Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】コリン・グレイ「戦略の未来」

戦略の未来

戦略の未来

 

「現代の戦略」「戦略の格言」でも知られるコリン・グレイ教授の「戦略の未来」を購入。 戦略には、時代や場所を選ばない「本質(Nature)」があるとして、それを一般理論化しようとする試み。たしかに根本的な戦略の仕組みについては、ああなるほどと思う一方で、核兵器という超越的な要素の扱いにくさも納得した。試みとしては興味深いが、核兵器込みで、戦略を一般理論化するのは難しそうだなと……

【Wargaming Column】硬質PVC製カード(チャート)スタンド

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今日は、友人とぶらりGM2018初日に。と言っても、購入したのは「硬質PVC製カードスタンド」(1本500円)2本のみ。本来の用途はカードスタンドだが、それなりに重さと安定性があるため、チャートスタンドとしても使用できるとのこと。 なにしろ我が家にはもう、カードを使うゲームは皆無なので……

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たとえばこんな風に、横型チャートを、クリアホルダーに入れたまま、マルチディスプレイの如く配置できるわけだ。イイぞ。

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地図盤の空いている部分に置くのもイイ。ただしCSS(Company Scale System)の場合、横型チャートと縦型チャートを併用するが、縦型チャートはちと厳しい。

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GTS(Grand Tactical Series)は、縦型チャートオンリーなので、紙のままスタンドに差すと反ってしまう。と言ってクリアホルダーに入れて差すと、安定が悪くて倒れてしまう。スタンドの底面に両面テープを貼って安定させる手もあるが、基本的には横型チャート向きということか。

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ASL(Advanced Squad Leader)は、スタンド2つでは対応しきれないほど多量のチャートを参照するが、とりあえず歩兵火力表と砲兵器命中表を差すだけでも、テーブル上の混雑が緩和されると思う。

というわけで、またウォーゲーム便利グッズが増えたので、プレイが楽しくなりそうだ。

【参考文献】「砲兵から見た世界大戦 機動戦は戦いを変えたか」

「砲兵」から見た世界大戦: ――機動戦は戦いを変えたか (WW2セレクト)

「砲兵」から見た世界大戦: ――機動戦は戦いを変えたか (WW2セレクト)

 

第一次世界大戦から、戦間期を経て、第二次世界大戦を進む中で、砲兵という兵種がどのように運用され、また変化していったかを解説した一冊。これはかなり面白かった。と言うのも、大概のWWIIウォーゲームでは、戦車の効果はそれなりに表現されていても、砲兵を「単なる物理兵器」として表現している作品が多いからだ。本書では、いかに砲兵が重要だったかについて触れているので、こういった論をベースにしたWWIIウォーゲームがもっと出て欲しいと思う。

自分の経験として、砲兵効果の強力さを初めて知ったのは「GTS:The Devil's Cauldron」である。GTSの制作陣は『そもそも、今までのウォーゲームは、砲兵の効果を軽視し過ぎている』という見解から、今までにない形で砲兵効果を表現していた。それが、砲兵の弾幕効果である。GTSの間接砲撃は、相手にダメージを与えなくても、弾幕が張られ、相手の視界を奪う効果を持っている。この効果を用いれば、強力な敵戦車部隊に(ダメージが入らないのも前提で)砲撃を撃ち込み、その視界を遮り、長射程の主砲を使わせないまま、自軍の戦車隊なり対戦車砲を接近させ、討ち取ることもできる。さらに大概の歩兵大隊には、迫撃砲中隊が付随しているが、これがあらかじめ敵部隊の戦力を削りつつ、その視界を弾幕で覆い、自軍歩兵の突入支援をするという、非常に自然な流れを生み出していた。

こういった弾幕効果は、他のWWIIウォーゲームではあまり見られず、敵部隊を攻撃しても「当たりか外れ」の判定をするだけのものが多かった。そのため自分の周囲では「GTSは、砲兵ゲーム」と呼ばれるほど砲兵の重要度が高く、既存のウォーゲームに慣れた人々からは『砲兵の効果が強すぎるんじゃないか』と批判されることもあるが、いやいや実際の砲兵はこういうものだよと思ったりもする。そのGTSの砲兵効果の真理を理解するうえでも、本書は役に立ってくれそうだ。

【参考文献】「ドイツ電撃戦に学ぶ OODAループ超入門」

ドイツ電撃戦に学ぶ OODAループ「超」入門 (Panda Publishing)

ドイツ電撃戦に学ぶ OODAループ「超」入門 (Panda Publishing)

 

アメリカ空軍のパイロットであり、後に空軍教官も務めたジョン・ボイド提唱の「OODA(ウーダ)ループ」の入門書を購入。「OODA」とは、Observation(観察)、Orient(方向付け)、Decision(判断)、Action(行動)という4プロセス・1ループを、相手より高速で回すことで、相手の対応能力を麻痺させ、優位を得る理論を指している。本書では、その実例として、1940年のドイツ軍によるフランス侵攻を挙げている。たしかに、フランス軍の立ち遅れは、OODAループ的に劣勢と陥ったと解釈することもできる。

さて、このようなOODAループの差異を表したウォーゲームはあるだろうかと考えると、自分としてはBCS(Battalion Combat Series)をオススメしたい。BCSでは、1ターンという同じ時間内で、各フォーメーション(師団や旅団・連隊)の行動量に大きな差が出るシステムだ。各フォーメーションは、1ターン毎に、2回活性化が行える権利がある。ただしフルに活動できるか、半分か、まったく活動できない可能性もある。つまり、最大フルで2回活性化できるが、それ以下だと、1回+0.5回、0.5回+0.5回、1回のみ、0.5回のみという具合に、活動量に幅が出るわけだ。そしてその差が大きければ大きいほど、劣勢に陥った側は、受動的にならざるを得ない。相手に対応するだけで手一杯になるのだ。

また最近発売された「Less than 60 Miles」も、このOODAループを表現しているゲームなのだが、こちらはまだ未プレイ。いずれそのあたりも確認するつもりである。

またボイドのOODAループについては「エア・パワー 空と宇宙の戦略原論」も参考に。

【参考文献】「ラスト・オブ・カンプフグルッペ IV」

ラスト・オブ・カンプフグルッペIV

ラスト・オブ・カンプフグルッペIV

 

「ラスト・オブ・カンプフグルッペ IV」を、ようやく購入。「III」以来、ずっと買っていなかったが、そろそろまた集めようということで、まずは「IV」から。

気になった記事は、クラウゼヴィッツホルシュタイン戦車師団。「OCS:Beyond the Rhine」では、クラウゼヴィッツ戦車師団が、2個戦闘団ユニットとして登場しているが、戦車師団とは名ばかりの戦力。まだそのユニットを使うシナリオには触れていないが、連合軍の猛攻に揉み潰されそうな予感である……

【Advanced Squad Leader】ASL170「11th Company Counterattack」Solo-Play AAR

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せっかく買ったから、「Hakkaa Päälle !」のシナリオをソロプレイしようということでASL170「11th Company Counterattack」を選択。本シナリオは、1944年6月23日、Vyborg近辺でのフィンランド第61歩兵連隊第11中隊による、ソ連軍への反撃を扱ったもの。2本の川に挟まれた小規模地域のシナリオだし、噂のBT42突撃砲も出るので、これにしようと。もっとも史実では、BT42突撃砲は、攻撃開始に間に合わなかった(なので第2ターンからの増援)うえに、砲弾を撃ち尽くして早々と撤収した模様。

勝利条件は、第6ターン終了時までに、フィンランド軍がソ連分隊をすべて混乱させること。今回のソ連軍は、左翼の森と、右翼の個人壕に、前のめり気味に配置してみた。前線で混乱した後、退却できる余地を考えると、こうかなと。後方の開けた地域に布陣すると、ソ連軍よりも射程距離に優るフィンランド分隊に撃ち負けてしまうし。フィンランド軍のBT42突撃砲にしても、近場まで引き寄せて、爆薬を投げ込むチャンスを作った方がいいかなと。

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さて第1ターン。BT42の到着を待たず、フィンランド軍歩兵が攻撃開始。いきなりソ連軍の臨機射撃を浴びて、戦渦からフィンランド軍にヒーローが出現したり、逆にソ連軍は、戦渦によってLMG分隊が戦意喪失(後に除去)するなど、荒れた展開に。(ソ連軍の右翼は個人壕に入っているが、分かりにくいのでカウンター上に置いている)

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第2ターン。フィンランド軍増援のBT42突撃砲が登場。弾薬枯渇値10(射撃の際に2D6振って10以上なら弾切れ)なので、たしかに早期撤収の可能性大。しかしフィンランド軍も、前のめりに配置されたソ連軍の短射程分隊の懐で撃ち合うことになり、次々に混乱・潰走している(自己回復できるのが救い)。

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第3ターン。BT42 B号車の射撃が、ソ連軍LMG分隊を混乱・潰走させた。ソ連軍はこれを回復させようとしたが、またも戦渦が発生し、狂暴兵分隊(写真右の赤いユニット)が出現。しかしそれもフィンランド軍に斬り込む前に射撃によって半数が打ち倒され(損耗)、自ら白兵戦に突入するも、自滅した。

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第4ターンには、BT42 B号車の主砲が故障(そして車両は放棄)したが、すでにソ連軍左翼は8-0指揮官1人を残して壊滅。ソ連軍は、爆薬を抱えた分隊で三度、BT42への突撃を試みたが、いずれも士気チェックに失敗。対戦車ライフルの射撃も、BT42の薄い装甲が貫けない。そうこうするうち、BT42 A号車が致命的命中を放って、ソ連軍LMGスタックを葬った。結局、8-0指揮官を倒したフィンランド軍右翼も側面に迫り、第6ターンまでにすべてのソ連分隊が除去され、フィンランド軍勝利と相成った。

ちなみにBT42 A号車も、最終ターンには弾切れでお役御免。しかしさすが114mm砲。Incremental IFTで歩兵火力に換算すると22火力(23火力でもいいような気もする)の威力はなかなかだった。ただ火力に比して装甲が貧弱なので、相手に砲兵器がある場合は…… 

タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.318 フィンランド軍 突撃砲 BT-42 プラモデル 35318
 

【参考文献】「流血の夏」

流血の夏

流血の夏

 

ASLのフィンランド軍モジュール「Hakkaa Päälle !」を入手したので、何かフィンランド軍モノも読もうと、遅ればせながら「流血の夏」を購入。冬戦争モノは、何冊かあれど、1944年のフィンランド国内戦は、まだ良く分かっていなかったので。実際読むと、かなり細かい戦闘経過が書いてあるので、ASLのシナリオの背景を知るには良さそうだ。