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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの日記

【参考文献】「関東戦国史」「戦国関東覇権史」「東国武将たちの戦国史」「武田三代」「関東戦国150年史」

ゲームジャーナル版「関東制圧」を買ったので、今時の関東戦国本を読もうと、まずは入手しやすく安価なところから攻めてみた。まず黒田元樹氏の「関東戦国史 北条vs上杉55年戦争の真実」から。「関東制圧」で描かれているのは、北条氏康上杉謙信の時代だが、さらに溯って先代・北条氏綱と扇谷上杉氏、山内上杉氏との抗争から概説している。自分も正直、氏綱時代は詳しくないし、さらに溯って、伊勢宗瑞(北条早雲)の伊豆侵攻や、さらに昔の享徳の乱(鎌倉公方足利成氏vs関東管領・上杉氏)、長享の乱(山内上杉氏vs扇谷上杉氏)あたりの時代から再履修しないといかんなあと。

同じく黒田元樹氏の「戦国関東覇権史 北条氏康の家臣団」は、サブタイトル通り、比較的史料が残っている氏康時代の家臣団研究。「関東制圧」でも、北条の★武将が各地に配置されているが、なぜその人物が、どういう意図でその地に配されているのかが詳細に分かる。なにしろ北条という名字が付く人物が多いので、キャラ付けとして理解しておかないと混乱してしまうしね。

また西股総生氏の「東国武将の戦国史」も文庫化されていたので、こちらも入手。かつて「歴史群像」に掲載された記事を集めたものだそうだが、やはり書き方が非常にウォーゲーマー向き。長尾景春太田道灌の戦いを、お互いの補給線を切り合うような「作戦の時代」の始まりとしているのも面白い。しかし実際、それ以前の戦いで、そこまで作戦的な戦いって無かったのだろうか?

ここまでは北条、上杉寄りだったので、平山優氏の「武田三代」も購入。本書で面白かったのは、長篠の戦いでは、織田+徳川軍と、武田軍の間では、鉄砲の装備率はたいして違わなかったものの、弾薬量に差があったのではないか?という説。長篠の戦いの後に、武田勝頼が玉薬量の備えを命じていることや、長篠合戦場から出土した鉛玉の産出地分析により、中国やタイの鉱山から鉛を輸入できていた織田軍の方が弾薬量に関して優っていたのではないかと。なるほど、こういった科学的な分析を踏まえた検証となると、なかなか説得力がある。

さらに「歴史REAL」の「関東戦国150年史」号も入手。この手の軽めの雑誌系はあまり惹かれないが、自分が詳しくない享徳の乱や、長享の乱についても触れていて、図版もわかりやすかったので購入した。あの関東公方や、関東管領や、さまざまな国衆がわらわらと争う関東戦国初期の状況を知るには、まずこういった軽めのところから、おおざっぱに俯瞰するのもアリかなと。そんな感じで、近年の戦国史研究をちょっとずつ仕込み中……