Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの日記

【参考文献】Gerhard.L.Weinberg「A World at Arms (New Edition)」

f:id:crystal0207:20200425164634j:image

先日購入した、シリーズ戦争学入門「第二次世界大戦」の著者、ゲアハード・L・ワインバーグの代表作「A World at Arms」が到着。初版は1994年刊行、この新版は2005年刊行なので、近年の研究も盛り込まれているはず。全1178ページ、本文920ページ、参考文献24ページ、注釈188ページという構成になっている。しかしレンガより重たいこのボリュームよ……

この「A World at Arms」も、評価の高い第二次世界大戦通史であり、独ソ戦の著作が多いDavid Stahelも『単独のガイド書としては最良』と評している。Amazonのレビューを見ても、7割方★★★★★と、おおむね評判が良さそうだ。さすがに到着したその日に、本書の全貌が分かるはずもないが、ざっと見てみると、ウィルモットの「大いなる聖戦」同様、第二次世界大戦を戦略的に俯瞰した一冊になっているようだ。ただ「大いなる聖戦」では、軍人や将軍名を極力排して、政治指導者の決断に焦点を当てていたが、この「A World at Arms」では、それなりにマンシュタインだパットンだジューコフだという名前も出てくるので、ウォーゲーマーとしては親しみやすく感じる。またビーヴァーの「第二次世界大戦(上中下)」では、民間人など「下からの歴史」的な証言も拾っていたが、そういう部分も見られず、あくまで「上からの歴史」に徹している。民衆史にあまり興味の無い自分としては、そこも好み。

どこまで近年の研究が取り入れられているかは、まだ分からないが、Amazonのレビューで『書き方が難解』とあったように、たしかに構成は上手くないかもしれない。と言うのも、1941年のモスクワ戦の章を読んでみたら、それを完全に説明しないうちに、長々とハンガリールーマニアの遺恨の話が出てきて、おいタイフーン作戦どこいった?という気になったので。

また、やはりAmazonのレビューで『終戦後、生き延びた日本の水兵と兵士たちは帰国し、被害は受けたものの、荒廃はしていない日本の再建に取りかかった』……とあるけれど、原爆を2発も落とされて『荒廃していない』は無いだろう、というツッコミもあった。そのあたり著者が、アメリカの戦争を聖戦化しているとの指摘もあり。そういう目で、シリーズ戦争学入門「第二次世界大戦」も読んでみると、たしかにそちらも、原爆投下によって日本は降伏に傾いた、という解釈にも読める。まあ、基本的にこういった本は、ある程度のバイアスもありとして読むのが良いのかもしれない。

しかし読むとは言ってもこのボリューム、いくら「おうち時間」があっても読み切れなさそうなので、とりあえず興味のあるところから拾い読みしようかと。 

A World at Arms: A Global History of World War II

A World at Arms: A Global History of World War II

 

ちなみに今回も実体本を購入したが、やはりAmazonのレビューで『Kindle版のスキャンの出来が悪すぎる』とあったので、もしご購入を検討の方はご注意を。