Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Operational Combat Series】「Smolensk : Barbarossa Derailed」Campaign 8-19 July Solo-Play AAR

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日本各地からプレイ報告が上がる中、こちらも「OCS:Smolensk」のキャンペーンシナリオを味見することに。しかしマップ1枚とは言え、さすがOCS東部戦線。1人でセットアップしたら、結構疲れたので、初日は並べるだけで終了…… 

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さてプレイ開始。第1(7月8日)ターン。ドイツ軍は、最大のSP(補給ポイント)11を獲得。よしよしと思ったのもつかの間、南部で第3装甲師団が、渡河点であるBykhov(ヘクス1305)を攻撃したものの、ソ連第8空挺旅団(AR4)に撃退され、停止。ドイツ空軍も、8カ所で爆撃を行うも、目標を混乱(DG)させたのは1カ所だけというていたらく。早くも作戦が脱線(Derailed)し始めた…… 

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北部では、先にプレイした練習シナリオ通り、第1ターンのみでVitebskを奪取。ソ連軍は、ここでは反撃を加えず、後退して戦線を整えることにした。 

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第2(7月12日)ターンもドイツ軍先攻。第3装甲師団は、いったんBykhovで渡河したものの、またもソ連第8空挺旅団を斬り込み役とする果敢な反撃により、橋頭堡を守っていた歩兵連隊が除去されるハメに。そして要衝Mogilev(1510)に対しては、第10装甲師団とSSライヒ師団が共同攻撃をかけたが、立て籠もる第38NKVD連隊(AR4)が自らを犠牲にしてこれを死守。グデーリアンの第2装甲集団の道、険し、である。

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中央のOrsha(1818)では、両軍ががっぷり四つに。 

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第3(7月15日)ターン。ドイツ軍は、ヘクス1309に架橋し、第3装甲師団、第10自動車化擲弾兵師団、第1騎兵師団をMogilevの後方へ送り込み、これを包囲。ターン裏のソ連軍補給フェイズで、包囲下の部隊が続々と損耗・除去されたが、まだMogilev市内には部隊が2ステップ残っていた。これを救出せんと、ソ連戦車師団✕2による解囲攻撃が行われたが、第3装甲師団III-6戦車大隊が独力で撃退している。 

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Orsha正面にも、増援のドイツ軍歩兵師団が到着し、いざ正面攻撃……と思いきや、逆奇襲6シフトをくらって2ステップロス敗退という憂き目に。グデーリアンの心痛やいかばかりか…… 

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一方、ホト率いる北部の第3装甲集団は、第7装甲師団を先頭にSmolensk街道へ南下せんとしたが、Rudnya(2523)に立て籠もるソ連第127歩兵師団(AR3、このゲームに登場するソ連歩兵師団としては精鋭)が、爆撃で混乱しながらも、この攻撃を跳ね返している。一応、史実では、この7月15日ターンにドイツ軍はSmolenskを攻撃している。史実に沿わせるには、かなり修練を積まねば……

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第4ターンもドイツ軍先攻。Mogirevは、このターンに補給切れで陥落。ドイツ軍第3・第4装甲師団は、先のターンで解囲攻撃をかけてきた2個戦車師団を葬り、一気に突破口を開いた。ここから先、ソ連軍戦線は皆無に等しく、無人の野を行くが如しの状況だが、 補給線を鑑みるに、どこかでエクステンダーを用いなければならないような……(この時点まで、ちゃんと考えていなかった)

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ドイツ軍は、Orshaの南でも架橋マーカーを使用。第18装甲師団、第29自動車化擲弾兵師団を対岸へ送り込んだが、Orsha包囲にはほど遠い。

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北部では、再び第7装甲師団がRudnyaを攻めるも、またしてもソ連第127歩兵師団が頑強に抵抗し、Smolensk街道への道を塞いでいる。しかしこのターン、地図北端から登場したドイツ第19装甲師団、第18自動車化擲弾兵師団もSmolenskへ向かって南下。ソ連軍も、後方は手薄なので、とても守り切れるとは思えない…… 

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と、今回は第4ターンまで進めて終了。 まあ、初見の味見なので、とりあえず大まかなイメージだけつかめば良いかなと。それにしてもドイツ軍は進めていないし、だからと言ってソ連軍が守れているわけでもない。どちらもヘタを打ち合って、こうなったという感じ。ドイツ軍が、何ターン目にエクステンダーを組んで、どこで補給線を伸ばすかも全然考えていなかったし。一応、最後の写真を見ても分かるように、Smolensk街道の南で、ソ連軍がスカスカになっているので、そのあたり、どう攻めるか、どう守るか。

ドイツ軍も、多少無理をして攻撃・突進しなければならない場面も多々あり、そこにソ連軍が付け入る隙があるように見え、実際に反撃するあたりが、プレイ感としては好印象。まあ、どうしてもOCS東部戦線なので、プレイヤー負担が重くなってしまうが、マップ1枚に収まっているところは、ありがたい。ただし、ゲーム全体を上手く回そうとするには、まだまだ修練が必要だなと……

【Operational Combat Series】「Smolensk : Barbarossa Derailed」Vitebsk AAR

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今日は、秋葉原イエサブにてN村氏と「OCS:Smolensk」の「Vitebsk」シナリオを対戦……というか、N村氏の「OCS:Smolensk」初プレイ&検証にお付き合いという感じで。当然、N村氏がドイツ軍を担当。 

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先日の自分のソロプレイとは異なり、N村ドイツ軍は、ソ連第18戦車師団を放置。まずは第12装甲師団で、Vitebsk前面に陣取るソ連第14戦車師団オーバーランで吹き飛ばした。その後さらにVitebsk南ヘクスへ攻めかかるも、さすがに守備隊を除去しきれず。ならばと第7装甲師団が、やはりオーバーランで攻めかかり、見事にVitebsk南ヘクスを奪ったうえ、さらにVitebsk北ヘクスをも襲い、これを奪取。予備に指定していた第20自動車化擲弾兵師団が、Vitebsk北ヘクスに入り、守りを固めた。ソ連軍は、返す刀で3個歩兵師団による反撃を試みたものの、守りの堅い大都市に対して最低比率の戦闘比では効果があるはずもなく、2ステップロスして敗退。ドイツ軍の勝利と相成った……とまあ、実質プレイ時間は小一時間。そこからは、いつものように輪講会。

恐らく今回のプレイが、このシナリオの最適解であろうと。最終的にソ連軍の反撃に耐えうるSP(補給ポイント)を残すには、攻撃ヘクスを3カ所に絞り、ソ連第18戦車師団はスルーと。ドイツ第20装甲師団を使う余裕も無し。もちろんそこはOCSなので、いくら最適解でも、逆奇襲を喰らったり、爆撃が失敗すると、それをカバーする時間もSPも無いのが厳しいし、その厳しさがあるのが面白いと。

ただし本格シナリオやキャンペーンで、このシナリオと同様にユニットを動かすかと問われれば、それはまた違うと。よくOCSでは「たとえミニシナリオでも、キャンペーンプレイのようにプレイすべし」とは言われるが、さすがにこのシナリオは、パズルを解くように、あくまでシナリオ向けの駒さばきになるかと思う。恐らくソ連軍も、本格シナリオとなれば、無駄な反撃はせず、後退するだろう。そういった可能性を見据えつつ、本格シナリオに挑むのが良さそうだ。

その「OCS:Smolensk」本格シナリオも、フルマップ1枚とは言え、ユニット密度も高く、入門プレイヤー1人で全軍を指揮するのは、かなり難儀なのでは?という予想。ドイツ軍の進撃路も、補給線を鑑みると、なかなか難しい部分もあり、そろそろ海外OCSプレイヤーの盤面を見て、参考にしましょうかというあたりでお開きとなった。自分も次は、初期ショートキャンペーンに挑みたいとは思うのだが…… 

【Operational Combat Series】「Smolensk : Barbarossa Derailed」Vitebsk Solo-Play AAR

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「OCS:Smolensk」のカウンターを切り離したので、導入シナリオ「Vitebsk」をソロプレイしてみた。前回の記事で『個人的には、OCSであまり短いシナリオはやる気がしない』とは書いたものの、フルサイズのシナリオに向き合う時間がなかったし、とりあえずの通過儀礼(イニシエーション)ということで。

「Vitebsk」シナリオは、1ターンのみ。ヘルマン・ホト上級大将率いるドイツ第3装甲集団の3個装甲師団+1個自動車化師団が、Vitebsk市街2ヘクスを5SP(補給ポイント)のみで奪うことを目的とする。ユニット自前の弾薬ルールは使用不可。各装甲師団と自動車化師団のトラックには燃料が入っているため、動けることは動けるが、戦闘に使えるSPが5に限られているというあたり、パズルとして考えると、なかなか面白いバランスだと感じた。Vitebsk市街2ヘクスと、その前哨2ヘクスを5SP以内で攻撃するとなると、砲兵の使用は厳しく、SPを消費しない爆撃を活用するしか。ちなみに例の如く、選択ルール21.2の「ステップに比例した戦闘力」は適用と。

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まずは、あまり考えずにプレイしてみたが、Vitebskの南から攻めたドイツ第7装甲師団は、順調にソ連第18戦車師団(事前爆撃により混乱済み)を後退させ、突破モードでVitebsk南ヘクスへ隣接。しかしVitebsk正面に陣取るソ連第14戦車師団への爆撃は効果が無く、攻め寄せた第20自動車化師団も攻撃ダイスが(最悪の)2で、双方1ステップロスしたのみ。AR(アクションレーティング)差4があれば何とかなるかと思ったが、そんなことは無かった。北西から攻めようとしたドイツ第20装甲師団も、ソ連第186歩兵師団を1ヘクス後退させただけでストップ。いや、むしろこちらは攻撃する必要なかったか、補給ポイント的に。突破フェイズで、予備に指定していたドイツ第12装甲師団ソ連第14戦車師団を蹴散らし、ドイツ第7装甲師団がVitebsk南ヘクスを占領したものの、ここで補給ポイントがゼロに。あと少し補給ポイントが残っていたら、さらに予備モードにしていたドイツ第900歩兵旅団も投入できたはずなので、やはり第20装甲師団の攻撃はムダだったようだ。  

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ということで、さっさと盤面を巻き戻し、第2戦スタート。今回も第7装甲師団は、順調にソ連第18戦車師団を撃破して、突破モードでVitebsk南ヘクスへ隣接。しかしソ連第 14戦車師団への爆撃は、またも外れ、第12装甲師団による攻撃も失敗。ここまでは、第1戦とほぼ同じ。その後は、予備に指定していた第20自動車化師団が、突破フェイズの移動セグメントで第14戦車師団(残り1ステップ)に対して、やや危険ながらもオーバーランを敢行し、これを撃破。さらに第900歩兵旅団がVitebsk南ヘクスへ、これまた無茶気味なオーバーランをかけ、奇襲とダイス目に助けられ、どうにか守備のソ連第162歩兵師団+民兵スタックを街から叩き出した。さらに第7装甲師団の一部(都市攻撃に向いている歩兵やオートバイ兵)が、川を渡って北岸のVitebsk中心ヘクスを攻め、これを奪取した。

ソ連軍は、返す刀でVitebsk中心ヘクスに入った第7装甲師団スタックに砲撃をかまし、これを混乱させた後、3個歩兵師団(実質1.5個師団)による反撃を試みたが、再奪取はならず、ゲームエンドとなった。第7装甲師団スタックは、混乱と戦闘補給無しだったので、戦闘力1/4だったのだが。それでも最後のソ連軍の反撃は、自分でもシナリオ的なプレイだと自覚しているし、キャンペーンプレイなら行わないと思う。ただ一応、このシナリオ内でも最後に殴り返せるチャンスはあると。

全般的に、ドイツ軍側に立てば、パズル的な思考で、ムダ無く効率的な攻撃を覚えられるシナリオだと思った。巻き戻しも簡単なので、何度かプレイして、スタックの攻撃順や、オーバーラン、爆撃、ヒップシュートの使い方が学べるかなと。

【Operational Combat Series】「Smolensk : Barbarossa Derailed」

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プレオーダーしていた、OCS(Operational Combat Series)の第17弾「Smolensk:Barbarossa Derailed」が到着。本作は、その名の通り、1941年7月8日~9月8日にかけてのスモレンスク周辺の戦闘を扱っている。なんとなくOCS版「Panzer Gruppe Guderian」といった趣である。

本作は、フルマップ1枚と手頃だが、同じく1マップの「OCS:Reluctant Enemies」はシリア戦線というお題がマイナーだったし、やはり1マップの「OCS:Sicily II」は陸海空の統合作戦が味わえる反面、航空・海上ルールの比重も高く、敷居の高さがあった。その点、本作は陸上戦闘メインだし、ウォーゲーマーには知名度のあるテーマなので、OCS入門者には一番向いているかもしれない(本作のみの特別ルールも、たった4ページしかない。慣れていれば直読みでイケるレベル)。 

そしてこの「Barbarossa Derailed(脱線したバルバロッサ)」というサブタイトルは、日本でも「詳解 独ソ戦史」でお馴染みのDavid.M.Glantzの著作から取られていると思う。この著作、スモレンスク戦だけで4分冊という大ボリュームなのだが(自分も全部は読み通せていない)、実はドイツ軍のソ連侵攻・バルバロッサ作戦は、開戦序盤の、このスモレンスク戦から脱線していた、綻びが見え始めていたという解釈で書かれている。ソ連軍は、大規模な反撃には成功しなかったし、スモレンスクも奪われてしまうものの、各地で果敢な反撃を見せ、ドイツ軍の電撃突破を封じて『フランスとは違うのだよフランスとは!』と思い知らせたらしい。またドイツ軍は、鉄道のゲージ変換の遅れに伴う補給の遅延にも苦しんだようで、そのあたりの解釈が本作にも反映されているようだ。他にもスモレンスク戦に関しては、David.Stahelの著作も参考になると思う。 

Operation Barbarossa and Germany's Defeat in the East (Cambridge Military Histories)

Operation Barbarossa and Germany's Defeat in the East (Cambridge Military Histories)

 

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1枚のみの地図盤は、オルシャ~スモレンスク~ヴィヤジマに至る街道を中心に。「OCS:Guderian's Blitzkrieg II」の地図盤と繋げてみると、モスクワが遙か彼方に…… 

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こちらは、ドイツ軍のカウンターシート。「OCS:Guderian's Blitzkrieg II」とほぼほぼ同じなので、特に目新しい部分は感じず。しかしこれだけ強力な装甲師団ユニットがあっても、各ターンに届く補給ポイントは、ゲーム前半(8月19日以前)で平均7、後半になると平均3と目も当てられなくなる。このあたりも、ドイツ軍が、早くもこのスモレンスク戦の時点から補給に苦しんでいたという解釈の反映だろうか。

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驚いたのは、ソ連軍に複数ステップの戦車師団ユニットが登場し、20~14戦力が与えられていること。「OCS:Guderian's Blitzkrieg II」では、6戦力の戦車旅団か、4戦力の戦車大隊ばかりで、正直、反撃する気も起きない能力値だったが、これなら一応、戦力だけはまともに見える(AR=アクションレーティングは、相変わらず低い1のままだが)。もちろん、いくら戦力が高くても、さすがにAR1では単独で反撃する気にはならないが、AR3のオートバイ連隊と組み合わせれば『ワンチャンあるかも?』と思えるかもしれない。いやそれよりも、AR4の精鋭NKVD国境守備隊の上にこの戦車師団を置いて隠し、攻めてきたドイツ軍にはAR4で逆撃を……

そう言えば田村尚也氏の「各国陸軍の教範を読む」でも『ソ連軍はスモレンスク戦で、整然とした攻撃をしようとしても無理だったが、これを遭遇戦と捉えて、損害が出ても良いから、とにかくドイツ軍装甲師団の足止めをした』と書かれていたが、そういった徒花的な攻撃を仕掛けるためにも、この戦車師団ユニットが必要なのだろう。恐らくARの低さから、ソ連軍の攻撃はほとんど失敗に終わるだろうが、そこはOCS、どこか一カ所ぐらいは思わぬところで反撃に成功する可能性も微かに……

各国陸軍の教範を読む (ミリタリー選書 38)

各国陸軍の教範を読む (ミリタリー選書 38)

 

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予告通り、60個以上のOCSシリーズ訂正カウンターが付属。 

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OCSの基本ルールは、v4.3に更新。大きな変更はなく、明確化とエラッタの反映が主のようだが、まだ細かい部分は未確認。チャートもレイアウトが変わったが(青い……)、こちらも数値的な変更は無いと思う。太字を多くして読みやすくしたのは、OCSプレイヤーの高齢化に対応したのかも?

収録シナリオは、導入用の「Vitebsk」(1ターンのみ)、フルキャンペーン(19ターン)、ショートキャンペーン(8ターン)含めて、7本。個人的には、OCSであまり短いシナリオはやる気がしないので、とりあえずショートキャンペーンから味見をしてみようと思う。

【参考文献】「餓死した英霊たち」

餓死した英霊たち (ちくま学芸文庫)

餓死した英霊たち (ちくま学芸文庫)

 

文庫化された「餓死した英霊たち」を購入。日本軍人の戦没者230万人のうち、過半数は、戦闘行動による戦死者ではなく、(完全・不完全)飢餓による死者であるとの分析。その背景にあった補給・兵站の軽視や、作戦を事実上動かしていた中堅参謀たちの横暴さ、精神主義への傾倒といった、よく言われる日本軍の歪みが、各地の戦場で、普遍的に蔓延していたという分析でもある。自分もガダルカナルインパールでの惨状は読んだことがあるが、太平洋の孤島に取り残された守備隊の孤立状況を目にしたのは初めて。ウォーゲームでも「補給切れ⇨孤立⇨ユニット除去」という状況はままあるが、その失われたコマたちがどのように死んでいったかの記録として読むと、そのような稚拙な作戦は避けなければと強く思う。

ちなみにTSWWでは『日本軍兵士の多くは農民出身だったので、孤島にいる場合でも、畑を作って自給自足を整えていた』ので、孤立した場合でも、除去判定を1ターン(半月)憂慮してもらえるというルールがある。うん、まあ、半月ぐらいは持ちこたえるかもしれないが、本書を読むと、その処理もどうなのかなあと思ったり。

【Company Scale System】「Montelimar : The Anvil of Fate」Opening Blows : 11th Panzer Attacks ! Solo-Play AAR

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CSS:Montelimar」のシナリオ3「Opening Blows : 11th Panzer Attacks !」をソロプレイしてみた。本シナリオは、先にプレイしたシナリオ1と2を合併させた形で、1944年8月22日のドイツ第11装甲師団による攻撃を、0700時~2100時ターンまでの全8ターンで再現するもの。

攻撃側のドイツ軍は、事前に東か西か、自軍の主攻勢軸を密かに定め、それによって連合軍の拠点を奪った際の勝利得点が変わってくる。西寄りなら、連合軍の高地陣地(ヘクス1843の300高地、ヘクス2343の294高地)にぶつかってしまうが、部隊は集中しやすい。東寄りなら、連合軍もまばらに展開しているため攻めやすいようにも見えるが、中央突破を図る形になるので、複数方向から逆撃を喰らう可能性もある。東西どちらを主攻勢軸にするか考えさせられる分、面白いシナリオだと思う。今回は、西寄りの策を取ったが、さてどうなるか。

また両軍ともに、相手に勝利得点を献上する形で増援部隊が得られる。ドイツ軍は、装甲擲弾兵1個大隊とV号パンター戦車2個中隊、連合軍はM4シャーマン戦車2個中隊とM10駆逐戦車1個中隊。先のシナリオ1と2では、イベントのダイス目次第で登場するかどうか分からなかった戦車隊が、ここでは勝利得点さえ払えば必ず登場するので、戦車戦を体験したい方は、このシナリオ3を選択するのが吉かと。今回も当然、両軍の増援を出すことにした。

それからシナリオ特別ルール1の「ドイツ軍の補給不足(German Supply Shortages)」は、特別ルールではなく、ダイス目1のイベントとのこと(Board Game Geekにデザイナーからの解答あり)。

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さてソロプレイ開始。第1(0700時)ターン。先陣を切って登場したドイツ軍第11装甲師団の捜索大隊は、Montelimar市を通過し、奪取目標のひとつである300高地を目指した。第3中隊は早くも高地麓のCharge(1744)に達したが、連合軍はこれをM8装甲車中隊と阻止砲撃で牽制。また後方に控えていたM3スチュアート軽戦車中隊も、捜索大隊の本部に肉薄している。同時に登場したドイツ軍第71高射砲連隊(高射砲は持たず歩兵化しているが)は、徒歩でMontelimar市を通過中。 

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第2(0900時)ターン。ドイツ軍第71高射砲連隊と足並みを揃えて、このターン増援の第11装甲師団第110装甲擲弾兵連隊がSauzet(2644)へ突進。この村に陣取るButler任務部隊の司令部に襲いかかった。連合軍は、東に配置していた第132、第133野戦砲兵大隊を西に配置転換し(そうしないと主戦場を射程内に収められない)、猛砲撃を加えてドイツ軍の前進を阻み、Chargeに達したドイツ軍中隊を吹き飛ばした。 

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第3(1100時)ターン。連合軍は、TF Butler司令部に迫ったドイツ軍1個中隊を砲撃で吹き飛ばし、M8装甲車中隊2個で、逆に第110装甲擲弾兵隊司令部を襲わせた。しかしドイツ軍もMontelimar市内に配置した砲兵部隊から阻止砲撃を浴びせ、フランス国内軍1個中隊を除去。手の空いた第71高射砲連隊は、294高地に取り付いている。

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またこのターン、増援として登場した第11装甲師団第111装甲擲弾兵連隊は、ほぼガラ空きになった東へ突進。奪取目標のひとつ、Cleon d'Andran(4741)に迫っている。連合軍もこのターン、増援のM4戦車2個中隊、M10駆逐戦車1個中隊が登場しているが、あいにくまだ前線には達していない。

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第4(1300時)ターン。このターンは、ドイツ軍の大攻勢となった。まず第110装甲擲弾兵連隊が、間接砲撃と射撃によってTF Butler司令部を除去。続いて第71高射砲連隊が294高地に立て籠もっていたアメリカ軍中隊を潰走(Rout)。続けて、このターン増援の第15装甲連隊のV号パンター2個中隊が来援。邪魔なM8装甲車中隊を瞬殺し、そのまま北へ突破を開始した。

これに対して連合軍も、増援のM10駆逐戦車を東から、M4戦車中隊を北から送り込み、ドイツ軍の突破を防ごうとしているが、ドイツ軍は、75mm対戦車砲を据えてM10駆逐戦車を牽制している。

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さらに東では、第110装甲擲弾兵連隊が、指揮官Ruepprecht少佐自ら白兵戦を指揮して、Cleon d'Andranを奪取。連合軍は、M4戦車と間接砲撃で阻止を図るが、なにせ手数(ユニット数)が足りなすぎる……

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第5(1500時)ターン。両軍戦車隊は、至近距離で撃ち合うも、どちらも決定打が出ず。294高地を落とした第71高射砲連隊は、続いて300高地にも向かっている。

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あとまだ3ターン残っていたが、あいにく時間切れにて今回はここまで。とは言ってもこの時点で、連合軍は勝利得点34点(ユニット除去10点、拠点支配14点、増援10点)、ドイツ軍は勝利得点38点(ユニット除去25点、拠点支配10点、増援3点)であり、このままドイツ軍有利に展開するかなと思う。連合軍としては、序盤でドイツ軍偵察大隊を警戒し過ぎ、Butler司令部に敵を近づけてしまったのが敗因のひとつ。M3軽戦車とM8装甲車で薄いながらも防御線を張るべきだった。まあ結局は、後から出てくるパンター戦車に一蹴されるのだろうが……

しかしマップ2枚と場所は取るが、『主攻勢軸はどこなのか?』を両軍ともに考えさせられるシナリオなので、実際、対戦プレイをしたら、かなり面白いと思う。戦車が必ず登場するという派手さも含めて、この「CSS:Montelimar」で一番遊ばれるシナリオはこれだと思う。ユニット数もあまり多くないし、対戦するにしても、一日あれば十分終わりが見えるところまで行くはず……今のところイチオシ。

【Company Scale System】「Montelimar : The Anvil of Fate」Opening Blows : Strike to the East Solo-Play AAR

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CSS:Montelimar」のシナリオ2「Opening Blows : Strike to the East」をソロプレイしてみた。先週プレイしたシナリオ1「The Faint」が陽動作戦編だとすれば、こちらは、ドイツ軍第11装甲師団主隊による突破の本編である。とは言え、ドイツ軍側で登場するのは、装甲擲弾兵4個+砲兵2個中隊のみ。イベントで増援が来れば、さらに装甲擲弾兵2個+迫撃砲1個+V号パンター2個中隊が来援するが、それが来ない場合、独力で渡河点2つを制しつつ、アメリカ軍が陣取る対岸の拠点3カ所を奪わなければならない。

一方の連合軍は、Roubion川の南岸にフランス国内軍(レジスタンス)の3個歩兵中隊を展開させ、北岸には歩兵1個+砲兵4個中隊+M5軽戦車1個中隊を配置。こちらも3つの拠点を守りつつ、2つの渡河点を制することが課せられているが、砲兵は潤沢にあるものの、正面戦力としては頼りない。ある意味、連合軍も増援(歩兵2個+M8装甲車2個+M4戦車2個+M10駆逐戦車1個)頼みという状況である。 

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まず第1(1100時)ターン。派兵ポイント2を支払って先手を取ったドイツ軍は、第110装甲擲弾兵連隊チットを活性化。ハーフトラックに乗車したまま、フランス国内軍の隣接ヘクスをすり抜け、一気に2つの渡河点を目指すことにした。ドイツ軍としては、戦力も頼りなく、連合軍に渡河点に籠もられた後で奪い返すのは難しく、それよりは先に渡河点を確保し、いつ来るか知れない増援が来るまで堪え忍ぶ方が良いのでは?と思った次第である。

しかし、最初にフランス国内軍ユニットの射撃ゾーンをすり抜けようとした装甲擲弾兵第3中隊が、臨機射撃をくらったあげく、潰走チェックにもしくじり、いったん盤外へ退出。それでも国内軍ユニットは、それっきり臨機射撃のチャンスを失ったため、後続の第110連隊ユニットは撃たれることもなく、Roubion川の渡河点、St.Gervais(2948)とCharois(5046)へ進出。続く第11装甲師団チットで、渡河点に達した装甲擲弾兵中隊は下車し、渡河点を確保。潰走したばかりの第3中隊も、連隊司令部の隣接ヘクスに復活し、2つの砲兵中隊は、Bonnevache(3749)付近の森に展開した。

これに対して、担当戦区をまんまと突破されたフランス国内軍も、急ぎSt.Gervaisの渡河点へ向かうが、すでに展開を終えたドイツ軍砲兵に射すくめられている。しかしイベントにより連合軍側にイニシアチブが移ったため、次ターン以降は、先手チットを購入・活性化できるようになった。

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第2(1300時)ターン序盤、イベントチットにより、早くも連合軍増援が登場。地図北端から南下してきたM10駆逐戦車中隊が、St.Gervaisの渡河点そのものである、ヘクス4048の森に到着。オープントップの薄い装甲を森林の防御効果でカバーしようという腹づもりである。

対するドイツ軍は、対戦車支援火器パンツァーファウスト(火力+2)を受領していた第1装甲擲弾兵中隊に、フランス国内軍司令部への攻撃を命じていたが、急遽これをSt.Gervaisに呼び戻し、連隊指揮官Thieme中佐直率の下、渡河点のM10駆逐戦車攻撃に差し向けた。M10駆逐戦車中隊は、まだ移動モードだったため、大損害を被る可能性大ではあったが、ドイツ軍の攻撃は不発となり、使い捨てのパンツァーファウストも失われてしまった。 

また連合軍の間接砲撃によって、ドイツ軍の10.5cm砲兵中隊が潰走。これもすぐ盤上に復帰したのだが、『敵射撃ゾーン内には復帰できない』というルールのため、仕方なく敵射撃ゾーンではないけれど、敵の射撃が当たりやすいヘクス3849の平地に登場し、またすぐ砲撃を喰らうという有様だった。

(追記)上記はルール間違い。潰走したユニットが復帰するのは、フォーメーション司令部ではなく、師団司令部のいるヘクスか隣接ヘクス。つまり師団司令部が登場するまでは、盤上に復帰できない。

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第3(1500時)ターン。連合軍は、このターンも先手を打って間接砲撃を叩き込み、ドイツ軍砲兵を無力化しつつ、増援をSt.Gervaisに結集。ちなみにこの写真の遥か東である、Charoisの渡河点にも、M4戦車中隊1が送り込まれ、ドイツ軍第5装甲擲弾兵中隊に射撃を加えている。ドイツ軍は、回復に徹しつつ、現状を維持するしかできない。 

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第4(1700時)ターン。Charoisの渡河点を守っていた第5装甲擲弾兵中隊が、M4戦車中隊に撃たれて潰走チェックにしくじり、盤外へ退出。その機を逃さず、空いたCharoisへM5軽戦車中隊が滑り込み、これを確保した。また間接砲撃により、再びドイツ軍砲兵中隊も盤外へ潰走している。

ところが、St.Gervaisに立て籠もった第110装甲擲弾兵連隊本部は、すでにその周囲をすべて連合軍の射撃ゾーンに囲まれ、潰走したユニットを復帰させる余地が無い。連合軍は、残るドイツ軍ユニットに射撃を集中し、撃たれるドイツ軍は、もはや回復に徹するしかなかった。(追記:上記もルール間違い)

それにしてもドイツ軍の増援はいつ来るのか……V号パンター隊はいずこ……

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最終第5(1900時)ターン。ここまで毎ターン、師団チットを投入し続けていたドイツ第11装甲師団は、師団の疲労レベルが5を越えたため、部隊練度が1低下。そうでなくても、回復を上回る損害を被り続け、遂には連隊司令部を残して部隊は全滅した……。

さすがに戦車・歩兵・砲兵の協調攻撃(しかも包囲攻撃)を喰らっては、ドイツ軍も為す術無しだった。しかし連行軍の増援が無かったとしたら、ドイツ軍としては、どうすれば良かったのか。渡河点に砲兵を展開させ、装甲擲弾兵はそのままRoubion川を一気に北上させ、連合軍の砲兵陣地を奪うのが良いかもしれない。フランス国内軍が、ドイツ軍砲兵陣地に攻め寄せる可能性もあるが、レジスタンスにはチットが無く、直接活性化するにも倍のポイントがかかるため、おいそれとは動けないはず。なので、いっそフランス国内軍は無視して、川を渡ってしまって良いかも。

しかし、連合軍の増援が来なければ、逆に連合軍としても為す術が無いので、増援の有無に非常に左右されるシナリオだと思う。シナリオ1と同様、非常に地味な展開になるかもしれないし、非常に派手な展開になるかもしれないという、振れ幅の大きいシナリオかと。もし増援が出てこなくても、多分プレイ時間も短くて済むので、気を取り直してもう一回最初から……ぐらいの心持ちで臨むのが良いのかも?

ちなみに今回のプレイで気になった点。兄貴分のGTS(Grand Tactical Series)では、『砲兵は、敵ユニットに隣接されると間接砲撃不可になり、射程も1になる』というルールがあったが、CSSでは見当たらなかった。今回のソロプレイでも、ドイツ軍の間接砲撃を防ぐため、フランス国内軍ユニットを隣接させたが、特にそういったルールが無かったため、無為な行動になってしまった。基本、GTSよりCSSの方が、全体的にルールがゆるくなっているが、GTSの処理方法は結構納得できていたので、個人的には残念な省略だなあと。まあ、こういった戦術面が再現されるゲームでは、デザイナー側の『どこまで、どう再現するか』と、プレイヤー側の『どこまで、どう再現して欲しいか』が合致しない場合がままあるし、あくまで個人的な好みということで……

[追記]コメント欄でのYSGA山内様のご指摘にもありましたが、ユニット隣接による射程の制限はCSSにも健在でした。失礼いたしました&山内様、ご指摘ありがとうございました。