Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Air Power Series】GDW/HJ「Air Superiority」

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駿河屋の中古コーナーにて、ホビージャパン版のGDW「Air Superiority(+Air Strike)」(1988年製)を再入手。これも以前持っていたものの、あまり触れないまま、数年前に手放してしまった。しかし「Red Storm」等を入手した流れで、1ユニット=1機の現代空戦ゲームもまた手元に欲しくなり、だったらこれにするかと。空中戦ゲームなんぞ、PCのフライトシミュレイター系で良いじゃないかという意見もあるだろうが、三次元機動を二次元の地図盤上で再現しようとするなんて、思考実験として面白いし。ある意味、遊びたい、飛ばしたいというより、蔵書としてルールやデータを読みたいなと。

スケール的にも、同じジェット機空戦ゲームでも結構な違いがある。

 ・SPI「Air War」1ターン=2.5秒、1ヘクス=152m、1高度=76m

 ・ツクダ「ジェットファイター」1イニング=3秒、1ヘクス=200m、1高度=60m

 ・GDW「Air Superiority」1ターン=12~15秒、1ヘクス=528m、1高度=305m

 ・AH「Flight Leader」1ターン=30秒、1ヘクス=1000m、1高度=1000m

Air War」と「ジェットファイター」は、ほぼ同じスケールだが、超音速で飛び回るジェット機を再現するのに、2.5秒ターンと15秒ターンではエラい違いだ。「Air War(空戦マッハの戦い)」も以前所有していたが、あちらは複数ターンでようやく1方向旋回するような細かさだったが、そもそもそんなスケールまで細かくする必要があるのか?という疑問に答えたのが「Air Superiority」なのだろう。デザイナーズノートにも、空戦戦術に集中できる迅速なプレイを目指したとあり、そのあたりも好み。

しかし自分は空戦ゲームに疎いので、各ゲームの差異について、まだまだ自分の言葉では説明できない。これが「バルジの戦い」の作戦級ゲームなら、ぱっと見て、あれこれ言えるんだろうけど。

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本作は「Air Superiority」(戦闘機編)と、シリーズ第2弾「Air Strike」(攻撃機編)を合体させて日本語版にしたモノ。「Air Superiority」の青空地図盤が4枚、「Air Strike」の地形が描かれた地図盤が6枚。

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Air Superiority」用のカウンターシート1枚、「Air Strike」用のカウンターシート2枚。

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データカードは「Air Superiority」30機種、「Air Strike」32機種、合計62機種。それぞれに派生型のデータも記されているため、正確にはもっと多い。なにしろ1988年製なので、その当時の最新鋭機止まりだが、後のシリーズで新たな機種も追加されている。発売された当初は、「Air War」よりもおおざっぱなスケールで、亜音速機の特徴まで出せるのか?という疑問もあったようだが、いまだに熱烈なファンがいるシリーズなので、おおむね好評なのだろう。まあ、こういった単機、単艦データは、眺めているだけでも楽しい。あいにく飛行機マニアではないので、あまり細かくああだこうだとは言えないけれど。

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ルール、データに加えて、チャート、シナリオ、さらにはブリーフィングブックなる、機種、ミサイルと爆弾、対空兵器の解説、空戦戦術、デザイナーズノート(Air SuperiorityとAir Strikeの両方)がまとめられた冊子が付いている。「Air War」も、この手の背景解説は豊富だったが、こういう親切さが嬉しい。

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記録シートには、現在の状況を備忘録的に書き込むスタイル。決して『3ヘクス直進して30°右旋回し2高度降下』なんて書くわけではない。

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この日本語版が発売されたのは1988年末だが、さかのぼること1年半前、1987年のタクテクス誌43号に、有坂純氏による「Air Superiority」の紹介記事が載っていた。この時すでに有坂氏は「Air War」の続編「スーパー・トムキャット」を出版していたが、その有坂氏が興奮気味に本作について語っていたのがとても印象的だった。自分もこの記事を読んで『だったら買ってみようかな』と思った覚えがある。

そしてこの「Air Superiority」シリーズが、後にルール改良された「Air Power」シリーズへと発展していくのだけれど、それについてはいずれまた……