Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】イアン・トール「太平洋の試練 ガダルカナルからサイパン陥落まで(上下)」

「太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで」に続く第2部「太平洋の試練 ガダルカナルからサイパン陥落まで」が文庫化されたので購入。この後の第3部の原著がなかなか出版されなかったせいか、こちらの文庫化も遅れていた模様。しかしようやく昨年、完結編となる第3部「Twilight of the Gods」が本国でも出版され、日本語版の単行本も今年年末に出るそうな。まあ、その第3部も文庫化されてから読もうかなと。第2部は、2016年に単行本が出てから文庫化されるまで5年かかったが、さすがに次はそんなに間が空かないんじゃないかと。 

さてその第2部は、中部太平洋での戦闘を中心に扱っているが、英米連合軍の思惑や、アメリカ海軍部内での人間模様も詳細に述べられたうえ、真珠湾での復興作業や、日米本土での生活、果てはハワイの売春宿の話など、銃後のエピソードも多数含まれている。戦闘に関しても、他の戦史書では割愛されがちなクェゼリン環礁の攻略戦も載っているし、昭和天皇が決戦をするようプレッシャーをかけていたという「大元帥 昭和天皇」にもあった指揮分析も含まれている。「真珠湾からミッドウェイまで」を読んだ時にも思ったが、この手の古典であるジョン・トーランドの「大日本帝国の興亡」と併読すると、新旧の太平洋戦争観が分かって面白いと思う。

時期的にも、そろそろGMT社から「Pacific War」が再版されるはずだし、TSWWの中部太平洋編「Opearation Watchtower」もそのうち発売されるはずだし、この時期の戦闘をおさらいするにも良いタイミングかなと。