Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Company Scale System】「Guam:Return to Glory」The Devil's Horns Solo-Play AAR

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CSS(Comapny Scale System)シリーズ「Guam:Return to Glory」のシナリオ3「The Devil's Horns」をソロプレイしてみた。本シナリオは、1944年7月21日のサイパン島アサン海岸へのアメリカ第3海兵師団の上陸戦闘を扱うもの。全7ターン。使用範囲は、ハーフマップ程度と、手頃に遊べるサイズだ。

守る日本軍は、上陸海岸の隣に海軍砲3ユニットを配備し、主力は海岸から1km(2ヘクス)内陸の、断崖上に陣地と塹壕を築いている。また山間部には、第48独立混成旅団の砲兵5ユニットが潜み、北には機動予備として第321大隊と戦車中隊が控えている。史実の日本軍同様、砲爆撃に備えてサイパン戦よりも陣地を強化したうえ、隙あらば上陸海岸に突っ込んで、水際撃滅を狙う形になっている。

攻めるアメリカ軍の上陸初日の目標は、正面の断崖陣地だが、さてどうなるか。 

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まず第1(0700時)ターン。アメリカ軍の事前砲爆撃は、さしたる効果も無く、日本軍は空きヘクスに待ち伏せユニットを配置し、さらにイベントで狙撃兵を召喚。アメリカ軍に砂浜から出る隙を無くして上陸を待った。上陸第一波は、グリーン・ビーチで混乱3となった他は、無事、砂浜に揚がっている。

第2(0900時)ターン。またもアメリカ軍の砲爆撃はイマイチ。最初に活性化した第48独立混成旅団は、増援のFurukawa大尉率いる第321大隊+第9戦車連隊第2中隊をもって、上陸海岸レッドビーチ1に接敵。あいにく第2アクションの射撃は外れたが、これを観測部隊として、山間部の砲兵5ユニットがレッドビーチ1へ全力砲撃を叩きこみ、見事、上陸第一波の海兵第3連隊の2個中隊を除去。さらに空いたレッドビーチ1へ歩兵1個中隊を滑り込ませ、早くも上陸海岸を占拠した。

レッドビーチ1を奪われたアメリカ軍だが、早く上陸海岸を出ないと、渋滞による混乱を被ってしまうため、レッドビーチ2のスタックは、内陸へ前進。この後、先に日本軍直接指揮チットが出ればレッドビーチ2まで奪われる可能性もあるが、このターンは、アメリカ軍師団チット1、連隊チット3を投入しているため、アメリカ軍側のチットが先に出るだろうと予想し、あえて海岸をがら空きにした。

しかし、アメリカ軍のこの決断が命取りに。直後に引かれたのは、まさかの日本軍直接指揮チット(確率1/8)。すかさずFurukawa大尉の第321大隊が、レッドビーチ2まで奪い、アメリカ軍の上陸地点を2つ封鎖した。当然、この後引かれた上陸チットでは、レッドビーチ1&2に上陸できず。またこの状況を如実に反映したかのように、イベントで第3海兵師団の部隊練度が1低下。それでもグリーン・ビーチに揚がった海兵スタックが、レッドビーチ2へ白兵戦を仕掛け、なんとかこれを奪回。しかしアメリカ軍の上陸スケジュールは、大幅に変更を余儀なくされた…… 

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第3(1100時)ターン。先手を取ったアメリカ軍は、奪われたレッドビーチ1に砲爆撃を集中し、日本軍2個中隊を除去。残った日本軍戦車中隊には、隣のレッドビーチ2から海兵中隊2個+LVTアリゲーター戦車中隊1個で白兵戦を挑み、なんとかレッドビーチ1も奪回した。しかし日本軍第321大隊の残余が、再びレッドビーチ1に隣接。先のターンと同様、観測役を務め、上陸後に混雑しているレッドビーチ1に、またも間接砲撃を叩き込み、海兵中隊3個とアリゲーター中隊1個を全滅させた。そしてまたこの戦況を反映したかのように、イベントで第48独立混成旅団の部隊練度が1上昇。日本軍の水際撃滅作戦は、功を奏しつつある……

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第4(1300時)ターン。アメリカ軍は、先手で航空支援チットを引き、レッドビーチ1に入り込んだ日本軍中隊を空爆で吹き飛ばした。しかしこのターンの日本軍増援、Miyanashi大尉率いる第319大隊がタイミング良く駆けつけ、空いたレッドビーチ1に滑り込んでこれを維持。これがまた観測役として、今度は隣のレッドビーチ2へ砲撃を叩き込み、ここでも海兵中隊2個を全滅させ、空いたレッドビーチ2を再奪回した。そしてこの戦況をまたもや反映したかのように、イベントで日本軍第29師団の部隊練度も上昇。

アメリカ軍も、再び隣のグリーンビーチからレッドビーチ2を攻め、日本軍中隊を潰走させて、レッドビーチ2を再奪回したものの、時間も無かったため、今回はここでソロプレイを終えた。

感想。アメリカ軍としては致命的な判断ミスを冒したし、日本軍としては勝機につけこんでやれるだけのことはやった感がある。前作「Saipan:The Bloody Rock」も併せて、上陸海岸を日本軍が奪ったのは初めてだが、このような短期シナリオでは決定的一撃となることが分かった。もちろん所詮、防御効果の無い砂浜ヘクスなので、日本軍がいったん奪っても、すぐ砲爆撃で潰されてしまうのだが、次から次に継続的に部隊を送り込んで海岸を占拠し続け、隣接する海岸に間接砲撃を誘導すれば、アメリカ軍に重大な損害を与えられる。しかしまさか最初の4ターンで海兵7個中隊、LVT1個中隊が除去されるとは……。

まあ、今回は日本軍砲兵も大活躍したが、GTS(Grand Tactical Series)で見られた、砲兵と連絡を付けなければならない制限や、その連絡が途絶える可能性が、CSSではばっさり削除され、システムとしてユルくなったのも、活躍の一因かもしれない。

しかしこれがもしキャンペーンシナリオを始めるつもりだったなら、アメリカ軍プレイヤーが『お願いだから最初からやり直そう』と言い出しかねない状況だった。とりあえず、上陸海岸を日本軍が奪うと、アメリカ軍がどれだけ酷い目に遭うかが分かっただけでも収穫である。以後、気をつけよう……