Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

GMT「Here I Stand」

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とうとう16世紀マルチゲーム「Here I Stand」を買ってしまった。初版が発売されたのは2006年。当時の自分は「マルティン・ルター宗教改革カードドリブンゲーム?  なにそれ全然分かんないし、どこが面白いんだかさっぱり」と、あっさりスルーしたが、それを思い返すとずいぶん遠くまで来たものだ。

今回入手したのは2010年再版バージョンで、ゲーム盤は厚手のデラックス仕様、C3i誌掲載の2人用カードも同梱され、訂正&追加カウンターも付いているありがたい内容。

本作の1ターンは4~6年を表し、ゲームが始まるのは1517年。つまりルターが95ヶ条の論題(カードNo.8)をマインツ大司教に送りつけ、ローマ教会と断絶した時代に始まり、やがてドイツ農民戦争(No.88)、カルヴァン派の台頭などを経て、1555年のアウグスブルグ宗教和議により神聖ローマ帝国内においてルター派の活動が認められるまでを扱っている。

シナリオは1517年スタート、1532年スタート、トーナメント、2人用があり、 基本的には6人で、あるいは3~5人でもプレイ可能なようだ。各プレイヤーが担当するのは、新教徒プロテスタントローマ教皇神聖ローマ帝国(ハプスブルグ家)、イングランド、フランス、オスマントルコ。各勢力は、規定された数のキー・スペースを盤上で支配すれば勝利だが、それはなかなか難しいらしく、結局は勝利ポイントで競うのだろうか。勝利ポイントは、盤上のキー・スペース数獲得だけではなく、 新教徒なら聖書の翻訳、ローマ教皇ならサン・ピエトロ大寺院の建設、イングランドなら国王ヘンリーVIII世に男子後継者が生まれたかどうか等、各勢力独特の特殊勝利ポイントも設定されている。さらに各勢力共通の勝利ポイントとして、宗教論争による勝利、新大陸への探検航海、イタリア戦争(No.12)なども関係し、ぱっと見ただけでは、どんな勝ち筋をたどればいいか、まだ分からない。

ゲームには、当時の事件・人物が散りばめられており、カードにも、ヘンリーVIII世の6人の妻(No.3)、シュマルカルデン同盟(No.13)、 ハレー彗星(No.38)、スペイン異端審問(No.58)、ザクセン公マウリッツ(No.60)、アンドレア・ドリア(No.68)、ローマ掠奪(No.95)、黄金郷探索(No.98)が登場。戦闘系カードには、イェニチェリ(No.1)、テルシオ戦術(No.30)、ランツクネヒト(No.33)、スイス傭兵(No.36)、アキンジ騎兵(No.66)があり、他にも、マキャベリ君主論(No.40)、コペルニクス(No.47)、 ミケランジェロ(No.52)、メルカトル図法(No.50)、活版印刷術(No.90)などルネッサンス期を代表するアイコンが数多く使われている。

なかなかメンツの集まりにくいゲームだが、7月のYSGA「Here I Stand 初心者会」に混ぜてもらえればなとも思っている。年末には続編「Virgin Queen」も出る予定。 そちらは1558~1598年を扱うそうで、となるとフランスのユグノー戦争、 エリザベスI世とスペイン無敵艦隊の戦いが入るワケで、これまた期待大である。