Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Advanced Squad Leader】「Operation Watchtower」

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2001年に発売された、ASLヒストリカルスタディ第1弾「Operation Watchtower」を海外オークションにて購入。本作は、1942年8月~1943年1月までのガダルカナル島での戦闘、特にいわゆる「ムカデ高地」(アメリカ側ではEdson's RidgeまたはBloody Ridge)と呼ばれる、ヘンダーソン飛行場南の高地での戦闘中心に収録している。これも当時は買うのをスルーして、ほぼ同じテーマのTCS(Tactical Combat Series)「Bloody Ridge」を買ってしまったが、もはやTCSも手放している。あの頃はまだ、TCSに夢と希望を抱いていたんだよなあ……

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マップには、そのムカデ高地=Edson's Ridgeが描かれている。史実では「夜襲の仙台(第二)師団」に属する川口支隊を中心とする日本軍が、夜陰に乗じてこの高地に白刃突撃をかけ、第一線陣地は抜くも、第二線陣地に食い込んだところで敗退。高地を守備していたアメリ海兵隊エドソン中佐が叫んだとされる『お前たちに無くて、敵にあるのはガッツだけだ』『お前たちは、永遠に生きたくないのか』が有名。 

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しかしこのマップ、実は厄介な問題がある。と言うのも、地上レベルとレベル1丘の見分けがつきにくいのだ。サード・パーティ製ならいざ知らず、本家MMPの出版物としては、いささか難があると言えよう。また、単独マップとしては大き過ぎるというサイズ的な問題もある。

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MMPは、その後、訂正マップを印刷し、ユーザーに配布している。こちらがその訂正版。つまり今回購入したモノには、訂正マップも含まれていたワケで、その点については、ひと安心。しかし本作には、他にも制作上のミスがあったのだが、それについては後述…… 

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シナリオは、16本収録。ムカデ高地マップを使うシナリオ以外にも、既存のボードを組み合わせて、マタニカウやタシンボコなど、ガダルカナル島内の戦闘をシナリオ化している。

http://www.desperationmorale.com/products/operations-special-issue-3/

しかし、詳しくは⇧に書いてあるが、元々本作は、Front Line Productionsというサード・パーティから発売される予定だった。そして本来は、このムカデ高地の地図と、マタニカウ川の河口付近の地図との2枚セットとして企画されていたそうだ。ところがデザイナーとMMPの連絡が上手くいかず、ムカデ高地だけで発売されてしまったのだ。そしてその経緯がネット上で公開されたため、多くのASLerから失望の声が届き、遅まきながらMMPも、本作発売から9年後の2010年になって「Operation Special issue #3」に「Hell's Corner」なるタイトルで、マタニカウ河口の地図とシナリオを付けている。先のマップ問題もそうだが、総じて見るに本作は、本家MMPが出版したASL作品の中でも、いろいろとダメな部分の多いモジュールだったのだろう。

とは言え、ムカデ高地のマップだけでも価値はあるし、そのあたりの事情も知ったうえでの購入なので、個人的には不満は無い。やっぱりASLでのムカデ高地戦も手元に置いてプレイしたいし。

そしてその「Hell's Corner」=「Operation Special issue #3」も自分は買い逃しているので、いずれそちらも入手したいと思う。これからヤフオクなどの中古市場で、この「Operation Watchtower」を購入される方には、そういった事情もある作品だということも、ご承知おきいただきたい。

【Advanced Squad Leader】「Forgotten War Korea 1950-1953」

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2018年に発売されたASLの朝鮮戦争モジュール「Forgotten War Korea 1950-1953」を購入した。以前から朝鮮戦争シナリオは発表されていたが、遂にASLも、本格的に第二次世界大戦からはみ出したことになる。すでに有志の皆さんによる翻訳ルールも公開されているので、実プレイの敷居も低くなっている(いつもありがとうございます)。

和訳 - A grove of ASL 

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収録された地図盤は4枚(80~83)。朝鮮半島での高地争奪戦を扱うため、なんと4枚でひとつの高地を再現するものになっている。以前、Heat of Battleから発売された(そして今はBounding Fire Productionから再版されている)「High Ground」には、地図盤2枚を組み合わせた高地が収録されていたが、ここに来て本家MMPが『そっちが2枚なら、こっちは4枚じゃ!』とばかりに本気を出してきた感……(^_^;)

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カウンターシートは7枚。見慣れたアメリカ軍カウンターは、アメリカ軍に配属された韓国兵士(KATUSA)も表しているそうだ。緑の枠に、茶色地のカウンターは、韓国軍。戦争初期は、まだ日本軍!装備だったそうで、その火力も低く設定されている。ちなみに韓国軍の最良指揮官「10-3 Maj Paik」は、(階級こそ違えど)やはりPaik Sun-yup氏がモデルなんだろうなあ。

若き将軍の朝鮮戦争 (草思社文庫)

若き将軍の朝鮮戦争 (草思社文庫)

 

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他にもイギリス軍海兵隊コマンド、国連軍(緑枠に青地)カウンターが収録。中でも、朝鮮戦争で勇戦敢闘したと伝えられるトルコ軍は、降伏せず、戦意喪失せず、狂暴化もするという異例の扱いである。 

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戦闘車両に目を移すと、アメリカ軍にM26A1パーシング、またその105mm砲搭載バージョンであるM45、M46パットン戦車、イギリス軍にセンチュリオンIII戦車が登場。このレーティングを見ると『これがノルマンディにあれば、ティーガーパンターと互角に戦えたものを……』とか思ってしまう。 

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対する北朝鮮軍(左・茶色)は、指揮官カウンターのみが収録され、分隊カウンターは、別途「Beyond Valor」のソ連軍カウンターを使うようだ。また中国軍(右・茶色枠に白地)には、手榴弾と刃物で武装した擲弾兵カウンターが登場。射程(1)は、遠距離射撃不可、近接射撃でも火力が2倍にならず、3倍近接射撃の場合でも2倍にしかならないという……

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さらに中国軍分隊は、大戦中の日本軍同様、士気チェックに失敗しても混乱せず、ステップロスして戦闘を維持し続ける(やはり日本軍と同じく、半個分隊は混乱する)。ある意味、装備と火力はソ連軍、戦闘教義(ドクトリン)は日本軍なワケで、実際のゲームでどのように機能するのか、非常に興味津々である。

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シナリオは、16本収録。よくよく見ると、両軍に戦闘車両が登場するシナリオはひとつも無い。つまり、どちらか一方にしか戦闘車両がないシナリオばかりということ。たしかに戦争序盤は、北朝鮮軍のT34/85が一方的に暴れ、戦争中盤以降になると、アメリカ軍・国連軍側の戦車が一方的に押し返し、いわゆる戦車戦というシチュエーションは、あまり無かったのかもしれない。もちろんポイント編制ルールを使えば、戦車戦シナリオも作れるが、そのように限定された状況も面白いなあと。

それよりも使ってみたいのは、ソ連軍+日本軍の魔合体みたいな中国軍分隊なので、戦争後半のシナリオを選んで、そのうち遊んでみようと思う。

【Advanced Squad Leader】A88「Surprise Encounter」Solo-Play AAR

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約10年ぶりにVirtual ASLをインストール。使い方をすっかり忘れていたので、まずは練習がてら、小さめのシナリオを遊んでみることに。どうせなら冬季バージョンの地図盤を用いる、フィンランド軍が登場するシナリオを……ということで「ASL Annual '95」収録のA88「Surprise Encounter」を選択。お題は1939年12月12日、Tolvajarvi湖周辺で、フィンランド軍・ソ連軍双方が側面攻撃を仕掛けようとし、期せずして遭遇したという戦闘。

ところが2ターンほど進めたあたりで、「ASL Scenario Archive」を確認すると、なんと「Annual'95」掲載の地図盤配置が全然違っていたことが判明。仕方なく地図盤を組み替え、最初からやり直し。こういう豪快なエラッタがあるなら、訂正版を「Hakkaa Päälle !」に入れれば良いのになあ。

The ASL Scenario Archive

それはともかく、状況としては、地図盤中央の村落にソ連軍を配置。フィンランド軍は地図盤西端から進入し、東端から勝利得点14点以上(分隊=2点、指揮官=1点+指揮修整点)を突破させるか、7点以上失わずにソ連軍に12点以上の損害を与えれば勝利と。両軍とも秘匿(ルールE1.4)状態で出くわすシナリオというのも初めてかも。 全7ターン。

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さて第1ターン。攻めるフィンランド軍としては、盤外突破を狙うか、敵の撃滅を図るかだが、ソ連軍は、60mm迫撃砲✕2、HMG、MMG、LMGx2と支援火器も豊富で、殴り負けする可能性もあり、今回は突破案を選択。フィンランド軍は、牽制用に、ソ連軍正面と南部にいくつか分隊を送り込みつつ、主力部隊は北方を迂回することにした。

これに対してソ連軍は、のっけからフィンランド軍9-1指揮官+LMGスタックに迫撃砲を撃ち込み、混乱・潰走。白兵戦でもDR2を叩き出し、フィンランド軍5-3-8分隊1を除去している。

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第2ターン。フィンランド軍主力は、北方の森に隠れて突破移動中。ソ連軍も、牽制部隊に対処しつつ、フィンランド軍主力を追撃する構え。f:id:crystal0207:20190818150007p:plain

第3ターン。地図盤東端まで達したフィンランド軍主力に対し、ソ連軍も猛追。LMG分隊を突撃させたが、フィンランド分隊は討ち取れず。結局、次ターンに逆撃をくらって除去された。しかしソ連軍は、回復DRは調子が良く、クラス上昇あり、ヒーロー登場ありと、やる気だけはあるようだ。

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第4ターン。再び、ソ連迫撃砲を浴び、フィンランド軍9-1+LMGスタック、8-0+LMGスタックが混乱・潰走。しかしフィンランド軍は、すでに14点近く突破させられる位置まで来ており、ある意味、王手寸前。後は、部隊の回復を待つばかり。とりあえず時間を稼ぐために、ソ連軍側面に6-4-8分隊x2が接近。迫撃砲の最短射撃距離(3ヘクス)の内側に入り、主力の突破を援護することに。

またこの頃、南部で唯一生き残ったフィンランド軍5-3-8分隊が、攻め寄せるソ連軍4-4-7分隊x3を臨機射撃・最終臨機射撃ですべて混乱させ、完全にフリーとなり、これも東端への突破が見えてきた。

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結局、第5ターンにフィンランド軍がことごとく回復に成功し、14点分の部隊が東端へ突破。フィンランド軍の勝利と相成った。正直、どれか1個分隊でも回復に成功しなかったら14点に届くだけの部隊は退出できなかったので、きわどいサドンデス勝利だった。 

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それにしても、10年ぶりに触れたVASLは、いろいろ便利になっていて驚いた。画像のように、白兵戦(CC)ボタンでDR2を出すと、浸透(A11.22)による離脱ができますよとか、新たな指揮官が出現するかもよ(A18.12)とか、車両なら偶然破壊されるよ(A11.501)といった、そのダイスロール結果によって引き起こされる事象まで表示されている。こういった細かいルールは、あまり頭に入っていないので、PCに表示してもらった方がルール抜けが少なくプレイできそうだ。昔、こうじゃなかったよね? ソロプレイながらも、ルールを正しく指摘してくれるのはありがたい。しばらくVASLでソロプレイを重ねてみようかな……

【Advanced Squad Leader】「Decision at Elst」

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2013年に発売され、今では品切れのASLスターターキット・ヒストリカル・モジュール「Decision at Elst」を、海外セラーから購入した。これは完全に自分の買い逃しミス。発売当初の2013年と言えば、ちょうどウォーゲーム・コレクションの断捨離を始め、全般的に買い控えていた頃だったとは言え、まあそのうち買えばいいやと思っているうち、いつの間にか品切れになっていた。2016年秋のMMPセールでは、まだ在庫があり、定価64ドルが36ドルまで割引されていたのにそれも買わなかったとか、なんたる失態。今回は、定価の倍ぐらいのお金を払うことになったが、やはりASLぐらいは、きっちり新製品を抑えておかないとだめだという教訓になった……

さて本作は、ASLスターターキット・シリーズ初のヒストリカル・モジュールであり、1944年9月22日~25日にかけてのオランダ、Elstでの戦闘を扱っている。このElstは、マーケットガーデン作戦でイギリス第1空挺師団が降下したArnhemの南に位置する小さな街。Arnhemで包囲された第1空挺師団を救出すべく、イギリス第30軍団が進撃するも、ドイツ第10SS装甲師団クナウスト戦闘団に阻まれ……という戦闘。このElst戦を中隊規模で再現したのが、GTS(Grand Tactical Series)「The Devil's Cauldron」「A Bridge Too Far」シナリオであり、それをより細かいスケールで味わえるのが分かっていながら、何故これを買わなかった2013年の自分……そしてこのTDCリプレイが、もはや10年前という現実……

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地図盤は、ASLのボード4枚分の大きさ。「Hatten in Flames」より小振りで、そのサイズ感もスターター向けというか、入門者向けなのだろう。「The Devil's Cauldron」の地図盤に描かれている、Elstの観測所=教会も記されている。 

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カウンターシートは、3枚。イギリス軍、ドイツ軍、マーカーのセットであり、スターターキットらしく、これだけあれば遊べるようになっているのは、かなり親切。

シナリオは4本。キャンペーンゲーム1本収録。基本的には、オランダの小さな街を巡って、イギリス軍のシャーマン・ファイアフライ戦車と、ドイツ軍のティーガーI型戦車、V号パンター戦車、III号突撃砲が戦うという、クセの無い、それでいて派手目の設定状況だと思う。スターター・シリーズとは言え、ASL本式ルールで遊んでもかまわないし、キャンペーンゲームに慣れるには良い造りだなと。ホントつらつら眺めるに、かなり良い作品なので、これをスルーしたことを反省したい…… 

【参考文献】「作戦とは何か 戦略・戦術を活かす技術」

「作戦」とは何か-戦略・戦術を活かす技術

「作戦」とは何か-戦略・戦術を活かす技術

 

「作戦とは何か」を購入。大半のウォーゲーマーは、昔から「戦略級・作戦級・戦術級」という、ウォーゲームを売るうえでの宣伝上の区分を知っているから『作戦とは、戦略と戦術の中間に位置するものだ』『術(アート)的な側面もあるため、技能の比重が大きい』と言われても、結構しっくりと受け容れられるのではないだろうか。その階層構造を、なんとなく理解しているだけでも、たいしたもんだと思う。

本書では、歴史的には比較的新しい「作戦」という概念がどのように発達したか、消耗戦と機動戦の違いにも触れつつ、 述べている。アメリカ軍が、南北戦争のグラント将軍の消耗戦略をベースに発展し、第二次大戦でも機動戦を想定していながら、結局は消耗戦で勝ちきったというのも面白い。たしかにノルマンディ半島を突破する際の、コブラ作戦を見てみると、特に工夫の無い、圧倒的火力による敵軍の粉砕と正面突破という、いかにも消耗戦的な作戦だったなあと。そういった歴史的・文化的背景が、その国家や軍の戦略・作戦・戦術に及ぼす影響というのも重要と。

【Battalion Combat Series】「Last Blitzkrieg」Tip of the Spear Solo-Play AAR

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先週の対戦でBCSバルジも一段落……と思っていたが、ようやくこの独特のシステムにも慣れてきたので、おさらいの意味で、もう一度だけ復習ソロプレイ。シナリオは「Tip of the Spear」。1944年12月24日、ドイツ軍先頭部隊として、第2装甲師団はFoy N Dame(A1708)=Meuse河まであと4ヘクス(4km)に迫ったが、北からアメリカ第2(重)機甲師団が南下し、その「槍の穂先」を潰しにかかるという状況。このシナリオも、マップ1枚、全4ターンとプレイしやすいが、今回はおさらいなので、とりあえず1ターンのみプレイしてみた。

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こちらが Foy N Dame(A1708)まで進出した、ドイツ第2装甲師団先遣隊。しかし北方のCiney(A2412)には、すでにアメリカ第2機甲師団が到着し、Meuse渡河点であるDinant(A1209)には、イギリス第29機甲旅団が展開している。

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東のMarche-en-Famenne(A4006)は、アメリカ第84歩兵師団(アメリカ第3機甲師団Doan機動部隊が付随)が守っている。これを攻めるドイツ第116装甲師団は、ここまでの戦闘で疲労度2まで疲弊している。

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さらに東には、ドイツ第560国民擲弾兵師団が続き、第1(12月24日)ターンには、盤端からドイツ第2SS装甲師団が登場予定。この一帯は、アメリカ第75歩兵師団と第3機甲師団(B戦闘団欠)が守っている。また北方には、アメリカ第7機甲師団もあるが、こちらも疲労度3まで上がっているので、まずは回復か(疲労度上限4まで上がると第2活性化が不可となる)。

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さて第1(12月24日)ターン開始。先手連合軍は早速、アメリカ第2機甲師団から活性化。戦車大隊5個+軽戦車大隊1個を誇るこの重機甲師団は、ドイツ第2装甲師団の先遣隊を包囲するように攻撃し、V号パンター装備の戦車大隊1、歩兵大隊1、工兵大隊1を除去した。かろうじて脱出に成功した捜索大隊だけが第2装甲師団本隊に合流できたが、もはや第2装甲師団の戦力は半減している。しかも、第1ターン増援として登場予定だった教導装甲師団が、活性化に「失敗(Fail)」し、まったく動けず。早くもドイツ軍の穂先は、ぼきっと折られた感がある。 

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一方、西のMarche付近では、アメリカ第84歩兵師団が先手を取ったが、頼みのDoan機動部隊(BCSシステム最大の打たれ強さを誇る9ステップユニット)が、第116装甲師団を支援中のV号ヤークトパンターに阻まれ、攻撃は停滞。逆に第116装甲師団は、V号パンター装備の戦車大隊(2ステップのみ)で、Doan機動部隊を後退させ、Marcheへと迫った。また同師団の捜索大隊は、Hotton(A4711)の橋を確保し、対岸へ渡ったものの、アメリカ第75歩兵師団の猛反撃によって6ステップ中4ステップを失っている。ちなみにこのシナリオの、各ターン毎のステップ補充数は、連合軍が戦車1~3、歩兵9、ドイツ軍が戦車0~1、歩兵3となっている……

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さらに東では、盤内に進入したドイツ第2SS装甲師団が、アメリカ第3機甲師団の部隊を蹴散らして前進中。こちらでも、師団を支援中のV号ヤークトパンターが活躍している。ただし(写真ではぼやけている)北方では、アメリカ第7機甲師団が休養中なので、第2SS装甲師団の切っ先も、伸びきった後で、北から切断されるのではないかという懸念が……

と、第1ターンのみをソロプレイして、おさらいは終了。とりあえず両軍とも攻撃と防御が担える好シナリオかと。しかしバルジ戦序盤で、ドイツ軍が攻める場合には、個々の戦車ユニットの優秀さを頼みに攻められるが、アメリカ軍の場合、砲爆撃ポイントやステップ数の多さ、補充の多さを頼みに攻める必要があるなあと。今回もアメリカ軍は、潤沢な砲爆撃ポイントをぶつけて、各所でドイツ軍戦車に傷を負わせていた。密閉型(Hard)戦車ユニットは、砲爆撃に対して守りは堅く、ダイス1個振って6さえ出なければステップは失わないのだが、さすがに砲爆撃(上限)3ポイントを注ぎ込まれ、ダイスを3つ振られると、1個ぐらいは6の目が出るものだ。第2装甲師団先頭のV号パンター大隊も、その3ポイント砲爆撃をくらい、あえなく全滅。やはりこのBCSも、同じDean EssigがデザインしたOCS(Operational Combat Series)同様、砲兵がカギを握るゲームなのだろう。

恐らく今年中にシリーズ第3作「Brazen Chariots」(1941年の北アフリカ戦)も発売されると思うが、そちらが出たら、またいろいろ検証してみようと思う。

【Battalion Combat Series】「Last Blitzkrieg」Kampfgruppe Peiper AAR

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昨日は、2019年初、Karter氏と自宅会。お題は、昨年末から取り組んでいる「BCS:Last Blitzkrieg」の「Kampfgruppe Peiper」シナリオを選んでみた。もちろん基本ルールは、BCSv1.2を先行使用。選択ルールは使用せず。Karter氏も、昨年すでに「BCS:Baptism by Fire」をプレイ済みだったので、ユニット密度の高いバルジ戦でも、ルールを思い出すうち、さくさくと進められた。 

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シナリオは、ドイツ軍の攻勢開始2日目、1944年12月17日ターンから始まる。すでに攻勢初日の、ドイツ軍歩兵師団による突破口啓開は失敗したものの、ドイツ第1SS装甲師団パイパー戦闘団(このシナリオの主役)は、Lanzerath(C4318)まで進出している。シナリオは、12月21日までの5日間(5ターン)を扱い、どこまでドイツ軍が突破できるかが焦点となる。今回は、ドイツ軍をkarter氏が担当し、連合軍を自分が担当した。 

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まず第1(12月17日)ターン。ドイツ軍は早速、パイパー戦闘団から活性化。第2活性化も可能となったが、どちらも結果は「半減(Partial)=移動力半減」だったため、ロールバーン(進撃路)Dに沿って、Schoppen(C3321)までしか行けず。その後、第1SS装甲師団本隊が続こうとしたものの、前線にいる第3降下猟兵師団が、第1活性化「半減」のみしか動けず、重要な交差点を塞いだまま鎮座。仕方なく第1SS装甲師団本隊は、第3降下猟兵師団の上を乗り越えて、協調(Coordination)のペナルティを喰らいつつ、パイパー隊に追いすがった。このあたり、早くもKarter氏は、このバルジ戦で伝説となった交通渋滞の悪夢を感じていたようだ。

その途中、第1SS装甲師団を支援中のヤークトパンターと、アメリカ第2歩兵師団を支援中のM4シャーマンとの間で、複数回、停止射撃戦(Stopping Engargement:敵の射程内に入った時に発生する、臨機射撃のような射撃戦)が行われたが、質的に有利なはずのヤークトパンターが、あれよあれよと削られ、3ステップロスして全滅(第2ターンにかろうじて1ステップ補充されて復活)。Bullingen(C3822)を攻めた歩兵大隊も、DR2(最低)を出し、2ステップロスして敗退した。

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一方、Rocherath/Krinkelt(C4125)を目指す、ドイツ第277国民擲弾兵師団も、守備するアメリカ第99歩兵師団の砲撃(Barrage)によって、がりがりとステップを削られていく。この正面攻撃は、第277には無理と判断したドイツ軍は、師団を後退させ、その代わりに後続の第12SS装甲師団を投入。このあたりは、史実通りの展開か。しかし第12SS装甲師団も、ノルマンディ戦の頃とは違って、もはや精鋭部隊の面影は無く、歩兵大隊の練度=アクションレーティングも低くて泣けてくる……

ちなみにさらに北部には、フォン・デア・ハイテ大佐の空挺部隊が降下しているが(シュトエッサー作戦)、アメリカ軍増援の第1歩兵師団に攻められ、風前の灯火(それでも足止めはしている)。

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第2(12月18日)ターン。天候は曇りで、連合軍の航空機は飛んで来ず、視界も悪い(視度1ヘクスのみ=遠距離射撃ができない)。ドイツ軍は、運良くティーガー戦車の補充2ステップが到着したので、定数を割っていた第501SS重戦車大隊にこれを充て、完全定数4ステップとした。

これに気をよくしたのか、先手を取ったドイツ軍は、またもパイパー戦闘団から活性化。第1活性化は「半減」だったが、とりあえずMalmedy(C2324)に近づき、「成功」した第2活性化でこれを攻撃。完全定数となった第501SS重戦車大隊が、戦車や対戦車砲を持たない守備隊に対し急襲攻撃(Shock Attack:戦車で歩兵を蹴散らす、オーバーランのようなもの)をかけ、これを一蹴。勢いに乗る第501SSは、そのままFrancorchamps(C1826)のベルギー軍守備隊にも急襲攻撃をかけ、これも撃退。パイパー戦闘団は、要衝Spa(C1330)まであと4ヘクス(=4km)まで迫った。この猛進撃に『そりゃ戦車のいない歩兵部隊が、ケーニッヒスティーガー45台(完全定数)に襲われたら逃げるよね』と。

しかしパイパー隊の偵察中隊がStavelot(C1721)に迫った瞬間、橋が爆破されたため、部隊はいったんMalmedyまで逆戻りして、一級道路沿いにこれを攻めたが、Stavelot突入はならず。 

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結局、この第2ターン途中までプレイして、時間切れ終了となった。プレイタイムは、約5時間。やはり各フォーメーション毎にああだこうだ悩むので、1ターン完遂するには、それなりに時間がかかってしまうが、一度に動かすのは10ユニット程度なので、一手番の感触としては、かなり遊びやすい。そこらへんは、痛し痒しということだろうか。

Karter氏は、昨年5月以来のBCS再戦だったが、あらためて活性化の振れ幅の大きさに唸っていた。今回、主役のパイパー戦闘団は、だいぶ史実に近い線まで突破できたが、もし活性化に失敗していたら、心が折れるかもと。また第501SS重戦車大隊も、運良く補充が来たから良かったようなものの、第1ターンのティーガー損耗チェックだけで全滅する可能性もあり(2回活性化したら、2回損耗チェックを行い、どちらも失敗したら2ステップとも死ぬ)、そうなった時も心が折れると(^_^;)

シナリオとしてはかなり面白かったので、いずれまた触れようと思う。 

炎の騎士~ヨーヘン・パイパー戦記

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