクや、北の渡船場も見える。「Red Barricades」と4枚連結することも可能だが、まあ、そんなプレイは無理だろう。

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地形オーバーレイは、7枚収録。そのほとんどが、瓦解した建物を置き換えるものになっている。これは便利。本来は、瓦解した1ヘクス毎に瓦礫マーカーを置くのだが、正直プレイの邪魔だし、いっそこのように、まるまるグラフィックを入れ替えた方が分かりやすくてGood。 

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カウンターシートは、8枚収録。うち2枚が「Red Barricades」(再版)、6枚が「Red October」(新規)になっている。もちろん、独ソ両軍の歩兵カウンターが山のように追加されているが、特筆すべきは、リニューアルされた防御射撃カウンターではないかと。それぞれどの火力(分隊の固有火力か、支援火器か、車両の主兵装か、車載機銃か)で防御射撃を行ったかが分かるようになっている。つまり「これは分隊の固有火力で防御射撃をしたけど、支援火器はまだ撃ってないよ」と表示できるわけで、この新方式は、今後のモジュールでも追加され、標準化されるのだろうか? 

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シナリオは「Red Barricades」用が14本(旧版に収録されていた7本+追加7本)、「Red October」用が7本収録。キャンペーンゲームは「Red Barricades」用が4本、「Red October」用が3本、さらに両者連結の(つまりマップ4枚連結の)「Red Factories」用が1本収録。さすがにそこまでは無理としても、いずれ一度は大型シナリオにたどり着きたいものだが、果たして……

ちなみにASLでスターリングラード戦と言えば、2007年に「Valor of the Guards」も発売されている。こちらは「Red Factories」よりも南の地域、第一鉄道操車場から中央渡船場を扱っているが、あいにく「Red Factories」と連結はできない。いや連結されても困るんだが、両者の地図盤の間には、激戦地ママイ墳丘墓(クルガン)があるはずなので、いずれそれだけ出版されるかも? しかしこちらも2011年にセールで購入して以来、いまだに一度もプレイしておらず、カウンターも未切り離しのままだ。翻訳もあることだし「Red Factories」より先に「Valor of the Guards」を供養プレイした方が良いかもしれない。「Valor of the Guards」は、出版後に雑誌などでシナリオが多数追加され、最終的に27シナリオまで達したので、いろいろ遊べるはずなのだが……

というワケで、昨年後半から続いたASL整備フェイズ(ヒストリカル再収集フェイズとも言う)も、これにて一段落。手元にはすでにホルム、ハッテン、ブダペスト、ヒュルトゲン、エルスト、ガダルカナルスターリングラードと、なかなかの面子が揃ったので、まずは翻訳のある「Festung Budapest」か「Valor of the Guards」あたりから触れてみたいと思う。

【Grand Operational Simulation Series】「Atlantic Wall : D-Day to Falaise」ルール翻訳中 Part.1

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昨年購入した「Atlantic Wall」が、積まれたままなので、ようやく重い腰を上げて、ルール翻訳を開始した。実際に訳したのは、ゲーム本体に入っているルールではなく、Decision Gamesサイトで公開されている、ver4.0ルール(2016年10月11日付)である。英文ルールで3段組み70ページ。さすがに読みにくいので、日本語ルールは2段組みにしたが、目次だけで6ページ、総量は100ページを超えるだろう。ちなみにこれは、あくまで「Atlantic Wall」の個別ルールだけの話で、これとは別に、GOSSの基本ルール(これまた英文3段組み70ページ)が存在するわけだ……

とりあえず今現在、ルール27.0まで到達し、シナリオ情報、空挺、上陸以外のルールは訳したが、それでも2段組み40ページ近くある。普通のウォーゲームなら、とっくに全ルール訳し終わっていてもおかしくない分量だ。さすがに疲れたので、いったん間を置いて、また取りかかるつもりだが、ここまでに訳したルールの中でも、印象的だったことをメモしておこう。

https://decisiongames.com/wpsite/e-rules/

・1.2.7d 生け垣カッター戦車

他のノルマンディ戦ゲーム同様、本作でもボカージュと生け垣は、ドイツ軍に対して有利な防御効果を授けてくれる。しかし7月15日以降、アメリカ軍はダイス判定を行い、それに成功すると、M4シャーマン全部隊に対して、十分な生け垣カッター(ヘッジホッグ)が行き渡ったと見なし、M4シャーマンが参加した戦闘では、ボカージュと生け垣の防御効果が無効化される。ん?M4シャーマンだけ?俺、子供の頃、ヘッジホッグカッターの付いたM5スチュアート戦車のプラモ作ったんだけど、M5じゃダメなの?と思ったが、まあ、そういう解釈らしい。

・26.5.2b グロスドイッチュラント装甲師団の投入

ドイツ軍は、史実ではノルマンディ戦に投入されなかった、グロスドイッチュラント(GD)装甲師団を、国防軍最高司令部(OKW)の予備部隊として登場させても良い。ただし登場位置は、10面体ダイス1個を振ってランダムに決定される。出目が0~2ならドイツ本国(分かる)、3~4ならベネルクス三国(分からないでもない)、5~6ならカレー(分からないでもない)、7ならレンヌ(むむ)、8ならアレンソンで6月6日夜間ターンから行動開始(おいおい)、そして9なら……サン・ローから6ヘクス以内に配置し、6月6日午前ターンに捜索大隊と装甲擲弾兵連隊1が活性化、同日午後ターンには全師団が活性化するという。サン・ローにGD師団!D-Dayに活性化!つまりオマハ海岸に急行してアメリカ第1・第29歩兵師団を襲ったり、半島部に進出してアメリカ第82・第101空挺師団を襲えるわけで、それはちょっと試してみたいと思った(ダイス目で9が出たことにして)

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27.0 戦略地図

正直、ここまで本作のルール量が多くなった原因の多くは、このルールにある。このディスプレイ1枚入れたおかげで、ルール量が15%~20%ぐらい増えているような……。しかもこれ、単なる盤外移動だけではなく、盤外戦闘もあり、そのための戦闘ルールもあるため、実質「1944年夏の西部戦線のポイント・トゥ・ポイント式のミニゲーム」が、余計にひとつ追加されているようなものだ。まあ、付けてしまったものは仕方ないが、やはり、ここまでやる必要は無かったなあと。

……という感想を得たあたりで、次は「Atlantic Wall」のシナリオ情報、空挺ルール、上陸ルールに取りかかるつもりだが、いつ再開するかは未定。多分、今年発売される予定のGOSS第4弾「Lucky Forweard」を入手した後かもしれない。それまでは、また積みゲーに戻るが、ここまで訳しておけば、一応進捗したということで……(本当に疲れた 

【Advanced Squad Leader】「Operation Watchtower」

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2001年に発売された、ASLヒストリカルスタディ第1弾「Operation Watchtower」を海外オークションにて購入。本作は、1942年8月~1943年1月までのガダルカナル島での戦闘、特にいわゆる「ムカデ高地」(アメリカ側ではEdson's RidgeまたはBloody Ridge)と呼ばれる、ヘンダーソン飛行場南の高地での戦闘中心に収録している。これも当時は買うのをスルーして、ほぼ同じテーマのTCS(Tactical Combat Series)「Bloody Ridge」を買ってしまったが、もはやTCSも手放している。あの頃はまだ、TCSに夢と希望を抱いていたんだよなあ……

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マップには、そのムカデ高地=Edson's Ridgeが描かれている。史実では「夜襲の仙台(第二)師団」に属する川口支隊を中心とする日本軍が、夜陰に乗じてこの高地に白刃突撃をかけ、第一線陣地は抜くも、第二線陣地に食い込んだところで敗退。高地を守備していたアメリ海兵隊エドソン中佐が叫んだとされる『お前たちに無くて、敵にあるのはガッツだけだ』『お前たちは、永遠に生きたくないのか』が有名。 

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しかしこのマップ、実は厄介な問題がある。と言うのも、地上レベルとレベル1丘の見分けがつきにくいのだ。サード・パーティ製ならいざ知らず、本家MMPの出版物としては、いささか難があると言えよう。また、単独マップとしては大き過ぎるというサイズ的な問題もある。

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MMPは、その後、訂正マップを印刷し、ユーザーに配布している。こちらがその訂正版。つまり今回購入したモノには、訂正マップも含まれていたワケで、その点については、ひと安心。しかし本作には、他にも制作上のミスがあったのだが、それについては後述…… 

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シナリオは、16本収録。ムカデ高地マップを使うシナリオ以外にも、既存のボードを組み合わせて、マタニカウやタシンボコなど、ガダルカナル島内の戦闘をシナリオ化している。

http://www.desperationmorale.com/products/operations-special-issue-3/

しかし、詳しくは⇧に書いてあるが、元々本作は、Front Line Productionsというサード・パーティから発売される予定だった。そして本来は、このムカデ高地の地図と、マタニカウ川の河口付近の地図との2枚セットとして企画されていたそうだ。ところがデザイナーとMMPの連絡が上手くいかず、ムカデ高地だけで発売されてしまったのだ。そしてその経緯がネット上で公開されたため、多くのASLerから失望の声が届き、遅まきながらMMPも、本作発売から9年後の2010年になって「Operation Special issue #3」に「Hell's Corner」なるタイトルで、マタニカウ河口の地図とシナリオを付けている。先のマップ問題もそうだが、総じて見るに本作は、本家MMPが出版したASL作品の中でも、いろいろとダメな部分の多いモジュールだったのだろう。

とは言え、ムカデ高地のマップだけでも価値はあるし、そのあたりの事情も知ったうえでの購入なので、個人的には不満は無い。やっぱりASLでのムカデ高地戦も手元に置いてプレイしたいし。

そしてその「Hell's Corner」=「Operation Special issue #3」も自分は買い逃しているので、いずれそちらも入手したいと思う。これからヤフオクなどの中古市場で、この「Operation Watchtower」を購入される方には、そういった事情もある作品だということも、ご承知おきいただきたい。

【Advanced Squad Leader】「Forgotten War Korea 1950-1953」

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2018年に発売されたASLの朝鮮戦争モジュール「Forgotten War Korea 1950-1953」を購入した。以前から朝鮮戦争シナリオは発表されていたが、遂にASLも、本格的に第二次世界大戦からはみ出したことになる。すでに有志の皆さんによる翻訳ルールも公開されているので、実プレイの敷居も低くなっている(いつもありがとうございます)。

和訳 - A grove of ASL 

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収録された地図盤は4枚(80~83)。朝鮮半島での高地争奪戦を扱うため、なんと4枚でひとつの高地を再現するものになっている。以前、Heat of Battleから発売された(そして今はBounding Fire Productionから再版されている)「High Ground」には、地図盤2枚を組み合わせた高地が収録されていたが、ここに来て本家MMPが『そっちが2枚なら、こっちは4枚じゃ!』とばかりに本気を出してきた感……(^_^;)

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カウンターシートは7枚。見慣れたアメリカ軍カウンターは、アメリカ軍に配属された韓国兵士(KATUSA)も表しているそうだ。緑の枠に、茶色地のカウンターは、韓国軍。戦争初期は、まだ日本軍!装備だったそうで、その火力も低く設定されている。ちなみに韓国軍の最良指揮官「10-3 Maj Paik」は、(階級こそ違えど)やはりPaik Sun-yup氏がモデルなんだろうなあ。

若き将軍の朝鮮戦争 (草思社文庫)

若き将軍の朝鮮戦争 (草思社文庫)

 

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他にもイギリス軍海兵隊コマンド、国連軍(緑枠に青地)カウンターが収録。中でも、朝鮮戦争で勇戦敢闘したと伝えられるトルコ軍は、降伏せず、戦意喪失せず、狂暴化もするという異例の扱いである。 

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戦闘車両に目を移すと、アメリカ軍にM26A1パーシング、またその105mm砲搭載バージョンであるM45、M46パットン戦車、イギリス軍にセンチュリオンIII戦車が登場。このレーティングを見ると『これがノルマンディにあれば、ティーガーパンターと互角に戦えたものを……』とか思ってしまう。 

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対する北朝鮮軍(左・茶色)は、指揮官カウンターのみが収録され、分隊カウンターは、別途「Beyond Valor」のソ連軍カウンターを使うようだ。また中国軍(右・茶色枠に白地)には、手榴弾と刃物で武装した擲弾兵カウンターが登場。射程(1)は、遠距離射撃不可、近接射撃でも火力が2倍にならず、3倍近接射撃の場合でも2倍にしかならないという……

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さらに中国軍分隊は、大戦中の日本軍同様、士気チェックに失敗しても混乱せず、ステップロスして戦闘を維持し続ける(やはり日本軍と同じく、半個分隊は混乱する)。ある意味、装備と火力はソ連軍、戦闘教義(ドクトリン)は日本軍なワケで、実際のゲームでどのように機能するのか、非常に興味津々である。

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シナリオは、16本収録。よくよく見ると、両軍に戦闘車両が登場するシナリオはひとつも無い。つまり、どちらか一方にしか戦闘車両がないシナリオばかりということ。たしかに戦争序盤は、北朝鮮軍のT34/85が一方的に暴れ、戦争中盤以降になると、アメリカ軍・国連軍側の戦車が一方的に押し返し、いわゆる戦車戦というシチュエーションは、あまり無かったのかもしれない。もちろんポイント編制ルールを使えば、戦車戦シナリオも作れるが、そのように限定された状況も面白いなあと。

それよりも使ってみたいのは、ソ連軍+日本軍の魔合体みたいな中国軍分隊なので、戦争後半のシナリオを選んで、そのうち遊んでみようと思う。

【Advanced Squad Leader】A88「Surprise Encounter」Solo-Play AAR

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約10年ぶりにVirtual ASLをインストール。使い方をすっかり忘れていたので、まずは練習がてら、小さめのシナリオを遊んでみることに。どうせなら冬季バージョンの地図盤を用いる、フィンランド軍が登場するシナリオを……ということで「ASL Annual '95」収録のA88「Surprise Encounter」を選択。お題は1939年12月12日、Tolvajarvi湖周辺で、フィンランド軍・ソ連軍双方が側面攻撃を仕掛けようとし、期せずして遭遇したという戦闘。

ところが2ターンほど進めたあたりで、「ASL Scenario Archive」を確認すると、なんと「Annual'95」掲載の地図盤配置が全然違っていたことが判明。仕方なく地図盤を組み替え、最初からやり直し。こういう豪快なエラッタがあるなら、訂正版を「Hakkaa Päälle !」に入れれば良いのになあ。

The ASL Scenario Archive

それはともかく、状況としては、地図盤中央の村落にソ連軍を配置。フィンランド軍は地図盤西端から進入し、東端から勝利得点14点以上(分隊=2点、指揮官=1点+指揮修整点)を突破させるか、7点以上失わずにソ連軍に12点以上の損害を与えれば勝利と。両軍とも秘匿(ルールE1.4)状態で出くわすシナリオというのも初めてかも。 全7ターン。

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さて第1ターン。攻めるフィンランド軍としては、盤外突破を狙うか、敵の撃滅を図るかだが、ソ連軍は、60mm迫撃砲✕2、HMG、MMG、LMGx2と支援火器も豊富で、殴り負けする可能性もあり、今回は突破案を選択。フィンランド軍は、牽制用に、ソ連軍正面と南部にいくつか分隊を送り込みつつ、主力部隊は北方を迂回することにした。

これに対してソ連軍は、のっけからフィンランド軍9-1指揮官+LMGスタックに迫撃砲を撃ち込み、混乱・潰走。白兵戦でもDR2を叩き出し、フィンランド軍5-3-8分隊1を除去している。

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第2ターン。フィンランド軍主力は、北方の森に隠れて突破移動中。ソ連軍も、牽制部隊に対処しつつ、フィンランド軍主力を追撃する構え。f:id:crystal0207:20190818150007p:plain

第3ターン。地図盤東端まで達したフィンランド軍主力に対し、ソ連軍も猛追。LMG分隊を突撃させたが、フィンランド分隊は討ち取れず。結局、次ターンに逆撃をくらって除去された。しかしソ連軍は、回復DRは調子が良く、クラス上昇あり、ヒーロー登場ありと、やる気だけはあるようだ。

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第4ターン。再び、ソ連迫撃砲を浴び、フィンランド軍9-1+LMGスタック、8-0+LMGスタックが混乱・潰走。しかしフィンランド軍は、すでに14点近く突破させられる位置まで来ており、ある意味、王手寸前。後は、部隊の回復を待つばかり。とりあえず時間を稼ぐために、ソ連軍側面に6-4-8分隊x2が接近。迫撃砲の最短射撃距離(3ヘクス)の内側に入り、主力の突破を援護することに。

またこの頃、南部で唯一生き残ったフィンランド軍5-3-8分隊が、攻め寄せるソ連軍4-4-7分隊x3を臨機射撃・最終臨機射撃ですべて混乱させ、完全にフリーとなり、これも東端への突破が見えてきた。

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結局、第5ターンにフィンランド軍がことごとく回復に成功し、14点分の部隊が東端へ突破。フィンランド軍の勝利と相成った。正直、どれか1個分隊でも回復に成功しなかったら14点に届くだけの部隊は退出できなかったので、きわどいサドンデス勝利だった。 

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それにしても、10年ぶりに触れたVASLは、いろいろ便利になっていて驚いた。画像のように、白兵戦(CC)ボタンでDR2を出すと、浸透(A11.22)による離脱ができますよとか、新たな指揮官が出現するかもよ(A18.12)とか、車両なら偶然破壊されるよ(A11.501)といった、そのダイスロール結果によって引き起こされる事象まで表示されている。こういった細かいルールは、あまり頭に入っていないので、PCに表示してもらった方がルール抜けが少なくプレイできそうだ。昔、こうじゃなかったよね? ソロプレイながらも、ルールを正しく指摘してくれるのはありがたい。しばらくVASLでソロプレイを重ねてみようかな……

【Advanced Squad Leader】「Decision at Elst」

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2013年に発売され、今では品切れのASLスターターキット・ヒストリカル・モジュール「Decision at Elst」を、海外セラーから購入した。これは完全に自分の買い逃しミス。発売当初の2013年と言えば、ちょうどウォーゲーム・コレクションの断捨離を始め、全般的に買い控えていた頃だったとは言え、まあそのうち買えばいいやと思っているうち、いつの間にか品切れになっていた。2016年秋のMMPセールでは、まだ在庫があり、定価64ドルが36ドルまで割引されていたのにそれも買わなかったとか、なんたる失態。今回は、定価の倍ぐらいのお金を払うことになったが、やはりASLぐらいは、きっちり新製品を抑えておかないとだめだという教訓になった……

さて本作は、ASLスターターキット・シリーズ初のヒストリカル・モジュールであり、1944年9月22日~25日にかけてのオランダ、Elstでの戦闘を扱っている。このElstは、マーケットガーデン作戦でイギリス第1空挺師団が降下したArnhemの南に位置する小さな街。Arnhemで包囲された第1空挺師団を救出すべく、イギリス第30軍団が進撃するも、ドイツ第10SS装甲師団クナウスト戦闘団に阻まれ……という戦闘。このElst戦を中隊規模で再現したのが、GTS(Grand Tactical Series)「The Devil's Cauldron」「A Bridge Too Far」シナリオであり、それをより細かいスケールで味わえるのが分かっていながら、何故これを買わなかった2013年の自分……そしてこのTDCリプレイが、もはや10年前という現実……

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地図盤は、ASLのボード4枚分の大きさ。「Hatten in Flames」より小振りで、そのサイズ感もスターター向けというか、入門者向けなのだろう。「The Devil's Cauldron」の地図盤に描かれている、Elstの観測所=教会も記されている。 

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カウンターシートは、3枚。イギリス軍、ドイツ軍、マーカーのセットであり、スターターキットらしく、これだけあれば遊べるようになっているのは、かなり親切。

シナリオは4本。キャンペーンゲーム1本収録。基本的には、オランダの小さな街を巡って、イギリス軍のシャーマン・ファイアフライ戦車と、ドイツ軍のティーガーI型戦車、V号パンター戦車、III号突撃砲が戦うという、クセの無い、それでいて派手目の設定状況だと思う。スターター・シリーズとは言え、ASL本式ルールで遊んでもかまわないし、キャンペーンゲームに慣れるには良い造りだなと。ホントつらつら眺めるに、かなり良い作品なので、これをスルーしたことを反省したい……