読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの置き土産

GMT「Thirty Year's War」

f:id:crystal0207:20140318214001j:plain

【回顧録:この記事は2014年3月に回想した記事である】

GMT「Thirty Year's War」を購入した日付は記録していない。2001年に出版されてすぐ買った気もするが定かではない。ただ後に、一枚紛失したカードを販売店に注文したメールが残っている。その日付である2002年11月9日に、本作のレビューを記しておこう。

本作はタイトル通り、17世紀ヨーロッパにおける三十年戦争全体を扱った戦略級キャンペーンゲームである。システムは、所謂カードドリブンである。手札に書かれたポイントで行動するか、手札に書かれたイベントを起こして勝敗を競うとでも書けばいいだろうか。この時期のGMTは次から次へとこのシステムのタイトルを発表していたように思う。自分も当時はいろいろとカードドリブンゲームを買ってみたが、好みのゲームは少なく、そのほとんどを手放してしまった。しかしその中でも「これはずっと手元に置いておきたい」と感じたお気に入りゲームのひとつが本作である。

ゲームスケールは、1ターン=2年。全14ターンで三十年戦争全般を包括する。本作の特徴は、やはり略奪による都市の荒廃だろう。軍隊は移動するたびに、その経路である都市から略奪を行わなければならない。両軍プレイヤーは毎ターン開始時、略奪された都市の回復を試みるが、すべての都市が回復できるとは限らない。そのうち疫病イベントなどで都市の荒廃は進み、やがてのうちに盤上は足の踏み場も無いほど略奪マーカーだらけになっていく。初めてプレイした時はその惨状に唖然としたものだ。

しかし傭兵主体の当時の軍隊事情から云えば、まさしくこのような状況だったろうし、ドイツ全土を荒廃させた三十年戦争がよく理解できる作品だと感じた。勿論高名なスウェーデングスタフ・アドルフII世、傭兵隊長ヴァレンシュタイン、フランスの若きコンデ公などきら星の如き将星も登場するが、ゲーム全般を貫くトーンはあくまで暗く、陰惨な幕切れに向かって一歩ずつ歩む感覚すらあった。

しばらくプレイとは遠ざかっているが、好きなカードドリブンゲームは何かと訊かれたら、自分の場合、本作の名を挙げるだろう。ただ楽しいゲームと云うよりも、陰鬱なゲームだと思っているが。

ヨーロッパ史における戦争 (中公文庫)

ヨーロッパ史における戦争 (中公文庫)

 
ヴァレンシュタイン (岩波文庫)

ヴァレンシュタイン (岩波文庫)