Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

アドテクノス「リターン・トゥ・ヨーロッパ」

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仮想・第三次世界大戦ゲーム「レッドサン・ブラッククロス(以下RSBC)」に続いて発売された、仮想・第四次世界大戦ゲーム「リターン・トゥ・ヨーロッパ(以下RtE)」を中古で購入。前の日記で書いたように、ネットで3部作をまとめ買いしたが、「RSBC」はプレイした形跡があったものの、「RtE」はカウンターを切っただけの状態だった。自分も、学生時代にこの2つを所有していた際は「RtE」まで遊ばなかった気がする。 いずれにしろ、30数年ぶりの再購入ということで。

ゲームスケールは「RSBC」同様、1ヘクス=100kmなので、地図盤も連結できるが、連結ルールや連結シナリオは無い。1ターンも「RSBC」は10日だったが、「RtE」では15日に変わっている。

ルール自体、「RSBC」独特の「移動しただけでステップロス」とか「1師団=4ステップ」ルールが無くなり、3段階の補給リンクも、単純に司令部か前線補給所の補給範囲内にいるかどうかという、オーソドックスな判定に変わっている。まあ、当時の制作陣も、いろいろと反省したのだろうし、ヨーロッパ戦線なら、インド戦線より補給はゆるくても良いのかなとも思う。しかしどうせなら「RSBC」そのままのルールで続編を作って連結シナリオを入れるか、逆に「RtE」ルールを使って、簡易的に「RSBC」をプレイするルールがあっても良かったと思う。まあ、今となっては、自作すれば良いのだけれど。

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設定としては、1950年、ヒトラーの死亡により、日独の第三次世界大戦が停戦。ロンメルを大統領、シュペーアを首相とする、大ドイツ連邦が成立する。これと平行して、イギリス首相チャーチルが、中立国アメリカにヨーロッパ奪還計画を提案。さらに1952年、アメリカ大統領に当選したパットンが「ヨーロッパ十字軍」演説をぶち上げ、イランの内戦を巡って、遂に米英日vsドイツの間で第四次世界大戦が始まるというもの。米英枢軸軍(総司令官ブラッドレー)の東方軍(総司令官モントゴメリー)は、イランからカフカス山脈を越えて、旧ソ連領に侵攻。モスクワ間近まで迫るも、東方総軍(総司令官マンシュタイン)の冬季反攻をくらってハリコフで米英6個軍が包囲壊滅するという状況に。

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一方、西方でも、米英枢軸軍が1952年6月6日にグレートブリテン島に上陸し、これを奪還。続く1953年6月6日には、カレーに上陸し、その一週間後にはパリも奪還。しかし調子に乗ったモントゴメリーが、一気にオランダへ侵攻しようとして、空挺作戦を敢行するも、親衛装甲軍の反撃を受けて失敗。とは言え、ドイツは東西から攻め込まれつつあり、ロンメルが核攻撃恫喝に出ると、先んじてアメリカ空軍がベルリン核攻撃を行おうとして、ドイツ空軍の反撃を受け、代わりにケルンに核爆弾が投下された。この報復として、ドイツはロンドンを核攻撃(ブラッドレー大将が死亡。ワシントン滞在中のチャーチルは難を逃れた)。怒りに燃えたパットンは、再びベルリン核攻撃を命じるも、これも失敗。代わりにドイツが、米英枢軸軍の基地があるアイスランドレイキャビクを核攻撃。これによってアメリカ国内に反戦機運が高まり、大統領の退陣要求が行われる中、そのパットンが自動車事故で死亡。1953年4月に停戦が相成った……という、後味の悪い筋書きになっている。

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陸上ユニットは「RSBC」同様、1ユニット=1個師団。ちなみに「RtE」 初版は、米英枢軸軍のカウンターシートが裏表逆に印刷されているそうで、今回購入したのもそれ。 

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1航空ユニットは、「RSBC」の30機ではなく、20~50機という換算。しかし相変わらず、この対地能力が上で、空戦能力が下に書かれているセンスは解せぬ。 

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艦船ユニットの能力値は、並びが変わり、対空力は数値ではなくA~Eというカテゴリーに変更。アメリカ海軍には、原子力空母、原子力潜水艦も登場する。 

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まあ、当時これを買った時も、プレイ欲よりも「RSBC」のその後が知りたい欲の方が強かったと思う。だから設定を読んでしまえば、なるほどそうなったかで終わり、プレイに至らなかったような。またその仮想史実も、乱暴な核の応酬で終わるという結末だったので、あまり魅力的ではなかったし。 

ウォーゲーム的に見ると、独創的だった「RSBC」と比べると、良く言えばオーソドックスなものに収まっているし、逆に言えば当たり障りの無いルールになっている。遊びやすいと言えば遊びやすいけれど、わざわざそのシステムに触れたいかと言われると、うう~んという感じ。とは言え、せっかく30数年ぶりに入手したし、以前持っていた時もほとんど遊ばなかったので、いずれ触れてみようとは思う。