Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの日記

「Up Front」「Banzai」「Desert War」

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一昨日、メルカリを見ていたら、日本語版「アップフロント Up Front」(Squad Leaderのカードゲーム版)が送料込み11500円で出ていた。ふーんと思って画像を見たら、妙に内容物が多い。よくよく見ると、どうやら日本語版「アップフロント」に、英語版の「Banzai」(日本軍とイギリス軍セット)と「Desert War」(イタリア軍フランス軍セット)が同梱されているらしい。3つ併せてその値段なら……と思ってぽちり。早くも昨日到着し、内容物を確認したところ、3作分の欠品も無く、良かった良かったと。

自分の場合、「Advanced Squad Leader(ASL)」は一生懸命集めているものの、1984年に発売された日本語版「アップフロント」は今まで一度も触れずにここまで来ていた。いやもちろん、発売当時も視界には入っていたが、なにしろ小生意気な高校生だったので『Squad Leaderのカードゲーム版? なんかオモチャっぽいからいいや』とスルーしてしまったのだ。当時は「Squad Leader」から続編の「Cross of Iron」まで進んだところだったし、どうせ買うならその先の「Crescendo of Doom」とか「G.I Anvil of Victory」の方が欲しかったのよね。まだ「ポケモン」はおろか「Magic:the Gathering」登場以前の時代だし、カードゲームに対する個人的な偏見も強かったと思う。その後も、中古市場では何度も見かけてきたものの、引き続きスルーし『実はアップフロントを一回も遊んだことが無い』というのも、自分のキャラとして面白がっていたが……うーん、結局は入手することになったかと。 

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でまあ、初めてルールを読みながら、適当にセットアップだけしてみた。こちらは、シナリオ1「パトロール隊の遭遇」。アメリカ軍12名とドイツ軍10名の対決になる(ソ連軍の場合は15名)。各兵士カードは1名の兵士を表し、両軍とも、麾下の兵士を射撃グループに分けて配置する。アメリカ軍は4名・4名・4名という3つの射撃グループに分割し、ドイツ軍は4名・3名・3名というやはり3つの射撃グループとしている。各射撃グループの前には、距離カウンター(最初は0)が置かれ、双方の射撃グループの相対位置を表し、それが射撃兵器の威力に作用する。最初の手札として、アメリカ軍はアクションカード6枚、ドイツ軍はアクションカード5枚を引く。最初の手札に地形カードがあれば事前に配置できるので、アメリカ軍は「繁み」カードを、ドイツ軍は「建物」「障壁」カードを配置。そしてゲームが始まったら、各射撃グループごとに、アクションカードを消費して1回ずつ行動を行わせ、ターン終わりに手札を補充して……という繰り返しらしい。うん、なにしろ今ルール読んだだけだからね。

ルールは「Squad Leader」と同じく、ステップアップ学習方式なので、簡単な歩兵戦シナリオから、徐々にルールを追加していく形になっている。基本的な歩兵戦に慣れたら、爆薬、火炎放射器、トーチカ、地雷原、迫撃砲、対戦車火器、捕虜、夜間、キャンペーンゲームと進んでいけるのは、たしかに「Squad Leader」的だなあと。 

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両軍共通のアクションカードは、全162枚。行動カードだけでなく、地形カードも入っている。これをランダムに引いて手札を構成し、兵士を動かしていく。また地形カードを用いて、自軍の射撃グループを防御に有利な地形下としたり、敵射撃グループに対して「河川」や「鉄条網」などの面倒くさいカードを押しつけて移動を疎外することもできると。 

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基本セットである「アップフロント」には、ドイツ軍、アメリカ軍、ソ連軍の兵士と車輌カードが入っている。兵士カードには、所有している武器の距離別火力、モラル、白兵戦値等が記され、一応、個人名も入っているので、感情移入もしやすくなっている。

車輌カードにも、武器の数値はもちろん、装甲値、ボグ(立ち往生)判定値、オーバーラン値などが記されている。ドイツ軍では、II号、III号、IV号、V号パンター、VI号ティーガー、ケーニッヒスティーガー、III号突撃砲(長・短砲身)、ヘッツアー、と一通りのメジャーどころに、II/III号火炎放射戦車、ハノマーク兵員輸送車、八輪重装甲車Sd kfz231、PSW234/2プーマ装甲車などもあり。アメリカ軍には、M3A1、M4A3、M10、M26、M24戦車等々があり、ソ連軍には、T26S、BT7、T60、T28C、T34、T34/85、SU85、IS-2と、大戦初期から末期までの有名車輌が含まれている。

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今回の購入品には、追加セット「Banzai」が箱無しで含まれていた。こちらは、日本軍とイギリス軍の兵士・車輌カードが追加されている。イギリス軍車輌としては、クルセイダー、マチルダ、シャーマン・ファイアフライチャーチルクロムウェル戦車が登場。日本軍車輌では、九五式、九七式、一式砲、三式戦車もあり。ルールとしても、日本軍の万歳突撃や、アメリ海兵隊に関する記述が追加されている。昔、タクテクス誌にルール訳が載ってたけど、処分しちゃったからなあ…… 

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さらに追加セット「Desert War」も、見切り離しの状態で入っていた。「Desert War」は、元々ボックス版ではなく、封筒入りで発売されていたはず。こちらは、フランス軍イタリア軍の兵士・車輌カードが追加されている。まあ、兵士はともかく、車輌カードは他国に比べると少なく、フランス軍H39、R35、S35、B1-bis、イタリア軍はM13/40、M41といった程度。

というワケで「Up Front」シリーズ3作が手元に揃ったが、さすがに40年近く昔のゲームなので、状態はさほど良いワケではない。カードを輪ゴムで縛ってそのままくっついてしまった跡もあり(まあ、やるよね)、「Desert War」も未切り離しだけど、経年劣化のシミに覆われている。アクションカード類も、そこそこ遊んだ形跡があり、これ以上プレイして痛めたくはないなあと。 

幸い、この3作「Up Front」「Banzai」「Desert War」は今現在、Wargame Vaultというサイトで、版権を持つWizards of the Coastから公式リリースという形で、販売されている。特にこのWargame Vault版には、アバロンヒル版の「Banzai」「Desert War」には入っていなかったジャングル戦や砂漠戦用の地形カードも含まれているため、わざわざ中古市場で高いお金を払うよりかは、こちらを注文した方が良いと思う。自分もそのうち、このWargame Vault版を買ってプレイしようかなと。たぶん、3作まとめて送料込みで2万円ぐらいで済むんじゃないかな。

https://www.kickstarter.com/projects/1325766284/up-front-the-card-game?lang=ja

恐らくこの背景には、2013年にKickstarterで『Up Front再販するよ』と言い出す輩がいて、実際に約34万ドル(約3600万円!)を集めたままバックレるという事件があり、本家WotCが2016年に『だったら再販はしないけど、カード販売で我慢せいや』とばかりにWargame Vaultに卸した、という事情があるようだ。まあ、どうせなら本格的に再販してほしいところだけど、とりあえずの解決策なのだろう。

しかし「Up Front」は、武装親衛隊を描いたボックスアートがけしからん!と政治的なクレームを受け、それが21世紀に入っても尾を引いたうえに、Kickstarterの件もあり、なかなか呪われた作品だなあと思う。 その呪いについては、こちらもご参考に……